広いビーチと白亜の教会、庶民的な街並み 南インド チェンナイ駆け足観光 【チェンナイ/インド】(2016年)

南インドの中心都市チェンナイで仕事の合間の休日。ホテルのレセプションにチェンナイの観光情報を聞きに行くと、時間単位で車を仕立てて観光スポットを回ることができるとのこと。チェンナイの観光情報は特に調べていなかったので、いろいろ回ってもらえるとは好都合です。3時間のコースをお願いし、チェンナイ市内観光に出発しました。 

 

ドライバーに、どこに行きたいか、と聞かれましたが、こちらも特に具体的な観光地を知っているわけでもなく、チェンナイで見ておくべき有名な観光地をまわって欲しい、と、おまかせコースを依頼すると、まず連れていかれたのは土産物店。仮にも世界に名の知れた有名ホテルのレセプションのアレンジだったので安心はしていたのですが、やはりここはインド、出発から10分と経たず、このドライバーと観光ツアーがいかなるものかを察することとなります。時間がもったいないので、「土産はいいから観光地に連れて行ってくれ」と言うも、「まあそういわずに見るだけでも」と勧められ、確かに土産も買いたいと思っていたところでもあったので、インドっぽい適当な土産物をいくつか買って車に戻ると、ドライバーは「もう買ったのか?欲しいものがなかったか?別の土産物屋に行くか?」と、この人はもしかして土産を買うために車を出しているつもりなのではないかと思うほど土産物屋に連れて行きたがるので、とにかく土産物屋以外の場所を指定しようと、「ビーチに行ってくれ」と依頼しました。持ち合わせていた数少ない観光情報として、チェンナイには街の中に広いビーチがあるということは知っていました。

世界で2番目に長いビーチ?

やって来たのはマリーナビーチ。駐車場に入り、ここで待っているから、というドライバーと別れて砂浜に足を進めてみるとなかなか幅の広いビーチで、海などは見えません。地図を見てみると砂浜の幅は300m以上もあるようで、300mといえば東京メトロ丸ノ内線新宿駅新宿三丁目駅の間の距離と同じ、つまり新宿駅を出て伊勢丹までがずっと砂浜と考えると、なかなか広いビーチであると感じます。そしてこのビーチは世界で2番目に長いビーチとのこと(世界一はバングラデシュとか)。ただ、ビーチの長さと言ってもどこからどこまでを測るのかあいまいですし、砂浜として続いていても途中で名前が変わったら?途中に川が流れ込んでいてビーチが途切れたら?など、要件定義が難しそうな 状況がいろいろ考えられますし、地図を見る限りではそれほど長いビーチにも見えませんので、個人的には「?」とは思います。

砂浜には馬が。この広いビーチを馬で走ったら気持ちがよさそうです。f:id:nikonikotrain:20210215012921j:plain

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屋台もたくさん出ていて、いろいろなものを売っています。黄色いビニールシートが張られた海の家(?)には、微妙な感じのキャラクターも。
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道を歩くより何倍も体力を使う歩きにくい砂の上を苦労して歩き、やっとのことで波打ち際にたどり着くと、たくさんの人々で賑わっていました。意外なことに水着を着てガッツリ泳いでいる人はおらず、みんな服を着たまま、波と戯れています。砂浜をずっと先まで目でたどると港湾のクレーンが見え、ここが都市のビーチであることを感じさせます。

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水はそれほどきれいではなさそうですが、大都市にこれほどの規模の砂浜があるとは市民の憩いの場として大いに価値のあることだと思います。

サントメ大聖堂は白亜の教会

 マリーナビーチに沿って走る道を南に進むと、左窓に続いていたビーチが街並みに変わり、やがて白亜の教会が見えてきます。ここがサントメ大聖堂です。キリストの12使徒のひとり、聖トーマスの墓に隣接して建てられた教会で、16世紀にポルトガル人によって作られたとのこと。現在の建物は1893年にイギリスによって再建されたものだそうです。インドでキリスト教会とは意外な感じがしますが、日本の外務省のウェブサイトに載っていた2011年のインド国勢調査による宗教の比率では、キリスト教徒が2.3%だったそうです。ヒンドゥー教79.8%、イスラム教14.2%のトップ2と比べると大きな差がありますが、インド南部はキリスト教徒が多く、チェンナイのあるタミルナードゥ州のキリスト教比率は、インド全体の数字の倍近くになるのだとか。
外観は真っ白で美しく、南国の教会らしい感じがします。

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中に入ってみると教会らしい厳かな雰囲気で、信者の方が熱心に祈りをささげていました。

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にぎわいの旧市街ジョージタウン

サントメ大聖堂を見て車に戻ると、ドライバーが「次はどこに行きたいか、もっと土産を買ったほうがいのではないか」と、またもや土産屋を勧めてくるので「土産はいいから旧市街に連れて行ってくれ」と頼みました。ホテルのレセプションで申し込んだ車だったので、おまかせでめぼしい観光名所を巡ってくれるのかと思っていましたが、いちいち行先を指定しなければならないようです。これだったらあらかじめどういう観光地があるか予習しておくべきでした。
チェンナイではジョージタウンという地区が旧市街にあたるようです。車を降りるとまず目に入ったレンガ造りの西洋建築はマドラス高等裁判所で、インドでもコルカタにあるものに次いで、2番目に古い高等裁判所とのこと。マドラスは1996年のチェンナイに改称される前のこの街の呼び名です。

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高等裁判所から大通りを渡ると、アジアらしい雑多な感じの街並みが広がっていました。

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オートリクシャーもたくさん走り回っていたり、屋台が並んでいたり、旧市街らしい活気があります。

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しばらく旧市街の街歩きを楽しみ車に戻ると、相変わらずドライバーから次の目的地を聞かれますが、特にもう具体的な場所のアイディアもありません。まだチャーター時間は余っていましたが、ドライバーに聞いてもおすすめの観光地の提案もなかったので、熱い中歩いて疲れてきましたし、もうホテルに戻ってくれ、と依頼しました。ふと、デリーにいたときからあまりストリート牛を見てないことを思い出し、「チェンナイには牛はいないのか」と聞いてみると「牛なんてどこにでもいる」との答え。「でもどこにも見当たらないじゃないか」と言うと「昼間は暑いから寝ている」と言われ、なんだか適当にごまかされているような気がしていると、「ほら!」とドライバーが指さす先には、ロータリーの植え込みで草を食べる牛が!
犬とにらみ合ったと思えばまた草を食べ始め、丸い植え込みの中をグルグル。

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何のモニュメントかわかりませんが、青く丸い何かの後ろに回り込んだ牛がカタツムリのようで、でんでんウシウシかたつむり、と思わず口ずさみたくなります。

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 結局そのあとは、せっかく時間も余っているし絨毯でも見ていけ、と強引に絨毯屋に連れていかれ、興味のない絨毯を見せられ、店主のセールストークの相手で疲れが1.5倍くらい増されてからホテルに帰りました。

