渓流の露天風呂と雪の宿場町 冬を楽しむ週末旅行【塩原温泉/栃木県・大内宿/福島県】(2017年)

栃木県北部にある塩原温泉郷は開湯から1200年以上と言われる大変歴史のある温泉地で、「塩原十一湯(しおばらじゅういちとう)」と呼ばれる11地区の温泉地の総称として塩原温泉郷の呼び名があります。源泉はおよそ150本、泉質は6種類あり効能もさまざまとのことなので、多種多様な温泉を楽しむことができる素晴らしい温泉地です。
2017年2月、この塩原に宿泊し、翌日は歴史を感じる宿場町で雪景色とグルメを楽しむ冬の旅に出かけました。 

 塩原温泉郷公式ページ(塩原温泉旅館組合/塩原温泉観光協会)・栃木県・那須塩原市 (siobara.or.jp)

 

浅草から東武電車に乗って塩原温泉郷

東京から塩原温泉郷へ行くには、東北新幹線那須塩原からバスに乗り継ぐのが最も早いですが、今回は浅草から東武電車に乗るルートで行くことにしました。東武ルートでは関東平野から深い山の中を分け入って行く変化のある景色を楽しむことができ、特に冬場の栃木県北部から福島県にかけての区間の雪景色が美しく、冬の列車旅の楽しさを味わうことができます。

浅草11:00発の鬼怒川温泉行きの特急スペーシアきぬ111号で出発。スペーシアには紫基調、青基調、オレンジ基調、そして金色基調の4パターンのカラーがありますが、今回乗車した列車は金色の「日光詣スペーシア」カラーでした。
関東平野を北上し、終着鬼怒川温泉には12:59に到着。後続の13:11発 区間快速会津田島行きに乗り換えます。鬼怒川の温泉街を見て山の中へ分け入っていくと、車窓はだんだんと雪国の景色に。凍てつくダム湖を長い鉄橋で越え、トンネルを抜けて雪に覆われた林の中を走り、鬼怒川温泉から36分、13:47に上三依塩原温泉口に着きます。
雪の中へ去り行く2両編成の列車の姿に旅情がかき立てられます。

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 上三依塩原温泉口から塩原温泉へはバスが出ていますが、あいにくうまく接続する便がなかったため、塩原温泉バスターミナルまでタクシーを利用しました。所要時間は15分ほど。バスターミナルからは10分ほどバスに乗って温泉街を通り抜け、塩原十一湯の中でもいちばん東に位置する大網温泉へ。バスを降りたら本日宿泊するお宿、湯守田中屋さんは目の前です。

320段の石段を下り、渓流を望む露天風呂で幸せな温泉入浴タイムを

 このお宿の楽しみのひとつは渓流沿いにある露天風呂。露天風呂は宿の前の国道を渡り、細い道を谷底に向かって約320段の階段を降りたところにあります。帰りのことは考えず、これから始まる幸せな入浴タイムのことだけを思い軽やかに階段を下りてゆくと、木々の間に湯舟らしきものが見えてきました。

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露天風呂は混浴のものが3か所、女性専用が1か所あります。一番広い混浴の湯舟は箒川の渓流を見下ろす眺めのいいロケーション、残りの2つは1人か2人しか入れない狭いものですが、大きな岩陰にありなんとも落ち着く感じのする湯舟、古いコンクリート屋根がかかり、すぐ隣に冷たい渓流の水面が間近に見える湯舟、どちらも湯舟に直接お湯が湧出していて、最高の鮮度の温泉を楽しむことができます。
(お風呂の写真は入浴時間外に撮影) 

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 極楽の露天風呂タイムの後は地獄の320段の階段上りをして宿の建物に戻り、今度は貸切風呂に入浴。貸切風呂と内湯は長い階段を下りずに利用することができます。
湯上りには、ロビーに用意されていた玉こんにゃくに舌鼓。

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雪の野岩鉄道会津鉄道 のんびり列車旅

翌日はお宿の車で塩原温泉バスターミナルまで送っていただき、バスターミナルからバスで上三依塩原温泉駅へ。
雪に包まれたとんがり屋根の駅と赤い列車が絵になります。この赤い列車は9:34発AIZUマウントエクスプレス4号 会津若松東武日光行きのディーゼルカー。これから乗るのは下り列車ですが、待っている間にもう1本9:59発新藤原行き上り列車がやってきました。白いボディーにオレンジと赤の帯、寒い雪景色の中で温かみを感じられる、いい色だと思います。

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乗車する下り列車は10:11発 快速会津田島行き。浅草からはるばる走ってきた快速列車ですが、途中の下今市から先はすべての駅に停まるので、このあたりでは実質的には普通列車です。ここ、上三依塩原温泉口野岩鉄道(やがんてつどう)会津鬼怒川線の駅ですが、浅草から東武の快速列車に乗れば乗り換えなしで来ることができます。鬼怒川温泉の2駅先の新藤原という駅で東武鉄道から野岩鉄道に変わり、さらにこの先の会津高原尾瀬口からは会津鉄道会津線になりますが、快速、区間快速は3社を直通し、浅草から会津田島まで直通して走ります。なお、この旅行の2か月後の2017年4月、東武の快速、区間快速は廃止となり、浅草から会津田島方面への直通列車は特急リバティ会津に置き換えられました。

雪を巻き上げて走ってくる列車がかっこいい!

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 会津高原尾瀬口から会津鉄道に入り、終着の会津田島の少し手前、会津荒海(あいづあらかい)で上り区間快速 浅草行きと行き違い。海など遠い深い山の中の駅なのに荒海という名前とは面白いです。

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 車内はガラガラで、のんびりとした空気が漂っています。大きな窓に広がる雪景色が美しいです。

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10:41、終着の会津田島に到着。ここまでは電化されていますが、ここから先は非電化のため、ディーゼルカーに乗り換えです。次の列車は11:04発AIZUマウントエクスプレス1号。鬼怒川温泉始発の列車なのでさきほど乗車した上三依塩原温泉口で待っていても乗れたのですが、少し変化をつけようと先行の会津田島行きに乗ったのでした。いろいろな車両に乗ってみるのは楽しいものです。
いま乗ってきた列車は折り返し普通新栃木行きになりました。

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雪に包まれた江戸時代の宿場町

 AIZUマウントエクスプレス1号は11:28に湯野上温泉に着きました。ここでバスに乗り換えておよそ15分、やって来たのは江戸時代の街並みが残る大内宿です。
かつて日光と会津を結んだ会津西街道(下野街道)の宿場町として栄えた大内宿は、その古い街並みを今に残し、大変風情のある景観は多くの観光客に感動を与えています。観光案内によれば、「道の両側に屋敷が均等に並んでいる」「寄棟造りの建物で、妻側が街道に面している」など江戸時代の宿駅制度に基づいてつくられた宿場の形態を良く残す町並みとして、1981年4月、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたそうです。

大内宿|奥会津観光スポット (ouchi-juku.com)

この日は大内宿雪まつりが開催されており、湯野上温泉からのバスも増便されていたので便利でした。大内宿に着くと、雪まつりとあってか、たくさんの観光客で賑わっていました。屋根に雪をかぶった古い家々が建ち並ぶ道がとてもいい風情で、江戸時代にタイムスリップしたかのよう。雪で作られた灯篭やかまくらが、またいっそう雰囲気を盛り上げてくれています。

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土産物や日本酒が並ぶカラフルな店先は、見ていてワクワクします。

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大内宿はグルメもばっちり。「しんごろう」は信州の五平餅を思わせる米+味噌の郷土食で、エゴマを使った甘味噌が独特なさわやかな香りを醸し、炭火で焼かれた味噌の香ばしさと相まって大変おいしかったです。かまくらに入ってアツアツのしんごろうを頬張るのは、冬の幸せなひとときでした。

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しんごろうの他にも、目から食欲を刺激されるものがいろいろ。

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しんごろうを食べたばかりではありますが、お蕎麦屋さんに入りお昼ご飯にします。注文したのは名物「こづゆ」と「高遠そば」。
こづゆは、会津地方で正月などハレの席で食べられる汁料理で、干し貝柱や昆布などの海の幸、タケノコや根菜などの山の幸がふんだんに入っていて、味わい深い汁が大変おいしかったです。
高遠そばは、長ネギでそばをすくい、ねぎを齧りつつそばをいただくという食べ方が特徴の大内宿の名物料理。ネギを生でかじったら辛そうなイメージですが、さにあらず、甘いネギがむしろ食欲を、あっというまにネギもそばもなくなりました。なお、ネギでは食べにくそうと思う方や、そばより先にネギを食べつくしてしまった方でも、箸がちゃんとありますので安心です。

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昼食を食べ終え外に出てみると、さきほどまで晴れていた天気が一変、雪が降り始めていました。雪の降りしきる宿場町の風情もまた、大変素晴らしいものです。

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宿場の一番奥で街道筋は右に折れていますが、ここを左に行くとは斜面を上がる道があり、滑って転びながらも上ってみると、大内宿を見下ろせる絶景スポットがありました。ここから撮影した写真はよく宣材に使われていて、大内宿といえばここからの眺めと言えるほどの有名な構図なので、目にしたことがある方も多いかもしれません。あいにく雪の勢いが増して見通しは悪くなってしまっていますが、雪に包まれた宿場町の風景は非常に美しいものでした。
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大内宿で3時間ほどを過ごし、再びバスに乗って湯野上温泉に戻ります。湯野上温泉駅は茅葺の駅舎として有名で、待合室には囲炉裏もありました。
ここからは16:16発 普通会津田島行きに乗車します。発車時刻より少し早くホームに入ってきた列車は対向列車の到着を待って出発。

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先頭部からは前面展望が楽しめます。林を抜け、鉄橋を渡り、雪の中に続くレール。

