そこに線路があるかぎり

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【長崎県】落ち着ける個室は子連れ家族旅行に最適 おいしい食事に楽しいイベント JR 九州 特急36ぷらす3「金の路」の旅 〔鹿児島本線・長崎本線/博多~長崎〕(2022年)

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JR九州には、他の地域とは一味違ったデザインの列車がたくさん走っています。特に「D&S列車(デザイン&ストーリー列車)」と呼ばれる観光用の列車は、魅力的なデザインと、沿線地域に伝わる歴史や伝説などのストーリーを楽しむ、乗ること自体が忘れられないイベントとなる列車として人気を博しています。
2022年7月、そんなJR九州のD&S列車の1つ、特急「36ぷらす3」に乗車して、博多から長崎までの素敵な列車旅を満喫しました。

36ぷらす3とは

36ぷらす3は、5日間かけて九州を1周する特急のD&S列車です。きっぷはそれぞれの運転日ごとに各停車駅間で個別に発売されるので、5日間続けて乗り続ける必要はなく、旅程に合わせて好きな区間だけ乗車することができます。なお、各日とも日中から夜にかけての運転で夜行運転はなく、車内での宿泊はできません。
コンセプトは「九州のすべてが、ぎゅーっと詰まった”走る九州”といえる列車」で、由布院に行く「ゆふいんの森」、阿蘇に行く「あそぼーい!」など、地域との結びつきが強い印象の列車が多いD&S列車にあって、36ぷらす3は「九州全県」という広域を走る唯一のD&S列車であり(豪華列車として知られる「ななつ星」はツアー列車であり、D&S列車には数えられていません)、他のD&S列車とは違ったスケールの大きな列車となっています。
列車名であり、車両の愛称である「36ぷらす3」とはとても変わった名前ですが、その由来は、世界で36番目に大きな島である九州の全県を走る列車であること、そして、5日間の旅それぞれに7つのエピソードが用意され合計35となるエピソードに、乗客が自らのエピソードを加えて全部で36のエピソードにして欲しいこと、また、その「36」に乗客、沿線地域のみなさん、JR九州の3者、また、驚き、感動、幸せの3つの思いが加わることで、「39」、サンキューという感謝の気持ちを表す、ということから名づけられたそうです。わかったようなわからないような、複雑な話ではありますが、とにかく熱い思いが詰まった名前だと言えそうです。

36ぷらす3の走行ルート

36ぷらす3は木曜から月曜にかけて、週5日の運転です。各曜日で決まったコースをたどりながら、5日間で九州全県を巡ります。それぞれのコースには色でコース名がつけられています。2022年8月現在、各曜日のコースは下記のとおりです。

木曜日「赤の路」:博多⇒鹿児島中央(福岡県、佐賀県熊本県、鹿児島県)
金曜日「黒の路」:鹿児島中央⇒宮崎(鹿児島県、宮崎県)
土曜日「緑の路」:宮崎空港⇒別府(宮崎県、大分県
日曜日「青の路」:大分⇒博多(大分県、福岡県)
月曜日「金の路」:博多⇒長崎⇒博多(福岡県、佐賀県長崎県
()内は通過する県名

完全に一筆書きで九州を一周するわけではなく、金曜日に宮崎に着いた列車が土曜日には少し道を逸れた宮崎空港から出発したり、日曜日に大分から博多に向かう途中に門司港に立ち寄ったり、月曜日は博多と長崎の間を1往復したりということはありますが、九州を反時計回りでまわったのち長崎に行くという、ひらがなの「の」を裏から透かしたような運転ルートになっています。5日間の総距離はおよそ1160㎞におよび、ほぼ環状運転する電車で、夜行列車を除いたものとしては世界一の走行距離なのだとか(JR九州調べ)。

なお、月曜日の長崎へ行くコースは、2022年9月23日の西九州新幹線開業に伴い、目的地が長崎から佐世保に変更されます。2022年9月19日(月)が長崎に乗り入れる最終運行、そして2022年10月3日(月)が佐世保に乗り入れる最初の運行です。なぜ新幹線が開業することで36ぷらす3の目的地が変わるのかというと、いままで特急がたくさん走っていて通過する旅客が多くそれなりの売り上げを上げていた在来線が、新幹線が開業し特急が新幹線に移行することで在来線特急が走らなくなり、ローカル輸送中心の路線となるため、路線の維持コストを下げるために、長崎本線 肥前浜~長崎駅間の架線を撤去し、非電化路線に生まれ変わることになったからです。36ぷらす3は架線から電気をとって走る電車なので、非電化路線を自力で走ることはできません。そこで、同じ長崎県でも電化設備があって電車が走ることができる佐世保を新たな目的地とすることになりました。