港を臨むビルの上から古い街並みを見下ろす

市内観光をした翌々日、仕事で訪れた会社が所在していたのはジョージタウンの近く。ビルの窓から、チェンナイ港に停泊しているクルーズ船が見えます。

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港と反対側に広がるアジアらしい雑多な街並みがいい感じです。

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路地を行き交う人たち。

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見下ろした隣の家の軒先には牛が。

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この牛は飼われているようです。

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ストリート牛はあまり見られず残念でしたが、牛が市民の身近な存在であることが感じられたインド滞在でした。

さて、1週間ほどのインド滞在でしたが、3日目くらいからおなかの調子がよくありませんでした。滞在していたホテルは外資系の有名な名前のところだったので心配はないかと思いましたが、あとになって、高級ホテルでも洗面やシャワーの水であたることもあるようなので、念のため歯磨きにもペットボトルの水を使ったほうが良いという話も聞きました。私は水道水でガシガシ歯磨きをしていたので、それも原因かもしれませんが、庶民的な食堂で食べた昼食や、仕事先で出して頂いた庶民的な食堂のテイクアウトと思われる昼食、そして昼食とともに出された「そこの道端で売っているおいしいフレッシュいちごジュースを買ってきたよ、さあ、おいしいから飲んでみて!」と勧められ断りづらくて飲み干したジュースなど、疑わしいものの心当たりもたくさんありました。
おなかの調子が悪く、トイレから100メートル以上離れると不安を覚える状況で帰路につきましたが、乗り継ぎ地香港の空港ラウンジの食事がたいへんおいしく、腹の具合のことなど脳みその片隅に追いやり夢中で食べてしまいました。

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 おなかの調子は帰国してからもしばらく悪く、1週間ほどの滞在だったにもかかわらず、回復するまでに帰国から2週間ほどかかりました。

 

2016年1月 

意外と牛はいないけど野良豚がいた デリー駆け足半日観光 【デリー/インド】(2016年)

いつか行ってみたいと思っていたインドに行く機会ができたのは2016年1月のこと。1週間ほどの滞在でデリーとチェンナイ、2都市を訪問しました。
搭乗していたJALの飛行機がデリーの空港に着陸すると、なにやら機内にはスモッグのような匂いが漂ってきて、早くもデリーの大気の状態がいかなるものであるかという洗礼を受けます。インド北部に位置するデリーの1月の夜は寒く、日本から着てきた冬の服装でちょうどいい感じでした。空港からホテルに向かう車の窓から見えたのは久しぶりに見る活気あるアジアの街角風景で、見ているだけでワクワクします。

 デリーのインディラ・ガンディー国際空港はデリー市街から南西に15㎞ほどのところにありますが、この空港からさらに南西に15㎞ほど行くとグルガオンというデリーの衛星都市があり、今回はそこにあるホテルに滞在します。なお、訪れた3か月後の2016年4月、グルガオンはグルグラムという名前に改称したそうです。

デリーでの仕事を終えチェンナイに移動する日、夕方のフライトまで自由な時間が取れました。仕事先の方から「デリーは初めてか?車を仕立てるから、せっかくだからフライトまでの時間でデリーを観光してみないか?」とお誘いを頂くことに。もともと一人で街をぶらぶらしてみようと思っていたので、有難くお願いすることにしました。

野良豚が闊歩する街角

ホテルの部屋から見る朝もやの風景。グルガオンは急速な発展ゆえか、インドの中でも大気汚染が著しい街らしいので、朝もやと言っても風情のあるものではありません。f:id:nikonikotrain:20160116130215j:plain
いままではホテル周辺を歩く時間もありませんでしたが、今日は朝の散歩に出てみます。
ホテルの目の前の広場では、クリケットだか何かのスポーツを楽しむ人々で賑わっていました。このあたりは商業エリアではないのか、道路を行き交う人もそれほど多くはありません。

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インドの街角風景といえば、やっぱり牛。道端をわがもの顔で歩く牛を間近で見てみたい!と思っていたのですが、残念ながらこのあたりでは全くみかけません。どこの町でも、どこもかしこも牛がいるようなイメージを勝手に持っていたのですが、そういうわけではないようです。
牛は見かけませんが、道の向こうに何やら動物の影が。近寄ってみると、なんと野良豚でした。

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豪快に毛が逆立っているのは豚というよりはイノシシっぽいです。豚とイノシシの見分け方はよくわかりませんが、豚とイノシシ両方がいるのかもしれません。

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野良犬のように街に溶け込む豚/イノシシたち。なかなか珍しい、インドらしい街角風景を見ることができました。

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朝の散歩(ほぼ豚見物)を終えてホテルに戻り、約束の時間に迎えに来てくれた車に乗って、デリー観光に出発。何か見たいものがあるか、と聞かれたので「牛」と即答すると、「牛なんてどこにでもいる、ほら、そこにも」と言われて窓の外を見ると、確かに道端に牛がいました。もっとたくさん牛がいるところを歩いてみたい、と言うと、だったらオールドデリーがいい、その道すがら寄れる観光地に立ち寄りながらオールドデリーに行ってあげよう、ということになりました。デリーの観光地についての予備知識はほぼなかったので、有難い話です。

イスラム遺跡と錆びない鉄柱 世界遺産クトゥブ・ミナール

まず連れて行っていただいたのがクトゥブ・ミナール。1993年に世界遺産に登録されたという、800年前の遺跡です。ミナールといえばイスラムのモスクにある塔のこと、現在ではヒンドゥー教がメジャーなインドですが、800年前には中央アジアから入ってきたイスラム王朝がここにあり、この王朝がヒンドゥーに勝利したことを記念して建てられたのがこのクトゥブ・ミナールなのだそう。

入場券を買ってゲートを入るとフォトスポットがあり、みんなここで写真を撮っています。イタリアのピサの斜塔では倒れてくる塔を手で押さえるポーズで写真を撮るのが定番ですが、クトゥブ・ミナールでは塔を上から押さえたり抱えたりというポーズが人気のようです。

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塔の高さは72.5m、基部の直径は14.3mで先に行くほど細くなり、先端部の直径は2.75mとのこと。800年前と言えば、日本では、いい国つくろう鎌倉幕府、の頃というわけですが、そんな昔から建っている塔だと思うと、歴史の長さに改めて感動させられます。

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ミナールが見下ろす細い柱が、「錆びない鉄柱」として有名な、チャンドラヴァルマンの鉄柱で、こちらはミナールよりもはるかに古く、4世紀ごろに鍛造されたものと言われているそうなので、その歴史はなんと1600年!
ここに建っているのが当時からのもので、1600年経っても錆びていないので「錆びない鉄柱」なのだそうですが、錆びない理由は99.72%という純度の高い鉄だから、と言われています。純度が高いと錆びないのかどうかは知りませんが、見た感じでは表面は黒っぽいような茶色っぽいような古い錆のようになっているので、表面がなんらかの被膜に覆われ、中の鉄が錆から守られた状態なのかもしれません。昨今の建築物でも、あえて表面に錆びを発生させることで内部を腐食から守り、塗装が省略しても大丈夫という茶色い鉄橋なども見たことがあります。

