そこに線路があるかぎり

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【東京都】都心から約1時間で行ける羽村で 関東最大級のチューリップ畑を楽しむ(2022年)

東京の西部に位置する羽村(はむら)市には広大なチューリップ畑が広がり、春になるとカラフルな風景を楽しむことができます。東京駅や新宿駅から乗り換えなし、およそ1時間前後で訪れることができる羽村で、2022年4月、一面に咲くチューリップを楽しむ一日を過ごしました。

羽村市について

羽村市は、主に多摩川左岸とその河岸段丘上に広がる町で、都庁からおよそ35㎞ほど西に位置しており、1991年に当時の羽村町が市制を施行して羽村市となりました。多摩26市の中では、西東京市(2001年)、あきる野市(1995年)に続いて3番目に新しく、面積は9.9㎞2で狛江市、国立市に次いで3番目に小さく、人口は5.5万人でいちばん少ない市という位置づけです。(面積は2019年10月、人口は2020年1月時点の数値)
古くからの農村の面影がところどころに残る住宅地といった風情の町ですが、内陸工業地帯となっているエリアもあり、日野自動車羽村工場などの大きな工場もあります。
鉄道の駅はJR青梅線羽村駅と小作(おざく)駅の2駅があります。

桜とチューリップの2部制で開催される はむら花と水のまつり

羽村市では春になると「はむら花と水のまつり」が開催されます。このお祭りは、前期のさくらまつりと、後期のチューリップまつりの2部制になっており、入場は無料です。2023年は以下の要領で開催され、期間中は模擬店の出店などがある予定になっています。

さくらまつり

期間: 2023年3月25日(土)~4月9日(日)
時間: 10:00~17:00
場所: 桜づつみ公園、水上公園・親水公園

チューリップまつり

期間: 2023年4月10日(月)~4月20日(木)
時間: 10:00~17:00
場所: 根がらみ前水田

はむら花と水のまつり2023(会場が一部変更になりました) | 羽村市公式サイト (city.hamura.tokyo.jp)

羽村駅へは新宿から約45分 東京から約1時間 

羽村チューリップまつりへは、JR青梅線羽村が最寄り駅です。青梅線へは中央線からの直通列車も多く運転されており、速達列車の青梅特快に乗れば、羽村までは東京から約1時間、新宿から約45分という近さです。青梅線は基本的に各駅停車のみの運転で、中央線内で通過駅の多い青梅特快も青梅線内は各駅に停車するため、どの列車に乗っても羽村駅にとまりますが、朝夕に運転されている特急「おうめ」や、土休日に運転されている「ホリデー快速おくたま」、その他臨時列車などでは羽村駅を通過する列車もあります。なお、2023年3月25日(土)~4月16日(日)までは、はむら花と水のまつり開催に伴い、ホリデー快速おくたま号が通常は通過する羽村駅に臨時停車するそうです。

羽村のチューリップまつりに行く

青梅線羽村で下車

2022年4月、はむら花と水のまつりの、チューリップまつりに行ってみました。
立川から青梅線に乗っておよそ20分、羽村で下車します。この日は思い立ってお昼過ぎから行動を開始したのですが、都内から気軽に出かけられる距離なのが有難いです。

改札口を出て左手、西口に向かいます。駅には花と水のまつりの会場案内の表示もあり、わかりやすいです。2022年は模擬店の出店はありませんでしたが、2023年は模擬店が出るそうです。

チューリップまつりの会場は「根がらみ前水田」

羽村市多摩川沿いには「根がらみ前(ねがらみまえ)水田」と呼ばれる田んぼがあり、ここがチューリップ畑になります。稲作の終わった秋、11月ごろにチューリップの球根を植え、チューリップの花が終わった4月ごろに球根を掘り出し、田んぼに水を入れて稲を作るという、稲とチューリップの二毛作が行われているのです。