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 湯野上温泉からおよそ30分、16:45に会津田島着。ここから17:04発 普通新栃木行きに乗り継ぎ、鬼怒川温泉でさらに18:26発 特急きぬ138号浅草行きに乗り換えて、東京に戻りました。

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浅草から特急列車で手軽にアクセスでき、自然に囲まれた新鮮な温泉や、雪に包まれた風情ある宿場町など魅力的な観光地のある野岩鉄道会津鉄道沿線は、冬の週末をのんびりと楽しむことができる、最高の場所でした。


2017年2月 

 

大内宿へのアクセス情報 (湯野上温泉駅~大内宿 バス時刻情報あり)
 交通情報・アクセス|大内宿|奥会津観光スポット (ouchi-juku.com)

 塩原温泉、大内宿へ便利なきっぷ
ゆったり会津 東武フリーパス | お得なきっぷ | 東武鉄道公式サイト (tobu.co.jp)
(浅草~湯野上温泉の通常運賃が往復7,900円のところ、ゆったり会津 東武フリーパス〔芦ノ牧温泉〕なら 6,920円と、980円もお得。 特急利用の場合の特急券上三依塩原温泉口塩原温泉のバス運賃、湯野上温泉~大内宿のバス運賃は含まれないので、別途購入要)

おさるの湯浴みが大人気 かつての花形特急車両に乗って雪景色の温泉へ【長野県】(2018年)

誰もが一度は見たことがあるであろう、雪の中で露天風呂に浸かるサルの写真や映像は、気持ちよさそうに入浴するサルの姿に見ているこちらもほっこりするものがあります。寒い季節、温泉で温まりたいと思うのはサルも人間も同じこと、どこの温泉に行こうかと考えていたとき、ふとこの温泉に入るサルたちのことを思い出し、いままで実物を見たことのないこの温泉ザルたちの入浴姿を見つつ人間もゆっくり温泉を楽しもうと、長野県に行くことにしました。

このサルたちを見ることができるのは地獄谷温泉の野猿公苑というところ。長野駅から長野電鉄に乗って終点の湯田中へ、そこからバスに乗り継ぎ、最後は徒歩という、なかなか山深い立地です。

 8時ちょうどのスーパーあずさ5号で旅立ち

東京から長野へ行くには北陸新幹線を利用するのが便利ですが、今回は在来線特急で向かうことにしました。乗車するのは新宿を8時ちょうどに出発するスーパーあずさ5号松本行。

8時ちょうどのあずさ号と言えば歌で有名なあずさ2号が思い浮かびますが、歌が作られた頃の国鉄の特急列車は下り1号、2号…、上り1号、2号…と、上りも下りもそれぞれ1号から順に番号が振られており、「下りの」あずさ2号新宿駅を8時ちょうどに出発していました。ところが、1978年(昭和53年)10月から列車の号数の数字は下りが奇数、上りが偶数を振ることになったため、この時からあずさ2号は上り列車になり、かつての下り2便目だったあずさ2号はあずさ3号に変わったのでした。月日が経ち、7時30分発のあずさ号が増発され8時発はあずさ5号に、そしてスーパーあずさの登場でスーパーあずさが1号から、通常のあずさは51号からの番号振り分けとなったのち、スーパーも通常も関係なく1号から順番に通しで番号を振ることに変更された結果、2018年現在の定期列車のあずさ号は新宿発7時発スーパーあずさ1号、7時30分発あずさ3号、8時発スーパーあずさ5号…という順番になっています。なお、このときの上りのあずさ2号は、途中駅の大月を出るのがたまたま8時ちょうどだったため、大月駅に行けば今でも「8時ちょうどのあずさ2号」が見られる、として珍重されていました。(2019年よりあずさ2号は大月を通過することになり、8時ちょうどのあずさ2号は消滅、2020年には、あずさより短い区間を走るかいじ号とあずさ号の号数について、それまではそれぞれ単独に番号が振られていたものを、あずさ号、かいじ号の区別なく出発順に通番で振ることに改められた結果、2号はかいじ号の番号となり、現在ではあずさ2号という列車は存在していません)

スーパーあずさ号には、車体を傾け遠心力を相殺することで、カーブでもスピードを落とさずに走れる振り子機能がついたE351系車両が使われていましたが、E351系はこの旅行の2か月後、2018年3月に引退することが決まっていました。今回はスーパーあずさを利用して、最後のE351系の旅を楽しもうというわけです。

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新宿を出て立川、八王子と停車していくうちに車内は満席になり、高尾を通過すると景色は一気に山の中となってカーブも増えますが、E351系は振り子車両の本領発揮し、体を右に左に揺らしながら山の中を高速で駆け抜けていきます。
中央本線の車窓といえば美しい山の眺め。この日はよく晴れていて、富士山や南アルプス八ヶ岳などの山々がよく見えました。写真は甲府盆地の向こうにそびえる南アルプスと、小淵沢付近の高原から眺めた八ヶ岳です。

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新宿から2時間38分、10時38分にスーパーあずさ5号は終点の松本駅に到着しました。この車両は30分ほどの休息ののち、折り返しスーパーあずさ14号として新宿に戻るようです。

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 松本からは名古屋発の特急ワイドビューしなの5号長野行きに乗り換え、長野駅には11時59分に到着しました。

特急スノーモンキーは空港アクセスで活躍したあの車両

長野からは長野電鉄に乗り換えます。長野電鉄長野駅はJR長野駅前の地下にありますが乗り継ぎ時間はおよそ10分と短いので、大急ぎで長野電鉄のりばに向かいました。ここから乗車するのは12:10発の特急スノーモンキー。乗車券のほかに特急券が必要ですが、特急券は100円という安さです。このスノーモンキーの座席は基本的に自由席ですが、1室だけ個室があり、1000円の個室券を買えばここを利用することができます。個室は予約はできず、駅の窓口で早いもの勝ちで買うことができるので、まだ空いているとの案内を見て駅の窓口の列に並んでみましたが、あいにく順番が回ってきたときにはすでに売り切れになっており、買うことはできませんでした。残念。

改札口を入って階段を降りると、ホームには見覚えのある顔の電車たちが並んでいました。右側の信州中野行き普通列車は元東急田園都市線で活躍していた車両、左側が特急スノーモンキーでJRの成田エクスプレスとして活躍していた車両です。

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特急スノーモンキーは3両編成ですが、車内に入ってみるとほぼ満席という盛況。駅の階段に近い最後尾から乗って車内を進み、先頭車にようやく空席を見つけて座ることができました。ただ、他の2両が固定式の座席であるのに対し、この先頭車両だけはリクライニング機能がある座席なので、快適な座席の車両に座れたのはラッキーでした。
客層は外国の方が非常に多く、外国人に人気の観光地であることを感じます。
長野からおよそ45分で終点の湯田中に到着。車両にはスノーモンキーのイラストとロゴ、そして特大のサルの写真があしらわれていて、これからこれを見に行くという気分が高まります。

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雪の山道をたどり地獄谷を目指す

湯田中駅からは予約制のミニバスに乗ります。地獄谷へのアクセスは上林温泉から35分歩くルートと、地獄谷駐車場から15分歩くルートの2つがあります。歩く時間が少なくて済む地獄谷駐車場への道は細い山道で公共交通機関もないうえ冬季は道が閉鎖されてしまうので上林温泉から歩くルートしか使えなくなってしまうのですが、冬季の週末を中心に運転されている「スノーモンキーホリデー観にバス」を利用した場合に限り冬でも地獄谷駐車場に行くことができるのでした。ミニバスは予約制で前日から渋温泉にある窓口でチケット販売を開始しますが、電話での予約は利用当日のみの受付とのことだったので、スーパーあずさに乗車中に電話して予約することができました。小さい子供連れなので歩く時間を半分以下にできるのは大変ありがたいことですが、残念ながら2020年以降はこのミニバスは運行されていないようです。

スノーモンキー観にバスはミニバスと言ってもただの9人乗りのバンでした。往復運賃と野猿公苑の入園料が入って2000円ほどの料金だったかと思います。基本的に往路と復路の行程がセットになった往復利用のコースが1日に5往復半が設定されており、最後の便だけ復路の設定がないので、地獄谷の一軒宿である後楽館に宿泊するか、上林温泉まで歩いて降りるかするほかありません。
乗車したバンは湯田中駅を出て渋温泉駐車場を経由し、温泉街のはずれから通行止めチェーンを外して細い山道を進んで行きます。行き違いも難しそうな非常に狭い道なので、確かに雪のある冬季ではすれ違いも困難で危険も多いであろうことが容易に想像でき、通行止めになるのも納得です。いまはこの道はこのミニバスしか走らないので対向車の心配をする必要もなく快調に走り、湯田中から25分ほどで雪に覆われた地獄谷駐車場に到着しました。帰りの便の出発は1時間25分後、それまでに野猿公苑を往復してここに戻ってこなければなりません。

地獄谷駐車場から野猿公苑を目指し、横湯川に沿った登山道のような山道を歩き始めました。細く急だったり、ぬかるんだりしている部分もあり、子供を抱っこして足元に気をつけながら注意深くゆっくりと歩きます。
やがて地獄谷温泉にある一軒宿、後楽館が見えてきましたが、この旅館こそがサルが温泉に入るきっかけとなったところだそうで、ここで餌付けしていた餌のリンゴが露天風呂に落ちたのを追って子ザルが露天風呂に入ったことが始まりとなり、やがて多くのサルが露天風呂に入りに来るようになったとのこと。その後近くに野猿公苑が開設されサル用の露天風呂もつくられ、ここに多くのサルが入浴しに来ているわけですが、後楽館の露天風呂にやってくるサルも時々いるようで、そのときは人間がサルと一緒に入浴することができるようです。
後楽館の前の橋で対岸に渡ると上林温泉からの徒歩ルートと合流したようで、通行人の数が多くなりました。川を見下ろす緩やかな登り坂を進んで行くと山肌を登る急な坂が現れ、それを登ったところが野猿公苑の入口でした。