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 ミナールやさびない鉄柱の周辺にある崩れかけた遺跡群もまた味わい深いもの。

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クトゥブ・ミナールより高い塔と建てようとしたものの、財政難のため土台部分を造っただけで工事がストップしてしまったというアライー・ミナールは、まるで巨大なカヌレ

 

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蓮の花を模した建築が美しいロータステンプル

次に訪れたのはロータステンプルと呼ばれる寺院。ここはバハーイーという宗教の礼拝所だそうですが、宗教は関係なく誰でも見学することができます。きれいに整備された庭園の中の通路を通り、純白の蓮の花の形をした本堂に近づいていきます。途中で靴を脱いで預け、さらに進んでたどり着いた広い本堂の中には教会のように椅子が並んでいて、みんな静かに祈りをささげていました。

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本堂の足元には池があり、青い池と白い屋根のコントラストがきれいです。行ったことはありませんが、シドニーのオペラハウスのようにも見えます。

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 この寺院は1986年に建立されたとのことなので築30年ほどですが、その歴史を感じさせない、よく手入れされた美しい建物でした。

ロータステンプルを出てデリー市内に向かう道では、渋滞に巻き込まれてしまいました。身動きのとれない車の間を縫って、いろいろなものの移動販売員がやってきます。車の日除けやお菓子などの販売は、意外と需要があるかもしれません。積み上げた雑誌のようなものの上に紙でできた家が乗っているのは、紙工作の本を売っているのかもしれませんが、これは見るからに重くて大変そうです。

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スモッグにかすむインド門と大統領官邸

第一次世界大戦戦没者を悼み建造され1931年に完成したというインド門は、政府機関の集まるニューデリーの中心部にありますが、周囲は広場になっていて高い建物もないので存在感が際立ち、とても印象的な建物です。この時は何らかの規制なのか、近くまで入ることができなかったので、車の中からの見学だけになりました。

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 インド門からまっすぐ続く道の先には大統領官邸があります。ここから振り返れば、一直線の道の向こうにインド門が見えるはずですが、モヤに霞み、おぼろげになんとなく形がわかる、という状況です。デリーの大気汚染は深刻だと聞きますが、これがすべてスモッグなのだとしたらなかなかのもの。ここで暮らす人たちの健康も心配になります。

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 途中の渋滞に思った以上に時間を食ってしまい、この先も渋滞が心配されることから、フライトにはまだ早いもののここで観光を終え、空港に行くことになりました。残念ながら楽しみにしていたオールドデリーは、いつになるかわからない次の機会におあずけです。
空港近くの食堂でカレーを食べ、搭乗した飛行機で機内食を食べ、一路チェンナイへ。

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インドの喧騒や牛を感じながらの街歩きはできませんでしたが、短いながらも効率的にデリーの名所を見せて頂くことができたのは、大変ありがたく、楽しいひとときでした。またいつか、デリーの街をゆっくり歩いてみたいものです。

2016年1月

渓流の露天風呂と雪の宿場町 冬を楽しむ週末旅行【塩原温泉/栃木県・大内宿/福島県】(2017年)

栃木県北部にある塩原温泉郷は開湯から1200年以上と言われる大変歴史のある温泉地で、「塩原十一湯(しおばらじゅういちとう)」と呼ばれる11地区の温泉地の総称として塩原温泉郷の呼び名があります。源泉はおよそ150本、泉質は6種類あり効能もさまざまとのことなので、多種多様な温泉を楽しむことができる素晴らしい温泉地です。
2017年2月、この塩原に宿泊し、翌日は歴史を感じる宿場町で雪景色とグルメを楽しむ冬の旅に出かけました。 

 塩原温泉郷公式ページ(塩原温泉旅館組合/塩原温泉観光協会)・栃木県・那須塩原市 (siobara.or.jp)

 

浅草から東武電車に乗って塩原温泉郷

東京から塩原温泉郷へ行くには、東北新幹線那須塩原からバスに乗り継ぐのが最も早いですが、今回は浅草から東武電車に乗るルートで行くことにしました。東武ルートでは関東平野から深い山の中を分け入って行く変化のある景色を楽しむことができ、特に冬場の栃木県北部から福島県にかけての区間の雪景色が美しく、冬の列車旅の楽しさを味わうことができます。

浅草11:00発の鬼怒川温泉行きの特急スペーシアきぬ111号で出発。スペーシアには紫基調、青基調、オレンジ基調、そして金色基調の4パターンのカラーがありますが、今回乗車した列車は金色の「日光詣スペーシア」カラーでした。
関東平野を北上し、終着鬼怒川温泉には12:59に到着。後続の13:11発 区間快速会津田島行きに乗り換えます。鬼怒川の温泉街を見て山の中へ分け入っていくと、車窓はだんだんと雪国の景色に。凍てつくダム湖を長い鉄橋で越え、トンネルを抜けて雪に覆われた林の中を走り、鬼怒川温泉から36分、13:47に上三依塩原温泉口に着きます。
雪の中へ去り行く2両編成の列車の姿に旅情がかき立てられます。

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 上三依塩原温泉口から塩原温泉へはバスが出ていますが、あいにくうまく接続する便がなかったため、塩原温泉バスターミナルまでタクシーを利用しました。所要時間は15分ほど。バスターミナルからは10分ほどバスに乗って温泉街を通り抜け、塩原十一湯の中でもいちばん東に位置する大網温泉へ。バスを降りたら本日宿泊するお宿、湯守田中屋さんは目の前です。

320段の石段を下り、渓流を望む露天風呂で幸せな温泉入浴タイムを

 このお宿の楽しみのひとつは渓流沿いにある露天風呂。露天風呂は宿の前の国道を渡り、細い道を谷底に向かって約320段の階段を降りたところにあります。帰りのことは考えず、これから始まる幸せな入浴タイムのことだけを思い軽やかに階段を下りてゆくと、木々の間に湯舟らしきものが見えてきました。

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露天風呂は混浴のものが3か所、女性専用が1か所あります。一番広い混浴の湯舟は箒川の渓流を見下ろす眺めのいいロケーション、残りの2つは1人か2人しか入れない狭いものですが、大きな岩陰にありなんとも落ち着く感じのする湯舟、古いコンクリート屋根がかかり、すぐ隣に冷たい渓流の水面が間近に見える湯舟、どちらも湯舟に直接お湯が湧出していて、最高の鮮度の温泉を楽しむことができます。
(お風呂の写真は入浴時間外に撮影) 

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 極楽の露天風呂タイムの後は地獄の320段の階段上りをして宿の建物に戻り、今度は貸切風呂に入浴。貸切風呂と内湯は長い階段を下りずに利用することができます。
湯上りには、ロビーに用意されていた玉こんにゃくに舌鼓。