駅から根がらみ前水田までは約1.5㎞、歩いて20分ほどです。

羽村駅からチューリップ畑へ

羽村駅西口を出て、一中通りという通りを歩いて行きます。

中通りは歩道が狭いので、子供が横に広がらないよう、一列になって注意しながら歩きます。新奥多摩街道を超えると下り坂が現れ、段丘上から多摩川に向かって下りていく感じになります。坂の途中の右手には一中通りの由来と思われる羽村第一中学校がありました。

道沿いには春の彩が美しいスポットも。

坂を下りると奥多摩街道があり、それを渡ったところに玉川神社があったので、少し立ち寄りお参りを。

玉川神社から少し歩くと右手の展望が開け、色とりどりのチューリップ畑が見えました。

右に曲がり戻るような形で坂を下る道があり、そこを下りていざチューリップ畑へ。

35万本のチューリップが咲く 関東最大級のチューリップ畑

羽村のチューリップ畑は稲の裏作として田んぼに植えられているので、特に入場券などもなく自由に入って楽しむことができます。さっそくチューリップ畑の真ん中のあぜ道に入って行くと、色とりどりのチューリップの美しさに圧倒されます。背景の木々の新緑がまた彩を添えていてきれいです。

春の風の中を泳ぐ鯉のぼり

チューリップ畑には、鯉のぼりが気持ちよさそうに泳いでいました。

新緑の山々を背に泳ぐ鯉のぼり。チューリップのカラフルさとあわせて、彩豊かな景観を作り出しています。

チューリップ展望台からチューリップ畑を俯瞰

チューリップ畑の片隅には仮設の展望台が設けられており、3mほどの高さからチューリップ畑を見下ろすことができます。

高いところから見渡すチューリップもまた美しいものです。

このあたりの鯉のぼりは保育園児、幼稚園児が色付けしたもののようです。楽しそうに色づけする園児たちの姿を思いうかべると、なんともほっこりした気分に。

あの家並みの向こう側、緑の山の手前のところに多摩川が流れていますが、ここからは川面を見ることはできません。

さまざまな品種のチューリップが楽しめる

展望台の近くでは、1畝か2畝ずつさまざまな品種のチューリップが植えられていて、名札に品種名が書かれていました。名前はとても覚えられませんが、形や色など、バリエーションがいろいろとあるものです。

はみだしチューリップもまたいいもの

チューリップは、基本的にある程度の区画の中は同じ色の花が咲いていますが、黄色い花が並ぶ中に一輪だけ赤があったり、オレンジの中に白があったり、ところどころに、はみ出し者というか、アクセントとなる色の花が咲いていたりします。植えるときに違う色の球根が混じってしまったのか、はたまた突然変異なのか、理由はわかりませんが、こういうちょっとしたアクセントもまた面白味があって良いものです。

ひとつの花で、花びら1枚だけの色が違うものもありました。

手前の区画はミックスゾーンになっているのでしょうか。こういういろいろな色が混じているのもまた良いものです。

チューリップを見ながら会場をひとまわり

あぜ道を歩いて会場を一回りしてみます。会場はだいたい300mx150mくらいの大きさですが、ゆっくり歩きながら見ていくと、見る角度によって光線の状態や背景も変わり、同じチューリップ畑でもまた違った表情を楽しめます。

水田の裏手にはカフェもありました。

 

お寺の境内の木々や山門、チューリップ、背景の山並み。よい風景だと思います。

花言葉は永遠の愛

1ブロックだけ、紫のチューリップが植えられている区画がありました。紫のチューリップとは珍しい気がします。

チューリップは色ごとに花言葉があるそうで、紫は「永遠の愛/不滅の愛」とのこと。

ピンクのチューリップの花言葉は「愛の芽生え・誠実な愛」、赤は「愛の告白」、白は「失われた愛・新しい愛」とのことなので、こだわる人がこのあたりの区画のチューリップを見るときは、向こう側からこちら側に見ていったほうがいいのかもしれません。愛のSDGsという点では、手前から向こうに見て進むのもアリかもしれませんが。