たくさんのギャラリーの視線を浴びて入浴するサルたち

野猿公苑に入ると、道の先の渓流沿いの一段高くなったところにたくさんの人が集まっているのが見えます。ここがサルの露天風呂に違いありません。

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湯舟のまわりを取り囲む観光客はやはり外国の方が多いです。決してアクセスが良いとは言えないここまでサルを見るためだけに訪れてくれるとは、スノーモンキーの世界規模の人気に驚きます。
ギャラリーに囲まれ、多くの視線を浴びながらも、サルたちは我関せずと風呂に入っています。この状況でも平常心で風呂に入れるとは、なかなか肝の据わったサルたちです。 飲泉の効能を知ってか知らずか、温泉を飲むサルもいました。

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一点を見つめ無心に風呂に浸かるサルは、いったい何を思っているのでしょうか。

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風呂に浸かるサルは群れのおよそ3割ほど、子供とメスのサルばかりだそうです。我が家では温泉に行くと大人のオスがいちばん長風呂ですが。

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いつまでも見ていても飽きないサルたちですが、帰りのミニバスの時間もあるのでほどほどで切り上げ、来た道を地獄谷駐車場まで戻ります。 サルの入浴を見て、こちらもはやく温泉に入りたくなってきました。

地獄谷野猿公苑|ようこそ、ニホンザルの世界へ (jigokudani-yaenkoen.co.jp)

湯田中温泉で素敵な温泉を堪能する一夜 

この日の宿は湯田中温泉よろづやさんを予約しました。湯田中温泉は1350年前の開湯と言われ大変歴史のある温泉場で多くのホテルや旅館がありますが、よろづやは重厚な湯屋の桃山風呂が魅力のお宿です。

湯田中温泉 よろづや【公式】 (yudanaka-yoroduya.com)

貸切風呂もあったので家族で利用させて頂きましたが、広い湯舟に浮き輪も備えられており、子供も大はしゃぎで楽しく入浴できました。
また、よろづやの隣には共同浴場の大湯があり、宿のフロントにお願いすると鍵を貸していただけるので、こちらも入りに行ってみました。小さいながらも歴史を感じる湯屋で、誰もいない湯舟の熱いお湯に浸かるのは幸せなひとときです。

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夜も更けてきたころ、待望の桃山風呂に入りに行きました。登録文化財の重厚な湯屋は充満する湯気でほとんど見えずでしたが、湯屋を出て露天風呂に入ると目の前には存在感のある湯屋が鎮座してたいへん風情があり、露天風呂と桃山風呂、そして併設されている蒸し風呂を行ったり来たりして、至福の入浴タイムを過ごさせて頂きました。

桃山風呂|湯田中温泉 よろづや【公式】|登録文化財 桃山風呂を堪能し松籟荘に泊まる老舗温泉旅館 (yudanaka-yoroduya.com)

温泉アクセスの役割はそのままに転身した小田急ロマンスカー

翌日の帰路、湯田中からから長野まで乗車したのは特急ゆけむり。温泉らしい名称のこの特急はかつての小田急ロマンスカーで、最大の特徴である前面展望席も健在です。
小田急時代は箱根への温泉の足として活躍していましたが、ここでもまた温泉アクセスの列車として第2の人生を過ごしています。

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この列車は展望席も含め全席自由席なので、改札が始まる前から並んで、展望席に座ることができました。

雪に覆われたリンゴ畑の間を縫って走ります。先頭部では正義の味方が安全を確認。

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途中の信濃竹原で対向列車との行き違いのため少々停車しました。小田急時代は11両編成でしたが、いまは4両に短縮されています。先頭部以外は床が少し高いハイデッカー構造になっているので見晴らしがいいですが、このハイデッカー構造が災いし、バリアフリー化が難しいことから小田急では比較的早く第一線を退きました。長野では小田急ほどの乗客数ではないためか、床が低い展望席部分をバリアフリー対応にしています。

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やってきた対向列車はスノーモンキー。昨日乗った編成とは少し塗装が違い、こちらのほうが成田エクスプレス時代の面影を色濃く残す塗装になっています。
なお、ゆけむりやスノーモンキーという呼び名は列車の名前ではなく車両の愛称で、元ロマンスカーのゆけむりが2本、元成田エクスプレススノーモンキーが2本、計4本の編成が特急の運用に就いています。

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湯田中からは下り勾配が続いていましたが信州中野を過ぎると比較的平坦になり、雪もだんだんとなくなっていきました。すれ違う列車は元地下鉄日比谷線の車両や元東急田園都市線の車両。東京で生まれ育った人にとっては懐かしの車両たちに会うことができるのも長野電鉄の魅力のひとつです。

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快適生活サポート事業グループ ながでんグループ (nagaden-net.co.jp)

懐かしの電車たちに出会いながら、野生のサルの入浴を見て、人間もしっかり温泉を堪能した冬の1泊2日温泉旅行は、大人も子供も楽しい、充実した旅になりました。


2018年1月 

冬の釧路湿原と野生動物を車窓から SL冬の湿原号の旅 【標茶~釧路/北海道】(2019年)

冬はやっぱり雪が見たい、と出かけた1泊2日北海道旅行。
土曜日に飛行機で北海道入りしましたが、利用した羽田から根室中標津へのフライトは羽田12:15発 根室中標津13:55着の1日1便だけ。朝はゆっくりできますが、北海道に着いてからのその日の行動は限られてしまいます。根室中標津空港に到着してから近くの道立ゆめの森公園で少し遊び(空港からタクシーで5分の近さ、入場無料ながら小さい子供がかなり楽しめる、とても充実した施設でした)、予約制のひがし北海道エクスプレスバスの乗り合いバンで川湯温泉のホテルへ。ここは豊富な湯量と泉質に定評のある白濁の温泉ですが、酸性の湯なので幼児の肌に刺激が強すぎはしないか少々心配もありました。しかし結果としてわが子は湯舟に浸かっても全く問題なく、また上がり湯用に温泉ではない普通のお湯が張られた湯舟も用意されているという有難い配慮もあり、子供と一緒に雪の見える露天風呂で楽しく入浴することができました。

明けて日曜日、川湯温泉からバスに乗り屈斜路湖の浜辺で、朝の湖に憩う白鳥を手に触れるほどの近さで観察。この辺りは砂湯といって浜の砂を掘ると温泉が湧き出るところで、あたたかい砂浜に雪はなく、結氷している湖面も波打ち際近くだけには氷がありません。f:id:nikonikotrain:20190217092317j:plain

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白鳥を見た後はふたたびバスに乗り摩周駅へ行き、摩周からはJR釧網本線(せんもうほんせん)のルパン三世のラッピング列車(作者が釧路近くの浜中町のご出身だそうです)で再び川湯温泉に戻り、足湯に入ったり、雪の中での乗馬を楽しんだりした後、川湯温泉を11:56に出る釧路行き普通列車に乗って標茶(しべちゃ)に向かいます。2両編成の列車は観光客で満員で、とうとう12:39に標茶に着くまで座ることはできませんでした。標茶からはこの旅行の最大の目的である、SL冬の湿原号に乗車します。

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JR釧網本線と観光列車

JR釧網本線(せんもうほんせん)は網走から東釧路までを結ぶ全長166.2kmの路線です。沿線には知床や屈斜路湖摩周湖などの観光地の玄関となる駅があるほか、網走側にはオホーツク海に沿って走り、冬には流氷も見られる区間があったり、釧路側ではラムサール条約に登録されている日本最大の湿原、釧路湿原の中を走る区間があったり、沿線観光地や車窓の美しさにも恵まれています。とはいえ大幅な赤字を抱えており、2016年にJR北海道が発表した「当社単独では維持することが困難な線区」の1つに挙げられていて、2018年実績の管理費を含んだ営業係数は603、つまり、100円稼ぐために603円のコストがかかっているという状況です。

そのような赤字路線ではありますが、車窓から雄大な自然が楽しめるという利点を生かしていくつかの観光列車が運転されていて、釧路側の釧路湿原を走る区間では「くしろ湿原ノロッコ号」というトロッコ列車の運転が1989年から、冬にはその車両を使って網走側のオホーツク海沿い区間で車窓から流氷が眺められる「流氷ノロッコ号」の運転が1990年から始まりました。(ノロッコとは、ゆっくり走るトロッコ列車というような意味でしょう。冬季はトロッコ車には窓がはめられて運転されます)
ノロッコ号用のトロッコ車両は冬の間は網走側に行ってしまうので、その埋め合わせをということかどうかはわかりませんが、2000年からは冬の釧路側でも、釧路湿原観光列車として「SL冬の湿原号」の運転が始まりました。
その後、冬の間に除雪列車用の機関車が老朽化のため使用できなくなってしまったことを受け、流氷ノロッコ号をけん引している機関車を除雪用に使うことになりました。それにより機関車が不足し、流氷ノロッコ号の運転ができなくなったため、流氷ノロッコ号は2017年よりディーゼル車の「流氷物語号」に生まれ変わりましたが、釧路湿原観光の列車、くしろ湿原ノロッコ号とSL冬の湿原号は現在も変わらず運転されています。列車に乗りながらにして流氷観光と湿原観光ができることは釧網本線の大きな魅力であり、その観光のための列車は長きにわたって運転されていて、観光客の人気を集めていることをうかがい知ることができます。

