そこに線路があるかぎり

鉄道旅も、そのほかの旅も。子供と出かけた休日のこと、まち歩き、山歩き、グルメ、温泉、観光情報。国内・海外 紀行ブログ。

【神奈川県】小田急線の子供のIC運賃はどこまで乗っても50円 ロマンスカーで行く 相模湾を一望する絶景のみかん狩り農園(2022年)

スポンサーリンク

通常、鉄道の子供運賃は大人の半額という設定のことが多いですが、なんとどこまで乗っても50円均一という驚きの子供運賃が設定されている鉄道があります。小田急電鉄です。
新宿から西へ路線を延ばし、箱根や江の島と言った観光地へのアクセス路線としても知られる小田急電鉄では、2022年3月12日から子供のIC運賃(正式な呼び名は「小児IC運賃」)を全線50円均一に設定しました。この小児IC運賃は、短期的なキャンペーンなどではなく、期間も定められていない恒久的なものであるというのが嬉しいところ。
そんな小田急線の子供IC運賃50円の恩恵にあずかり、ロマンスカーに乗って海の見えるみかん園でのみかん狩りを楽しむ日帰り旅行に出かけました。

小田急線の小児IC運賃は50円均一 紙のきっぷの場合は適用外

小田急電鉄では2021年11月に「子育て応援ポリシー」を掲げ、子育てしやすい沿線環境の実現に向けて取り組んでいますが、そのひとつとして打ち出されたのが「小児IC運賃50円」という運賃の設定です。2022年3月から始まったこの小児IC運賃は、従来は初乗りでも63円、最高区間では445円だったものが、どの区間でも一律50円になるという大変思い切った施策で、新宿からすぐ隣の南新宿まで0.8㎞の区間に乗っても、一番遠い小田原まで82.5㎞の区間に乗っても、どちらも50円という驚くべき価格です。

なお、小児運賃が50円になるのは小児用ICカードを利用したときだけで、紙のきっぷを利用した場合の小児運賃は、従来通り大人の半額となります。

小児用ICカード購入には身分証明書の提示が必要

小児用ICカードは、駅の窓口などで購入することができます。購入時、子供の身分証明書を提示する必要があるため、自動券売機などでは発行できず、窓口など対面の販売になります。発行される小児用ICカードは記名式で、その子供本人しか使用することはできません。また、SUICAPASMOなど種類を問わず原則1人1枚しか発行されないそうなので、SUICAにするか、PASMOにするか、よく考えて利用しやすい方を購入しましょう。

小児用ICカードは小学校卒業年の3月31日まで(=12歳になって最初に迎える3月31日まで)有効です。

小児用ICカードを使ってみかん狩りに行こう

秋も深まり、みかんがおいしい季節になってきました。我が子はみかんが大好きなので、休日に家族でみかん狩りに行ってみようと思い立ち、せっかくなので小田急線を利用して行けるところを探してみると、小田原の少し先に、海を見ながらみかん狩りができる景色の良い農園があったので、そこに行くことに決めました。

小田急で小田原に行くなら、やっぱりロマンスカーに乗りたいもの。小田急では、大人か小児の運賃を払っている人1人につき、一緒に乗車する幼児(未就学児)は2人まで運賃が無料になりますが、その幼児がロマンスカーの座席を1人で1席使用する場合は、幼児でも小児用特急券と小児運賃が必要になります。幼児が特急の座席を利用せず、運賃を払っている大人や小児と1つの座席を共有したり、ひざの上に座ったりするならば、その幼児分は運賃も特急料金も不要です。
新宿から小田原までは1時間以上かかりますし、隣の席に他の乗客がいらっしゃるかもしれません。幼児といってもそれなりに大きな子供であれば、やはり座席を1席確保しておけるならば安心です。そこで、未就学児もロマンスカーの座席を利用することにしました。運賃支払いはもちろんICカードで、ということで、ロマンスカーに乗る前にJRのみどりの窓口に立ち寄り、申込用紙に記入し、身分証明書として保険証を見せて、念のため本人も一緒に立ち会わせ、小児用SUICAを購入。最も安い購入金額となる、500円デポジットと500円分チャージの合計1000円を支払って小児用SUICAが発行されると、子供も目をキラキラさせて喜んでいました。小学校に入るまでは、実質的には特急乗車時専用となるので使用機会は少ないですが、やっぱり自分で改札口で「ピッ」とやれるのが嬉しいようです。
なお、小児用ICカードとして今回はSUICAを選びましたが、もちろんPASMOでも問題ありません。

