そこに線路があるかぎり

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【神奈川県】今はロマンスカーミュージアムで屋内展示されている車両も 新旧ロマンスカーが青空の下で並んだ小田急ファミリー鉄道展2019 (2019年)

2021年4月19日、神奈川県の海老名駅に隣接した場所に小田急ロマンスカーの博物館、ロマンスカーミュージアムがオープンしました。ここには引退した過去のロマンスカー5形式が保存されていて、これらの車両はミュージアムができるまで車両基地などで保存され非公開でしたが、一部についてはイベントなどの機会に目にすることもできました。今回は、ミュージアムに保存されている5形式の中でいちばん古い3000形が、現役の最新型である70000形と並んで展示された、小田急ファミリー鉄道展2019の車両展示の様子をご紹介します。

 

小田急ファミリー鉄道展

小田急ファミリー鉄道展は、車両基地の公開を目玉にさまざまな催しが行われる小田急のお客様感謝イベントで、年に1回程度のペースで行われていましたが、残念ながら現在のところ2019年を最後に、その後の開催はありません。2019年で19回目、この年の来場者は約34,400名だったとのことで、とても人気のあるイベントでした。 

新宿からロマンスカーに乗って海老名まで行き、駅を出て案内に従って歩くと小田急ファミリー鉄道展の会場となっている、車両基地の入口がありました。普段はもちろん一般の人は入れませんが、イベント開催のときだけは一般公開されて中に入ることができます。お客さま感謝イベントなので入場は無料、ありがたいことです。
小田急ファミリー鉄道展2019は、この電車基地が車両の展示や乗務員体験、グッズ販売などが行われる第一会場、そして駅の反対側にある商業施設、ビナウォークトークイベントやコンサート、模型運転、制服を着ての記念撮影などができる第二会場になっていて、なかなか大きな規模で行われています。さまざまな催しが用意されていますが、やはり一番のメインはなんといっても電車基地内での車両展示でしょう。展示される車両のラインナップは毎年変わるようで、この年は2018年に就役した最新のロマンスカー70000形GSEと、1992年に引退し保存されている3000形SSEが並んで展示されるということで注目を集めました。というのも、3000型SSEは2019年時点で5両編成で保存されているうち、3両だけがロマンスカーミュージアムで屋内展示される予定になっていて(残り2両は解体)、太陽の下で、そして5両がそろった姿で見られるのはこれが最後、しかも最新のロマンスカーと並んで展示されることは今後はできなくなると予想されるためです。

もうすっかり夏の日差しで、下からの照り返しも強い中、汗をかきながらこのロマンスカーの展示場所まで歩いて行きます。普段は歩けない線路の上を歩けるとあって、1本のレールの上をバランスを取りながら歩いたり、子供も楽しそうです。

70000形ロマンスカーGSE

まずは70000系GSEを見ます。この車両は2018年から活躍している、小田急ロマンスカーの最新モデルで、伝統の先頭展望客席があり、運転席は2階にあります。小田急ロマンスカーでは、車両に〇〇 Super Express = 〇SEという愛称をつけるのが慣わしとなっていて70000系はGraceful Super Express=GSEと呼ばれています。
さきほど新宿から海老名まで乗ったのがこのGSEで、大きな窓と落ち着いた車内が魅力の、快適な車両でした。ついさっきまで乗っていた車両を間近でみることができて、子供も大喜びです。正面に立って改めて見てみると、前面展望席の窓の大きさを実感します。展望席のチケットは人気があってなかなか予約が難しいですが、いつかこの大きな窓の展望席に座って箱根への旅を楽しんでみたいものです。
そしてGSEの右奥に見えるのがSSE3000形。GSEとSSEは編成の長さが違うので先頭の位置がずれていますが、反対側に回ればぴったりと顔がそろっています。

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3000形ロマンスカーSSE

 3000形は1957年に登場し1991年で定期運用を離脱した車両で、ロマンスカーに〇SEという愛称がついたのはこの車両が元祖です。もともと Super Express = SE とと呼ばれていましたが、1968年に8両編成だったものを5両編成に短縮したことから、Short  Super Express = SSE と呼ばれるようになりました。流線形の先頭部、低重心、軽量構造、連接車体など、スピードアップのための機構が盛り込まれ、1957年に国鉄に貸し出されて実施された高速試験においては、当時の狭軌(レールの間の幅が狭い、JR在来線等、日本で一般的に採用されている軌間)での世界最高速度、145㎞/hを記録し、のちの新幹線開発にも大いに影響を与えたといわれる、歴史に名を残す名車両です。

5両編成のうち、手前側3両が引退時「SSE」の姿、奥の2両が8両編成時代の「SE」の姿になっています。SSEとなってからは、主に新宿~御殿場を結ぶ「あさぎり」として活躍していました。

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私にとって3000形SSEは、幼き頃、家族で江の島に出かけた帰りに乗った初めてのロマンスカーで、思い出のある車両です。

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「SE」の姿に復元された側は、塗り分け方やライトの位置、愛称表示などが「SSE」とは異なっています。

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60000形ロマンスカーMSEと30000形ロマンスカーEXE

東京メトロ千代田線に乗り入れる列車や、かつてはSSE3000形が活躍した御殿場行の列車などに使用される青い60000形ロマンスカー MSE と、30000形ロマンスカーEXE(30000形だけ「〇SE」という呼び名ではない)も見ることができました。

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赤い1000形通勤電車は懐かしい行先表示で

SE車の向かい側には赤い1000形車両が「急行」「箱根湯本・片瀬江ノ島」の珍しい表示を出して止まっていました。この車両はスイスのレーティッシュ鉄道と姉妹鉄道である箱根登山鉄道が、レーティッシュ鉄道の車両と同じ色を塗った車両を運転していることから、箱根登山鉄道に乗り入れる運用につく小田急の1000形も同様の色を塗ったもので、2020年8月には、豪雨災害で長い間不通だった箱根登山鉄道が復旧したことを記念して急行列車として小田急全線を走りましたが、普段は小田原を中心とした区間普通列車に使用されています。
昔は小田急の急行は、途中の相模大野で箱根湯本行きと片瀬江ノ島行きに切り離す列車が多くあったので、昔を知る人には懐かしい表示ですが、この赤い1000形がこの運用についたことがあるかどうかは定かではありません。

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 どの車両も車内に入ることはできませんが、線路から間近に見上げる実物車両の迫力は普段は味わえない特別なものでした。
歴史的な車両、カラフルな車両の競演が楽しかった車両展示を見終えたあとは、基地の入口近くのテントで塗り絵や制帽をかぶらせてもらっての記念撮影を楽しませていただき、海老名駅に戻ります。このあと第2会場にも足を運んでみようかとも思っていましたが、暑い中基地の中を歩き回って思いのほか疲れたので、このまま相鉄に乗車して横浜経由で帰途につくことにしました。
今年以降の開催があるのかはまだわかりませんが、子供も楽しめる小田急ファミリー鉄道展、ぜひまた開催されることを願っています。

 小田急電鉄 (odakyu.jp)

2019年5月