そこに線路があるかぎり

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特急、新幹線、寝台列車サンライズ 列車に乗るとき必要なきっぷは? 子供のきっぷは何歳から必要? JRきっぷのルールの基本をまとめてみました 

北海道から九州までに路線網を広げるJR線には、さまざまな種類の列車が走っています。新幹線や特急など、帰省や旅行で目的地まで移動するために利用する列車だけでなく、寝ている間に目的地まで連れて行ってくれる寝台列車、歴史を感じ、音や風のライブ感が楽しいSL列車やトロッコ列車、地域色豊かで趣向を凝らした観光列車など、乗ること自体を楽しめる魅力的な列車も多くあるので、そうした列車に乗ることを旅程に組み込み、素敵な列車の旅を楽しんでいます。
ただ、そういった列車は「どういうきっぷを買えばいいの?」「どこできっぷが買えるの?」という疑問がつきものの場合も多く、また、子供のきっぷは必要なのか、なくてもいいけど買ったほうがいいのかなど、子連れ旅行ならではの悩みもあって、きっぷの手配をするまでになかなかの労力を使ってしまうこともよくあります。

そんな悩みを経てわかったJRのきっぷの仕組みについて、また、こどものきっぷの取り扱いについて、備忘録を兼ねてまとめてみようと思います。

なお、この記事は、JTBパブリッシング刊 JTB小さな時刻表 2021-22冬号を参照して執筆しています。

きっぷの組み合わせの考え方

まず、きっぷの組み合わせの考え方について解説します。
きっぷは、基本メニューとトッピング、と考えるとわかりやすいです。立ち食い蕎麦店で、基本メニューのかけそば券に、たまご券とてんぷら券を追加購入して天玉そばを仕立てるように、JRのきっぷもさまざまなきっぷの組み合わせで成り立っています。

基本メニューが「乗車券」

基本となるのが「乗車券」で、乗車券に対して支払うお金が「運賃」です。
乗車券は、JRの列車に乗ってA駅からB駅まで行きたい、という、最も基本的な「鉄道を利用して移動する」というサービスを享受するためのきっぷなので、どんな列車に乗る場合も必ず購入する必要があります。
乗車券には、普通乗車券のほか、定期乗車券(いわゆる定期券)、おトクな割引切符やフリーきっぷなどいろいろな種類がありますが、出発地から目的地までの移動経路に有効な乗車券を持っていなければなりません。

追加サービスに対しての料金券

乗車券に加えて、追加サービスを利用したい場合、追加のトッピング券のように、それぞれのサービスの料金を支払う必要があります。
急いで行くという速達サービスの「特急券」、必ず座席に座りたいという希望に応える「指定券」、ゆったりとした座席の車内で過ごしたいときの「グリーン券」など、ただ移動するということに加えて、どのようなサービスを受けたいか、により追加料金が発生します。f:id:nikonikotrain:20220110020551j:plain

それでは、追加サービスにはどのようなものがあるかを見て行きましょう。

特急と快速、料金が必要なのは? JRの速達サービス料金

はじめに、JRの速達サービスと料金について見て行きましょう。
JRには、特急、急行、快速など、いくつかの列車種別がありますが、大きく分けると「普通列車」か「急行列車」の2種類になり、これらは、速達料金が要るか要らないか、という違いがあります。
普通列車は、速達料金がかかりません。普通車自由席を利用するならば、乗車券だけで乗車することができます。この普通列車には、いわゆる各駅停車、鈍行列車とも言われる、すべての駅に停車する「普通」と、いくつかの駅を飛ばす「快速」が含まれます。さらに分ければ、快速には「特別快速」「通勤快速」「新快速」など、名前が付けられたものがありますが、これらすべて速達料金が不要な「快速」のカテゴリに入ります。

一方、速達サービスに対する追加料金が必要なのが急行列車です。急行は「準急行=準急」「急行」「特別急行=特急」に分けられますが、JRでは「準急」は今から50年以上前の国鉄時代に廃止されており、「急行」も今は定期列車での設定がないため、速達料金がかかる列車としては「特急」だけと考えていいでしょう。新幹線も、在来線の特急料金とは違う体系ではありますが、新幹線の特急料金がかかる「特急」のカテゴリに入ります。f:id:nikonikotrain:20220110020557j:plain

列車種別の決定基準は「JRがどう決めるか」

速達料金がかかる、かからない、が、「普通」と「急行」の違いになるわけですが、では何を基準に列車種別が決まるのでしょうか?実は明確な基準はなく、「JRがどう決めるか」で決定されます。例えば、京阪神地区を走る新快速は、特急と互角、あるいは区間によっては特急よりも所要時間が短いこともある、とても足の速い列車ですが、速達料金は不要です。また、特急列車用の車両を使って料金不要の普通列車として走らせている列車もありますし、いまから30-40年前頃までは、繁忙期にたくさんの臨時列車を走らせるために車両が足りなくなってしまったため、ふだんは普通列車として使用している車両を急行列車として運転し急行料金を徴収していたということもありました。
このように、所要時間や使用する車両の種類によって速達料金が必要かどうかが決まっているわけではないが面白いところです。

