そこに線路があるかぎり

鉄道旅も、そのほかの旅も。子供と出かけた休日のこと、まち歩き、山歩き、グルメ、温泉、観光情報。国内・海外 紀行ブログ。

【オーストラリア】世界遺産の熱帯雨林と滝の絶景を楽しむ空中散歩 スカイレールの旅(2024年)

オーストラリア北部、ケアンズ郊外のキュランダ村は、世界自然遺産に登録されている「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」の熱帯雨林に囲まれており、ケアンズの定番観光スポットの1つとして人気があります。ケアンズからキュランダまでは、バスや車でもアクセスすることができますが、特に人気なのが、ロープウェイの「スカイレール」や、「キュランダ観光鉄道」を利用する方法です。
今回は、スカイレールでのアクセスについてご紹介します。世界遺産熱帯雨林を上空から眺めることができるスカイレールでは、爽快な空中散歩を楽しみながらケアンズとキュランダの間を移動することができました。

スカイレールについて

キュランダへ向かうスカイレールは、ケアンズの市街地の北西約12㎞、車で15分ほどのところにあるスミスフィールドから出ています。スミスフィールドからキュランダまで路線延長は7.5㎞、乗車時間は45分です。スミスフィールドとキュランダの間には、レッドピーク、バロンフォールズの2つの駅があり、これらの駅で途中下車して駅周辺の散策を楽しむことができるので、スミスフィールドとキュランダの標準的な所要時間は1時間半ほどとされています。
スカイレールの建設計画は1987年に開始され、プレコンストラクションフェーズのさまざまなスタディを経て1994年に認可を取得、建設工事を行って1995年に開業しました。

スカイレールの運賃

スカイレールの乗車運賃は下記のとおりです。
いずれも事前の予約と支払いが必要となっています。

※子供は4歳~14歳、ファミリーは大人2人+子供2人

片道
大人            AUD68.00
子供            AUD34.00
ファミリー  AUD170.00

往復

大人      AUD99.00
子供      AUD49.50
ファミリー AUD247.50

往復+ケアンズ市内バス送迎つき

大人       AUD123.00
子供         AUD73.50
ファミリー AUD319.50

片道スカイレール利用+片道観光鉄道利用 の往復

往復

大人     AUD123.00
子供                    AUD61.50
ファミリー  AUD307.50

往復+片道の送迎バスつき

大人          AUD135.00
子供               AUD73.50 
ファミリー       AUD343.50

このプランにはケアンズ市内とスカイレール スミスフィールド駅のバス片道、または、スカイレール スミスフィールド駅と観光鉄道 フレッシュウォーター駅のバス片道が含まれています。観光鉄道のケアンズ駅は市内にあるので、片道が送迎バスとスカイレールの組み合わせ、片道が観光鉄道利用で、ケアンズ市内からの往復利用が成り立ちます。また、自家用車利用の場合は、自家用車をスミスフィールドに停めて片道はスカイレールを利用、片道は観光鉄道の途中駅フレッシュウォーター駅とスミスフィールド駅の間の送迎バスを利用することで、スミスフィールド駅からの往復利用ができるようになっています。

スカイレールに乗る

送迎バスでスミスフィールド駅へ

私たちは、行きがスカイレール(市内送迎つき)、帰りが観光鉄道の往復ツアーを利用しました。
送迎バスは市内の何カ所かの決められた乗車スポットに停車してスミスフィールド駅に向かいます。私たちは、ノボテル ケアンズオアシスリゾートに宿泊しましたが、最寄りの送迎バス乗り場はダブルツリー バイ ヒルトン前で、ピックアップ時間は8:20でした。

ピックアップ時間の10分ほど前に指定場所に行くと、マイクロバスが停まっていました。てっきりこれがスカイレールの送迎バスだと思ってドライバーさんに聞いてみると、「これはスカイダイビングツアーですよ」とのこと。スカイは同じですが、スリルは大違いです。あわててこのバスに乗り込まないでよかった。
スカイダイビングのバスが出発していくと、やがて8:20すぎにスカイレールのバスがやってきました。間違いようのない、全体ラッピングのバスでした。