同じ曜日でも向きが違う 2周して元に戻る列車の向き

36ぷらす3は、同じ曜日にはいつも同じコースを走りますが、列車の向きは毎週違います。1号車を先頭にして鹿児島中央に向けて博多駅を出た列車は、4日後に博多に戻ってくるときは鹿児島中央寄りの先頭車が6号車になっています。これは、日曜日のコースだけ途中で進行方向が変わるためです。従って、例えば木曜出発の赤の路は、1号車が先頭で出発した次の週の木曜は6号車が先頭、そしてそのまた次の週は1号車が先頭に戻る、というように、前の週とは列車の向きがそっくりひっくり返って運転されます。
そのため、通常は「東海道新幹線ではA席が海側、E席が富士山側」というように、どちら向きに走る列車に乗っても席の列が同じならば見える景色も必ず同じ側になりますが、36ぷらす3では「A席がいつも海側」といったような法則はあてはまりません。
また、イレギュラーが発生したりして予定通りの運行ができなければ、本当は1号車が先頭になる週なのに6号車が先頭になった、ということもあり得るので、きっぷ予約のサイトには「運行上の都合により、先頭号車が予告なく変更となる場合がございます。お座席の眺望はご予約時点で確約できるものではございませんので、あらかじめご了承ください。」と注意書きがあります。

36ぷらす3の車内設備 個室、ビュッフェ、畳敷きの車両も

36ぷらす3は6両編成で、車両はかつて在来線時代の博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)などを結んだ「つばめ」などに使われ、現在でも「かもめ」「にちりん」などに使用されている787系特急型車両を改装したものです。
6両のうち、中央部の3号車がビュッフェ、4号車がロビーのようなマルチカーになっていて、それらの共用スペースを挟むように、1号車、2号車と、3号車の2号車寄り半分くらいに個室、5号車、6号車がグリーン座席という配置になっています。
そのうち両端の先頭車両、個室の1号車と座席の6号車は畳敷きになっていて、デッキから客室に入るときに靴を脱ぎます。両端の車両は他の車両の利用者がビュッフェやマルチカーを利用する際などに通り抜けることがないので、靴を脱ぐ畳敷き車両を両端の車両に設定したのでしょう。

1号車: グリーン個室(畳) 4名用 x 4室 
2号車: グリーン個室    6名用 x 3室 + 車いす対応席 2席
3号車: グリーン個室 2名用 x6室 + ビュッフェ
4号車: マルチカー
5号車: グリーン席 30席
6号車: グリーン席(畳) 27席

計 105席

各車両の共用部分の雰囲気は以下の通りです。

1号車:グリーン個室(定員3~4名)x4室(畳敷き、靴を脱いで利用)

デッキから靴を脱いで畳の通路に足を進めると、足の裏から伝わる畳の踏み心地と、かすかにただよう畳の匂いが心地よいです。
2号車寄りにあるデッキから1号車に入ると、まず最初に左側にある個室が4番A個室。ここは36+3に改造前から個室だった区画です。そのため、他の個室はドアがなく、壁も天井までしつらえられていない開放的なつくりなのに対し、この部屋だけはドアがあり、壁も天井まである、きちんとした個室になっているほか、広さも他の個室よりもやや広いです。ただ、個室を出た通路には外が見える窓がないため、個室の反対側の窓の外が見たいときは窓があるところまで移動しなければならないのが残念です。

左写真が4番A個室前の通路です。左側に部屋があります。部屋を出たところの通路には窓はありません。右写真がその隣の3番A個室前の通路。4番Aと同じく左側に部屋があります。個室と言ってもドアはなく、ドアの代わりにすだれカーテンがついています。

