そこに線路があるかぎり

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【北海道】<あの頃の鉄道風景> 北海道初の国鉄電車711系 引退半年前の秋 函館本線普通列車の旅 〔JR函館本線〕(2014年)

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北海道で初めて電化された国鉄路線は函館本線の小樽~滝川で、1968年(昭和43年)8月より電車の運転が開始されました。この時に投入された北海道初の国鉄電車が711系です。形式分類上は近郊型車両に属しますが、車内は急行型車両と遜色のない設備を備え、札幌を中心とした電化区間で急行列車から普通列車まで幅広く活躍しました。
そんな711系も2000年代に入ると後継車両の増備とともにだんだんと数を減らしていき、とうとう2014年度末をもって全車が引退することになりました。
北海道の電車輸送の進展とともに歩んできた711系に、引退半年前の2014年10月に乗車しました。

末期は函館本線岩見沢旭川で運転

711系は、函館本線の小樽~旭川千歳線室蘭本線の札幌~新千歳空港・室蘭、札沼線の札幌~北海道医療大学(いずれも線区の正式な区間ではなく、運転区間として記載)と、札幌を中心としたJR北海道の電化区間のすべてで活躍しました。なお、JR北海道の電化区間としては他に青函トンネルを挟んだ函館~中小国がありますが、ここと札幌近辺は電化区間としてはつながっておらず、711系も函館の運転はありませんでした。
札幌都市圏の成長とともに乗客が増えてくると、片側2扉という仕様の711系では多くの乗客をさばくのが困難となってきます。一部の車両は3扉化改造がなされ乗降時間の短縮が図られたりもしましたが、古い車両を改造するよりは3扉の新車を入れたほうがいいという考えからか、2扉のまま残った車両も多く、2000年頃になると、711系の運用範囲は、比較的乗客の少ない苫小牧~室蘭や岩見沢旭川など、札幌都市圏から離れたエリアが目立つようになっていきました。

岩見沢から滝川行の普通列車に乗る

2014年8月からは、711系岩見沢旭川を走る普通列車の一部と、車庫への出入りのための札幌と岩見沢の間の1往復だけが、711系に乗車できる数少ない機会となっていました。札幌発着の列車は札幌発が夜、岩見沢発が朝の設定であり、滝川~旭川はそもそも普通列車の設定が著しく少ない区間であるため、比較的乗りやすいのは岩見沢~滝川ということになります。

札幌から特急列車に乗って岩見沢で降りると、留置線に赤い車体に白い帯の711系が停まっているのが見えました。

乗車する列車はあずき色の車体に前面にだけ警戒色のクリーム色が入った塗装。
これは711系の登場時の色です。1985年以降は全車が赤い車体に白い帯に塗り替えられたのですが、引退を前にして一部車両が登場時の塗装に復刻されました。

近郊型ながら急行型のような車内設備

711系普通列車に使用されることを前提とした近郊型電車として製作されましたが、片側2つドアでデッキ付きという、急行型車両に準じた車内設備だったことから、国鉄時代は普通列車や快速列車だけでなく、「かむい」「さちかぜ」という急行料金が必要な急行列車としても活躍しました。急行の廃止と共に、再び普通列車、快速列車として使われています。
ボックスシートが並ぶ車内。デッキ寄りに一部ロングシートがあります。

寒冷地仕様なのでデッキがあり、トイレの向かいには洗面所が。北海道以外なら、国鉄の近郊型にはデッキも洗面所もありません。

秋の装いの石狩平野を走る

函館本線のこのあたりは石狩平野を走り、カーブも少ないので、普通列車ながらスピード感のある走りが楽しめます。
車窓に広がる景色は秋の始まりを感じさせます。

窓は小さめで、二重窓になっています。この時期はまだ車内側のガラスは上にあげられていて、一重窓として使用されていました。

滝川に到着

終着の滝川駅に到着しました。

しばらくホームに停車していた列車は、やがて札幌方に引き上げていきました。

駅の外れで停車。

折り返して留置線に入って来ました。

駅の裏手から留置中の車両を見る

折り返しまでは時間があるので、駅の裏手に回ってみることにしました。細い道から留置中の711系を見ることができました。

先頭部をサイドから。よく見ると縦に走る雨樋の長さが中途半端なことが気になります。

滝川は帯広、釧路を経て根室へと続く根室本線の始発駅です。駅の裏手では、根室本線用のディーゼルカーが停まっているのも見えました。

折り返し列車で岩見沢に戻る

やがて留置線に停まっていた列車が動き出し、再びホームに入って来ました。普通列車岩見沢行きになります。

右に停まっている1両のディーゼルカー根室本線の列車。根室本線は豪雨災害で被害を受け、結局復旧が断念された富良野新得が2024年に廃線となり、滝川からの線路は富良野までしか行けなくなってしまいました。

屋根の上に大型の冷房機などは見当たりません。711系は一部冷房改造された車両を除いて非冷房です。

根室本線ディーゼルカーと並んで発車を待つ岩見沢行き。

石狩平野を快走し、陽も傾き始めた岩見沢に到着。ここからまた折り返し列車として運用されます。

折り返しは旭川行き。

岩見沢ばんえい競馬の開催地として知られていましたが、2024年現在、ばんえい競馬は帯広だけでの開催となっているようです。

北海道の鉄道の電化とともに歩んできた711系は、二重窓に非冷房と言う北海道らしい仕様と、デッキ付きで洗面所も完備と言う急行型のような設備で、なかなか個性的な車両でした。北海道旅行のときに何度もお世話になった711系に引退前に乗る機会を持てたのは、いい思い出となりました。
                                   

2014年10月

 

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