春の山里を染める圧巻の桜 信州高遠「天下第一の桜」お花見散歩 【伊那市/長野県】(2016年)

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長野県の中央部、諏訪湖を源とする天竜川が南に向かって流れる伊那谷は、南アルプス中央アルプスに挟まれた、風光明媚なところです。伊那谷北部の中心地、伊那市の市街地から東に10㎞ほど登ったところにある高遠は、高遠城の城下町として栄えた南アルプスの裾野に位置する町で、「天下第一の桜」と称される美しい桜が有名です。
アルプスを見上げて咲く桜はさぞ美しかろうと、いつか見に行ってみたいと思っていたのですが、2016年の春、初めて訪問することができました。 

高遠へのアクセス

高遠は以前は上伊那郡高遠町という町でしたが、2006年に伊那市、長谷村と合併し、新しい伊那市として発足しました。高遠へのアクセスはJR飯田線中央自動車道が通る伊那市街からバスや自動車を利用するのが一般的ですが、高遠の北20㎞のところにある茅野市から杖突峠を越えて行くこともできます。ただ、茅野からのバスは季節運行なので、公共交通機関で通年使えるのは伊那市からのバスだけです。


<鉄道・バス>
飯田線伊那北駅もしくは高速バス伊那バスターミナルから路線バスで約25分~30分。バスは以前は飯田線伊那市駅から出ていましたが、現在は伊那市駅ではなく伊那北駅からになっています。なお、飯田線伊那市から1時間くらい先のところに高遠原(たかとおばら)という駅がありますが、高遠原は高遠とは全く別の場所で、降りてもバスやタクシーなどもない小さな無人駅なのでご注意ください。
飯田線の列車には、中央本線の特急あずさの停まる上諏訪駅岡谷駅などから乗ることができます。新宿~岡谷は特急あずさで2時間20分ほど、岡谷~伊那市飯田線で50分~1時間ほどです。岡谷に停まらないあずさもあり、上諏訪や茅野で飯田線に乗り換えとなる場合もあります。
名古屋方面からだと、特急しなので名古屋から2時間ほどの塩尻で降り、中央本線普通列車で10分~20分、岡谷か辰野で飯田線に乗り換えです。
高速バス利用の場合は、伊那バスターミナルまで、新宿から3時間半、名古屋から3時間ほどです。
桜のシーズンには、中央本線茅野駅からのバスが運転されます。茅野から高遠はおよそ50分らしいので、東京方面からのお出かけは、このルートのほうが早いです。茅野にはすべてのあずさ号が停車します。

<車>

中央自動車道 諏訪インターから約30㎞、およそ50分。つづら折りの山道を走るので、車酔いしやすい方にはあまりおすすめしませんが、東京方面からだとこのルートがいちばん近いです。
中央自動車道 小黒川スマートインター、または伊那インターから約15㎞、およそ25~30分。名古屋方面からだとこちらが便利。

鉄道での訪問だと、最後に乗るバスが車内の混雑や道路の渋滞でなかなか進まなかったらどうしよう、と、幼い子連れには少々不安がありましたので、車で諏訪インターからアクセスすることにしました。休日朝の高速下りと高遠周辺の花見客の渋滞が心配だったので、思い切って夜中に東京を出発し、深夜の中央道を走って明け方の諏訪インターで降りると、ところどころに高遠方面の案内看板がありました。茅野の町を見下ろしてつづら折りの道を登り、朝の光が注ぐ杖突峠を越え、高遠目指して走って行きます。道端に見事に咲いた桜を何度も見かけ、これから見る高遠の桜への期待が高まります。

満開の桜が出迎えてくれた駐車場

朝の7時すぎ、いよいよ高遠に到着しました。桜を見るメインの場所は高遠城址公園で、ここにいちばん近い駐車場に入れないかと期待しましたがあいにく満車の表示。誘導員の方に教えて頂き、城址公園の入り口を過ぎて川を渡り、交差点を左に曲がってトンネルをくぐった先にある駐車場に行ってみると、まだ空きが駐車することができました。
ここは、ほりでいパークという公園で、芝生の広場のまわりにたくさんの桜が植えられており、ここだけでも見ごたえのあるお花見スポットでした。f:id:nikonikotrain:20210327010041j:plain

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ここから高遠城址公園までは歩いて15分~20分くらいかかるようですが、こんなにきれいな桜を眺めながら歩くことができるならば、むしろその距離すら楽しい気がします。 

 

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ほりでいパークは高遠ダムによって堰き止められたダム湖、高遠湖のほとりにあります。高遠城址公園までは、この湖に沿って歩きます。
向こうに見える大きな建物は、高遠さくらホテル。高遠で随一の規模のホテルで、ここに泊ってゆっくりと桜を見るのもよさそうですが、桜シーズンの予約は早くから埋まってしまっているようです。