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雪の野岩鉄道会津鉄道 のんびり列車旅

翌日はお宿の車で塩原温泉バスターミナルまで送っていただき、バスターミナルからバスで上三依塩原温泉駅へ。
雪に包まれたとんがり屋根の駅と赤い列車が絵になります。この赤い列車は9:34発AIZUマウントエクスプレス4号 会津若松東武日光行きのディーゼルカー。これから乗るのは下り列車ですが、待っている間にもう1本9:59発新藤原行き上り列車がやってきました。白いボディーにオレンジと赤の帯、寒い雪景色の中で温かみを感じられる、いい色だと思います。

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乗車する下り列車は10:11発 快速会津田島行き。浅草からはるばる走ってきた快速列車ですが、途中の下今市から先はすべての駅に停まるので、このあたりでは実質的には普通列車です。ここ、上三依塩原温泉口野岩鉄道(やがんてつどう)会津鬼怒川線の駅ですが、浅草から東武の快速列車に乗れば乗り換えなしで来ることができます。鬼怒川温泉の2駅先の新藤原という駅で東武鉄道から野岩鉄道に変わり、さらにこの先の会津高原尾瀬口からは会津鉄道会津線になりますが、快速、区間快速は3社を直通し、浅草から会津田島まで直通して走ります。なお、この旅行の2か月後の2017年4月、東武の快速、区間快速は廃止となり、浅草から会津田島方面への直通列車は特急リバティ会津に置き換えられました。

雪を巻き上げて走ってくる列車がかっこいい!

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 会津高原尾瀬口から会津鉄道に入り、終着の会津田島の少し手前、会津荒海(あいづあらかい)で上り区間快速 浅草行きと行き違い。海など遠い深い山の中の駅なのに荒海という名前とは面白いです。

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 車内はガラガラで、のんびりとした空気が漂っています。大きな窓に広がる雪景色が美しいです。

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10:41、終着の会津田島に到着。ここまでは電化されていますが、ここから先は非電化のため、ディーゼルカーに乗り換えです。次の列車は11:04発AIZUマウントエクスプレス1号。鬼怒川温泉始発の列車なのでさきほど乗車した上三依塩原温泉口で待っていても乗れたのですが、少し変化をつけようと先行の会津田島行きに乗ったのでした。いろいろな車両に乗ってみるのは楽しいものです。
いま乗ってきた列車は折り返し普通新栃木行きになりました。

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雪に包まれた江戸時代の宿場町

 AIZUマウントエクスプレス1号は11:28に湯野上温泉に着きました。ここでバスに乗り換えておよそ15分、やって来たのは江戸時代の街並みが残る大内宿です。
かつて日光と会津を結んだ会津西街道(下野街道)の宿場町として栄えた大内宿は、その古い街並みを今に残し、大変風情のある景観は多くの観光客に感動を与えています。観光案内によれば、「道の両側に屋敷が均等に並んでいる」「寄棟造りの建物で、妻側が街道に面している」など江戸時代の宿駅制度に基づいてつくられた宿場の形態を良く残す町並みとして、1981年4月、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたそうです。

大内宿|奥会津観光スポット (ouchi-juku.com)

この日は大内宿雪まつりが開催されており、湯野上温泉からのバスも増便されていたので便利でした。大内宿に着くと、雪まつりとあってか、たくさんの観光客で賑わっていました。屋根に雪をかぶった古い家々が建ち並ぶ道がとてもいい風情で、江戸時代にタイムスリップしたかのよう。雪で作られた灯篭やかまくらが、またいっそう雰囲気を盛り上げてくれています。

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土産物や日本酒が並ぶカラフルな店先は、見ていてワクワクします。

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大内宿はグルメもばっちり。「しんごろう」は信州の五平餅を思わせる米+味噌の郷土食で、エゴマを使った甘味噌が独特なさわやかな香りを醸し、炭火で焼かれた味噌の香ばしさと相まって大変おいしかったです。かまくらに入ってアツアツのしんごろうを頬張るのは、冬の幸せなひとときでした。

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しんごろうの他にも、目から食欲を刺激されるものがいろいろ。

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しんごろうを食べたばかりではありますが、お蕎麦屋さんに入りお昼ご飯にします。注文したのは名物「こづゆ」と「高遠そば」。
こづゆは、会津地方で正月などハレの席で食べられる汁料理で、干し貝柱や昆布などの海の幸、タケノコや根菜などの山の幸がふんだんに入っていて、味わい深い汁が大変おいしかったです。
高遠そばは、長ネギでそばをすくい、ねぎを齧りつつそばをいただくという食べ方が特徴の大内宿の名物料理。ネギを生でかじったら辛そうなイメージですが、さにあらず、甘いネギがむしろ食欲を、あっというまにネギもそばもなくなりました。なお、ネギでは食べにくそうと思う方や、そばより先にネギを食べつくしてしまった方でも、箸がちゃんとありますので安心です。

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昼食を食べ終え外に出てみると、さきほどまで晴れていた天気が一変、雪が降り始めていました。雪の降りしきる宿場町の風情もまた、大変素晴らしいものです。

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宿場の一番奥で街道筋は右に折れていますが、ここを左に行くとは斜面を上がる道があり、滑って転びながらも上ってみると、大内宿を見下ろせる絶景スポットがありました。ここから撮影した写真はよく宣材に使われていて、大内宿といえばここからの眺めと言えるほどの有名な構図なので、目にしたことがある方も多いかもしれません。あいにく雪の勢いが増して見通しは悪くなってしまっていますが、雪に包まれた宿場町の風景は非常に美しいものでした。
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大内宿で3時間ほどを過ごし、再びバスに乗って湯野上温泉に戻ります。湯野上温泉駅は茅葺の駅舎として有名で、待合室には囲炉裏もありました。
ここからは16:16発 普通会津田島行きに乗車します。発車時刻より少し早くホームに入ってきた列車は対向列車の到着を待って出発。

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先頭部からは前面展望が楽しめます。林を抜け、鉄橋を渡り、雪の中に続くレール。

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 湯野上温泉からおよそ30分、16:45に会津田島着。ここから17:04発 普通新栃木行きに乗り継ぎ、鬼怒川温泉でさらに18:26発 特急きぬ138号浅草行きに乗り換えて、東京に戻りました。

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浅草から特急列車で手軽にアクセスでき、自然に囲まれた新鮮な温泉や、雪に包まれた風情ある宿場町など魅力的な観光地のある野岩鉄道会津鉄道沿線は、冬の週末をのんびりと楽しむことができる、最高の場所でした。


2017年2月 

 

大内宿へのアクセス情報 (湯野上温泉駅~大内宿 バス時刻情報あり)
 交通情報・アクセス|大内宿|奥会津観光スポット (ouchi-juku.com)

 塩原温泉、大内宿へ便利なきっぷ
ゆったり会津 東武フリーパス | お得なきっぷ | 東武鉄道公式サイト (tobu.co.jp)
(浅草~湯野上温泉の通常運賃が往復7,900円のところ、ゆったり会津 東武フリーパス〔芦ノ牧温泉〕なら 6,920円と、980円もお得。 特急利用の場合の特急券上三依塩原温泉口塩原温泉のバス運賃、湯野上温泉~大内宿のバス運賃は含まれないので、別途購入要)