展望席がある数少ないロマンスカーGSEで小田原へ

新宿 11:20 ---> 小田原 12:41 小田急線 特急ロマンスカー はこね5号

乗車するロマンスカーは展望席のあるGSE小田急ロマンスカーと言えば展望席というイメージですが、いまや展望席がある編成はGSEだけ。GSEは2本しかないので、展望席に乗れるチャンスもおのずと限られてしまいます。この日も前展望席はもちろん、後ろ展望席も満席でした。

新宿駅に停車するGSE。大きな前面ガラスを通して車内が良く見えます。

窓が大きく天井も高いので、車内はとても広々としています。座席上に荷物棚がないので、大きな荷物は入口近くの荷物置き場を利用します。

新宿を出て住宅街の中を走り、多摩川を渡って神奈川県へ。

はこね5号の最初の停車駅は新百合ヶ丘。後ろ展望から見た駅の風景です。展望席に座っていなくても、普通の客席からでも見晴らしは抜群。ここで隣に停車する各駅停車を追い越します。

相模川を渡ると本厚木に到着です。本厚木はライフルホームズが調査した首都圏で借りて住みたいランキングで2021年、2022年の2年連続で1位になりました。

伊勢原のあたりでは、田園の向こうに小田急沿線の見どころのひとつ、大山(おおやま)が見えます。(写真右側の山)

渋沢を過ぎると列車は清流に沿ってカーブを繰り返して走って行きます。この川は最初は四十八瀬川という川ですが、渋沢と新松田のちょうど中間あたりで中津川と合流し、川音川と名前を変えます。

このあたりは景色が良く、ロマンスカーのCMや広告写真などでよく見かけます。

東名高速をくぐり川音川を渡ると間もなく新松田を通過。

新松田を過ぎると酒匂川(さかわがわ)を渡ります。鉄橋の上からは富士山がよく見えますが、今日はあいにく山頂は雲をかぶっていました。
ついさきほど渡った川音川も、この少し下流で酒匂川に合流します。

酒匂川に沿った平野を走り、小さな車庫のある足柄を通過すると、小田原はもうすぐ。

右にカーブしながら新幹線の下をくぐり、小田原駅に入って行きます。

はこね号はこの先箱根登山鉄道に乗り入れて箱根湯本まで走りますが、我々は小田原で下車。

小田原駅のホームと改札内コンコースは、外の光が入る高い屋根で覆われていて明るい雰囲気。

新宿から特急で1時間20分乗っても、小児運賃は50円。なお、運賃のほかに小児特急券500円を買っていますので、新宿から小田原まで子供1人あたり550円で来ることができました。(特急券は紙のきっぷを購入。チケットレス特急券なら小児1人あたり30円安くなります)

小田原から東海道線で2駅 海が見える根府川駅

目指すみかん園は小田原からJR東海道線に乗り換えて2駅、根府川(ねぶかわ)にあります。

小田原の東海道線下りホームで列車を待っていると、上りのホームを豪華列車「四季島」が通過していきました。

小田原から乗った東海道線下り列車が次の早川を過ぎると進行方向左手に海が。このあたりは東海道線でも景色のいい区間として知られています。

岩に当たって砕ける波がはっきり見えるほど海に近い崖の上に出ると、目的地の根府川駅に到着です。

根府川は海を見下ろす無人

根府川駅を出発する東海道線下り普通列車熱海行。この先、真鶴、湯河原、熱海と、観光地として知られる駅が続きます。

相模湾を見下ろすホーム。金網の向こうに見える線路は保線車両用のもので、旅客列車はこの線路には入りません。この線路に停車したら、障害物もなく車窓から思う存分海の眺めが満喫できそうなのですが。

ホームには野生のサル注意の看板が。右下のイラストの巨大なサルは恐怖を感じさせ、気をつけなければという気になります。

駅舎へと続く跨線橋からみた根府川駅。手前が東京方面の上り本線、上りホームの対面には上りも下りも入れる待避線があり、その向こうの片面ホームが熱海方面の下り本線で、3つの乗り場があります。普通列車に乗ると、時々この駅で特急の通過待ちをすることがあり、その時は普通列車は真ん中の待避線に停車します。また、かつて元日に運転されていた熱海初日の出号は、この駅で停車中の車内から初日の出を見ることができたそうです。初日の出を見に行くと寒さとの戦いになるので、暖かい列車の中から見ることができるのはとても良いのではないかと思いますが、いつの間にかこの臨時列車の運転もなくなってしまいました。