SL冬の湿原号の指定席券を買う

SL冬の湿原号は、例年2月を中心に運転されており、2019年は1/26,27,2/1-12,15-17,21-24 の計21日の運転がありました。運転区間は釧路~標茶(しべちゃ)の48.1㎞、午前中に釧路を出て夕方釧路に戻る1日1往復で、所要時間は標茶行きが1時間30分、釧路行きが1時間40分。客車5両をC11型機関車が牽引するフォーメーションで、釧路から標茶に向かう列車では機関車が前向きに連結されますが、標茶から釧路へ戻る列車では機関車が後ろ向きに連結されて客車を引っ張るのがユニークなところ。全席指定なので乗車するには乗車券のほか、指定席券が必要です。2019年当時は釧路~標茶の片道大人1人の乗車券が ¥1,070、指定席券が¥820(子供運賃、料金はそれぞれ大人の半額)でしたが、現在は少々値上がりしています。なお、 SL冬の湿原号の指定席券はJR東日本のネット予約、えきねっとでも取り扱っており、家にいながらにして予約できるので大変便利です。(その後えきねっと取り扱い駅で切符の引き取りが必要)

SL冬の湿原号に乗ろうと決め空席状況を見てみると、こういう臨時列車ではよくあることですが、釧路から標茶に行く朝の列車のほうが混雑していて、乗りたい日程の土曜日の釧路発はすでに満席でした。そこで日曜午後の釧路行きの空席を見てみるとまだ余裕があったので、こちらを予約することに。子供2人は未就学児なので大人と一緒であれば無料で乗車できますが、その場合座席を確保することはできず、大人のひざの上か、キツキツに詰めて隙間に座らせなければなりません。座席は4人掛けのボックス席なので、全席指定のこの列車では他の乗客の方と同じボックスに相席になる可能性もあり、そうすると非常に狭苦しいことになるので、ここは子供2人分も子供の指定席券を買って家族4人で1ボックスを使用することにしました。なお、未就学児が指定席を利用する場合、子供の指定席券だけでなく子供の乗車券も購入する必要があります。

標茶駅でSLとご対面

 普通列車標茶で降りると、線路の向こう側のホームにSL冬の湿原号が停車していました。私たちが乗った普通列車が到着する4分前に到着した、釧路発の列車です。向こうのホームもこちらのホームも、SLを撮影する人たちで賑わっていました。10分ほど経つと列車はSLが後ろから押す形で釧路方面に向かって走り出し、駅の入り口のポイントを過ぎたところで向きを変え、SLが先頭になって、今度はこちらのホームに入って来ました。

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目の前に入ってきた客車に取り付けられたサボ(行先などが書かれた看板)を見ると鶴があしらわれた素敵なデザインのものでした。驚いたことに年まで書かれているので、これは今年限定のものということなのだと思います。これはリピーターにとっても毎年乗る楽しみのひとつとなりそう。

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列車の入れ替えを見た後は跨線橋を渡っていったん改札口を出て駅の待合室へ。いまは13時、SLの出発は14時、あとちょうど1時間の待ちですが、おなかがすいたと主張する子供たちに、SL列車に乗ったらお弁当を食べようね、と言ったところで収まるはずもなく、ちょうど駅前にセブンイレブンがあったので軽食を買い、おなかを満たします。

SL冬の湿原号に乗車

13時40分ごろにSL冬の湿原号釧路行きの改札が始まり、ふたたびホームへ。すでに機関車は釧路寄りに付け替えられていますが、進行方向にお尻を向けた形で客車に連結されています。SLの向きを変えるにはSLを乗せてぐるりと回転する転車台という設備が必要ですが、限られた期間しか運転されないSLのためだけに転車台を整備するのも難しいのでしょう。ただ、この逆向きの連結は非常に印象的で面白く、この姿を見られるなら、むしろ転車台がなくてよかったとすら思えます。

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白い大地に黒いSL、これこそ冬の北海道のSL列車!f:id:nikonikotrain:20190217134437j:plain

客車内にはダルマストーブ

 客車内は2人掛けシートが向かい合った4人掛けのボックスシートで、各ボックスには大きなテーブルが備え付けてあります。私たちのボックスの通路を挟んだ向かい側には座席はなく、その代わりに石炭炊きのダルマストーブがありました。シベリア鉄道では万一の停電や機械の故障があったりするとあまりの寒さに命の危険すらあるので、機械式のストーブではなく、電気がなくても使用できて安心な、アナログの石炭ストーブを使用していると聞いたことがありますが、このダルマストーブもシベリア鉄道のように極寒地ゆえのフェイルセーフのためでしょうか? 
車内販売でスルメを買えばこのストーブの上で炙って食べることができます。f:id:nikonikotrain:20190217134840j:plain

人気駅弁、摩周の豚丼を食べる

さきほど駅で待つ間に小腹は満たしましたが、SLに乗ったらお弁当を食べようね、のフレーズは子供たちの耳に残っていたようで、乗車するとさっそく「お弁当が食べたい」と言い出しました。座席の前にある大きなテーブルで紐を解くのは人気駅弁「摩周の豚丼」。これはさきほど標茶に来る普通列車に乗車中、途中の摩周駅で仕入れたものです。摩周駅での停車時間はわずかでしたが、事前に電話予約すれば乗車している列車のドアのところまでお弁当を届けてくださるサービスを行っているので、川湯温泉駅で普通列車に乗車するときに摩周駅の駅弁屋さんに電話して頼んでおいたのでした。おつりのないように用意したお金を握りしめ、摩周駅でいったんホームに降りて受け取ったお弁当はできたてで温かく、今すぐ食べたいという衝動にかられましたがなんとか我慢し、こうしてSL列車の中で名物駅弁を食べるという旅らしいイベントをすることができました。
待ちに待った摩周の豚丼を食べてみると、さめてもやわらかい、香ばしく焼かれた豚肉に甘辛ダレが絡み、ご飯が進む、大変おいしいお弁当です。甘辛は子供が大好きな味付け、ふりかかっているコショウをよけつつ、子供たちも旺盛な食欲を見せています。

お弁当を食べていると汽笛がなり、列車はゆっくりと標茶を出発しました。

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駅に着くと雪原に戯れるタンチョウが目の前に 

標茶から20分少々で最初の停車駅、茅沼に着きます。ここはタンチョウが集まる駅として有名で、右側の車窓には雪原に遊ぶタンチョウたちの姿が間近に見えました。
もともとは駅の職員の方が餌付けをしたのが始まりだそうで、駅が無人化した現在は、地元の方が餌をやっているようです。餌付けしているとはいえ、これだけたくさんの野生の鶴を列車の窓から見ることができるというのは貴重な体験です。子供も楽しそうに鶴を眺めています。 

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タンチョウたちに別れを告げて茅沼を出発。原野や林のなかを進んで行きます。 

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客車の最前部に行くと、貫通扉の窓からこちらに顔を向けたSLが煙を吐きながら上に下にゆれているのが見えました。走っているSLの顔を正面から観察できるのも、SLが逆向きに連結されているこの列車ならでは。

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野生のシカも見えた!釧路湿原の中を走る

茅沼の次の塘路では反対列車との行き違いのためおよそ10分ほどの停車時間がありました。構内の踏切を渡って反対ホームに行くと列車の頭からお尻までが見渡せ、カメラを持ったたくさんの人たちがここで写真を撮っています。広々とした感じの北海道らしいローカル駅で、遠くに来たなあという気分になります。

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黒いSLに赤いヘッドマークが映えます。背景の冬の原野も北海道らしいもの。

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 塘路を出て、釧路川に沿って釧路湿原の中を走ります。釧路川は今朝訪れた屈斜路湖を源とする川で、摩周のあたりから車窓の友として姿を見せたり隠れたりしています。SL冬の湿原号は終着釧路の少し手前でこの川を渡りますが、それまではずっと進行右側に流れているので、釧路行きに乗る場合は右側の席をとったほうが川がよく見えます。この川ではカヌーもできるそうなので、ぜひ今度はカヌーを漕ぎに来てみたいものです。

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f:id:nikonikotrain:20190217150611j:plain川を眺めていたら、向こう岸に野生のシカの群れが!しばらく行くとまた別の群れを見ることができました。タンチョウにシカ、SL冬の湿原号は野生動物を探す楽しみ、見る楽しみがある列車です。f:id:nikonikotrain:20190217150635j:plain

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 やがて湿原を抜け徐々に家並みが増えて行き釧路の市街地に入ります。最後の停車駅、東釧路釧網本線の終点ですが、あくまでもそれは線路の戸籍の話であり、すべての列車はここで合流する根室本線に乗り入れてターミナルの釧路駅に直通します。塘路のあたりから東釧路の手前までは釧路町という自治体、その先が釧路市という自治体になりますが、おなじ名前の町と市が別にあり、しかもそれが隣り合って存在しているとは、なかなか紛らわしいことだと思います。
すっかり街中の川らしくなり川幅も広がった釧路川を渡ると15:40、終点の釧路に到着。標茶から1時間40分のSLの旅も終了です。この列車にはカフェカーも連結されていたので、そこでコーヒーでも飲もうかとも思っていたのですが、移り変わる車窓に釘付けになっているうちにすっかりそんなことも忘れ、訪れる機会を逸してしまいました。。
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車庫に向けて引き上げて行くSL冬の湿原号をお見送り。日も落ちて、ホームには冷たい風が吹きつけています。

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野生動物と自然の景観、白い雪原を進む黒いSL、この時期にここに来たからこそ見られる美しい車窓が魅力のSL冬の湿原号の旅は、旅行の素晴らしい思い出となりました。

SL冬の湿原号
SL冬の湿原号|JR北海道- Hokkaido Railway Company

 

帰りの飛行機で頂いたキャンディーの詰め合わせ。CAさん手描きのこの顔、これだけで子供のテンションも大いに上がり、最後まで楽しい旅にしていただけたことに感謝です。

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2019年2月

新旧ドバイの街の表情を楽しむ船旅 ドバイ一周水上観光 【ドバイ/UAE】(2019年)