3番A室の先で通路が折れ曲がり、その先の2番D室、1番D室は右側に部屋があります。
折れ曲がる部分の通路にはカーブの先を見通せる大きな鏡がついていました。1番D室の先で再び通路が折れ曲がり、乗務員室に入るドアがあります。それほど見晴らしは良くありませんが、このドアについた窓から前方の景色を見ることもできます。

2号車:グリーン個室(定員3~6名)x3室+車いす用座席 x 1室(靴のまま利用)

2号車は、この列車で最も定員が多い6名個室が3部屋と、車いす用座席が1室あります。すべての部屋は3号車寄りから見て右側にあります。
車いす用座席はカーテンで仕切れるつくり。

個室の壁は天井までつながってはいません。これは1号車の1~3番の部屋も同じです。

通路の突き当りには書棚と小さなテーブル、いすがあり、ここで読書などもできるようになっています。通路の床は模様が美しい木の床です。

3号車:グリーン個室(定員1~2名)x6室+ビュッフェ(靴のまま利用)

3号車は、2号車寄りの半分が個室区画になっていて、通路の両側に2名用個室が3部屋ずつ、計6部屋並んでいます。個室の入り口を仕切るのは布ののれんです。

3号車の4号車寄りの半分はビュッフェ。ここで軽食や飲み物、お土産品などを買うことができます。ビュッフェカウンターの上の天井は丸く窪んでいてやわらなか照明で照らされており、ビュッフェカウンターや床は銅板が貼られ落ち着いた銅色の輝きをみせています。

大型冷蔵庫もあり、お酒など冷たい飲み物も買うことができます。

4号車:マルチカー(靴のまま利用)

4号車は1両すべてがホテルのロビーのような共用スペースになっていて、マルチカーと呼ばれています。乗客誰もが自由に利用できるので、長旅の気分転換をするのにも最適です。
大型モニターが備えられていますが、使用しないときはモニターがある面すべてを覆うドア式の蓋がかぶせられ、そこにモニターがあることなどまったく気づかせないようになっていました。

5号車、6号車:グリーン席(5号車は靴のまま利用。6号車は畳敷き、靴を脱いで利用)

5号車と6号車は個室ではなく開放型のグリーン座席がならんでいます。6号車の運転席側から見て、5号車は左2列右1列の3列シート、6号車は左1列右2列の3列シートです。

6号車は一見して5号車と似た内装ですが、1号車と同じく畳敷きになっていて、デッキから車内に入るときに靴を脱ぎます。

6号車の運転席寄りにはちょっとした畳の広間的スペースがあります。ここには座席も何もない畳だけのスペースになっていて、座席に座りつかれた時の気分転換などに使えそうです。赤いのれんの向こうは運転席で、運転席につながるドアの窓からは運転席ごしの景色を見ることができます。

36ぷらす3の予約方法

36ぷらす3に乗車するには、大きく分けて2つの方法があります。

1. 旅行商品を購入する(食事つきプランのみ)
食事つき旅行プラン(ランチプラン or ディナープラン)を予約して乗車します。(すべての個室と、5、6号車の座席の一部) 乗車駅から降車駅まで、乗車と食事がセットになったパッケージプランを専用サイトから購入します。5日前までの予約が必要です。

2.  通常販売のきっぷを購入する(食事なし)
乗車券、特急券、グリーン券を購入して乗車します。(5、6号車の座席の一部)
特急列車のグリーン席として必要なきっぷを購入して乗車する方法です。みどりの窓口JR九州指定席券売機、インターネット列車予約から購入できます。空席があれば発車直前まで購入可能です。食事はつきません。

ご予約・お問い合わせ | JR九州 | 36 ぷらす 3 (jrkyushu-36plus3.jp)

主な区間の料金は以下の通りです。(2022年8月現在)

博多 9:52 (休日は9:58) ⇒ 鹿児島中央 16:26
ランチプラン(個室) 大人27,700円/こども 23,100円 / こども食事なし 17,100円
ランチプラン(座席) 大人23,000円/こども 17,200円 / こども食事なし 15,900円
熊本からも乗車可能、同料金
2名個室を1名で利用する場合は別途19,000円
こどもだけの利用不可
グリーン席プラン(座席) 大人17,740円/こども13,170円
博多、熊本、鹿児島中央の各停車駅間での利用も可。運賃、料金は各区間ごとに適用される価格。

