そこに線路があるかぎり

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廃止路線 思い出の風景 JR日高本線で様似駅へ 【北海道】(2008年)

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2021年4月1日 JR北海道 日高本線が部分廃止

 2021年4月1日、JR北海道 日高本線鵡川(むかわ)~様似(さまに)116.0km が廃止されました。
日高本線は、その名の通り北海道の日高地方を走り、苫小牧~様似 146.5㎞を結んでいた路線です。様似駅からバスに乗り継げば襟裳岬に行くことができるため観光客の利用も多そうに見えますが、1986年に急行えりも号が廃止されてからは定期列車は基本的に普通列車のみの運転となり、苫小牧~様似の所要時間は3時間以上を要したため、観光の足としては少々使いづらかったのではないかと思われます。
線路はほぼ海岸線に沿って敷かれていて、太平洋の波打ち際すれすれを走るところもあって海の眺めが美しい路線でしたが、その海沿いの線路が仇となり、2015年1月の高波によって一部線路が流されたことにより鵡川~様似間が不通に、復旧工事がすすまぬまま、2016年の台風で更に多くの路盤が壊されたことにより、鵡川~様似間はずっとバスでの代行運転となっていました。線路の復旧には莫大なコストがかかりますが、日高本線はその対価が見込めない赤字路線であったため、高波による不通から6年、列車が再び走ることはなく、2021年3月31日を最後に、鵡川~様似間が廃止されました。
全線146.5kmのうちおよそ8割である116.0㎞が廃止され、2021年4月1日から日高本線は苫小牧~鵡川 30.5㎞のみの短い路線になってしまいました。

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静内駅から始発列車に乗って様似駅を目指す

2008年8月、日高本線に乗って様似駅を訪れました。片道3時間を超える長い路線なので、初日は苫小牧から82.1㎞のところにある日高本線の主要駅、静内で降り、ここで1泊して翌朝ふたたび日高本線に乗車、終着の様似を目指しました。

朝の静内駅に集う日高本線の列車。向こう側のホームにいるのが苫小牧行上り列車、こちら側が様似行下り列車で、どちらも静内始発、この日の一番列車です。 

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小さな駅にひとつひとつ停車しながら、のんびりとしたローカル線の旅を楽しみます。
ふと窓から停車中の駅の駅名標を見ると、絵笛という名前の駅でした。字面も音の響きも印象的で、素敵な駅名だと思います。

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窓いっぱいにひろがる日高昆布の景色

様似まであと14.1㎞のところにある東町駅を過ぎると、もし列車が停まってドアをあけてくれたなら、そのまま砂浜を走って海に飛び込みたくなるような、きれいな浜辺を走ります。砂浜と線路の間には柵も何もなく、まるで砂浜の上を走っているかのような感覚です。
この浜には、何やら黒く長いものが並べられています。

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黒いものの正体は昆布。浜で天日干しをしているのでした。昆布は日高地方の特産品で、7月から10月が昆布採りのシーズンだそうです。

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それにしても、これほどまでに昆布を間近に見ることができる列車は他にあるだろうか、というくらい、すぐ目の前に、窓いっぱいに昆布の景色が広がります。

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昆布の他にも、日高地方は競走馬の牧場が多くあるところとして有名です。日高本線の車窓からも、サラブレットの牧場をいくつも見ることができました。競馬場という戦場を離れ、牧場でのんびりと過ごすサラブレットたちの姿には、ほのぼのとした空気が漂います。また、この昆布の砂浜意外にも海岸線すれすれを走るところも多く、太平洋の眺めも存分に楽しむことができました。

日高本線の終点 様似駅

静内から1時間半ほどで終着の様似に到着。ホームが1面だけの、小さな終着駅でした。

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1937年(昭和12年)に開業した様似駅は、以来日高本線の終着駅として、そして襟裳岬方面へのバスへの乗換駅として活躍してきましたが、もともとの計画ではこの先にも線路を延ばして、襟裳方面をぐるっと回って帯広まで線路がつながる計画でした。
帯広からの線路も、途中の広尾までが国鉄広尾線として開業していて、あとは様似と広尾の間、およそ70㎞(国道経由での距離)の線路がつながれば、という状態になっていましたが、残念ながらその工事が進むことはなく、国鉄再建法による第2次特定地方路線に指定された広尾線は1987年に帯広~広尾 84.0km の全線が廃止されてしまい、帯広への鉄路の夢はついえてしまいました。広尾線は、その途中にある「愛国」駅、「幸福」駅が幸せを呼ぶ駅名として大ブームとなったことがあり、これらの駅の跡は現在も観光地となっています。

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1両のディーゼルカーがぽつんと佇む終着駅の風情はいいものです。

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様似駅の車止め。苫小牧から続いた146㎞続いた線路もここでおしまい。

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太平洋を間近に眺め、馬たちが遊ぶ牧場をかすめ、一面の昆布が広がる浜を駆けてたどりついた様似駅は、車窓も美しく、またゆっくり乗りたいと思わせる日高本線の素敵な旅のゴールです。今度はここでバスに乗り継ぎ、襟裳岬にも訪れてみたいと思っていましたが、自然の猛威の前にその歴史に幕を閉じてしまったのは非常に残念でなりません。

様似ではおよそ30分ほど滞在し、折り返しの列車に乗って苫小牧まで戻りました。狩りの列車から撮った川の標識は、イラストの動物が違う!と突っ込みたくなりますが、漢字で書くと「猿」川ではなく、「沙流」川です。

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2008年8月