ドバイ滞在中にとれた1日半のオフ、金曜は夕暮れのアブラ乗船、オールドスーク散歩を楽しみましたが、アブラの船旅があまりに楽しすぎたので、まる1日時間が取れる翌土曜日も船旅を楽しむことに決定。港のターミナルの航路図を見ると、残念ながらクリークを一周する航路はありませんが、何本かの航路を乗り継げばクリークの4分の3くらいは辿れそうです。さらに外海を走るフェリーを組み合わせれば、水の上からドバイのさまざまな表情を眺められるのではないかと思います。 f:id:nikonikotrain:20201230234215j:plain 港の案内所に行くと折り畳み式の紙の案内図がもらえ、それには運航間隔などの情報も載っていたので、ホテルでじっくり眺めてプランを練ることにしました。スマホでweb を見ながらだと、あっちのページを開いたり、こっちのページに戻ったりと操作が面倒ですが、全体像を眺めつつ裏返してそれぞれの航路の情報をすぐにみられる紙の案内図は重宝します。特に便数が少ない航路があればそれを中心に全体の予定を作らねばなりませんが、1日3往復しかないAl Ghubaiba から Dubai Marina のフェリー路線と、同じく1日3往復のAlwajeha Al MaeyahからAl Jaddafの路線の時刻から、必然的にプランが決定しました。

アブラを乗り継ぎドバイクリークを辿る

明けて翌日、旧市街のAl Seefという船着き場からドバイ一周水上観光をスタート。ここからCR6、CR3、CR2、CR4と乗り継いでドバイクリークをジグザクに海のほうへ向かい、Al Ghubaiba を13:00 に出る Dubai Marina 行きのフェリーに乗るというのが今日のプランです。f:id:nikonikotrain:20210104233228j:plain

Al Seef からAl Ghubaiba までのアブラの細かな出航時間は案内図には記載されていませんが、どの航路もおおよそ15分~30分おきに運航されているようなので、11:00 にAl Seef を出れば大丈夫だろうという目論見でホテルを出発。ホテルからAl Seef までは歩いて30分ほど、ちょうど11時頃に到着すると幸いなことにすぐに出航する便があったので急いでチケットを購入し乗船しました。

Alseef => Baniyas / CR6

CR6系統 に使われているのは昨日乗ったアブラとは違って近代的な、20人乗りのボートでした。 Baniyasまでの運賃はAED2。

Al Seef の桟橋に停泊するCR6系統のアブラ。f:id:nikonikotrain:20201230234217j:plain

 Al Seef 桟橋から右を見ると近代的でスタイリッシュな建物が並んでいます。f:id:nikonikotrain:20201230234218j:plain

振り返って左を見ればトラディショナルな感じの建物。f:id:nikonikotrain:20190921110416j:plain

どうやらこのAl Seef は、クリークに沿って過去と未来の街並みが並ぶ、絶好のお散歩スポットのよう。もう少し早くホテルを出て、ここでの散歩時間を取るべきだったと後悔しました。乗るアブラを1便遅らせることも頭をよぎりましたが、もう出航時間が目前に迫っていますし、この先の乗り継ぎや乗船時間が予想外にかかってAl Ghubaiba 13:00発の船に乗れなくなってしまっては今日のプランも破綻してしまうので、少しでも早く先に進んでおきたいところ、ここは涙を飲んで先を目指すことにします。 f:id:nikonikotrain:20190921110355j:plain

ロレックスのツインタワーが印象的な対岸の風景。空にはドバイ国際空港を飛び立った飛行機が。空港はクリークから近く、クリークにいると離着陸する飛行機を目にする機会が多いです。

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CR6系統の目的地Baniyasの船着き場は、Al Seef からまっすぐ対岸に渡ったところにあり、あっという間に到着しました。乗ってきたボートが折り返しAl Seef に向けて戻っていきますが、お客さんは誰もいません。Al Seef の街並みの向こうに、額縁を模した展望台ドバイフレームと、その右にうっすら、世界一の高層ビル、ブルジュハリファが見えます。f:id:nikonikotrain:20190921111457j:plain

Baniyas ==> Dubai Old Souq / CR3

Baniyas で20分ほど待ち、第2ランナー CR3系統のアブラに乗船。
さきほどと同じタイプの20人乗りアブラで、運賃はAED2.f:id:nikonikotrain:20201230234222j:plain

左側には先ほども見えたAl Seefの古い街並み、右側はRolexのツインタワーを始めとするビル群。

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やはり左側の古い街並みに心惹かれます。次にドバイに来るときは、ぜひここをゆっくり歩いてみたい。f:id:nikonikotrain:20201230234220j:plainf:id:nikonikotrain:20190921113418j:plain

すれ違ったこの船は漁船でしょうか。f:id:nikonikotrain:20190921113545j:plainビルが立ち並んでいた右岸も背の低い建物になり、水面を滑るトラディショナルなアブラの姿も目にするようになりました。
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Baniyasから10分ほどで目的地のDubai Old Souq に到着。昨日の夜も来たところですが、昼間の景色はイメージがぜんぜん違いました。f:id:nikonikotrain:20190921113908j:plain

Dubai Old Souq==> Al Sabkha ==> Dubai Old Souq / CR2

Dubai Old Souq から乗ったCR2系統は木造の古いタイプのアブラで、運賃はAED1。
CR1とCR2 の2系統が古いアブラが使われている系統で、運賃もAED1と安く設定されているようです。
水面を縦横無尽に走る木造アブラはドバイの庶民的な日常風景。

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外向きの座席なので自分の足のつま先のすぐ向こうに水面があり、スピードが上がってくると初めは少し怖くも感じますがすぐ慣れます。木造アブラは近代的アブラより解放感と爽快感が段違いで、本当に乗っていて楽しい乗り物だと思います。f:id:nikonikotrain:20190921114938j:plain

到着したAl Sabkha からはCR4系統のアブラに乗れば、次に乗るドバイフェリーが出発するAl Ghubaihbaに行くことができます。案内所でCR4の乗り場はどこか尋ねると、CR4は運航していない、とのこと。今日だけ運休なのか、それとも廃止されたのかと聞いてみると、一瞬間があって、廃止された、との回答でしたが、回答までの一瞬の間が情報の信憑性に少々の疑問を感じさせたものの、とにかく今乗れないということには変わりがないので、いま乗ってきたCR2のアブラでDubai Old Souq に戻ることにしました。

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ドバイ国際空港を離陸した飛行機が飛んで行きます。さすが世界を代表するハブ空港、結構な頻度で飛行機を見かけますが、肉眼でも尾翼のマークが判別できるほど近いところを飛んでいるので、飛行機からも旧市街とクリークの景色がよく見えることでしょう。

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Dubai Old Souq に着いたのは12時を少し過ぎた頃。ここからAl Ghubaiba までは歩いて10分とかからない距離なので、13時発のフェリーには余裕で間に合いそうです。
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リゾートホテルに高層ビル ドバイらしい海の景色を見るならドバイフェリー

Al Ghubaiba Ferry Station ===> Dubai Marina Mall Ferry Station  (FR1)

Al GhubaibaからはドバイフェリーでDubai Marina Mallへ。このルートは所要1時間40分、AED50(シルバークラス)or AED70(ゴールドクラス)で11:00、13:00、18:30の1日3便の運航ですので、今から乗る11:00発が本日の初便ということになります。

Al Gubaiba から海寄りの岸辺は、きれいに整備された散歩道が続いていました。

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チケット売場でマリーナまでのシルバークラスのチケットを買いゲートで待っていると、出発時刻が近くなり改札が始まり乗船開始です。このフェリーターミナルからはマリーナ行きのほかにドバイの隣の首長国であるシャルジャにある水族館行きのフェリーも出ていて、こちらはマリーナ行きよりも頻度が高く、金曜以外は朝晩が30分間隔、日中9:00-16:00 が90分間隔の運航とのこと。9:00-16:00 は7時間で、90分で割れないところが気になりますが、ともあれ、シャルジャまでは35分ほどの船旅だそうです。

ドバイフェリーはエアコン、トイレ付きの旅客専用船で、後部にはオープンデッキがあり風を浴びることもできるようになっていました。f:id:nikonikotrain:20190921125417j:plain

霞の向こうにブルジュハリファ

Al Ghubaiba を出航すると岸辺の茶色い古そうな建物群を見ながら海を目指してクリークを進んで行きます。このあたりはアル・シンダガというドバイの歴史地区の1つで、地図を見ると歴史博物館や香水博物館、ラクダ博物館など、小さな博物館や美術館などが並ぶスポットのようです。建物は古そうなデザインですが汚れもなくきれいな状態に見えるのでもしかすると古いデザインで新しく建てられたものかもしれませんが、時代を感じさせる魅力的な街並みに、ゆっくり散歩してみたいという気持ちになります。

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アル・シンダガの街並みが終わるとクレーンが立ち並び開発が進められているエリアを抜けて外海に出ます。しばらく走ると、霞の向こうに高層ビル群と周囲のビルの倍以上の高さにそびえるブルジュハリファが見えてきました。ブルジュハリファは高さ828m、言わずと知れた世界一の高層ビルですが、遠目に見てもその抜きんでた桁違いの高さには驚かされます。

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Al Ghubaiba からおよそ50分ほどでこの系統のフェリーの唯一の寄港地、Dubai Canal の船着き場に到着します。ここは人工の運河であるDubai Canalが海に出るポイントで、Canalを通ってくるWater Bus DC1系統との乗り換えができます。ちょうど 13:55 に到着するDC1系統がありましたが、あいにく今日はこちらに乗り換えてくるお客さんはいないようでした。

Dubai Canal から再び海に出てDubai Marina を目指します。ここまでは比較的見どころの少ない船窓風景でしたが、地図を見るとここから先はドバイらしいの海辺の眺めが広がりそうで楽しみです。