おさるの湯浴みが大人気 かつての花形特急車両に乗って雪景色の温泉へ【長野県】(2018年)

誰もが一度は見たことがあるであろう、雪の中で露天風呂に浸かるサルの写真や映像は、気持ちよさそうに入浴するサルの姿に見ているこちらもほっこりするものがあります。寒い季節、温泉で温まりたいと思うのはサルも人間も同じこと、どこの温泉に行こうかと考えていたとき、ふとこの温泉に入るサルたちのことを思い出し、いままで実物を見たことのないこの温泉ザルたちの入浴姿を見つつ人間もゆっくり温泉を楽しもうと、長野県に行くことにしました。

このサルたちを見ることができるのは地獄谷温泉の野猿公苑というところ。長野駅から長野電鉄に乗って終点の湯田中へ、そこからバスに乗り継ぎ、最後は徒歩という、なかなか山深い立地です。

 8時ちょうどのスーパーあずさ5号で旅立ち

東京から長野へ行くには北陸新幹線を利用するのが便利ですが、今回は在来線特急で向かうことにしました。乗車するのは新宿を8時ちょうどに出発するスーパーあずさ5号松本行。

8時ちょうどのあずさ号と言えば歌で有名なあずさ2号が思い浮かびますが、歌が作られた頃の国鉄の特急列車は下り1号、2号…、上り1号、2号…と、上りも下りもそれぞれ1号から順に番号が振られており、「下りの」あずさ2号新宿駅を8時ちょうどに出発していました。ところが、1978年(昭和53年)10月から列車の号数の数字は下りが奇数、上りが偶数を振ることになったため、この時からあずさ2号は上り列車になり、かつての下り2便目だったあずさ2号はあずさ3号に変わったのでした。月日が経ち、7時30分発のあずさ号が増発され8時発はあずさ5号に、そしてスーパーあずさの登場でスーパーあずさが1号から、通常のあずさは51号からの番号振り分けとなったのち、スーパーも通常も関係なく1号から順番に通しで番号を振ることに変更された結果、2018年現在の定期列車のあずさ号は新宿発7時発スーパーあずさ1号、7時30分発あずさ3号、8時発スーパーあずさ5号…という順番になっています。なお、このときの上りのあずさ2号は、途中駅の大月を出るのがたまたま8時ちょうどだったため、大月駅に行けば今でも「8時ちょうどのあずさ2号」が見られる、として珍重されていました。(2019年よりあずさ2号は大月を通過することになり、8時ちょうどのあずさ2号は消滅、2020年には、あずさより短い区間を走るかいじ号とあずさ号の号数について、それまではそれぞれ単独に番号が振られていたものを、あずさ号、かいじ号の区別なく出発順に通番で振ることに改められた結果、2号はかいじ号の番号となり、現在ではあずさ2号という列車は存在していません)

スーパーあずさ号には、車体を傾け遠心力を相殺することで、カーブでもスピードを落とさずに走れる振り子機能がついたE351系車両が使われていましたが、E351系はこの旅行の2か月後、2018年3月に引退することが決まっていました。今回はスーパーあずさを利用して、最後のE351系の旅を楽しもうというわけです。

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新宿を出て立川、八王子と停車していくうちに車内は満席になり、高尾を通過すると景色は一気に山の中となってカーブも増えますが、E351系は振り子車両の本領発揮し、体を右に左に揺らしながら山の中を高速で駆け抜けていきます。
中央本線の車窓といえば美しい山の眺め。この日はよく晴れていて、富士山や南アルプス八ヶ岳などの山々がよく見えました。写真は甲府盆地の向こうにそびえる南アルプスと、小淵沢付近の高原から眺めた八ヶ岳です。

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新宿から2時間38分、10時38分にスーパーあずさ5号は終点の松本駅に到着しました。この車両は30分ほどの休息ののち、折り返しスーパーあずさ14号として新宿に戻るようです。

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 松本からは名古屋発の特急ワイドビューしなの5号長野行きに乗り換え、長野駅には11時59分に到着しました。

特急スノーモンキーは空港アクセスで活躍したあの車両

長野からは長野電鉄に乗り換えます。長野電鉄長野駅はJR長野駅前の地下にありますが乗り継ぎ時間はおよそ10分と短いので、大急ぎで長野電鉄のりばに向かいました。ここから乗車するのは12:10発の特急スノーモンキー。乗車券のほかに特急券が必要ですが、特急券は100円という安さです。このスノーモンキーの座席は基本的に自由席ですが、1室だけ個室があり、1000円の個室券を買えばここを利用することができます。個室は予約はできず、駅の窓口で早いもの勝ちで買うことができるので、まだ空いているとの案内を見て駅の窓口の列に並んでみましたが、あいにく順番が回ってきたときにはすでに売り切れになっており、買うことはできませんでした。残念。

改札口を入って階段を降りると、ホームには見覚えのある顔の電車たちが並んでいました。右側の信州中野行き普通列車は元東急田園都市線で活躍していた車両、左側が特急スノーモンキーでJRの成田エクスプレスとして活躍していた車両です。

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特急スノーモンキーは3両編成ですが、車内に入ってみるとほぼ満席という盛況。駅の階段に近い最後尾から乗って車内を進み、先頭車にようやく空席を見つけて座ることができました。ただ、他の2両が固定式の座席であるのに対し、この先頭車両だけはリクライニング機能がある座席なので、快適な座席の車両に座れたのはラッキーでした。
客層は外国の方が非常に多く、外国人に人気の観光地であることを感じます。
長野からおよそ45分で終点の湯田中に到着。車両にはスノーモンキーのイラストとロゴ、そして特大のサルの写真があしらわれていて、これからこれを見に行くという気分が高まります。

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雪の山道をたどり地獄谷を目指す

湯田中駅からは予約制のミニバスに乗ります。地獄谷へのアクセスは上林温泉から35分歩くルートと、地獄谷駐車場から15分歩くルートの2つがあります。歩く時間が少なくて済む地獄谷駐車場への道は細い山道で公共交通機関もないうえ冬季は道が閉鎖されてしまうので上林温泉から歩くルートしか使えなくなってしまうのですが、冬季の週末を中心に運転されている「スノーモンキーホリデー観にバス」を利用した場合に限り冬でも地獄谷駐車場に行くことができるのでした。ミニバスは予約制で前日から渋温泉にある窓口でチケット販売を開始しますが、電話での予約は利用当日のみの受付とのことだったので、スーパーあずさに乗車中に電話して予約することができました。小さい子供連れなので歩く時間を半分以下にできるのは大変ありがたいことですが、残念ながら2020年以降はこのミニバスは運行されていないようです。

