岩手県花巻市の西側には、古くから湯治場として栄えた、いくつかの魅力的な温泉地があります。そんな中でも、渓流沿いの露天風呂が有名な大沢温泉に宿泊し、翌日は日帰り入浴で、深い立湯で知られる鉛温泉に訪れてみました。
- 大沢温泉 山水閣に泊まる
- 大沢温泉のお風呂めぐり
- 築200年の風格ある木造建築 湯治屋
- 混浴露天風呂の大沢の湯 女性の利用は…?
- 夕食は お食事処やはぎで
- 家族風呂は無料で利用可能
- 朝食は種類豊富なバイキング
- 鉛温泉 藤三旅館で日帰り入浴
- 白猿の湯は11:00からが女性専用
大沢温泉 山水閣に泊まる
大沢温泉は一軒宿の温泉です。ここは花巻で生まれ育った宮沢賢治や、戦時中に花巻に疎開していた高村光太郎も訪れたというお湯で、特に川沿いの露天風呂は観光案内などでもよく見かける有名なものです。
大沢温泉へは花巻駅から車で20分ほど。路線バスや、宿泊客用の送迎バスもあります。
花巻市街から県道12号花巻大曲線を走って20分ほど、右側に「ゆ」の字の看板が見えてきます。この看板は相田みつをさんが揮毫されたそう。
目の前には路線バスの大沢温泉バス停が。路線バスでのアクセスもよいところです。
この看板の手前を右手に坂を下りていくと、坂の途中の右手に旅館部の「山水閣」、坂を下りた正面に「湯治屋」があります。駐車場は、坂の途中の左手と、山水閣の玄関を超えた右手に。
風格のある湯治屋の木造建屋。
山水閣は近代的な建物です。
山水閣のロビーは、明るく大きな窓から渓流を見下ろすことができます。
今回は、1泊朝食つきプランを予約。チェックインしてお部屋に入ると、なんとすでに布団が敷いてありました。どうせすぐに着替えてお風呂に行くつもりですし、湯上りに布団にゴロンとするのは最高に気持ちがいいので、これは嬉しいです。お部屋は、トイレとお風呂がついていました。お風呂は温泉ではないそうですが、まだオムツのとれないお子さまづれの旅行などでは重宝しそうです。
部屋の窓から見下ろすと、眼下に豊沢川の流れが。
大沢温泉のお風呂めぐり
さっそく浴衣に着替えて、陽が落ちる前にお風呂めぐりにでかけるとしましょう。
大沢温泉には3か所の建物に、計7カ所のお風呂があります。
<山水閣>
山水の湯 男女別内湯(山水閣宿泊客のみ利用可)
家族風呂(山水閣宿泊客のみ利用可)
豊沢の湯 男女別半露天(冬季は内湯)
<湯治屋>
大沢の湯 混浴露天
薬師の湯 男女別内湯
かわべの湯 女性用露天
<菊水館> 冬季休館
南部の湯 (閉鎖中)
日帰り入浴 湯治屋で受付 7:00~20:30
大人700円 子供400円
利用できるお風呂は、湯治屋の3か所と、豊沢の湯
築200年の風格ある木造建築 湯治屋
まずはなんといっても有名な大沢の湯に入ろうと、山水閣から湯治屋へ。この2つの建物は館内でつながっていますが、湯治屋に入るとそこは湯治場の世界。築200年という木造建築が現役で使われていて、積み重ねられた圧倒的な歴史に、そこにいるだけで何とも言えぬ感覚になります。
帳場の隣の畳敷きの待合所には、ひな飾りが。
売店には土産物のほか、食料品や調味料なども売られており、湯治場らしさを感じます。
湯治屋にはところどころに案内表示があります。
廊下を進んでいくと中庭が見えました。湯治屋は何棟かの木造建築がつながったつくりになっています。
渡り廊下や階段が複雑に絡み合い、迷路のような面白さです。
山水閣から大沢の湯までは遠く、果たしてこの道で合っているのか・・・と不安になったところに、露天風呂まで55mの看板があり安心しました。
共同炊事場があり、湯治屋に宿泊するとここで料理ができます。
川の大河ねにある菊水館へ続く橋は、雪が積もり渡れなくなっていました。菊水館は冬季休館です。
菊水館へ続く橋の袂から豊沢川の上流を見ると、左側から湯けむりが上がっていました。あのあたりに大沢の湯があります。
混浴露天風呂の大沢の湯 女性の利用は…?