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個性的な建築の有名リゾートホテルを海上から

しばらくするとまず見えてきたのが、アラブの伝統的な船である「ダウ船」の帆を模した形のホテル、ブルジュ・アル・アラブ。船の帆がモチーフなだけあって、海から眺めた景色にとても映えます。船が進むにつれて見える角度が変わり、同じビルでありながらいろいろな表情が見られます。

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ブルジュ・アル・アラブを過ぎると、海岸線から海に突き出た人工島、パームジュメイラに沿って沖合に針路をとるので、左舷に見えていたブルジュ・アル・アラブが後方に過ぎ去ります。

そして見えてきた、きっと豪華なホテルになるのであろう建設中の建物。f:id:nikonikotrain:20190921142734j:plainそれを過ぎると、古代文明アトランティスをテーマにしたホテル、アトランティス・ザ・パーム。

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そしてホテルとかレジデンスとか(と思われる)、パームジュメイラのオーシャンビューの一等地に経つ建物の数々。f:id:nikonikotrain:20190921143418j:plainf:id:nikonikotrain:20190921143533j:plainf:id:nikonikotrain:20190921143632j:plain

ドバイマリーナは摩天楼に抱かれて

パームジュメイラに沿ってぐるりと回ると、前方に高層ビル群が見えてきました。

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徐々にそのビル群が近づいてくると、その手前に何やら大きな輪っかが。これはまだゴンドラもついていない建設中の観覧車で、世界一の高さになるそう。f:id:nikonikotrain:20190921144548j:plain船はスピードを落として圧倒的な存在感の摩天楼に近づいていきます。マリーナというのでヨットハーバーのようなところを想像していましたが、どうやらこの高層ビルが建ち並ぶエリアがドバイマリーナのようです。f:id:nikonikotrain:20190921144638j:plain

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ビルの谷間の運河をスピードを落としてしずしずと進み、船は終点のDubai Maina Station に到着しました。この船は折り返し15時発のAl Ghubaiba行きになりますが到着したのは14時50分ごろ。乗客を入れ替え、あわただしく折り返して行きました。

それにしても、あたりはものすごい高層ビル群で、まさにビルの谷間という言葉がぴったりの場所です。

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フェリーを降りて運河を見ていると、・・・!? 運河の上を人が飛んで行きました。f:id:nikonikotrain:20190921150729j:plain

よく見れば運河の上にワイヤーが渡されており、ビルの中腹からジップラインで滑走できるようになっているようです。高層ビルに囲まれた運河の上を滑り下りるとは面白そう!時間があればやってみたかった・・・。

少し歩くと、クルーザーの停泊する、マリーナという名前からイメージするマリーナらしいところが。f:id:nikonikotrain:20190921151412j:plain

中継ぎのドバイメトロ

 DMCC ===> Business Bay  (ドバイメトロ レッドライン)
マリーナからは歩いてメトロのDMCC駅へ。ドバイメトロは三菱商事大林組など日本企業が中心となったジョイントベンチャーにより建設された鉄道です。駅はどこも金色のスタイリッシュな屋根で覆われていてホームも冷房完備、快適に利用できます。
近代的なビルをバックに走る5両編成のメトロはドバイの発展を象徴する風景のひとつだと思います。この車両は日本の近畿車輛で製造されたもので、日本人としては異国で活躍する同郷の同士にエールを送りたくなります。
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マリーナからDMCCまでは徒歩10分少々で着きましたが、午後の暑い日差しの中を歩いたことに加え、フェリーでは景色の移り変わりが楽しくて後半はほぼデッキで立ちっぱなしだったことが影響してか、駅に着いたときには疲労を感じるようになっていました。やってきた電車に乗り込み、冷房の効いた快適な車内で窓の外の景色を眺めているとこのまま降りたくなくなってきましたが、目的のBusiness Bay に着くと何とか重い腰を上げることができました。 
Business Bay の駅から目指すのは Sheikh Zayed Road という船着き場。メトロに沿って広い道路を歩きます。少し進むと道路沿いのビルの上に頭を覗かせるブルジュハリファが見えました。

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疲労を感じる体にムチを入れて、16時を過ぎてなお暑い道路を歩くことおよそ15分、たどり着いた船着き場はギラギラと西日が照りつける工事現場の片隅のようなところでした。ちょうど手持ちの水がなくなり、船着き場の売店ででも買えるだろうと思っていましたが売店などはなく、ただチケット売り場とベンチがあるだけのところでガックリです。船の時間がわからなかったので聞いてみようとチケット売り場を覗くと、中では係のおじさんが椅子に座って昼寝の最中でした。

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人工の運河からクリークの自然を感じるエリアへ

Sheikh Zayed Road  => Alwajeha Al Maeyah / DC2

幸い10分ほどの待ち時間で1艘のボートがやってきて、これがここで折り返すDC2系統でした。ボートは朝乗った近代的アブラと同じタイプで、家族連れが1組乗っていましたが、彼らも観光なのか、下船せずそのまま折り返して乗っていくようです。
DC2系統は途中1か所の寄港がありますが、1区間 AED2, 2区間 AED4 の運賃。f:id:nikonikotrain:20190921163435j:plain

Sheikh Zayed Road を出航してドバイ運河を奥に進んで行きます。天然の入り江であるドバイクリークが海からJの字状に内陸部に入り込んでいた先の部分から、再び海までつなげてUの字状の水路にするために掘られたのがドバイ運河で、運河が海に出るところに先ほどフェリーで通ったDubai Canal の船着き場があります。
これから目指すのはクリークの奥にある Creek / Al Jaddaf で、いま乗っているDC2 系統の終点でDC1 系統に乗り継ぐ必要がありますが、このDC1系統はいま出発した Sheikh Zayed Road を通るばかりか、ここを16:33に出る Dubai Canal 行きに乗って Dubai Canal から折り返せば、その折り返し便こそこれから乗り継ぐ予定の便なので、運河を全区間乗ることができ、より長く水上観光が楽しめます。当初はそのスケジュールを考えていたのですが、 さきほどフェリーでDubai Canal に着いたときに見かけたDC1系統の船はデッキなしのオール屋内タイプの船で、船旅は風を感じたいと思う私としてはこの船を敬遠したのでした。f:id:nikonikotrain:20210104231527j:plain

高層ビルを見ながら運河を滑りだすと、さきほどまで感じていた疲れが吹き飛ぶ気持ちよさです。やはりオープンタイプの船を選んでよかった!

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ドバイメトロと高速道路の下をくぐると、奇抜なデザインのビルが建ち並んでいます。この運河を中心としたこのあたりはビジネスベイと呼ばれるエリアで、新たなビジネス街が建設されているそうです。 

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 やがて水面も広くなり、岸辺のビル群が遠ざかって解放感を感じます。ブルジュハリファも良く見えるようになってきました。

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およそ10分で寄港地のMarasiに到着。 ここで同乗の家族連れが降りて行き、乗客は私ひとりになりました。振り返ればビジネスベイの摩天楼のシルエット。

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ここでしばし時間調整があったので、若い船頭さんと少し話をしました。「このDC2の終点からDC1に乗り継ぐんだけど、DC1の船は屋内型だから面白くないので、途中までオープンタイプのボートのこのDC2に乗ることにしたんだ、やっぱり風を浴びて乗るのは気持ちいいね」と言ったところ、船頭さんは「お客さん、わかってますねー!」とばかりに嬉しそうに満面の笑みを浮かべて握手を求めてきて、この船に乗ってよかったな、とこちらも嬉しくなりました。

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やがて出発時間となり、ふたたび幅の狭まった水路を進んで行きます。岸辺にはナナメなビルが見えます。倒れやしないかと不思議に思いましたが、船が少し進んでビルの見える角度が変わると、逆光で見えづらいものの、後ろに垂直の構造物らしきものがあるのが見えました。

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寄港地のMarasiの船着き場からおよそ10分で、DC2の終点のAlwajeha Al Maeyah に到着しました。あたりに何もなかった始発のSheikh Zayed Roadとは違い、船着き場の目の前はオフィスビルで、その地上階にカフェもあり飲み物を買うことができました。

Alwajeha Al Maeyah  => Creek / Al Jaddaf  / DC1

待つこと10分ほど、最終ランナーのDC1系統の船がやってきました。DC1は1日各方向3便ずつの運航で、これから乗る17:27発の便はAl Jaddaf行きの2便目にあたりますが、明るいうちに景色を楽しもうと思ったらこの便までに乗らなければなりません。ボートはやはり、箱形の屋内タイプのもの。ずんぐりとした外見で、水面を進む姿もどことなく不器用な感じに見えます。
この船は始発のDubai Canalを16:50に出て、途中さきほど私がDC2系統のボートに乗ったSheikh Zayed Road に寄港しここAl Jaddaf が2か所目の寄港地ですが、乗船してみると乗客は誰もおらず、出航までしばしの時間をつぶす船頭さんが最前列の客席に座りくつろいでいました。この先Dubai Design District に寄港し終着のAl Jaddaf に至ります。運賃は1寄港あたりAED2、私が乗る区間は2寄港なのでAED4、始発から終点まで乗りとおすと終点含め4寄港でAED8 になります。

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船内はやはりデッキはなく、窓も開かない仕様でした。風を浴びられないとは、せっかくの船旅の楽しみが半減しますが、この先を行く定期航路はこのDC1しかないので仕方ありません。
途中寄港地のDubai Design District のあたりで水面が少し広くなり、振り返ればブルジュハリファそびえるダウンタウンの高層ビル群に沈む夕日。これは絶景です!