スノーモンキー観にバスはミニバスと言ってもただの9人乗りのバンでした。往復運賃と野猿公苑の入園料が入って2000円ほどの料金だったかと思います。基本的に往路と復路の行程がセットになった往復利用のコースが1日に5往復半が設定されており、最後の便だけ復路の設定がないので、地獄谷の一軒宿である後楽館に宿泊するか、上林温泉まで歩いて降りるかするほかありません。
乗車したバンは湯田中駅を出て渋温泉駐車場を経由し、温泉街のはずれから通行止めチェーンを外して細い山道を進んで行きます。行き違いも難しそうな非常に狭い道なので、確かに雪のある冬季ではすれ違いも困難で危険も多いであろうことが容易に想像でき、通行止めになるのも納得です。いまはこの道はこのミニバスしか走らないので対向車の心配をする必要もなく快調に走り、湯田中から25分ほどで雪に覆われた地獄谷駐車場に到着しました。帰りの便の出発は1時間25分後、それまでに野猿公苑を往復してここに戻ってこなければなりません。

地獄谷駐車場から野猿公苑を目指し、横湯川に沿った登山道のような山道を歩き始めました。細く急だったり、ぬかるんだりしている部分もあり、子供を抱っこして足元に気をつけながら注意深くゆっくりと歩きます。
やがて地獄谷温泉にある一軒宿、後楽館が見えてきましたが、この旅館こそがサルが温泉に入るきっかけとなったところだそうで、ここで餌付けしていた餌のリンゴが露天風呂に落ちたのを追って子ザルが露天風呂に入ったことが始まりとなり、やがて多くのサルが露天風呂に入りに来るようになったとのこと。その後近くに野猿公苑が開設されサル用の露天風呂もつくられ、ここに多くのサルが入浴しに来ているわけですが、後楽館の露天風呂にやってくるサルも時々いるようで、そのときは人間がサルと一緒に入浴することができるようです。
後楽館の前の橋で対岸に渡ると上林温泉からの徒歩ルートと合流したようで、通行人の数が多くなりました。川を見下ろす緩やかな登り坂を進んで行くと山肌を登る急な坂が現れ、それを登ったところが野猿公苑の入口でした。

たくさんのギャラリーの視線を浴びて入浴するサルたち

野猿公苑に入ると、道の先の渓流沿いの一段高くなったところにたくさんの人が集まっているのが見えます。ここがサルの露天風呂に違いありません。

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湯舟のまわりを取り囲む観光客はやはり外国の方が多いです。決してアクセスが良いとは言えないここまでサルを見るためだけに訪れてくれるとは、スノーモンキーの世界規模の人気に驚きます。
ギャラリーに囲まれ、多くの視線を浴びながらも、サルたちは我関せずと風呂に入っています。この状況でも平常心で風呂に入れるとは、なかなか肝の据わったサルたちです。 飲泉の効能を知ってか知らずか、温泉を飲むサルもいました。

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一点を見つめ無心に風呂に浸かるサルは、いったい何を思っているのでしょうか。

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風呂に浸かるサルは群れのおよそ3割ほど、子供とメスのサルばかりだそうです。我が家では温泉に行くと大人のオスがいちばん長風呂ですが。

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いつまでも見ていても飽きないサルたちですが、帰りのミニバスの時間もあるのでほどほどで切り上げ、来た道を地獄谷駐車場まで戻ります。 サルの入浴を見て、こちらもはやく温泉に入りたくなってきました。

地獄谷野猿公苑|ようこそ、ニホンザルの世界へ (jigokudani-yaenkoen.co.jp)

湯田中温泉で素敵な温泉を堪能する一夜 

この日の宿は湯田中温泉よろづやさんを予約しました。湯田中温泉は1350年前の開湯と言われ大変歴史のある温泉場で多くのホテルや旅館がありますが、よろづやは重厚な湯屋の桃山風呂が魅力のお宿です。

湯田中温泉 よろづや【公式】 (yudanaka-yoroduya.com)

貸切風呂もあったので家族で利用させて頂きましたが、広い湯舟に浮き輪も備えられており、子供も大はしゃぎで楽しく入浴できました。
また、よろづやの隣には共同浴場の大湯があり、宿のフロントにお願いすると鍵を貸していただけるので、こちらも入りに行ってみました。小さいながらも歴史を感じる湯屋で、誰もいない湯舟の熱いお湯に浸かるのは幸せなひとときです。

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夜も更けてきたころ、待望の桃山風呂に入りに行きました。登録文化財の重厚な湯屋は充満する湯気でほとんど見えずでしたが、湯屋を出て露天風呂に入ると目の前には存在感のある湯屋が鎮座してたいへん風情があり、露天風呂と桃山風呂、そして併設されている蒸し風呂を行ったり来たりして、至福の入浴タイムを過ごさせて頂きました。

桃山風呂|湯田中温泉 よろづや【公式】|登録文化財 桃山風呂を堪能し松籟荘に泊まる老舗温泉旅館 (yudanaka-yoroduya.com)

温泉アクセスの役割はそのままに転身した小田急ロマンスカー

翌日の帰路、湯田中からから長野まで乗車したのは特急ゆけむり。温泉らしい名称のこの特急はかつての小田急ロマンスカーで、最大の特徴である前面展望席も健在です。
小田急時代は箱根への温泉の足として活躍していましたが、ここでもまた温泉アクセスの列車として第2の人生を過ごしています。

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この列車は展望席も含め全席自由席なので、改札が始まる前から並んで、展望席に座ることができました。

雪に覆われたリンゴ畑の間を縫って走ります。先頭部では正義の味方が安全を確認。

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途中の信濃竹原で対向列車との行き違いのため少々停車しました。小田急時代は11両編成でしたが、いまは4両に短縮されています。先頭部以外は床が少し高いハイデッカー構造になっているので見晴らしがいいですが、このハイデッカー構造が災いし、バリアフリー化が難しいことから小田急では比較的早く第一線を退きました。長野では小田急ほどの乗客数ではないためか、床が低い展望席部分をバリアフリー対応にしています。

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やってきた対向列車はスノーモンキー。昨日乗った編成とは少し塗装が違い、こちらのほうが成田エクスプレス時代の面影を色濃く残す塗装になっています。
なお、ゆけむりやスノーモンキーという呼び名は列車の名前ではなく車両の愛称で、元ロマンスカーのゆけむりが2本、元成田エクスプレススノーモンキーが2本、計4本の編成が特急の運用に就いています。

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湯田中からは下り勾配が続いていましたが信州中野を過ぎると比較的平坦になり、雪もだんだんとなくなっていきました。すれ違う列車は元地下鉄日比谷線の車両や元東急田園都市線の車両。東京で生まれ育った人にとっては懐かしの車両たちに会うことができるのも長野電鉄の魅力のひとつです。

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快適生活サポート事業グループ ながでんグループ (nagaden-net.co.jp)

懐かしの電車たちに出会いながら、野生のサルの入浴を見て、人間もしっかり温泉を堪能した冬の1泊2日温泉旅行は、大人も子供も楽しい、充実した旅になりました。


2018年1月 

冬の釧路湿原と野生動物を車窓から SL冬の湿原号の旅 【標茶~釧路/北海道】(2019年)

