そこに線路があるかぎり

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【岡山県】<あの頃の航路風景> 瀬戸大橋や直島のアートを見て 高松から宇野へ瀬戸内海の船旅を楽しむ 〔四国フェリー 高松~宇野〕(2013年)

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岡山県の宇野と香川県の高松の間の航路といえば、かつて国鉄~JRが運航していた宇高連絡船が知られていましたが、1988年に瀬戸大橋が開業し、岡山と高松を列車で移動できるようになったことから、JRの宇高連絡船は廃止となりました。しかし、JR連絡船が廃止されたあとも、宇野と高松の間の航路として宇高国道フェリー四国フェリーの2社が残り、引き続き宇野-高松間の船旅を楽しむことができたのですが、その2社の航路も相次いで休止となり、2019年12月からは宇野-高松を直接結ぶ航路はなくなってしまいました。
2013年12月、そんな宇野・高松航路に最後まで残った四国フェリーに乗って、高松から宇野までの船旅を楽しみました。

4社がしのぎを削った宇高航路

瀬戸大橋開業の直前には、宇野・高松間の航路は、JR、津国汽船、宇高国道フェリー四国フェリーと、4社がしのぎを削る状況でした。このうちJRの連絡船は、通常のフェリーの他にも高速艇、ホーバークラフトを運航しており、この航路が非常に活況を呈していたことがうかがえます。
そんな宇高航路ですが、1988年4月9日、瀬戸大橋の開通を翌日に控え、まずJR連絡船、ホーバークラフトが廃止となります。残った高速艇も1990年3月に休止となり、翌1991年3月、そのままJRの航路はすべて廃止となりました。
そして、2004年に津国フェリーが四国フェリーと共同運航になったのち、2009年3月をもって津国担当分が休止となり、続いて2012年10月に宇高国道フェリーが休止、最後に2019年12月に残った四国フェリーも休止となり、宇野・高松を直行する航路はなくなりました。休止という事なので復活の可能性は残っているのかもしれませんが、2024年11月現在は、直行航路がない状況が続いています。

「うこう」連絡船と「うたか」国道フェリー

宇野・高松の一文字ずつをとった宇高航路は、JR連絡船では「うこう」連絡船、国道フェリーでは「うたか」国道フェリーと、読み方がそれぞれ違っていました。私が大学生の頃、すでにJRの宇高連絡船は廃止されていましたが、たまたま高松出身の方と連絡船の話になった時、「うこう」と言う私に対し、その方は「うたか」と言い、いままでてっきり「うこう」だと思っていたけど、地元の方がいうのであれば「うたか」と読むのが正しいのか!と驚いたことを覚えていますが、実はどちらの読み方もあったということを知ったのはその少し後のことでした。

高松港にはかつての繁栄をうかがわせる看板が

2013年12月、高松港から宇野港へ、四国フェリーに乗船しました。この頃はすでに宇高国道フェリーは休止となっており、四国フェリーが宇野・高松間を運航する唯一の事業者でした。

宇野行き航路の高松港は、JR高松駅から歩いて10分ほどのところにありました。休止となった宇高国道フェリーのターミナルや看板類もそのまま残っています。

「28分ごと 昼も夜中も」の案内の通り、24時間、高頻度の運航が行われていました。

四国フェリーも、「24時間昼夜運航」の案内があります。瀬戸大橋の開通後も、2社が24時間運航していたとは、この航路がいかに重要な足として活用されていたかがうかがえます。

宇野からやってきた船が着岸します。

高松港を出港。高松の街がどんどん小さくなっていきます。

三角形の小さな島と、その向こうに瀬戸大橋が見えました。

アートで有名な島、直島が見えてきました。

家並みがはっきりみえるほど、島のすぐ近くを進んでいきます。

直島の港に停泊するフェリー、そしてその右側には、有名な草間彌生さんの赤かぼちゃが見えます。

船内にはお風呂も備えられていました。

採石場をかすめて、船は宇野港へ。

直島行きの船が停まる宇野港に到着。

宇野にも、宇高国道フェリーの看板が残っていました。

宇野駅宇野港のすぐ目の前

宇野港で船を下りると、港のすぐ目の前に宇野駅があります。かつては東京からの寝台特急「瀬戸」の終着駅でもあった宇野駅は、宇高連絡船の廃止後、鉄道としての四国連絡の重責を瀬戸大橋に譲り、こじんまりとした駅につくりかえられています。
1番線には黄色い113系が停車中。

2番線にも宇野止まりの列車が到着。こちらは213系です。
瀬戸大橋線の快速列車用に製造された213系は、瀬戸大橋開業までは岡山~宇野の快速備讃ライナーとして運用されていたため、デビュー時の213系はこの宇野駅によく出入りをしていました。瀬戸大橋線開業とともに、213系は新規に誕生した岡山~高松を結ぶ快速マリンライナーに使用されることになり、宇野にはやって来なくなりましたが、マリンライナー用に新しい車両が投入されると、ローカル列車用となり、ふたたび宇野駅にもよく顔を出すようになりました。

瀬戸大橋や直島のアート、そして海に浮かぶ島々など、瀬戸内海の美しい景色が眺められる宇野・高松航路は、駅からのアクセスもよく、船旅を気軽に楽しめる魅力的なものでした。直行便はなくなってしまいましたが、いつか復活して、またこの素敵な船旅がふたたび楽しめるようになることを願っています。
                                   

2013年12月

 

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