座席や寝台 着席サービス料金

速達サービスの次は、着席サービスについて説明します。
着席サービスに対する料金は、利用する区間の占有スペースを確保をするための予約料で、座席を予約する指定券と、座席ではなく寝台の予約をする寝台券があります。
指定券に似たものとして「乗車整理券」「座席未指定券」がありますが、これらは一部の列車に設定されているもので、全国に一般的なきっぷというわけではありません。
乗車整理券」は「この席」と座席を定めはしないけれど、その列車に存在する座席数分だけ発売されるきっぷです。座席数を超えての発売はされないので、乗車整理券を持っていれば必ず着席することができます。乗車整理券JR北海道JR東海など、通勤用のライナー列車などで設定されています。(JR東海ホームライナー乗車整理券は座席が指定されているので実質的に指定席券ですが、発売箇所が限定されていて全国販売されていないことから、乗車整理券という区分になっているのだと思われます)
「座席未指定券」は空席があればそこに座ることができるけれど、その席の指定券を持った人が来たら譲ってください、満席の場合は立っていてください、という券で、JR東日本の全席指定の特急列車に設定されています。座席未指定券は指定券と同額にもかかわらず着席できないかもしれないというリスクがあるため、通常は空席があれば指定券を購入することになるわけですが、全席指定の列車には指定券を持っていないと乗車できないため、満席のときに座席がないのを承知しつつ、どうしてもその列車に乗車したい、という人向けのきっぷと言えるでしょう。

快適な車内設備を利用 付加価値サービス料金

サービス料金の3つめは、快適な車内設備という付加価値に対するサービス料金です。
グリーン料金、A寝台料金がこれに当たります。昨今グリーン車もハイレベルになり、グランクラスやプレミアムグリーン車、DXグリーン車など、上位ランクのグリーン車も数多く登場しています。これらも、料金レベルはそれぞれ違いますが、快適性に対する付加価値料金であるグリーン料金の範疇にあるものです。

列車種別と利用設備 利用サービスごとに必要なきっぷは?

上記に説明した通り、さまざまなサービスに対し、どのサービスを受けられるか、によって必要なきっぷが決まります。現在一般的に利用機会のあると思われるJR列車の種別、設備ごとに必要なきっぷは、以下のとおりです。

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特急のグリーン車指定席、寝台利用の場合、特急券が「530円引き」になるのは、「特急券」という名前のきっぷには指定席料金も含まれているので、「指定席」的に座席、寝台の確保がされるグリーン券、寝台券を購入する場合の特急料金を自由席特急券相当額にするため、指定券相当額530円を引いているためです。

なお、この表では原則として必要になるきっぷの種類を示しており、実際にかかる金額は、それぞれの料金のルールに基づき決定された金額になります。例えば、指定席料金や特急料金は時期や列車、JR会社によって違いますし、グランクラス料金やプレミアムグリーン料金、DXグリーン料金は通常のグリーン料金よりも高額に設定されています。

おとなとこども 

おとなとこどもの定義は、以下のとおりです。

おとな: 12歳以上(13歳未満の小学生はこども)
こども: 6歳以上~12歳未満(6歳でも小学校入学前は幼児)
幼児 : 1歳以上~6歳未満
乳児 : 1歳未満

こども運賃・料金はおとなの半額? そうではないケースも

こどものきっぷは大人の半額(現金支払いの5円単位は切り捨て)というのは広く知られているルールかと思いますが、例外もあります。

幼児でもこども運賃・料金がかかるケース

「おとな」または「こども」1人に同伴された幼児は2人まで無料です。3人目からはこどもの運賃・料金が必要です。つまり、もし大人1人が幼児3人を連れて行く場合には、大人1人とこども1人分の運賃・料金がかかることになります。
また、幼児・乳児が指定席、グリーン席(自由席グリーン車を除く)、寝台を1人で利用するの場合や、幼児単独で乗車する場合は「こども」とみなす、というルールがあります。

乳児や幼児が指定席や寝台を1人で利用するときは 乗車券も忘れずに

幼児や乳児の分も指定席を1席確保しておきたいという場合は「こども」とみなされるので、たとえ幼児や乳児であっても、こどもの指定券だけではなく、こどもの乗車券も必要になるので要注意です。同伴のおとなのひざの上や、同じ寝台に添い寝をする場合には、乳児や幼児の運賃、料金はいっさいかかりませんが、1つの席や寝台を利用することになったとたん、こども運賃とこども料金がかかることになります。
また、おとなもこどもも同伴せず、幼児単独で鉄道を利用する場合は、こども運賃・料金が必要になります。

こども料金は大人と同額のものも

こどもの運賃・料金は、すべておとなの半額と言うわけではなく、おとなと同額のものもあります。

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グリーン車の座席や寝台など、子供でも大人と同じスペースを占有する場合は、こどもとおとなが同額である、ということならばわかりやすいのですが、子供1人で1席を占有する普通車の指定席券はおとなの半額になっており、いまいち基準がわかりません。しいて言うならば、そもそもの特急料金が指定席料金が含まれているものであるという考え方から、特急料金をおとなの半額とすることで必然的に特急の指定席料金もおとなの半額となるため、特急以外の指定席もおとなの半額とすることにして整合性をとったのかもしれません。

JRのきっぷはどこで買える?