冬はやっぱり雪が見たい、と出かけた1泊2日北海道旅行。
土曜日に飛行機で北海道入りしましたが、利用した羽田から根室中標津へのフライトは羽田12:15発 根室中標津13:55着の1日1便だけ。朝はゆっくりできますが、北海道に着いてからのその日の行動は限られてしまいます。根室中標津空港に到着してから近くの道立ゆめの森公園で少し遊び(空港からタクシーで5分の近さ、入場無料ながら小さい子供がかなり楽しめる、とても充実した施設でした)、予約制のひがし北海道エクスプレスバスの乗り合いバンで川湯温泉のホテルへ。ここは豊富な湯量と泉質に定評のある白濁の温泉ですが、酸性の湯なので幼児の肌に刺激が強すぎはしないか少々心配もありました。しかし結果としてわが子は湯舟に浸かっても全く問題なく、また上がり湯用に温泉ではない普通のお湯が張られた湯舟も用意されているという有難い配慮もあり、子供と一緒に雪の見える露天風呂で楽しく入浴することができました。

明けて日曜日、川湯温泉からバスに乗り屈斜路湖の浜辺で、朝の湖に憩う白鳥を手に触れるほどの近さで観察。この辺りは砂湯といって浜の砂を掘ると温泉が湧き出るところで、あたたかい砂浜に雪はなく、結氷している湖面も波打ち際近くだけには氷がありません。f:id:nikonikotrain:20190217092317j:plain

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白鳥を見た後はふたたびバスに乗り摩周駅へ行き、摩周からはJR釧網本線(せんもうほんせん)のルパン三世のラッピング列車(作者が釧路近くの浜中町のご出身だそうです)で再び川湯温泉に戻り、足湯に入ったり、雪の中での乗馬を楽しんだりした後、川湯温泉を11:56に出る釧路行き普通列車に乗って標茶(しべちゃ)に向かいます。2両編成の列車は観光客で満員で、とうとう12:39に標茶に着くまで座ることはできませんでした。標茶からはこの旅行の最大の目的である、SL冬の湿原号に乗車します。

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JR釧網本線と観光列車

JR釧網本線(せんもうほんせん)は網走から東釧路までを結ぶ全長166.2kmの路線です。沿線には知床や屈斜路湖摩周湖などの観光地の玄関となる駅があるほか、網走側にはオホーツク海に沿って走り、冬には流氷も見られる区間があったり、釧路側ではラムサール条約に登録されている日本最大の湿原、釧路湿原の中を走る区間があったり、沿線観光地や車窓の美しさにも恵まれています。とはいえ大幅な赤字を抱えており、2016年にJR北海道が発表した「当社単独では維持することが困難な線区」の1つに挙げられていて、2018年実績の管理費を含んだ営業係数は603、つまり、100円稼ぐために603円のコストがかかっているという状況です。

そのような赤字路線ではありますが、車窓から雄大な自然が楽しめるという利点を生かしていくつかの観光列車が運転されていて、釧路側の釧路湿原を走る区間では「くしろ湿原ノロッコ号」というトロッコ列車の運転が1989年から、冬にはその車両を使って網走側のオホーツク海沿い区間で車窓から流氷が眺められる「流氷ノロッコ号」の運転が1990年から始まりました。(ノロッコとは、ゆっくり走るトロッコ列車というような意味でしょう。冬季はトロッコ車には窓がはめられて運転されます)
ノロッコ号用のトロッコ車両は冬の間は網走側に行ってしまうので、その埋め合わせをということかどうかはわかりませんが、2000年からは冬の釧路側でも、釧路湿原観光列車として「SL冬の湿原号」の運転が始まりました。
その後、冬の間に除雪列車用の機関車が老朽化のため使用できなくなってしまったことを受け、流氷ノロッコ号をけん引している機関車を除雪用に使うことになりました。それにより機関車が不足し、流氷ノロッコ号の運転ができなくなったため、流氷ノロッコ号は2017年よりディーゼル車の「流氷物語号」に生まれ変わりましたが、釧路湿原観光の列車、くしろ湿原ノロッコ号とSL冬の湿原号は現在も変わらず運転されています。列車に乗りながらにして流氷観光と湿原観光ができることは釧網本線の大きな魅力であり、その観光のための列車は長きにわたって運転されていて、観光客の人気を集めていることをうかがい知ることができます。

SL冬の湿原号の指定席券を買う

SL冬の湿原号は、例年2月を中心に運転されており、2019年は1/26,27,2/1-12,15-17,21-24 の計21日の運転がありました。運転区間は釧路~標茶(しべちゃ)の48.1㎞、午前中に釧路を出て夕方釧路に戻る1日1往復で、所要時間は標茶行きが1時間30分、釧路行きが1時間40分。客車5両をC11型機関車が牽引するフォーメーションで、釧路から標茶に向かう列車では機関車が前向きに連結されますが、標茶から釧路へ戻る列車では機関車が後ろ向きに連結されて客車を引っ張るのがユニークなところ。全席指定なので乗車するには乗車券のほか、指定席券が必要です。2019年当時は釧路~標茶の片道大人1人の乗車券が ¥1,070、指定席券が¥820(子供運賃、料金はそれぞれ大人の半額)でしたが、現在は少々値上がりしています。なお、 SL冬の湿原号の指定席券はJR東日本のネット予約、えきねっとでも取り扱っており、家にいながらにして予約できるので大変便利です。(その後えきねっと取り扱い駅で切符の引き取りが必要)

SL冬の湿原号に乗ろうと決め空席状況を見てみると、こういう臨時列車ではよくあることですが、釧路から標茶に行く朝の列車のほうが混雑していて、乗りたい日程の土曜日の釧路発はすでに満席でした。そこで日曜午後の釧路行きの空席を見てみるとまだ余裕があったので、こちらを予約することに。子供2人は未就学児なので大人と一緒であれば無料で乗車できますが、その場合座席を確保することはできず、大人のひざの上か、キツキツに詰めて隙間に座らせなければなりません。座席は4人掛けのボックス席なので、全席指定のこの列車では他の乗客の方と同じボックスに相席になる可能性もあり、そうすると非常に狭苦しいことになるので、ここは子供2人分も子供の指定席券を買って家族4人で1ボックスを使用することにしました。なお、未就学児が指定席を利用する場合、子供の指定席券だけでなく子供の乗車券も購入する必要があります。

標茶駅でSLとご対面

 普通列車標茶で降りると、線路の向こう側のホームにSL冬の湿原号が停車していました。私たちが乗った普通列車が到着する4分前に到着した、釧路発の列車です。向こうのホームもこちらのホームも、SLを撮影する人たちで賑わっていました。10分ほど経つと列車はSLが後ろから押す形で釧路方面に向かって走り出し、駅の入り口のポイントを過ぎたところで向きを変え、SLが先頭になって、今度はこちらのホームに入って来ました。

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目の前に入ってきた客車に取り付けられたサボ(行先などが書かれた看板)を見ると鶴があしらわれた素敵なデザインのものでした。驚いたことに年まで書かれているので、これは今年限定のものということなのだと思います。これはリピーターにとっても毎年乗る楽しみのひとつとなりそう。