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 湖畔に咲き誇る桜、若葉が芽吹いたばかりの柳。このあたりが車を停めたほりでいパークです。

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雪をかぶった南アルプスの山を背に水を湛える高遠湖。その湖をつくる高遠ダム堤体の目の前を橋で渡って行きます。下を覗いてみると水面からはなかなかの高さで、スリルがあります。

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橋を渡ると景色の見え方も変わってきました。湖に近いほりでいパークだけではなく、斜面の上のほうにも、桜が集まって咲いているところがあります。

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 ダムの前の橋を渡ると歩道橋があり、これを登って道路を越えると、そのまま城址公園に登る道につながっていました。
歩道橋からは桜の木の上のほうを目の前に見ることができ、また、高低差のある街並みを見渡せばあちらこちらに桜が咲いていて、こういう美しいところに住んでみたくなります。

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天然記念物の1500本の桜が咲く 高遠城址公園 桜まつり

国の史跡に指定され、百名城のひとつにも数えられる高遠城は、築城年代は不明だそうですが、戦国時代は武田氏の城として使われ、江戸時代には三万三千石の高遠藩の政庁となり、1872年(明治5年)の廃城でその役目を終えました。
1875年(明治8年)、城跡が公園となったときに旧高遠藩の藩士たちが「桜の馬場」にあった桜を城址に移植したものが今日の高遠城址公園の桜だそうです。現在公園内には樹齢約130年の古木から若木まで約1500本の桜があり、この公園の桜の樹林は、長野県の天然記念物に指定されています。
なお、高遠藩最後の藩主の内藤氏の下屋敷があったのが現在の新宿御苑で、甲州街道の宿場町として栄えた内藤新宿、現在の新宿は、この内藤氏ゆかりの土地というわけです。

高遠城址公園はふだんは入園無料ですが、桜の時期だけは入場が有料となり、この有料期間とほぼ時を同じくして高遠さくら祭りが開催されます。2021年の有料期間は3月29日から桜の散り終わりまで、さくら祭りは4月1日から散り終わりまで、入場料は大人500円、小中学生250円、とのこと。
さくら祭りのうち一定の期間では夜間のライトアップも行われるそうです。

 令和3年度(2021)高遠城址公園さくら祭り – 天下第一のさくら (takato-inacity.jp)

 高遠城跡の魅力をご紹介:伊那市公式ホームページ (inacity.jp)

 高遠城址公園ガイド:伊那市公式ホームページ (inacity.jp)

城址公園に着くと、雪の残る中央アルプス城址の桜が良いコントラストをなしていました。贅沢をいうならば空が青空だったらなおよかったのですが、この日は少々曇りぎみだったのが残念です。

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高遠の桜は固有種、タカトオコヒガンザクラ 

 高遠の桜の品種はソメイヨシノではなく、マメザクラとエドヒガンの交配系のコヒガンザクラで、平成2年に高遠で開催された国際さくらシンポジウムにおいて「タカトオコヒガンザクラ」と命名された固有種の品種だそうです。花はやや小ぶりながらピンク色が濃く色鮮やかで、満開となった木はモフっとしたボリューム感があり、大変見ごたえがあります。
樹齢なのか個性なのか、咲き具合なのか光の加減なのか、はたまた品種が違うのかはわかりませんが、木によって色の濃淡が微妙に違ってみえるものもあり、風景のいろどりをより深みのあるものにしています。

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この迫力はすごい 圧巻の桜が埋めつくす高遠城址公園

南ゲートから公園に入るとピンクの桜の花が頭上を埋め尽くし、圧倒的な美しさです。有名な桜の花見スポットは桜並木であることも多いですが、ここは並木ではなく林なので、桜に囲まれている感がすごいです。

城郭の端の見晴らしのいい場所では、桜と高遠の街並みと中央アルプスが一望できました。
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残雪のアルプスと桜の競演、これが高遠の春です。

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中央アルプスの見晴らしスポットを後にして、公園の中を歩いていきます。どっちを向いても満開の桜。 

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城址の真ん中あたりに、濠の跡なのか一段窪んだところがあり、ここに桜雲橋という橋が架かっています。低くなったところから生える木と高い部分から生える木があるので、橋の上から見ると、目線の高さにも頭上にも桜が咲いていて、人気の写真撮影スポットになっていました。

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橋のたもとからは階段で下におりることができました。ここには池があり、水鏡となって満開の桜を映しています。

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城址の反対側まで来ると、風格を感じる木造の建物が。これは国の登録有形文化財、高遠閣で、1936年(昭和11年)に観光客の休憩所や、地域の集会所として使う目的で建てられたそう。さくら祭りでも休憩所として使用されていました。混雑していそうだったので中には入りませんでしたが、空いていればぜひ、歴史ある建物で一息つきながら、窓の外の桜を愛でてみたかったです。