田んぼらしく、片隅には水路があります。覗いてみると魚が泳いでいました。

羽村チューリップまつりは 歩きやすい靴 汚れてもいい靴がおすすめ

美しいチューリップをゆっくり1時間半ほど楽しみ、チューリップまつり会場を後にすることにしました。気がつけばすでに結構歩いていて、足に程よい疲労感を感じます。そして、田んぼの畔を歩き回ったので、乾燥した田んぼの細かい土で靴が茶色っぽくなっていました。チューリップまつりを訪れる際は、歩きやすい靴、汚れてもいい靴を履いてくるのがおすすめです。

羽村取水堰で東京の水道に思いを馳せる

帰りの羽村駅までのルートは、羽村取水堰経由としてみました。根がらみ前水田から羽村取水堰へは、歩いて10分ほどです。

写真の手前が多摩川の上流で、正面に見える堰で水を堰き止め、左の水門から始まる玉川上水に水を流しています。

歴史と風格を感じる玉川上水の水門。

多摩川の本流を堰き止めるのは投渡し堰といって、垂直に並んだ木材の間に木の枝などをたくさん渡して堰を作ったもの。台風や増水時には自然と外れて流れ、水の過剰な滞留を防ぎ、天然素材を使っているため流されても環境に悪影響を与えないもの。昔ながらの方式の堰ですが、今の時代にも合ったすぐれた堰です。

玉川上水側から水門を見ます。

取水された水は勢いよく玉川上水に流れ込んでいきます。昔はここから新宿御苑近くの四谷大木戸まで40㎞あまりを玉川上水として流れ、そこから江戸の市中に配水されていました。いまはこの水は村山・山口貯水池に送られ、東村山浄水場などを経て東京の水道水となっています。

細い階段を下りると橋があり、玉川上水多摩川の間に渡ることができます。

橋の上からみた玉川上水。滔々と水が流れています。この水がやがて我が家の水道の蛇口から出てくると思うと有難さを感じます。

多摩川本流の堰を下流側から眺めると、手前の水門から水が流れ出してきています。どうやらこの堰ではいったん多摩川のすべての水を水門から取水し、必要な分だけを玉川上水に流して余った水を多摩川本流に戻しているようでした。

左側にわずかに魚道のようなものが見えますが、それ以外はすべて右側の余水吐きから水が戻ってきています。

水の流れ方がよくわかる看板がありました。

玉川上水に沿って歩き、ひとつめの橋、羽村橋を渡って羽村駅に戻ります。橋の上から見えた施設がおそらく第3水門で、水はここから村山・山口貯水池に送られているのだと思います。

つつじの花などを見ながら羽村駅を目指します。

羽村駅に戻って来ました。駅前の案内を見ると、根がらみ前水田までは1450m、羽村堰までは900mとのこと。これにチューリップ畑の中を歩いた距離を加えると、3㎞~4㎞ほど歩いたかもしれません。いい運動になりました。

羽村駅からすぐ まいまいず井戸を見学

最後に羽村駅の反対側、東口にあるまいまいず井戸を見に行くことにしました。駅から徒歩1分の好立地にある史跡です。

このあたりは地下水位が低く、普通に井戸を掘ったのでは水を得るのが困難だったことから、まず地面をすり鉢状に掘り下げて、その底からやっと井戸を掘ったというのが「まいまいず井戸」です。まいまいとはカタツムリのことで、井戸に至る通路がぐるぐるとらせん状になっていることからその名がつきました。階段などで一直線にすり鉢の底にアクセスしなかったのは、汲んだ水をもって上がるのに、ゆるやかな勾配の道のほうが良かったからでしょうか。いずれにしても、先人の苦労と知恵を感じられる史跡です。井戸まではこのぐるぐるまわる通路を歩いて降りることができます。

春の午後に訪れた羽村では、絶景のチューリップ畑と、生活に欠かせない水にまつわる施設、史跡を楽しむことができました。東京や新宿から乗り換えなしで行くことができる羽村での、花と水を楽しむ散歩は、春の一日の過ごし方としておすすめです。

 

2022年4月