そこに線路があるかぎり

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日本一のいちごの町でいちご狩り 車窓の桜と菜の花が美しい春 SLもおか号の旅 【真岡鐵道/栃木県】(2018年)

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日差しも暖かくなった春の休日、とれたてのいちごを思う存分味わいたい、と、いちご狩りに出かけることを思い立ちました。我が家の子供たちも、いちごが大好きです。東京近郊でもいちご狩りができるところはいろいろありますが、とちおとめの産地として名高い、栃木県にお邪魔することにしました。向かったのは真岡市、ここを走る真岡鐵道という路線にはSL列車が走っているので、いちご狩りと共にSLの旅も楽しむことができます。

栃木県真岡市は日本一のいちごの産地

栃木県のウェブサイトによれば、いちごの収穫量、作付面積、産出額において日本一なのが栃木県で、特に収穫量については1968年産から2019年産まで52年連続で日本一の座を守っているそう。(2020年時点のデータのため、2020年産のデータは含まれず)

栃木県/全国のいちご生産割合 (tochigi.lg.jp)

そんな栃木県の中でも生産量がいちばん多いのが県南東部にある真岡(もおか)市で、日本一のいちごの町して名が知れています。  

 真岡へは都心から車で1時間半 鉄道では少々行きづらい?

真岡市には高速道路の北関東自動車道が通っていて、真岡インターがあります。車ならば、東京都心からは首都高速東北自動車道を経由して北関東自動車道に入り、およそ1時間半ほどで行くことができます。
鉄道だと

JR宇都宮線東北新幹線で小山へ、JR水戸線に乗り換え下館から真岡鐵道
JR宇都宮線東北新幹線宇都宮 またはJR宇都宮線石橋からバス
つくばエクスプレスで守谷へ、関東鉄道常総線に乗り換え下館へ、そこから真岡鐵道

のいずれかのルートが早いですが、それでも2時間半から3時間ほどかかってしまいます。
行こうとしているいちご園が駅から遠いこともあり、時間節約のため、車を利用して真岡に向かうことにしました。

とちおとめが食べ放題 井頭観光いちご園

このときお邪魔したのは井頭観光いちご園、ここではとちおとめが食べ放題とのこと。日本一のいちごの産地で人気ブランドいちごの食べ放題とは、うれしくなります。

井頭観光いちご園【いちご狩り】|観光情報検索 | とちぎ旅ネット (tochigiji.or.jp)

真岡インターで高速道路を下りて10分ほど、日本の都市公園100選にも選出された大きな公園である井頭公園の裏手に、JAはが野 井頭観光いちご園がありました。駐車場に車を止め、道の駅のような大きな農産物直売所の建物に向かうと、入口横にいちご狩りのチケット売り場がありました。付近にはたくさんのビニールハウスが建ち並んでいるのが見えますが、この受付でいちご狩りを申し込むと、このハウスに行ってください、と、狩り場所が指定されます。

受付から2-3分歩いて指定されたハウスに着き、係の方に案内されてハウス内に入ると、いちごの甘い香りがハウスいっぱいに広がっていました。

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 真っ赤に色づいたいちごを摘みとり口に入れると、香り豊かで甘い味わいが口いっぱいに広がります。

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 気がつけば30分ほど夢中になっていちごを食べていました。思う存分おいしいいちごを堪能してハウスを出たのは12時ごろ。
ハウス横の道端ではものすごい数のつくしが背較べ。隣接する井頭公園の桜も満開です。 

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真岡駅でSLの乗車整理券を買い、SLキューロク館で保存SLを見学

井頭観光いちご園から車で10分ほど走り、真岡鐵道真岡駅に向かいます。駅に併設されたSLキューロク館という保存SLの展示施設の近くにSL利用者用の無料駐車場があったので、そこに車を止めて真岡駅の窓口でSLもおか号の乗車整理券を購入。これはあとで乗車する予定のSL列車に乗るために必要な券で、大人500円、子供250円です。
整理券を買ったら、駅に隣接するキューロク館を見学。屋内展示のための建屋も、屋外展示の上屋もSLの形をしています。入館は無料なので、気軽に出たり入ったりできます。

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キューロク館は、大正時代に製造された9600型蒸気機関車の愛称が名前の由来になっています。保存されている9600型は圧縮空気で動けるようになっていて、週末の決まった時間に屋内の車庫から外に出る短い線路の上を走り、1回300円でそのSLが引っ張る車両にも乗ることができるらしいですが、あいにく今回は時間が合わず、乗車はできませんでした。