根府川の駅舎はさわやかなブルー系で塗られた木造駅舎。ここは無人駅で、簡易IC改札機が置いてあります。下車の際は忘れずにタッチしましょう。

狭い駅前広場にはバスが2台停まっていて、それらに乗るお客さんで賑わっていました。1台は美術家の杉本博司さんという方が手掛けた美術館である江之浦測候所への送迎バス、そしてもう1台はヒルトン小田原リゾート&スパの送迎バスです。

根府川駅からオーランジェ・ガルデンまで歩く

これから向かうみかん狩り農園は「オーランジェ・ガルデン」というところ。

神奈川県小田原市|みかん狩・果樹園|オーランジェ・ガルデン (orange-garden.net)

ウェブサイトを見ると、みかん狩りの時期は根府川駅への送迎をしていただけるようですが、せっかく景色の良い場所ですので歩いて行ってみることにします。駅からはおよそ1㎞、徒歩20分ほどのようです。

駅を出て目の前を走る県道740号線を左にすすみます。ここは歩道がないので、子供にも充分注意を払って歩きます。

 

駅から200m少々、関所跡入口バス停の先にある片浦小学校の案内の方向に、右に戻る形で折れます。この先は車もほとんど通らない道なのでひと安心です。

すぐに道が二手に分かれますが、左の坂を登って行きます。

目指すオーランジェ・ガルデンは「オレンジ橋」のたもとにあります。この看板によれば、根府川駅からオーランジェ・ガルデンへは940mの道のりということです。

坂を登って行くと東海道線の赤い鉄橋が見え、ちょうど特急踊り子号が通過していきました。この鉄橋は白糸川橋梁といい、かつては海をバックに走る列車の写真が撮れる東海道線の有名な撮影地でしたが、谷を走る風が強く、強風による速度規制が行われることも多い列車運転上のネックであったことから線路の両脇に風防柵が設置され、列車の姿が半分以上隠れてしまうようになってからはあまり撮影には向かなくなりました。

さらに坂を登って行くと、鉄橋が良く見えるようになってきました。列車写真は撮りづらいものの、海をバックに架かる赤い鉄橋は、風景としては変わらず美しいではありませんか。

もう12月に入っていますが、このあたりは紅葉もまだこれからといった感じです。この日の気候もとても暖かでした。

木の隙間から東海道新幹線の線路が見えるスポットが。少し待っていると上りの新幹線がトンネルを抜けてやってきました。

目的地近くにあるオレンジ橋が見えてきたところに分かれ道がありますが、ここはいったん橋から離れる左方向、道標では「ヒルトン小田原リゾート&スパ」と書かれた方向に進みます。

景色を楽しみながら歩いて行くとみかん畑が見えてきましたが、ここは目的地ではありません。色づき始めた木々のグラデーションがきれいです。

広い道に出たらその道を右へ。曲がるとすぐに、オレンジ橋と、その手前にある「オーランジェ・ガルデン」の看板が見えてきます。

オーランジェ・ガルデンのみかん狩りは園内食べ放題で大人400円

オレンジ橋のたもとにあるオーランジェ・ガルデン。車で来た場合は、ここに専用の駐車場もあります。

みかん狩りは大人(中学生以上)400円、子供(小学生)200円。園内食べ放題で、持ち帰る場合は1ネット500円。土日祝日は1回60分の時間制限があります。
受付で料金を支払うと、収穫用のハサミと、持ち帰り用ネット、そして園内で食べた皮を入れるビニール袋を頂きました。

みかん園は道路の反対側の山にありました。

みかん園内のメイン通路に沿った木にはみかんが少なく、もうあまり残っていないのか・・・と思いましたが、一歩中に踏み込めば、メイン通路に面していない部分にはたくさんのみかんが実っていました。

振り返ると相模湾が見えます。この美しい風景を見ながらみかん狩りが楽しめるとは、なんと素敵な休日でしょうか。

何という品種かわかりませんが、このとき収穫できたのはよく見るみかんよりも大振りなものでした。日当たりの良さそうなところに実っているものをチョキンと切り、さっそく剥いて食べてみると、味が濃く、食べ応えがあるおいしいみかんです。

