そこに線路があるかぎり

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夕景の横浜から夜景の東京へ大型客船で 見どころいっぱいの週末限定航路 さるびあ丸の旅 【東海汽船/横浜大桟橋~東京竹芝桟橋】(2019年)

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日本を代表する大きな港である東京港と横浜港。どちらも貿易や物流の重要な拠点となっているばかりではなく、観光スポットとしての顔もあり、それぞれの港のエリア内では観光客向けの遊覧船や水上バスなどが運航されていますが、観光客の行き来も多いだろうはずのそれぞれの港の間を結ぶ船の便は、夏を除く10月頃から6月頃までの土日、東京竹芝桟橋と伊豆諸島を結ぶ客船が横浜に寄港することによって実現する、期間限定の航路のみとなっています。電車に乗れば30分で着いてしまう距離を1時間半もかかけて行くうえ、港の位置もターミナル駅からそれほどアクセスが良い場所というわけではないので、通常の移動手段としての実用性は低いですが、やはり船旅というだけでワクワクしますし、海上から港湾地区の風景を眺められるというのも興味深いものです。
そんな横浜~東京の船旅をご紹介したいと思います。

東京と伊豆諸島を結ぶ さるびあ丸

横浜に寄港し、横浜~東京間で乗船できるのは、東海汽船のさるびあ丸。この船は東京 竹芝桟橋から伊豆諸島を結ぶ航路に就航しており、下り便は東京を夜出発して翌早朝6:00に伊豆大島に到着したのち、その後、利島、新島、式根島を経由して神津島に10:00に到着、折り返し上り便は10:30に神津島を発って往路と同じ島々を逆にたどりながら東京に19:00に戻ってくるというのが基本的なローテーションです。夏季には下り便の東京発時刻が繰り下げ、伊豆諸島各島到着時刻と、戻りの上り便の各島出発時刻、東京到着時刻が繰り上げになります。東京の帰着を早め出発を遅くする理由は、この間にこの船を東京湾納涼船として東京湾内の観光クルーズに運用する時間を捻出するためと思われ、また、下り便の東京発時刻が遅くなるのに各島到着時刻が早められるのは、もともと到着時刻が早くなりすぎないよう時間調整していた余裕時間を詰めているためです。

このように、さるびあ丸は下りが夜行便、上りが昼行便として運航されているので、東京・横浜間の運航時刻は、下り便が東京22:00発、横浜23:20着と少々利用しにくい時間帯であるのに対し、上り便は横浜18:10発、東京19:45着と、横浜で用事や観光を終えて東京に帰るときに利用しやすい時間帯での運航となっています。日の長い時期ならば、暮れ行く東京湾の景色を見るサンセットクルーズを楽しむことができます。

なお、さるびあ丸は2020年6月から新造船が就役しています。

大型客船 さるびあ丸のご案内|伊豆諸島 三宅島・御蔵島・八丈島へ|東海汽船 (tokaikisen.co.jp)

乗船は夕暮れの横浜大桟橋国際客船ターミナルから

東京行きのさるびあ丸は横浜の大桟橋から出航します。大桟橋へは横浜駅からバスで行くことにしました。横浜駅東口のそごうの下にあるバスターミナルから路線バスで18分、大さん橋入口のバス停で降りて徒歩3分ほどで大桟橋国際客船ターミナルに到着します。鉄道利用の場合、大桟橋までは、みなとみらい線日本大通り駅から徒歩7分、JR根岸線関内駅から徒歩15分です。

道なりに進んだところがターミナルの2階入り口で、建物に入って左側に東海汽船のチケットボックスがあり、ここで乗船券を購入します。大人1人につき未就学児1人が無料で利用できますが、未就学児に対しても乗船票が発行され乗船、下船時に人数がチェックされるのは客船ならではといったところ。横浜~東京は最も安い2等運賃で¥1440(2021年5月現在)、もっと上級の席の運賃設定もありますが、1時間半ほどの短い船旅ですし、デッキで景色を見たり、席にいない時間も多いので、2等の乗船券で充分と思います。

出航は18時10分ですが、18時までに乗船口に来るようにと案内されました。曲線とスロープで構成され、床や壁に木材が多用されてぬくもりのある通路を抜けて屋上に出てみると、ちょうど遠くから接近してくるさるびあ丸が見えました。

TOP|横浜港大さん橋国際客船ターミナル (osanbashi.jp)

夕暮れの横浜の景色を楽しめるのは陽の長い季節だけ!

みなとみらいのビル群を背に、さるびあ丸が大桟橋に近づいてきました。くるりと向きを変え、右舷を接岸します。

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接岸すると船体にタラップが掛けられ、まずは横浜で下船する乗客が上陸、そしてそのあと、横浜からの乗客が船内に案内されます。この日、横浜から乗ったのはざっと20~30人といったところ。

18:10に出航。桟橋がだんだん遠ざかり、心地よい海風がデッキを吹きぬけて行きます。船旅の始まりに心躍る瞬間です。船は夕日を背に走って行くので、夕暮れの横浜の景色を楽しむには、船尾から後方を眺めるのがベストと思います。

あべのハルカスができるまでは日本一高い高層ビルだったランドマークタワー、ヨットの帆をイメージしたインターコンチネンタルホテルなどが並び、ビルのシルエットが特徴的なみなとみらい。夕日が沈まんとするのは、ちょうど横浜駅のあたりです。