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列車の入れ替えを見た後は跨線橋を渡っていったん改札口を出て駅の待合室へ。いまは13時、SLの出発は14時、あとちょうど1時間の待ちですが、おなかがすいたと主張する子供たちに、SL列車に乗ったらお弁当を食べようね、と言ったところで収まるはずもなく、ちょうど駅前にセブンイレブンがあったので軽食を買い、おなかを満たします。

SL冬の湿原号に乗車

13時40分ごろにSL冬の湿原号釧路行きの改札が始まり、ふたたびホームへ。すでに機関車は釧路寄りに付け替えられていますが、進行方向にお尻を向けた形で客車に連結されています。SLの向きを変えるにはSLを乗せてぐるりと回転する転車台という設備が必要ですが、限られた期間しか運転されないSLのためだけに転車台を整備するのも難しいのでしょう。ただ、この逆向きの連結は非常に印象的で面白く、この姿を見られるなら、むしろ転車台がなくてよかったとすら思えます。

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白い大地に黒いSL、これこそ冬の北海道のSL列車!f:id:nikonikotrain:20190217134437j:plain

客車内にはダルマストーブ

 客車内は2人掛けシートが向かい合った4人掛けのボックスシートで、各ボックスには大きなテーブルが備え付けてあります。私たちのボックスの通路を挟んだ向かい側には座席はなく、その代わりに石炭炊きのダルマストーブがありました。シベリア鉄道では万一の停電や機械の故障があったりするとあまりの寒さに命の危険すらあるので、機械式のストーブではなく、電気がなくても使用できて安心な、アナログの石炭ストーブを使用していると聞いたことがありますが、このダルマストーブもシベリア鉄道のように極寒地ゆえのフェイルセーフのためでしょうか? 
車内販売でスルメを買えばこのストーブの上で炙って食べることができます。f:id:nikonikotrain:20190217134840j:plain

人気駅弁、摩周の豚丼を食べる

さきほど駅で待つ間に小腹は満たしましたが、SLに乗ったらお弁当を食べようね、のフレーズは子供たちの耳に残っていたようで、乗車するとさっそく「お弁当が食べたい」と言い出しました。座席の前にある大きなテーブルで紐を解くのは人気駅弁「摩周の豚丼」。これはさきほど標茶に来る普通列車に乗車中、途中の摩周駅で仕入れたものです。摩周駅での停車時間はわずかでしたが、事前に電話予約すれば乗車している列車のドアのところまでお弁当を届けてくださるサービスを行っているので、川湯温泉駅で普通列車に乗車するときに摩周駅の駅弁屋さんに電話して頼んでおいたのでした。おつりのないように用意したお金を握りしめ、摩周駅でいったんホームに降りて受け取ったお弁当はできたてで温かく、今すぐ食べたいという衝動にかられましたがなんとか我慢し、こうしてSL列車の中で名物駅弁を食べるという旅らしいイベントをすることができました。
待ちに待った摩周の豚丼を食べてみると、さめてもやわらかい、香ばしく焼かれた豚肉に甘辛ダレが絡み、ご飯が進む、大変おいしいお弁当です。甘辛は子供が大好きな味付け、ふりかかっているコショウをよけつつ、子供たちも旺盛な食欲を見せています。

お弁当を食べていると汽笛がなり、列車はゆっくりと標茶を出発しました。

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駅に着くと雪原に戯れるタンチョウが目の前に 

標茶から20分少々で最初の停車駅、茅沼に着きます。ここはタンチョウが集まる駅として有名で、右側の車窓には雪原に遊ぶタンチョウたちの姿が間近に見えました。
もともとは駅の職員の方が餌付けをしたのが始まりだそうで、駅が無人化した現在は、地元の方が餌をやっているようです。餌付けしているとはいえ、これだけたくさんの野生の鶴を列車の窓から見ることができるというのは貴重な体験です。子供も楽しそうに鶴を眺めています。 

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タンチョウたちに別れを告げて茅沼を出発。原野や林のなかを進んで行きます。 

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客車の最前部に行くと、貫通扉の窓からこちらに顔を向けたSLが煙を吐きながら上に下にゆれているのが見えました。走っているSLの顔を正面から観察できるのも、SLが逆向きに連結されているこの列車ならでは。

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野生のシカも見えた!釧路湿原の中を走る

茅沼の次の塘路では反対列車との行き違いのためおよそ10分ほどの停車時間がありました。構内の踏切を渡って反対ホームに行くと列車の頭からお尻までが見渡せ、カメラを持ったたくさんの人たちがここで写真を撮っています。広々とした感じの北海道らしいローカル駅で、遠くに来たなあという気分になります。

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黒いSLに赤いヘッドマークが映えます。背景の冬の原野も北海道らしいもの。

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 塘路を出て、釧路川に沿って釧路湿原の中を走ります。釧路川は今朝訪れた屈斜路湖を源とする川で、摩周のあたりから車窓の友として姿を見せたり隠れたりしています。SL冬の湿原号は終着釧路の少し手前でこの川を渡りますが、それまではずっと進行右側に流れているので、釧路行きに乗る場合は右側の席をとったほうが川がよく見えます。この川ではカヌーもできるそうなので、ぜひ今度はカヌーを漕ぎに来てみたいものです。

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f:id:nikonikotrain:20190217150611j:plain川を眺めていたら、向こう岸に野生のシカの群れが!しばらく行くとまた別の群れを見ることができました。タンチョウにシカ、SL冬の湿原号は野生動物を探す楽しみ、見る楽しみがある列車です。f:id:nikonikotrain:20190217150635j:plain

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 やがて湿原を抜け徐々に家並みが増えて行き釧路の市街地に入ります。最後の停車駅、東釧路釧網本線の終点ですが、あくまでもそれは線路の戸籍の話であり、すべての列車はここで合流する根室本線に乗り入れてターミナルの釧路駅に直通します。塘路のあたりから東釧路の手前までは釧路町という自治体、その先が釧路市という自治体になりますが、おなじ名前の町と市が別にあり、しかもそれが隣り合って存在しているとは、なかなか紛らわしいことだと思います。
すっかり街中の川らしくなり川幅も広がった釧路川を渡ると15:40、終点の釧路に到着。標茶から1時間40分のSLの旅も終了です。この列車にはカフェカーも連結されていたので、そこでコーヒーでも飲もうかとも思っていたのですが、移り変わる車窓に釘付けになっているうちにすっかりそんなことも忘れ、訪れる機会を逸してしまいました。。
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車庫に向けて引き上げて行くSL冬の湿原号をお見送り。日も落ちて、ホームには冷たい風が吹きつけています。

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野生動物と自然の景観、白い雪原を進む黒いSL、この時期にここに来たからこそ見られる美しい車窓が魅力のSL冬の湿原号の旅は、旅行の素晴らしい思い出となりました。

SL冬の湿原号
SL冬の湿原号|JR北海道- Hokkaido Railway Company

 

帰りの飛行機で頂いたキャンディーの詰め合わせ。CAさん手描きのこの顔、これだけで子供のテンションも大いに上がり、最後まで楽しい旅にしていただけたことに感謝です。

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2019年2月