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高遠閣の横を歩いてゆくと、ちょっとした庭のようなところに白いモクレンが咲いていました。こういう庭でのんびり寝転んでみたいですが、柵があるのでここはお城の敷地外かもしれません。

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高遠閣の近くではレジャーシートを敷いてお花見をしている人たちがたくさんいました。露店も出ていて、お花見スポットらしさ満点のエリアです。私たちも露店で買った食べ物や持参したおにぎりを食べてしばしの休憩タイム。

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おなかが落ち着いたところで、出口に向かって歩き出します。
花をアップで見てみると、おしべとめしべのある花の中心部と、がくが特に濃いピンクになっています。1つの花の中でもグラデーションになって濃淡があり、それがたくさん集まってこの美しい景観を作り出しているのでした。

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「天下第一の桜」と称される高遠城址公園の桜は、噂に違わず、圧倒的な見ごたえで感動しました。これほどにボリューム感と迫力のある桜の乱れ咲きは、一見の価値ありです。

枝垂れ桜が咲く勝間薬師堂にも足を延ばしたい

城址公園の南ゲートを出て、来た道を駐車場まで戻ります。時刻は10時過ぎ、城址公園に入ったのは8時ごろでしたので、2時間ほどの滞在だったことになります。
ほりでいパークからは、桜のうしろに見える雪山は南アルプス

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城址公園に向かうときにダム湖の向こうに見えた、桜が固まって咲いているスポットが気になったので、歩いて行ってみました。駐車場からは国道を渡って緩やかな斜面に続く道を登って10分くらい、勝間薬師堂という小さなお堂でした。立派な枝垂れ桜があり、いままでとはまた違った桜が楽しめます。

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勝間薬師堂からは城址公園の桜もきれいに見えました。

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里に咲く桜に、風に揺れる枝垂れ桜。こういう桜の風景もまたいいものです。

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勝間薬師堂は、ちょっと足を延ばして来てみてよかったと思える、美しい眺めを楽しめる場所でした。

高遠グルメでおなかも満足

高遠城址公園のさくら祭りでは露店が出ていて、いろいろな食べ歩きグルメも楽しめますが、せっかく伊那地方に来たので五平餅を食べました。甘じょっぱい濃厚な味噌が焼けた香ばしさがやみつきになる五平餅は、幼いころ、飯田線の車内販売で売られていたのを買ってもらい、いままでに食べたことのないおいしさに衝撃を受け、以来大好きな食べ物です。
そして信州と言えばやっぱり蕎麦。ほりでいパークでは、花見時期にあわせての出店なのか、仮設のお蕎麦屋さんがあり、満開の桜をみながらおいしい蕎麦を食べるのは最高でした。 

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伊那のB級グルメローメン。蒸し麵、キャベツ、羊肉をソース味のスープでいただく、ご当地フードです。ローメン発祥の店とされる、伊那市内の萬里の支店が高遠から伊那市に向かう街道沿いにあるので、高遠から中央高速に乗る道すがら、気軽に立ち寄ることができます。ローメンはスープありタイプと、なしタイプがあると言いますが、ここはスープありのもの。餃子や豚頭などのサイドメニューもまた魅力的。

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横谷温泉に前泊して高遠へ

高遠の桜は、2016年と2018年の2回見に行きましたが、2016年は日帰り、2018年は茅野の近くにある横谷温泉に宿泊し、翌日高遠へと向かいました。茶色いお湯が特徴の横谷温泉は渓流沿いにいくつも露天風呂があり、楽しい温泉時間を過ごすことができます。半露天の貸切風呂もあるので家族利用にも最適で、ちょうど宿泊した夜は雪が降って、幻想的な景色の中で、家族で温泉を楽しむことができました。
東京からだと車で3時間ほど、高遠までも車で1時間少々なので、高遠訪問の際の宿泊地の一候補としておすすめです。
宿のおかみさんに、高遠の桜を見に行くんですよ、と話したら、この間は早起きして朝食の前に高遠まで桜を見に行ってきた、というお客様がいらっしゃいましたよ、とおっしゃっていたので、そういう訪問の仕方もできる位置にある宿です。もっとも、高遠城址公園は朝7時ないし8時の開門(日にちによる)なので城址公園に入るのは難しそうですし、朝食までに戻るには相当駆け足の花見をしなければならないと思うので、おすすめはしませんが。
私たちは普通に朝食を頂いて9時ごろにチェックアウトして高遠に向かいました。道も高遠城址公園の直前で少し渋滞があったものの全体的にスムーズで、駐車場も2016年と同じく、城址公園のメインの駐車場は満車でしたが、ほりでいパークに停めることができ、ゆっくりと桜を楽しめました。

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2016年4月  (一部2018年4月)