鹿児島中央 12:17 ⇒ 宮崎 15:46 
ランチプラン(個室) 大人17,600円/こども 15,400円 / こども食事なし 9,400円
ランチプラン(座席) 大人12,600円/こども 10,700円 / こども食事なし 8,200円
2名個室を1名で利用する場合は別途10,000円
こどもだけの利用不可
グリーン席プラン(座席) 大人7,630円/こども5,460円

宮崎空港 11:36 ⇒ 別府 17:05
ランチプラン(個室) 大人21,900円/こども 18,600円 / こども食事なし 12,600円
ランチプラン(座席) 大人16,900円/こども 13,900円 / こども食事なし 11,400円
宮崎駅からの乗車、および、大分駅での降車も可能。上記と同料金。
2名個室を1名で利用する場合は別途14,000円
こどもだけの利用不可
グリーン席プラン(座席) 大人12,230円/こども8,760円
宮崎空港、宮崎、大分、別府の各停車駅間での利用も可。運賃、料金は各区間ごとに適用される価格。

大分 10:48 ⇒ 博多 16:32
ランチプラン(個室) 大人21,000円/こども 18,000円 / こども食事なし 12,000円
ランチプラン(個室) 大人16,000円/こども 13,300円 / こども食事なし 10,800円
別府駅からの乗車、および、小倉駅での降車も可能。上記と同料金。
2名個室を1名で利用する場合は別途12,500円
こどもだけの利用不可
グリーン席プラン(座席) 大人10,240円/こども7,270円
大分、別府、小倉、博多の各停車駅間での利用も可。運賃、料金は各区間ごとに適用される価格。

博多 10:51 (休日は11:06) ⇒ 長崎 15:38
ランチプラン(個室) 大人19,300円/こども 16,700円 / こども食事なし 10,700円
ランチプラン(座席) 大人14,300円/こども 12,000円 / こども食事なし   9,500円
佐賀駅からの乗車、および、肥前浜駅での降車も可能。上記と同料金。
2名個室を1名で利用する場合は別途11,500円
グリーン席プラン(座席) 大人9,360円/こども6,830円
博多、佐賀、肥前浜、長崎の各停車駅間での利用も可。運賃、料金は各区間ごとに適用される価格。

長崎 17:30 ⇒ 博多 21:05
ディナープラン(個室) 大人19,300円/こども 16,700円 / こども食事なし 10,700円
ディナープラン(座席) 大人14,300円/こども 12,000円 / こども食事なし  9,500円
肥前浜駅からの乗車、および、佐賀駅での下車も可能。上記と同料金。
2名個室を1名で利用する場合は別途11,500円
グリーン席プラン(座席) 大人9,360円/こども6,830円
長崎、肥前浜、佐賀、博多の各停車駅間での利用も可。運賃、料金は各区間ごとに適用される価格。

36ぷらす3 こどもの利用は?

食事つきプランの場合、こどもの乗車料金が発生するのは、小学生以上(旅行開始日基準=実質乗車日基準)です。子供は「食事あり」「食事なし」の選択ができます。「食事あり」の場合は、大人と同じ食事が提供され、「食事なし」だと36ぷらす3のオリジナルグッズがつくそうです。乳児、幼児への食事のみの提供は行わないとのことなので、あくまでも有償で乗車している頭数の食事が提供されるのが原則、ただし子供については食事なしも選べます、ということになります。
グリーン席プランの場合は、通常の特急列車としての利用ルールと同じなので、小学生以上は1席購入が必要ですが、小学校入学前の乳児、幼児は、同行の有償旅客(大人もしくはこども)と1つの席を共用するならば運賃、料金は不要ですが、乳児、幼児が同行の有償旅客と別に1つの座席を利用する場合は、こどもの運賃、料金がかかります。
運賃、料金については、よろしければこちらもご参照ください。

sokonisenro.net

 

 

36ぷらす3 月曜日コース「金の路」で長崎へ

博多駅改札口で参加メールを見せて入場

2022年9月19日をもって最終運行となる36ぷらす3の長崎ルートに乗車しました。今回予約したのは食事つきのプランで、博多⇒長崎の36ぷらす3乗車と食事がパッケージになっています。予約はインターネットの専用サイトで行い、メールで送られてきた行程表をスマホの画面に表示したものを有人改札で提示して改札口の中に入ります。特に紙のきっぷなどが発行されたりするわけではなく、チケットレスで乗車できます。