乗車時には予約名簿との照合があるので、ドライバーさんに名前と人数を告げます。
予約通りの乗車が完了し、バスは出発。ちょうど平日朝の通勤時間帯なので道路は少々渋滞していますが、ほどなくしてスムーズに進むようになりました。ところどころでドライバーさんが車窓のガイドをしてくれるのですが、窓の部分までフルにラッピングされたバスゆえ、景色がとても見づらいのが残念です。
バスは市内のもう1か所で乗車客を拾い、ダブルツリーバイヒルトンを出て30分少々でスカイレールのスミスフィールド駅に到着しました。

スミスフィールド駅でチケットを受け取る

まずは窓口で乗車チケットを受け取ります。Pre-Booked とNew Bookingsの窓口があるので、Pre-Booked の列に並びます。ウェブサイトには要予約とありましたがNew Bookingの窓口があるという事は、当日でも空きがあれば予約なしでチケットが買えるのかもしれません。

スカイレールの一部ゴンドラはダイヤモンドビューという、床がガラス張りの特別仕様になっています。ダイヤモンドビューの利用は片道大人・子供 AUD31.00、ファミリーAUD124.00の追加料金が必要です。

スカイレールのアプリを入れておけば、ゴンドラに乗った時に日本語ガイドを聞くことができます。

窓口で予約番号を示すと、行きのスカイレールのチケットと、帰りの観光鉄道のチケットをくれます。帰りの観光鉄道の座席も、このときすでに指定されていました。
チケットを入手したらゴンドラの乗り場へ。この手前には土産物店もあるのですが、ここでお土産を買ってしまってもこれからの観光の荷物になるので、お店は見ずに乗車列に並びました。

スミスフィールド駅から、レッドピーク駅、バロンフォールズ駅を経て終点のキュランダへ。スミスフィールド~レッドピークは15分、レッドピーク~バロンフォールズが20分、バロンフォールズ~キュランダが10分となっています。
よく見ると、路線を表す白い線が、レッドピークでいったん途切れています。あとで乗ったときにわかりましたが、スカイレールは営業路線としては1本の路線ですが、システムとしてはスミスフィールドからレッドピーク、レッドピークからキュランダという2つの路線に分かれているのでした。

乗車口上のモニターにはいろいろなガイドが流れ、列に並んで乗車を待っている間も飽きません。

乗車の列に10分ほど並んで、いよいよ乗り場に入ります。

6人乗りゴンドラに乗って スミスフィールドを出発

ゴンドラは6人乗りでした。混雑時か閑散時で運用が違うかもしれませんが、この時は4人1組であれば1組1ゴンドラに乗せてくれていました。逆に、3人組以下だと順番待ちの列から2人組の乗客を探して、一緒に1つのゴンドラに乗ってください、という運用をしていました。

我が家は家族4人だけで1ゴンドラに乗れました。いざ、キュランダに向けて出発!

振り返れば海も見える スミスフィールド~レッドピーク

スミスフィールド駅を出ると山の斜面をぐんぐん登って行きます。スミスフィールド駅は海抜5m、レッドピーク駅は海抜545mなので、この1駅で540mも登ることになります。

振り返れば海も見えています。

進行方向を見れば、山肌の森の上にコースが続いています。

足もとには道路も見えました。キュランダへは道路もつながっているので、車や路線バスで訪れることもできます。

右のほうの入り江の奥にケアンズの町があるはずです。

これはダブルアイランドという島のようです。

こんなオープンタイプのゴンドラがやって来ました。乗ったらさぞスリルが味わえるかと思いますが、一般の乗用ではなく、おそらく点検などの作業用でしょう。そういえば昔、黒部ダムだったかどこかのロープウェイで、ゴンドラの屋根に作業員の方が乗ったまま走っているのを見て驚いたことがあります。

山を登るにつれ、海が良く見えるようになってきました。

もうすぐピークです。

ピークを越えるとすぐ先にレッドピーク駅がありました。

レッドピーク駅 熱帯雨林を一望の展望台

レッドピーク駅では路線が途切れているので、その先に向かうすべての乗客は一度ゴンドラから降りて、乗り換えなければなりません。右がスミスフィールドから来たゴンドラ。これはそのままくるりと回ってスミスフィールドに戻って行きます。
左がこの先のバロンフォールズ、キュランダ方面のゴンドラ。

レッドピークでは駅周辺を散策することができます。駅から続くウッドデッキを歩いて、熱帯雨林の中に進んでみましょう。

ほどなくして、開けた景色が見えるスポットが。

世界遺産熱帯雨林を一望です。

展望台からウッドデッキをさらに進むと、レッドピーク駅に戻って来ました。歩いた時間はものの5分か10分ほど。足元はずっとウッドデッキになっていたので歩きやすかったです。