キューロク館には9600型のほかにもD51型蒸気機関車や旧型の客車なども保存されています。D51は静岡の駿府城公園で保存されていたもの、旧型客車は保存されていた青函連絡船「羊蹄丸」の中で展示されていたものだそうで、どちらも遠路はるばる真岡にやってきてここに仲良く展示されています。なお、羊蹄丸は青函トンネル開通により青函連絡船が廃止になったのち、東京の船の科学館で展示されていましたが、残念ながら2012年に解体されてしまったとのこと。

真岡鐵道SLキューロク館 公式サイト (sl-96kan.com)

真岡鐵道SLもおか

真岡鐵道茨城県筑西市下館駅と栃木県茂木町の茂木(もてぎ)駅を結ぶ、全長41.9㎞の第3セクター鉄道です。国鉄末期に赤字ローカル線として廃止の承認がなされていましたが、もろもろの手続きの事情なのか、国鉄から変わったJR東日本が1年間だけ運営したのち1988年に真岡鐵道に転換されています。国鉄の赤字路線を引き継いで開業した第3セクターではよくあるように、「金」を「失う」と書く「鉄」の字が縁起が悪いとして、会社名の「てつどう」には旧字体の「鐵」が使われています。

真岡鐵道では、福島県内で保存されていた蒸気機関車C12型66号機を整備、復活させ、1994年からSLもおか号の運転を開始しました。週末を中心に運転されるこの列車は観光客の人気を呼び、復活から20年以上経つ現在でも元気に運行されています。
東京から出かけてSL列車に乗ろうとすると、真岡鐵道の他にも、私鉄だと静岡県大井川鐵道や埼玉県の秩父鉄道、栃木県の東武鉄道があり、また、JR東日本でも群馬県の高崎からSLぐんま みなかみ/よこかわなどが走っていて、割と選択肢が多いですが、これらはすべて電化路線で通常の電車が走るために線路の上空には架線が張られています。SLは走るための電気を必要としないので、架線があろうとなかろうと関係のないことですが、本来非電化路線を中心に走っていたSLは架線のない線路を走るほうがSLらしいとも言え、関東のSL列車では唯一非電化の路線を走る真岡鐵道のSLは人気があります。また、SLが引く客車も国鉄末期に誕生した元国鉄~JRで使われていた50系という車両で、現在現役で走っているのはSLもおか号に使われる3両だけという貴重なものです。国鉄~JR時代は赤く塗られていて「レッドトレイン」の愛称で親しまれましたが、SLもおか号用になったときに茶色く塗り替えられています。

真岡鐵道ディーゼルカー茂木駅

SLもおか号は下館を10:35に出て茂木に12:06に着き、しばしの休息ののち、茂木14:26発下館行きとして折り返してきます。真岡は下館と茂木の間の途中にある駅なので、ここで待っていてもSLに乗ることはできますが、せっかくなので茂木まで迎えに行き、できるだけ長い時間SLの旅を楽しみたいと思います。

真岡駅には国鉄~JR時代に使われていたオレンジのディーゼルカーが保存されていました。その後ろには満開の桜。

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現在の真岡鐵道の車両は緑と赤に塗られた新しいディーゼルカーで、スイカを思わせる塗装です。緑の部分のほうが赤よりも大きいので、ずいぶんと皮ばかりのスイカではありますが、よく見ると緑の部分は濃淡の緑の市松模様になっていたり、赤部分には黄色い点線が入っていたり、なかなか凝った塗分けです。
真岡駅に隣接して車庫があり、たくさんの車両たちが休んでいました。

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真岡13:27発普通列車に乗り、終点の茂木を目指します。

桜並木と菜の花が美しい 沿線一の春のビューポイント

真岡の次の駅、北真岡を出ると、桜並木と菜の花畑の景色が広がります。春の真岡鐵道を代表する有名なビューポイントで、ここを走るSLもおか号の写真を観光案内などで目にする機会も多いです。

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まっすぐ伸びる線路、満開の桜、そして菜の花。春の旅気分満点です。

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やがて両側が桜に。

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春の花の競演のあとも、のんびりとした栃木の里山風景を楽しみ、真岡駅から38分、14:05に茂木着。引き込み線にSLもおか号が休んでいるのが見えます。
茂木駅のホームが1つしかないので、ここまで乗ってきた普通列車が14:11発下館行きとして折り返してゆきホームが空くと、引き込み線からSLもおか号が出てきて、ホームに据え付けられました。