36ぷらす3 長崎行は6番線からの発車です。旅行商品だけではなく、通常のきっぷで乗れる席もあるので「団体」などではなく「特急36ぷらす3」と表示されています。「36ぷらす3」と「長崎」の組み合わせも、9月19日まで。

輝く漆黒の車体が印象的な36ぷらす3

10:30、門司港寄りから36ぷらす3がゆっくりとホームに入って来ました。

漆黒の車体はピカピカに輝いていて、風景を映しています。787系は1992年から2002年にかけて製造された車両で、デザインはもう30年も前のものですが、今見てもかっこいいデザインだと思います。フランスのTGVをオマージュしたという話も聞いた事がありますが、なるほど、確かにTGVを思わせるデザインです。

博多駅6番線で発車を待ちます。

先頭車両の停車位置は頭上に屋根があり少し暗くなっています。闇の中にライトだけが浮かび上がり、恐竜か大蛇のようにも見えます。

1号車は窓がないゾーンが広く、ひときわ大きな装飾が施されていました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

プラレール JR九州787系 36ぷらす3
価格:2199円(税込、送料別) (2022/9/8時点)


 

木のぬくもりと伝統工芸を感じる個室

乗車したのは6人用個室です。窓には障子、広いソファと大きなテーブルがあり、旅の期待感が高まる内装。

通路や隣室との仕切り壁は屋根までは達しておらず、部屋の入り口もドアはなく開放されていて、目隠ししたいときはすだれを下ろす仕様。個室と言っても密閉された窮屈な感じはありませんが、その反面、大きな声でしゃべると隣の部屋に聞こえてしまうところもあるので、公共空間としての常識的な配慮と相互理解が求められるかと思います。

コンセントも完備されていました。

座席の下には荷物が置ける箱と、足置きが用意されていました。この足置きを使って、靴を脱いでゆっくりくつろぐこともできます。これらを引き出したあとの座席下は結構広い空間になっていて、厚みがないスーツケースも入れることができました。なお、ここに収納できない大きなスーツケースなどは、アテンダントさんにお願いし、車内の荷物置き場に預かってもらうことができます。

お見送りを受けて博多を出発

10:51、長崎に向けての36ぷらす3の旅が始まりました。ホームではJRの社員さんたちが旗を振ってお見送りしてくださっています。

アテンダントさんが部屋に来て、旅程と車内の説明をしてくれました。

ガイド冊子、マスクケース、乗車記念証、787系30周年記念絵葉書を頂きました。36ぷらす3の小さなシールは、乗車中の参加者章としてマスクなど目立つところに貼るものです。

運転停車を繰り返しながら鹿児島本線を南下

長崎行の36ぷらす3は、博多から佐賀県鳥栖まで鹿児島本線を走り、鳥栖から長崎本線に入ります。博多を出て快調に鹿児島本線を走り出しましたが、博多から3駅目の南福岡でしばらくの間停車。ドアは開かず、時間調整など運転上の理由で停車する「運転停車」です。

南福岡を出てからもいくつかの駅で運転停車をしながら走って行きます。

デッキも、ちょっとしたアートな空間になっています。

豪華なランチはボリューム満点

11:30をまわったころ、待ちに待ったランチが配膳されました。この列車の車内に調理設備はなく、お店で調理されたお弁当なので常温ですが、お味噌汁はあたたかいもの。ドリンクはファーストドリンクだけ食事代に含まれており、日本酒、ロゼワイン、柑橘ジュース、お茶から選ぶことができます。子供向けに柑橘ジュースを頼んでみたところ、酸味と苦みが食欲を掻き立てる本格的な柑橘ジュースで、残念ながら子供の口には合わず、私がおいしく頂きました。

2段重ねの御重に入ったお弁当はボリューム満点。

見た目に美しく食べておいしい、とても素敵なお弁当です。

列車は鹿児島本線長崎本線が分岐する鳥栖駅運転停車。ふと隣のホームを見ると、JR九州のD&S列車の中で、車内で本格的な食事が楽しめる列車として36ぷらす3と双璧をなす「或る列車」の姿が。「或る列車」は博多と由布院を結んでおり、10歳未満の子供は利用できない、大人向けの列車です。大人一人の料金はフリードリンク食事つきで29,000円からと、36ぷらす3よりもお高めになっています。