レッドピーク駅。

駅の反対側にもウッドデッキが続いていたので歩いてみると、トイレ棟へのアクセス通路でした。

熱帯雨林の中に発着するスカイレール

レッドピークはスミスフィールドから2.7㎞、キュランダまで4.8㎞の地点。まだ全体の3分の1ほどしか来ていません。

スミスフィールド方面の路線。

こちらはキュランダ方面の路線。

熱帯雨林に滝 見ごたえのある景色がつづく レッドピーク~バロンフォールズ

レッドピークを出発。

ふりかえってレッドピーク駅に別れを告げます。

レッドピークから少し登ったピークを越えると、熱帯雨林を一望する大パノラマが広がります。

この木が映画アバターの巨木のアイディアの元になったのだとか。

この一面の熱帯雨林を、ゴンドラに乗って上から眺められるとは、貴重な体験です。

支柱は背の低いものから高いものまでさまざまですが、上部の太い円柱部分はどれも同じで、下のトラスの部分の高さを変えて、全体の高さを決めているようです。

向こうの山肌に一文字に続く筋がみえますが、あれが観光鉄道の線路かもしれません。

進んでいくと、深い谷底を流れる川が見えました。バロン川です。

バロン川の大きな滝、バロンフォールズが見えてきました。

スカイレールは滝を見下ろして走ります。

岩肌を白い筋になって流れる滝。

そして滝の下流につづく峡谷。スカイレールからの眺めは絶景です。

バロンフォールズ駅が見えてきました。

バロンフォールズ駅はレッドピーク駅と違い、キュランダ方面に路線が貫通しています。従って、途中下車せずにそのまま乗り続けることもできますが、バロン滝はキュランダ観光のひとつの目玉。ここはやはり途中下車して滝を見に行くことにします。

駅から至近で迫力ある滝を見る バロンフォールズ駅

ここもレッドピーク駅と同様、駅からウッドデッキの遊歩道が続いています。

少し歩くと展望スペースがありました。

この展望スペースから滝を見下ろすことができます。

あいにく今は冬で乾季なので川の水が少ないですが、水量の増す雨期はより迫力ある滝の姿が楽しめるようです。

対岸には観光鉄道のバロンフォールズ駅が見えます。列車が走っているところをみてみたいですが、観光鉄道は朝にキュランダ行きが2本、夕方にケアンズ行きが2本という極めて少ない列車本数のため、なかなか見るのも難しそうです。

展望スペースから先に進むと道につきあたりました。ここを左に行くと、もうひとつの展望スペースがあります。

また少し違った角度から滝を見下ろすことができました。

 

 

滝の景観を楽しんだらバロンフォールズ駅に戻ります。ここからキュランダまで1.7㎞、スカイレール最後の1区間です。

誰も乗せずに出発するゴンドラがあり、何かと思ってみてみると、特別車両ダイヤモンドビューのゴンドラでした。外から見ると、いっけん他のゴンドラと見分けがつきません。

バロンフォールズ駅は途中下車せずに乗りとおすこともできるので、降りない乗客が乗っているゴンドラはそのまま通り過ぎていきます。降りない乗客が多ければ多いほど、新たに乗れる人数が限られてしまうので、バロンフォールズでの乗車待ちの列の進みはレッドピークに比べてもやや遅いように感じられました。

川を渡りキュランダへ バロンフォールズ~キュランダ

バロンフォールズを出て最後の1区間を進みます。ここは1.7㎞しかないので、乗車時間もいままでの区間と比べても短いです。

バロンフォールズからも山をぐんぐん登ります。

森の中に家が建っているのが見えます。キュランダの町並みです。

終点前の最後のハイライト。バロン川をひとっとびに越えて行きます。

川を越えてすぐ、森の中につづく観光鉄道の線路が見えました。

前方に見える赤い屋根が、終点のキュランダ駅です。

ゴンドラを下りる前に記念写真の撮影がありました。ここで撮った写真は、駅出口にある売店で購入することができます。

キュランダ駅に到着。

すぐ横に観光鉄道のキュランダ駅があり、ホームに列車が停まっているのが見えました。

世界遺産熱帯雨林に、そこを流れる滝など、自然の雄大な景観が眺められるスカイレールの旅は、とても楽しいものでした。

 

2024年8月