桜の木が多い沿線 SLもおか号で車窓からお花見を

茂木 14:26 ---> 下館 15:56  SLもおか

SLもおか号に乗車するには、乗車券のほかにSL整理券が必要ですが、SL整理券は座席を指定するものではなく、座席自体は全席自由席です。整理券は座席数以上に発行されることもあり、混雑期には整理券を持っていても座れないこともあるそうなので、ホームの乗車位置に並んでSLの入線を待ちましたが、この日は茂木駅で待つすべての乗客が乗り込んでも、まだ車内に空席はありました。
(注: 2020年7月18日乗車分より、事前のweb予約が必須、販売枚数制限ありになったそうです。)

この日のSLもおか号は、観光キャンペーン「本物の出会い 栃木」のヘッドマークがついていました。日本一のいちごの町を走るSLらしく、いちごがあしらわれたデザインです。

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 茶色い塗装と濃紺の行先表示板がレトロな雰囲気を醸し出す50系客車。1977年に製造開始された形式なのでそれほど古い車両というわけではなく、製造されたころには観光用に復活された山口線を除き国鉄のSLは全廃されていたので、現役時代にSLに曳かれたこともありません 。
車内にはいちごの装飾がありました。

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いまどき窓を開けて風を浴びながら乗ることができる列車も少なくなりましたが、SLもおか号は窓が開けられます。ただ、石炭の燃えカスが飛んでくることがあるので、目に入らないよう注意しなければなりません。念のため子供は進行方向逆向きに座らせて、前方からの風を直接浴びないようにしました。

真岡鐵道沿線には桜の木が多くあり、SLに乗りながらお花見を楽しむことができます。歴史を感じる小さな駅に咲く桜、なかなかいいものです。

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小さな駅は通過し、いくつかの駅に停まりながら走ること35分、益子焼で有名な益子に着くと、たくさんの観光客が乗り込んできて車内はほぼ満席になりましたが、益子から18分の真岡に着くと半分以上の乗客が降りてしまい、車内はおよそ50%ほどの乗車率となりました。焼き物の町、益子を見物してから真岡までSLに乗車する観光ツアーがあるのではないかと思いますが、ツアー客以外でも、駐車場のある真岡に車を停めてSLに乗るという人も多いのかもしれません。我々も車を真岡に停めていますが、このまま終点の下館まで乗車します。

真岡駅では9分間停車するので、反対側のホームにまわってSLの写真を撮ることができました。写真では全体が写っていませんが、真岡駅の駅舎もキューロク館と同じように、SLの形をしています。

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 真岡から先も車窓のお花見を楽しみ、終点の下館には15:56に到着。茂木から1時間30分のSLの旅が終わりました。

下館から真岡へ SLもおか号の折り返し快速列車は整理券なしで乗車可能

下館 16:03 ---> 真岡 16:31  快速列車

下館からは車を停めてある真岡に戻らなければなりませんが、次の真岡行きはこのSLもおか号の折り返しの快速列車です。折り返しといってもSLが牽引するわけではなく、SLはそのままに反対側に連結されたディーゼル機関車が客車を引っ張り、下館まで先頭だったSLは列車の最後尾にぶらさがって行くという、ユニークな形で走ります。
この快速列車にはSL整理券も不要で乗車券だけで乗ることができますが、3両の客車のうち2両は締め切りとなり、乗客は下館寄りの1両にしか乗ることができません。われわれはSLもおか号では茂木寄りの車両に乗っていたため、下館に着くと車両を移動しなければなりませんでした。下館での折り返し時間は7分しかなく、車両を移動し、下館から真岡までの乗車券を買いなおしたりしているうちに、あっという間に発車時刻となってしまいました。

下館から真岡までは先ほど通ったばかりではありますが、さきほどとは逆側の席に座ったので、眺める景色も新鮮です。反対列車と行き違いをした久下田駅も、桜並木が見事でした。

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下館からは28分の乗車で終点の真岡に到着。

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車庫に引き上げていくSLを見送り、SLもおか号の旅をしめくくります。

いちご狩りに満開の桜が見えるSLの旅、栃木で過ごした休日は、春を楽しむ最高の1日となりました。


2018年4月 

 

注意: 文中でも紹介しましたが、2020年7月より、SLもおか号の乗車にはインターネット予約が必要になりました。お出かけの方はご注意ください。

SLの乗車方法・運行日カレンダー - 真岡鐵道株式会社 (moka-railway.co.jp)