鳥栖からは長崎本線に入り、田んぼの緑がまぶしい佐賀平野を走ります。

佐賀では13分停車 ホームでスタンプ押印と記念撮影を

12:07、列車は佐賀に到着しました。佐賀は36ぷらす3の「停車駅」になっていてドアが開き、12:20の発車まで13分間停車します。

発車は12:20。あとから来た佐世保ハウステンボス行特急みどり・ハウステンボス9号に道を譲ります。

ホームでは乗車記念スタンプが捺せるほか、パネルの横で記念撮影もできます。

佐賀駅に並んだ列車たち。左から唐津線西唐津行普通、特急みどり・ハウステンボス9号、36ぷらす3。

肥前浜では54分停車 街道の古い町並みを散策

佐賀を出て40分少々で肥前浜駅に到着。ここでは13:04から13:58の54分間という長い停車時間がとられていて、駅から徒歩10分ほどの肥前浜宿の古い町並みを散策することができます。

駅ではゆるキャラがお出迎え。真夏の昼過ぎの一番暑い時間帯、直射日光の当たるホームで愛嬌を振りまく姿には敬意しかありません…

駅前にはテントがならび、物産の販売などが行われています。駅舎内にはHAMA BARという日本酒バーも併設されています。

散策希望の乗客は地元ガイドさんの先導に続いて、肥前浜宿へ。

佐賀平野でとれる米、多良岳の伏流水、物流の拠点となる港町という条件がそろい、浜では古くから酒造りが盛んだったそう。

駅前からまっすぐ続く道には漬物屋さんや酒蔵などが並んでいます。

 

 

 

駅からおよそ400mほど歩くと、「酒蔵通り」と呼ばれる道に突き当たります。

ゆるやかにカーブする細い道の両側に古い建物が並ぶ酒蔵通りはとても趣があり、散歩欲をかりたてられます。

醤油の醸造所もありました。店頭ではここで醸造された醤油を買うことができます。

停車時間が54分では、駅からの往復にかかる時間を考えると、酒蔵通りを散策できるのはわずか15分か20分ほど。なんとももどかしいですが、酒蔵通りをほんの少し散策しただけで駅に戻ります。「本当はもっとゆっくり歩いてもらいたいところだけど、まずはこういう素敵なところがあるよ、という事を知ってもらって、また今度ゆっくり訪れてもらえたら」と地元ガイドさんがおっしゃっていました。

肥前浜のホームで36ぷらす3を眺める

町並み散策から駅に戻り、まだ発車まで時間があったので、反対側のホームから36ぷらす3を眺めてみます。

2022年9月23日の西九州新幹線開業と同時に、ここ肥前浜から先、長崎までは電化設備が撤去され、電車が走れなくなってしまいます。36ぷらす3もこの先の区間が走れなくなってしまうので、目的地が長崎から佐世保に変更されますが、肥前浜への立ち寄りは継続されることになっており一安心です。
肥前浜は佐賀県鹿島市というところにありますが、茨城県鹿島町が市に昇格するとき、すでにここに鹿島市という市があったため、重複を避けるために島を嶋に変えて、茨城県鹿嶋市という表記になりました。
このあたりは「肥前~」と、肥前のつく駅名が7駅も連続します。

発車の時刻が近づき、駅前の人影も少なくなってきました。
町並み散策と列車見物ですっかり時間がなくなってしまい、駅前の物産品をゆっくり見ることができなかったのが心残りですが、無料で参加できる利き酒で3品中1品的中となり、記念品をいただくことができました。

肥前浜宿(ひぜんはましゅく) | 鹿島市[佐賀県] (saga-kashima.lg.jp)