さて、それではこれらのきっぷはどこで購入したらいいのでしょうか?
まず、乗車券については、基本は乗車する駅で発売することになっていますが、指定券と同時購入の場合はほかの駅からの乗車券も発売されます。なお、無人駅から乗車する場合は乗車駅証明書を取って車掌さんから買ったり、下車駅で精算することになります。
指定券、寝台券など、座席や寝台の指定があるきっぷは、みどりの窓口で購入できます。みどりの窓口では基本的に日本全国すべてのJR列車の指定席券、寝台券を購入することができますが、最近は省力化がすすみ、みどりの窓口がどんどん閉鎖されています。それに代わって指定券発売機などの自動券売機が導入されており、自分で空席状況や座席位置が指定できるためなかなか便利ではありますが、その券売機のある地区以外の列車や臨時列車など、買うことができない列車もあるので注意が必要です。
また、旅行代理店などでも乗車券、指定券、寝台券などを買うことができますが、発券にはその旅行代理店の所定の手数料がかかることが多いです。

この列車にはこのきっぷ

それでは、当ブログで紹介した列車を中心に、この列車にはこのきっぷが必要、ということを具体的に見ていきましょう。

1.サンライズ出雲・瀬戸

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乗車券 + 特急券 または乗車券+特急券+ 寝台券 
特急列車ですので乗車券に加えて特急券が必要です。さらに、A寝台を利用する場合はA寝台券、B寝台を利用する場合はB寝台券、ノビノビ座席を利用する場合は指定券(特急券に含まれる)が必要です。
こどもは、乗車券、特急券はおとなの半額、寝台券はおとなと同額です。

2.SL冬の湿原号

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乗車券+指定券

快速列車の普通車指定席ですので乗車券と指定券があればよく、特急料金などの速達料金はかかりません。ただし、JR北海道は普通の列車の指定席券が530円であるのに対し、SL列車の指定席券は1680円という特別レートで設定されています。
こどもは乗車券、指定券とも、おとなの半額です。

3.とれいゆつばさ

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乗車券 + 特急券   
特急列車ですので乗車券に加えて特急券が必要です。在来線特急の扱いなので、在来線の特急料金が適用されます。福島駅で駅の改札を出ずに東北新幹線から乗り継ぐ場合は、東北新幹線特急券と同時に購入することで、東北新幹線とれいゆつばさの特急券を別々に買うよりも少し安く特急券を購入することができます。
こどもは、乗車券、特急券ともおとなの半額です。
なお、足湯利用の際は、足湯利用券が必要です。

4.瀬戸大橋アンパンマンロッコ

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乗車券+普通列車用指定席グリーン券

普通列車グリーン車指定席ですので、乗車券のほかに普通列車用指定席グリーン券が必要です。
こどもは、乗車券はおとなの半額、グリーン券はおとなと同額です。

5.伊予灘ものがたり

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乗車券+特急券+指定席グリーン券

記事で紹介したときは普通列車だったため、乗車券+普通列車用指定席グリーン券で乗車することができましたが、2022年より特急列車化されるため、乗車券のほかに、特急券と指定席グリーン券が必要になります。

6.ゆうゆうアンパンマンカー(うずしお/剣山)

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乗車券+特急券

ゆうゆうアンパンマンカーは、うずしお号として運転されるときも、剣山(つるぎさん)号として運転されるときも、特急列車の普通車指定席ですので、乗車券と特急券で乗車することができます。特急券は必ず「ゆうゆうアンパンマンカー」の車両(基本的に2号車)の指定席をとってください。ゆうゆうアンパンマンカーは、一般の特急列車に連結されるプレイルームつきの車両で、そのプレイルームゆうゆうアンパンマンカー(2号車)の指定券を持っている人専用の設備です。1号車にも指定席がありますが、間違って1号車の指定券をとってしまうと、ゆうゆうアンパンマンカーの利用はできません。

 

 

以上、JRの運賃・料金の仕組み、こども運賃と料金について、まとめてみました。
複雑といえば複雑かもしれませんが、どんなきっぷの種類があって、どのきっぷが必要かということをきちんと把握し、正しいきっぷで列車の旅を楽しみましょう。

 

2022年1月