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なぜこの美しい夕日を水滴で汚れた窓越しに眺めなければならないのか、つくづく密閉型のこの船の仕様が改めてうらめしく思えますが、船の乗り継ぎ旅の最後にふさわしい素晴らしい景色が見られました。

少し進むと水面がぐっと広がり、この辺りが運河と天然のドバイクリークの接続点なのかなと思われます。右舷の窓の外は、いままでのビル群が嘘のような、水際に低木が茂る自然の水辺の風景になりました。クリークの奥には自然観察区があり、冬には渡り鳥であるフラミンゴの姿も見ることができるそうです。

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自然を感じることのできるクリーク最奥部ですが、遠くに高層ビル群が見えます。クリーク沿いにドバイクリークハーバーという地区の開発が進められているそうなので、このビル群がそうなのかもしれません。ここ、ドバイクリークハーバーには世界一の高さの高層ビルが建設される予定と聞き、あれ、世界一の高層ビルは先ほど見えたブルジュハリファでは、と思いましたが、高さ828mのブルジュハリファに対し、現在サウジアラビアのジッダに高さ1008mのブルジュジッダというビルが建設中だそうで、これが完成するとブルジュハリファを抜き世界一の高層ビルになります。世界一の座を奪われるドバイが巻き返しを図るべくさらに高いビルを、と計画しているのがこのクリークハーバーの超高層ビルなわけで、再びどこかに抜かれることを警戒してか、建設予定の超高層ビルの高さは秘密だそうです。 こういう話は景気に左右される計画変更されることが多いので、果たして実現されるのかどうかはわかりませんが、とにかくドバイの世界一の称号にかける意気込みが伝わってくる話ではあります。

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船はクリークハーバーの高層ビル群のほかはのどかな自然の水辺風景がひろがるクリークを進み、Alwajeha Al Maeyahからおよそ40分ほどの乗船で終着の Al Jaddaf に到着。ここからは対岸の Festival City まで BM2 という系統のアブラが出ているので、時間が合えば往復乗船してみようかと思っていましたが、こちらの船が接岸しようとしているところを逃げるように近代型アブラが出航していくのが見え、次の便までの待ち時間もありそうだし、ちょうど日も暮れかかっているしということで、ここでドバイ一周水上観光を終了することにしました。

ドバイの街の起源となったクリークの古い街並みや古いアブラから、現代のドバイを象徴するきらびやかな高層ビル、そして自然を感じるクリークの風景、ドバイのあらゆる表情が楽しめた船の乗り継ぎ旅はかなり充実したドバイ観光となりました。またドバイを訪れることがあれば、今度は船から見えた街をゆっくり歩いてみたいものです。

夜のブルジュハリファで噴水ショーを見ながらのハンバーガーディナー

Al Jaddaf の船着き場はドバイメトロ グリーンラインの終点、Creek駅まで歩いて5分ほどのところ。最後はメトロに乗ってブルジュハリファに行こうと思います。グリーンラインからレッドラインに乗り換えドバイモール駅で下車。動く歩道のある長い連絡通路を歩きドバイモールに入って地上階に下りて外に出ると、ブルジュハリファの威容が目の前に。写真を撮ろうとスマホカメラを構えるとなかなかビルのてっぺんまで写真に入らず、その高さがいかにすごいかを実感します。

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ブルジュハリファが見える人工池の前はレストランが並んでいるので、ここで夕食を食べようと思います。今日は暑い中たくさん歩いたのでビールでも飲みたいところですがここはドバイ、ホテルでしかビールは飲めません。どうせビールがないならばと、アメリカで何度か食べておいしかったハンバーガーのファイブガイズがあったので、夕食はここに決定。テラス席に座り、夜のドバイの風を感じながらおいしいハンバーガーと大量のポテトを食べ、アメリカ式の飲み放題ドリンクバーでコーラを何度もリフィルして、今日消費した以上のカロリーを摂取します。ちょうど池では噴水ショーが始まり、音楽に合わせ高く噴射される噴水を楽しみながらのディナーとなりました。

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<おまけ> 

夕食を終えてホテルに帰るときにメトロの駅で見かけたフレッシュオレンジジュースの自動販売機。お金を入れて購入すると、生オレンジがコロコロと降りてきて刃に押し付けられて二つに切られ、それを絞るという動作が4-5回繰り返されて、最後はビニールの蓋が熱でしっかり密着され提供されます。蓋の縁だけは少し熱を感じますが、ジュース自体は冷え冷えの搾りたてで、蓋にストローを差して飲むと、最高でした。 

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2019年9月

 

※記事中の情報は訪れた当時のものです。

伊豆の観光輸送を支えて30年 引退を迎えた花形列車 スーパービュー踊り子号の旅【静岡県】(2019年)

登場以来30年に渡って東京から伊豆へのアクセスの花形車両として活躍してきたスーパービュー踊り子号が2020年3月をもって引退するというニュースを聞き、2019年12月に出かけた1泊2日の伊豆旅行。昨日は185系特急踊り子号、普通列車リゾート21の黒船電車とキンメ電車、651系快速伊豆クレイル号と、多彩な伊豆の列車たちを楽しみました。今日はいよいよスーパービュー踊り子号での列車旅を満喫したいと思います。 

スーパービュー踊り子号は1990年に運転を開始した東京と伊豆を結ぶ特急列車で、「乗ったらそこは伊豆」をコンセプトに開発された251系がこの列車の専用車両として活躍しており、スーパービューの名のとおり運転席の後ろの展望席や大きな側面窓から眺望が楽しめることが自慢です。10両編成のうち下田側の1号車と2号車、東京側先頭の10号車の計3両が2階建て構造で、下田側2両の2階はグリーン席(かつてはそのうち1両が喫煙車両)、1号車の1階がサロン室と売店、2号車の1階がグリーン個室になっています。3号車から10号車は普通車ですが、9号車と、10号車2階はグループ利用を想定したボックス席(のちに他の普通車と同じ2人掛け回転クロスシートに改装)、10号車の1階には子供が遊べるスペースが備えられており、幅広い客層のニーズに応え、乗ること自体を楽しんでもらおうという意欲的に開発された車両と言えましょう。
せっかくなので今日はそのスーパービュー踊り子号のさまざまな設備をできる限り楽しんでみたいと思います。

あいにくの雨模様だった昨日とはうって変わって青空が広がり、温暖な伊豆のあたたかな冬の、気持ちのいい朝を迎えました。伊豆高原は、伊豆急行の本社や車庫のある拠点駅。駅前広場には足湯があり、駅を出た瞬間から温泉気分を高めてくれます。足湯の前からは一段低くなったところにある伊豆高原駅のホームとその向こうに広がる車両基地、そしてさらにその先には冬のやわらかな陽の光に輝く林と海も見通すことができます。基地には紺色のロイヤルエクスプレスが止まっていました。この車両はもともとリゾート21の最終編成として製造された車両が改装されたもので、横浜と伊豆急下田を結び、車内では豪華な食事を楽しむことができます。

【公式】THE ROYAL EXPRESS (the-royalexpress.jp)

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伊豆高原伊豆急行線の開業時に観光開発のイメージアップを狙ってつけられた駅名ですが、今ではこの周辺地域の呼び名として広くその名が知られるようになりました。海に近く、海抜高度も駅舎部分でおよそ70mほどしかない低い場所にもかかわらず「高原」とは、よくよく考えてみれば変な気もしますが、広々として見通しが良く、爽快な空気が漂うこのあたりには確かに高原の空気感があります。水色のアクセントカラーがさわやかな8000系普通列車も、この高原らしい風景によく似合います。

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 駅前の足湯に入り、駅に出入りする列車や車庫に停まる列車をしばらく眺めていると、乗車する列車の時間が近づいたので、改札口を入り3番線ホームに向かいました。
 

 

カラフルなクッションの子供室は揺れる車内でも安心な遊び場

 伊豆高原  10:42 ---> 伊東 11:03 伊豆急行線 特急スーパービュー踊り子2号

 本日最初に乗るのは上り東京行きスーパービュー踊り子2号。この列車は始発の伊豆急下田を10:04 に出て終着の東京には12:41に着くというダイヤで、宿泊施設をチェックアウトしてすぐ東京に帰りたいという人にはちょうど良い時間帯に運転されていますが、我々は東京に帰るわけではなく、わずか19分の乗車で次の停車駅伊東で下車する予定です。なぜこのように短い区間で利用することにしたかというと、伊豆急行線内の特急料金がJR線内に比べてリーズナブルに設定されており気軽に利用できること、東京方面からだと熱海や伊東など途中駅までの利用の需要もあるため伊東より先の伊豆急行線内に入ったほうが乗客が少なく、車内設備を落ち着いて利用できる可能性があること、そして伊豆急行線内の景色がいいことから、せっかくなので短距離でもスーパービュー踊り子号の車内設備を楽しもうと計画したわけです。伊豆高原から伊東までのスーパービュー踊り子特急券は520円、JR線内でほぼ同じくらいの所要時間の熱海から伊東だと特急券は1290円なので、伊豆急線内だとだいぶリーズナブルに利用できます。

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伊豆高原から乗り込んだのは先頭の10号車。客室に入ると上る階段と下る階段がありますが、この下り階段の先が子供室になっています。階段部分は狭いスペースながら大きな窓とあいまって広々とした空間に感じますが、下りたところで振り返ってみると、せまっこさを感じる階段にちょっとした隠れ家的な気分になります。

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 子供室はカラフルですが少しくたびれた感のあるクッションで囲まれていて、時代を感じるモニターが乗っている台も角が養生されているので、揺れる列車内でも安心して遊べそうです。このカラフルな空間の持つわくわく感と、普段は静かにしなさいと言われている列車内で思いっきり飛び跳ねて遊んでいいぞ、と言われていることに子供も大喜びです。それほど広くないスペースなので他の利用客がいたら遊べないかと思っていたのですが、この時間の列車ならば小さい子供連れの利用も少ないのではという狙いも当たり、幸いこのとき他の利用客はいませんでした。何か遊具があるわけでもありませんが、靴を脱いで飛び跳ねたり、クッションの上に立って窓際の赤いバーにつかまりながら景色を眺めたり、普通の列車内ではできない貴重な経験に、子供も大いに楽しんでいました。今回は20分ほどの短時間の利用でしたが、特に1時間を超える乗車などで子供が退屈してぐずりだしたとき、こういう設備があるのは非常に助かると思います。なお、この子供室の隣にはアコーディオンカーテンで仕切られた授乳室もありました。