この風景もまたごちそうです。

あまりみかんの実り方を意識したことはありませんでしたが、3つくらいがまとまって同じところに実っていることが多いようです。

すっかり葉っぱに隠れていますが、よくみればこんなお友だちも。クダマキモドキでしょうか。幼き頃図鑑を眺めていて、その意味のわからぬ名称と語感の良さに妙に脳裏に焼き付いていたクダマキモドキ。

農園のすぐ上にはヒルトン小田原リゾート&スパの建物が見えました。確か昔はスパウザ小田原と言って、簡保の宿か何かだったと思いますが、そのころに日帰り入浴で1度来たことがありますが、水着で入れる広い温泉プールが楽しかった記憶があります。
ここに宿泊して、ちょっとオーランジェ・ガルデンでみかん狩りを、というプランも良さそうです。

見晴らしの良いベンチで もぎたてのみかんを

農園内にはところどころにテーブルやベンチが置かれており、景色を楽しみながらもぎたてのみかんを食べることができます。

暖かな陽射しを浴び、こういうベンチでゆっくりするのもいいものです。60分の時間制限と聞いて、みかんを食べるだけなら60分あれば充分すぎるかと思いましたが、景色を楽しみながらとなると話は別です。60分で出るのがもったいなくなるような、居心地のいい空間でした。

農園内は、新幹線や東海道線の列車が走る音が聞こえるものの、木々に視界を阻まれれてなかなか姿を見ることができなかったのですが、ピンポイントで列車が見える場所を発見。特急踊り子号が走り去って行きました。

踊り子号も今やすっかり世代交代を果たし、ブルーの車体のサフィール踊り子号や通常の踊り子号も見慣れたものとなりました。わずか2年前に伊豆に行ったときにお世話になった列車たちが懐かしく思えます。

sokonisenro.net

sokonisenro.net

ネットいっぱいに詰めたみかんを持って小田原に戻る

たくさんのみかんを食べておなかがいっぱいになり、持ち帰り用のネット2つにパンパンにみかんが詰まったところで、ちょうど入園から1時間となったので、帰ることにしました。受付でハサミを返し、持ち帰り料金を払うと、駅まで送りますと言っていただいたのですが、またあの景色の良い道を歩きたかったので、お礼をいいつつ送迎は辞退しました。

新幹線と東海道線は、すぐ近くを走っています。

東海道線の鉄橋が見えるところで、ちょうど列車がやってきました。太陽が陰って海の色が白くなってしまってしまいましたが、色づいた木々と赤い鉄橋が良い絵になります。

根府川駅に戻って来ました。急な下り坂が続き、足への負担が少々・・・。日ごろの運動不足を反省です。
駅舎の向こうに海が見える、とても景観の良い駅です。

入場時もICカードのタッチを忘れずに。

先ほど見えた赤い鉄橋を渡って上り普通列車がやってきました。

小田原城を見学

小田原に戻ったら駅のコインロッカーに荷物を預け、小田原城へ。駅を出て右に進めばすぐにお城が見えてきます。駅からお城までは歩いて10分ほど。

天守閣は復元されたもので、中は博物館になっています。

展示を見ながら階層を1階ずつ上り、最上階からは展望を楽しむことができます。さきほどみかん狩りをした方面の景色。

箱根側を見ると、夕陽に後ろから照らされた二子山が。

新幹線が走ってくるのも見えました。

すぐ近くに目をやれロマンスカーGSEが箱根湯本に向けて走り去って行きました。

カーブを曲がり新幹線をくぐるGSE

小田原駅の方角には、丹沢の山々が見えます。

小田原駅には東海道線小田急線の車両が停まっているのが見えました。

小田急車両がこちらに向けて走って来ました。車両は小田急でも、走っている路線は箱根登山線です。

帰りはロマンスカーEXEで

お城を見学した後は小田原の駅ビルで夕食を食べ、ふたたびロマンスカーで新宿に帰ります。行きとは違い、帰りはEXEでした。EXEは内外装のリニューアルが進められており、すべてのEXEが施工対象となっていましたが、計画が変更され、一部は以前の仕様のまま残ることになりました。このとき乗車したのはリニューアルされていない編成でしたが、陳腐さなどはまったく感じない、清潔で快適な列車でした。

ゆったりとしたシートでうとうとしているとあっという間に新宿に到着。

 

小児IC運賃50円の小田急線で出かけたみかん狩りは、列車を楽しみ、景色を楽しみ、そして味覚を楽しむ、充実した楽しい休日になりました。子育て世代の強い味方となる小田急線で、また家族で楽しい休日を過ごしてみたいと思います。

 

2022年12月