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この船の運航時刻は冬でも変わりませんので、このような夕暮れの横浜の景色を見ることができるのは日の長い季節だけです。

横浜ベイブリッジをくぐる

ほどなくして、横浜ベイブリッジの下をくぐります。
大黒ふ頭本牧ふ頭を結ぶ横浜ベイブリッジは1989年(平成元年)に開通した長さ860mの斜張橋で、上段が首都高速道路、下段が一般道路の2層構造になっています。
大型の船でもくぐれるようにと設計されたはずですが、今日の船の大型化は当時の想定を超えてしまっていて、昨今の超大型のクルーズ船はベイブリッジをくぐれず大桟橋に着岸できないという問題も生じてしまっています。

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主塔、橋を吊るワイヤー、桁のトラスがシルエットとなり、美しい夕暮れのベイブリッジf:id:nikonikotrain:20190525192311j:plain

ガントリークレーンに製鉄所 京浜工業地帯らしい海からの眺め

 ベイブリッジを過ぎると、右舷に本牧ふ頭のガントリークレーンが見えてきます。こんなにたくさんのクレーンが並んでいるとは、横浜の港が一大物流拠点であることを感じさせられます。

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夕日に浮かぶガントリークレーンは、まるでサバンナに佇むキリンのよう。

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太陽がだんだんと低くなり、風景もいちだんと赤みを増してきました。
左舷には鶴見つばさ橋の主塔と、2本並んだ火力発電所のましかくな煙突が見えます。鶴見つばさ橋首都高速湾岸線の橋で、さきほど見えたベイブリッジから東京方面に少し走ったところにあります。

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鶴見つばさ橋を過ぎると、今度はJFEスチールの製鉄所が見えてきます。斜めに上がってきたコンベヤがつながっているのが高炉だと思いますが、2基あるうち現在稼働しているのは1基、そしてその1基も2023年に休止になる計画です。白い蒸気を吐く高炉の姿も、あと2年ほどで見られなくなってしまうのでしょうか。

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船内レストランで伊豆諸島の味を

デッキでずっと景色を見ていても飽きませんが、少しお腹もすいてきたので船内のレストランへ。落ち着いた照明の広い空間の中で、ひときわ目を引くのが蛍光塗料で描かれた海中の景色。 竜宮城にいるかのような気分で食事ができます。

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レストランは食券制で、シラス丼と明日葉カレー、うどんを注文しました。
明日葉(あしたば)のカレーとは珍しいですが、明日葉は日本原産のセリ科の草で、今日摘んでも明日には芽が出ている、と言うほど生命力が強い植物です。伊豆諸島の特産品で、以前竹芝桟橋売店で生の明日葉を買ったことがありますが、さっと湯がいておひたしにしてもおいしい野菜です。
シラス丼のシラスの産地はわかりませんが、きっとこれも伊豆諸島産、と思っておくのがよいでしょう。

横浜から東京への移動中に、伊豆諸島の味を楽しめるとは嬉しいことです。

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羽田空港に離着陸する飛行機を海上から見る

食事を終えて再びデッキに出ると、ちょうど羽田空港の沖合に差し掛かったところでした。わずかに明るさを残す空に向けて、次から次へと飛行機が飛び立っていったかと思うと、今度は着陸機がやってきて・・・と、羽田空港に発着する飛行機がいかに多いかということを実感します。 

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平行する2本の滑走路から2機が同時に離陸して行くばっちり見えました。

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いろいろな機種、いろいろな航空会社の飛行機がやって来ます。

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 きらびやかな明かりがまばゆい、羽田空港第2ターミナルビル。あのビルの屋上デッキから、海を背に離着陸する飛行機を何度も見たことがありますが、今日は逆に海から飛行機とターミナルビルを見ているというのが、なんとも特別感があっていいものです。

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船旅の締めくくりはレインボーブリッジに東京タワー 

空港の前を通り過ぎてもまだ、滑走路に向かって降りてくる着陸機がよく見えますが、前方に目をやると大井ふ頭のガントリークレーン越しのレインボーブリッジと東京タワーが見えました。この景色は船の上からしか見られません。

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船が進むにつれて、レインボーブリッジの全貌が見えてきます。

f:id:nikonikotrain:20190525201950j:plain右舷に目をやれば、停泊するコンテナ船とガントリークレーン。照明に浮かび上がる夜の港湾の景色がきれいです。

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レインボーブリッジがだいぶ近づいてきました。このあたりからだと、さきほどよりも橋と東京タワーが離れて見えます。f:id:nikonikotrain:20190525202401j:plain

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右舷にお台場のビルを見てレインボーブリッジをくぐるとすぐに終着の竹芝桟橋に着岸。名残惜しいですが、横浜~東京の船旅もこれで終了です。

このさるびあ丸の横浜寄港は、期日限定とはいえ、定期的に運航され気軽に乗れる航路としては、ベイブリッジとレインボーブリッジの両方をくぐる唯一のもの。フォルムが美しい斜張橋と吊り橋を見比べ、夕日、夜景、空港や港湾など、見どころいっぱいの景色が楽しめるさるびあ丸のショートトリップは、週末の夕方を楽しく過ごさせてくれる、最高の船の旅です。


2019年5月