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なお、この子供室のある10号車の先頭部分は、雛壇状の普通車前面展望席になっています。f:id:nikonikotrain:20191208105503j:plain

迫力ある前面展望のグリーン席とくつろぎのサロン室

伊東 11:18 ---> 伊豆急下田 12:12 伊豆急行線 特急スーパービュー踊り子3号

伊東でスーパービュー踊り子2号を降りたら、15分後に発車するスーパービュー踊り子3号に乗って今来た道を引き返し、終着の伊豆急下田に向かいます。今度乗るのはグリーン車の先頭車最前列、前面展望が楽しめる席です。
スーパービュー踊り子に乗るからにはやはりこの席に乗っておきたいと思いましたが、やはり人気がありますし、下り列車でしか先頭にならないので、特に土日1泊2日旅行の往路となる土曜の午前中の便でこの席を予約するのは困難でした。そこで日曜の列車の伊豆急線内だけの利用ならば予約もいくらか取りやすいのではないかと、ネット予約のえきねっとのサイトで見てみると、日曜の3号、伊東から伊豆急下田の最前列に空席が!ところが、えきねっとでは空席の確認はできるものの、伊豆急線内だけの利用にっついてはネット予約はおろか、JRの駅のみどりの窓口での発売も不可で(JRだけの区間、またはJRと伊豆急にまたがった区間ならばネットでもみどりの窓口でも購入可)、購入できるのは伊東~伊豆急下田伊豆急線内で窓口がある駅だけです(伊東はJRが管理している駅ですが、伊東は伊豆急の始発駅なので伊豆急の端末があるようです)。
そこで昨日、先に買われてしまいはしないだろうかとドキドキしながら踊り子号を伊東で降り、指定券を購入したのでした。日曜といえど人気の最前列のシートがずっと空いていたとは考えにくいので、先客は熱海か伊東で降りられたのだと思います。

カーブを曲がってスーパービュー踊り子3号が伊東駅のホームに入って来ました。

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最前列の席に座り、発車するとさっそくアテンダントの方が飲み物のオーダーを取りに来てくださいました。グリーン車にはウェルカムドリンクがついています。
楽しみな前面展望はというと、これが残念なことに、ちょうど座席に座った目線の高さのあたりに窓の横梁があり、すこし前かがみになって視点を下げないと線路の先を見通すことができないつくりになっています。しかしながら、運転席との仕切りのガラスは下のほうが曇りガラスになっているのであまり視点をさげることもできず、少々もどかしいものがあります。このグリーン車最前列席には20年ほど前にも一度乗ったことがありますが、そのときも横梁が邪魔だなあ、という感想を持ったのを覚えています。とはいえ、多少姿勢の工夫はいるものの、やはり前方の景色が見えるのは楽しいことです。

さきほど出発した伊豆高原に戻って来ました。 

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 運転席後ろの展望席の区画には2人席+1人席の座席が2列、計6席があり、伊東を発車した時点では我々のほかには2列目の2人席にご夫婦らしき方々がお座りでしたが、その方々も伊豆高原で降りられ、ここからは展望席は我々だけになりました。

伊豆高原を出たところでは保存されている旧型の車両が見えました。
トンネルや鉄橋を越え、下田を目指して南下して行きます。

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伊豆熱川では185系踊り子号と行き違い。昨日バナナワニ園に向かう途中に見かけた交換風景です。

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 グリーン車の座席は、肉厚でゆったりとしていて快適な座り心地。

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海岸線を走る区間、昨日も雨空の下で見た景色ですがよく晴れた海の景色は昨日と印象が全然違います。
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 晴れた海の景色を楽しみ、線路が海岸を離れたところで、サロン室に行ってみることにしました。先ほど乗った子供室と同様、先頭車両の1階部分に作られていて、小さな売店があり、お菓子などを買うこともできます。

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やわらかな照明が照らす空間はとても落ち着いた雰囲気です。f:id:nikonikotrain:20201210020916j:plain

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伊東から54分、185系踊り子号に迎えられて終点の伊豆急下田に到着。快適な時間を過ごせたグリーン車の旅も終了です。伊東から伊豆急下田までのスーパービュー踊り子のグリーン券は1190円、JRだと1810円の距離なので、お得にグリーン車を楽しめました。

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木造の湯屋の風情が最高な金谷旅館千人風呂で日帰り入浴

伊豆急下田 12:22 ---> 蓮台寺 12:25 伊豆急行線 普通

伊豆急下田からは普通列車に乗って1駅戻り、蓮台寺で下車。この旅初めての普通列車の8000系に乗って、また乗車車両のバリエーションが1種類加わりました。f:id:nikonikotrain:20191208122843j:plain

蓮台寺は下田から2kmほどにある山に抱かれた温泉地です。下田の温泉はこの蓮台寺からの引湯によって栄えたという歴史があるとおり、湯量豊富な温泉が湧いています。
今回は蓮台寺駅から徒歩5分ほどの便利な場所にあり、千人風呂という大きな木造の浴場が有名な金谷旅館さんで日帰り入浴をさせて頂くことにしました。

佇まいが素敵な玄関を入ると古く美しい木造の旅館の光景が広がっていました。

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玄関に置かれている水槽に妙に大きな金魚が・・・コイ!?
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お風呂はうわさに違わず素晴らしく、大正4年に建てられたという総檜づくりの木造の湯屋に、長さ20m、幅5mという大きな湯舟がしつらえられており、木のぬくもりを感じながら自家源泉掛け流しという温泉に浸かるのは至福のひとときです。小さいながらも露天風呂もあり、内湯と露天を行ったり来たりしているとあっという間に時間が経ってしまいます。日曜の昼間ということもあってかそこそこ入浴客も多かったですが、いつかぜひ宿泊してゆっくりこの風呂を思う存分楽しみたいと思いました。

【公式サイト】金谷旅館 -自家源泉掛け流し 千人風呂- (kanayaryokan.jp)

ロープウェイで寝姿山に登る

蓮台寺 13:54 ---> 伊豆急下田 13:57 伊豆急行線 普通

素敵な温泉を楽しんだ後は再び下田に戻ります。やってきたのはリゾート21キンメ電車。昨日も乗った電車ではありますが、やはり1駅ですぐ降りるのがもったいなく思える素敵な列車だと思いました。f:id:nikonikotrain:20201210021305j:plain

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下田ではロープウェイに乗って寝姿山に登ります。ロープウェイの乗り場は伊豆急下田駅から歩いて3分ほど。切符を買って待っていると、深い藍色に塗られたゴンドラが降りてきました。このデザインは今朝伊豆高原で見かけたロイヤルエクスプレスに合わせたもので、どちらも有名な鉄道デザイナー、水戸岡鋭二氏によるデザインです。
ロープウェイの乗車時間は短く、およそ3分ほどで山上の寝姿山駅に到着。ここには水戸岡氏デザインのレストランがあり、ロイヤルエクスプレスで下田に着いた乗客が引き続きその世界観で観光ができるようになっています。

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寝姿山の上は遊歩道があり散策ができました。展望台からの伊豆諸島が望めは絶景!f:id:nikonikotrain:20191208143718j:plain伊豆急下田駅を見下ろせる場所もあり、駅で休むスーパービュー踊り子号が見えました。f:id:nikonikotrain:20191208151105j:plain

下田ロープウェイ 寝姿山 ロープウェイ (ropeway.co.jp)

普通車でもスーパービュー 大きな窓に映る夕暮れの海

伊豆急下田 16:07 ---> 新宿 18:57 伊豆急行線、JR伊東線東海道線 特急スーパービュー踊り子10号

再びロープウェイに乗って下田に戻り、最後はスーパービュー踊り子号で東京に帰ります。できれば個室に乗って見たかったのですが3室しかない個室は人気が高く、この日も満室だったので、スタンダードな普通車を予約してあります。

発車時刻が近づいて改札が始まりホームに入ると隣のホームにはロイヤルエクスプレスが停車していました。f:id:nikonikotrain:20201210021714j:plain

 2日間にわたって行ったり来たりして楽しんだ伊豆急行線の景色は何度見ても美しく、特に海沿いの区間では夕暮れの空に浮かぶ伊豆諸島の島影が印象的な眺望が楽しめました。それにしても普通車でもこの大きさの窓、スーパービューの名に恥じぬ車両です。f:id:nikonikotrain:20191208163103j:plain 伊東を出るころには外は暗くなりましたが、少々肌寒くも感じるのは大きな窓から外の冷気が伝わってしまうからでしょうか。やがて暖房が強くなりポカポカしてきましたが、車内の温度調整にはスーパービューゆえの難しさもあるのかもしれません。

いつの間にか眠ってしまい、気がつくともうすぐ横浜に着こうかという頃でした。子供も目覚め、もう一度子供室に行きたいというので連れて行くと、子供室はすでに何組かの家族で賑わっていました。やはり有名観光地へのアクセスを担う列車においてこの設備は子連れにとって大変有難いものです。
18:57に新宿着、伊豆急下田から2時間50分の旅が終わりました。列車は池袋行きなので、少々の停車ののち最後の1駅に歩みを進めるのをホームで見送りました。登場から30年が経ち、いまもなお魅力と楽しさを感じる列車の引退はとても残念ですが、楽しい列車旅の思い出は多くの乗客の胸の中にいつまでも残っていることでしょう。

 

2019年12月