有明海に沿って走る

肥前浜から先は、車窓から有明海が良く見えるようになります。

肥前シリーズ駅名7連続の最後を飾る肥前飯田駅でも運転停車

有明海は干満差が日本一と言われ、その差はおよそ6mもあるそうです。通過したのはちょうど潮が引いているときで、船はすっかり砂の上に置いてあるような状態でした。

ムツゴロウがペタペタと砂の上を這っているのが見えやしないかと目を凝らしますが、もちろんそんなものが見えようはずもありません。

このあたりの竹崎地区近海でとれるワタリガニは竹崎カニと呼ばれ、日本一の干満差の干潟が育む豊富なプランクトンや小動物を食べているのでおいしいのだそうです。

単線区間なので、行き違いや追い抜きののための停車も多くありました。

向こう岸に雲仙の山並みが見えてくると諫早湾です。

諫早湾の湾奥の締め切って行われている干拓事業は、一時環境問題として大きな話題になりました。その締め切り堤防の水門が見えます。

締め切り堤防の水門が近くなってきました。

ゆえ、と、おえ、並んだ駅名がなんともユーモラスに思えてきます。ちょうどこの湯江駅あたりが干拓の締め切り堤防があるところです。地図を見れば諫早湾は次の小江あたりまで続いていますが、堤防の内側のこのあたりは、どんどん乾いているのでしょうか。そもそも諫早湾は治水のため600年以上も前から干拓が繰り返されているそうで、小江の先の田園地帯ももともとは諫早湾だったと見えます。

4号車マルチカーで旅のラップアップ

諫早が近くなってきたところで、4号車で旅のまとめのミニイベントが始まりました。イベント実施の車内放送に誘われてマルチカーに座ると、この月曜日コースのテーマ、「金の路」にまつわる7つのエピソードが紹介されます。これらのエピソードはいままでの道中ところどころで1つずつ車内放送で紹介されていましたが、ここで改めてまとめて紹介してくれるようです。

アテンダントさんがひとつひとつ、エピソードを丁寧に説明してくれます。

7つのエピソード紹介が終わると、乗客から寄せられた「36番目のエピソード」の紹介がありました。この乗客のエピソードはビュッフェにあるカードに記入してアテンダントさんに渡すと、このエピソード紹介イベントか、長崎到着前の車内放送で紹介してくれることになっています。乗客の思い出に残る、温かい良いイベントだと思います。

マルチカーでのイベントが終わると、終着長崎はもうすぐ。緑の山並みを見ながらラストスパートです。

マルチカーにひっそりとしつらえられている燕の細工。

坂の多い長崎の町の中に入って来ました。

15:38、もうほぼ完成している新幹線のホームを見ながら、終着の長崎に到着しました。

黒い36ぷらす3の向かいには、白いかもめが停まっています。このホームも9月23日以降は長い編成の特急用車両は見られなくなり、短い編成のローカル列車が発着するだけとなってしまいます。

ローカル用車両、YC1系とならぶ36ぷらす3。YC1系のデザインについては好き嫌いが分かれるところ。顔の縁に並ぶ小さなライトは以前は点灯していましたが、省エネのためか、いまはもう点灯しないそうです。

終着駅らしい車止めの向こうには、長崎らしい海と山の風景が広がります。

白いかもめが博多に向けて出発していきました。

少し高くなったところにある新幹線ホーム。

長崎駅は、もともと地上にあった駅でしたが、その地上駅の奥にあった車両基地のスペースに新しい高架駅を作り、もともとあった地上駅部分が絶賛再開発中のため、いまの高架駅からメイン出口側の駅前に出るまでは長い通路を歩く必要があります。

長崎の町を少しだけ歩く

今日は夜の飛行機で帰る予定ですが、せっかくなので市内電車に乗って、少しだけ長崎の町を歩いてみたいと思います。

大浦天主堂を見て細い坂をさらに上がって行くと、海の見晴らしが良いところに出ました。本当はこの先にあるグラバー園を見学しようと思ったのですが、暑さと坂歩きで疲れてしまい、このまままた市内電車で長崎駅に戻ることに。

街角に設置された斜行エレベーターは長崎らしい乗り物です。

長崎駅からバスで長崎空港へ。空港は大村湾の上にあり、空港島へ渡る橋からはきれいな夕日が見えました。

素敵な内装の列車でおいしいランチを食べ、温かいおもてなしと美しい景色を楽しむことができる36ぷらす3の旅は、家族でゆっくり過ごすことができる個室利用だったことも相まって、子供の楽しい夏休みの1ページとなりました。

 

2022年7月