大沢の湯に着くと、日帰り入浴と思しき方もいて、意外に混雑していました。湯舟は比較的大きいですが、どこにいても1-2m先に他人がいるくらいの入浴密度です。
渓流と対岸の菊水館を臨む露天風呂は、入ってみると思いのほか温度は熱かったですが、とても気持ちのよいものでした。
大沢の湯は混浴で、脱衣所こそ女性専用がありますが、大沢温泉では湯浴み着の着用は認められていません。混雑しており、まだ日があって明るいような状況では、さすがに女性の混浴はハードルが高そうで、このときも女性客の姿はありませんでした。
20:00から21:00まで女性専用時間が設けられているので、女性はこの時間を狙って入浴したほうがよさそうです。
夜の22時ころに入りに行ってみると、宿泊客しかいない時間帯であり、入浴客の数も少なかったので、男性の連れと思しき数人の女性客の姿がありました。
夕食は お食事処やはぎで
湯治屋には食堂があり、山水閣の宿泊客も利用できます。私たちは夕食なしの宿泊プランだったのでここで夕食をとりました。手ごろな値段の定食があり、使い勝手の良い食堂です。
夕食を終えて山水閣へ戻ります。
家族風呂は無料で利用可能
山水閣にある家族風呂は、空いていれば何度でも無料で利用することができます。
3か所あり、そのうちの1つが車椅子対応です。
家族風呂と山水の湯の前には待合スペースがありました。ここにもお雛様が。
朝食は種類豊富なバイキング
夜も朝も温泉を堪能し、おなかをすかして朝食会場へ。食堂の大きな窓から雪景色が見えます。
朝食はバイキングです。
和洋の定番メニューがずらり。
おなかがふくれたら部屋で少し休憩し、最後に露天風呂に入ってからチェックアウト。
青空の広がる気持ちのいい天気です。
鉛温泉 藤三旅館で日帰り入浴
チェックアウトしたら、大沢温泉から少し豊沢川の谷を遡ったところにある鉛温泉へ。ここは、大沢温泉と同様、一軒宿の温泉地で、藤三旅館という宿があります。藤三旅館は、深さ平均1.25mの足元湧出の白猿の湯という名物風呂があり、ここにぜひとも入ってみたかったのでした。
今回の旅行では、宿泊を大沢温泉にするか鉛温泉にするか大いに悩んだのですが、名物風呂である大沢温泉の露天風呂と鉛温泉の白猿の湯はどちらも混浴で、大沢温泉の女性専用時間が宿泊でしか入れない時間帯に設定されている反面、鉛温泉の白猿の湯はでは昼間にも女性専用時間があることから、大沢温泉に宿泊、鉛温泉に日帰り入浴というプランにしました。
なお、鉛温泉藤三旅館でも混浴風呂の湯あみ着等の着用は認められていません。この辺りの管轄の保健所がそういう指導をしているのかもしれませんが、やはり湯浴み着の着用ができたほうが、女性はもちろん男性としても安心できるので、残念なところです。
大沢温泉から県道12号を走ること10分ほど、藤三旅館に到着です。駐車場は県道沿いにありました。
鉛温泉にはスキー場があり、藤三旅館に泊まればゲレンデまで歩いて行ける近さでした。
大沢温泉と同様、県道から右手の坂を下りていきます。
坂を下ったところに旅館の建物がありました。
日帰り入浴は大人800円、子供600円(GW、お盆、年末年始など繁忙期は大人1100円、子供900円)、10:00から21:00まで(受付は20:00まで)。
入浴できるのは、白猿の湯(混浴内湯)、桂の湯(男女別露天)、白糸の湯(時間ごと男女入替)、銀の湯(貸切)の4か所です。
白猿の湯は11:00からが女性専用
混浴の白猿の湯では日帰り入浴の時間帯では11:00~13:00、20:00以降が女性専用となっています。今回はこの時間帯を狙って来ました。
左が男女別露天の桂の湯、そして右が混浴内湯の白猿の湯です。男性の場合、まず11:00前まで白猿の湯に入った後、目の前の桂の湯に寄ったあと、11:00で清掃時間が終わり開放される白糸の湯にハシゴすることができますが、白糸の湯は離れた場所にあり、この日のあとの日程も考えるとあまりゆっくりすることができなかったため、白糸の入浴はあきらめることにしました。
白猿の湯(許可を得て撮影)は、一段深くなったところにあります。廊下から浴室に入り、階段を下りたところに脱衣所があります。階段と脱衣所は点対称にそれぞれ2か所しつらえられています。湯舟は楕円の温泉浴槽と、ちいさな円の水風呂。
足元湧出の掛け流しなので、湯舟への湯の流入は見えませんが、静かに湯があふれ出ています。入ってみると立ったままで胸の高さまでお湯に浸り、なかなか味わえない入浴の感覚です。底はコンクリートで整えられていましたが、平らではなく、大きな石が置かれてもいました。石の上に立てば、背の低い人でもいくらかは水面から顔を出しやすくなりそうです。
大沢温泉と鉛温泉という魅力的な温泉を堪能した花巻での宿泊。どちらも肌に良い温泉なので、1晩の滞在でも肌がすべすべになりました。
2025年2月