神奈川県横浜市と東京都町田市にまたがる丘陵地にあるこどもの国は、緑豊かで広大な敷地を持ち、子供が好きなアクティビティがぎっしり詰まった楽しい施設です。もりだくさんの遊び場だけでなく、梅や桜、あじさいなどの花や、多く残された雑木林などに季節を感じたり、乗馬や牧場などで動物と触れ合ったり、自然や動物と親しむことができるのも魅力です。そんなこどもの国に、2023年11月に訪れました。
- こどもの国について
- うし電車、ひつじ電車に乗ってこどもの国へ
- こどもの国駅から入園ゲートまでは徒歩3分
- 入ってすぐ楽しいこどもの国
- じてんしゃのりばのサイクル系乗り物を楽しむ
- 2人乗り自転車で秋の雑木林を疾走
- 広々とした風景の牧場エリア
- 健康遊具や立体迷路型遊具
- ボート遊びができる池にはドラム缶橋やいかだが
- ローラー滑り台に迷路 バリエーション豊かな遊具
こどもの国について
こどもの国は、1965年(昭和40年)開園した児童厚生施設で、社会福祉法人こどもの国協会が運営しています。前年にご結婚された当時の皇太子殿下と妃殿下(現上皇、上皇后陛下)が、全国から寄せられたご結婚お祝い金について、子供のために使って欲しいとおっしゃられ、その基金をもとに設立された施設です。
広さ約100ヘクタールの敷地に様々な遊び場が点在していて、サイクリングやボート、乗馬や動物へのえさやり、長いローラー滑り台をはじめとする遊具や迷路、夏のプールや冬のスケート、バーべーキューなど、子供と過ごす休日には最高のアクティビティがぎっしり詰まってます。
こどもの国へのアクセス
鉄道利用
東急田園都市線、JR横浜線 長津田駅からこどもの国線に乗りこどもの国駅へ。
こどもの国駅からこどもの国までは徒歩3分。
渋谷駅からこどもの国駅まで、横浜駅からこどもの国駅までの所要時間は、それぞれおよそ40分。(乗り換え時間含まず)
バス利用
車利用
東名高速 横浜青葉ICから約7km、約15分
東名高速 横浜町田ICから約9㎞、約20分
こどもの国の開園時間
9:30~16:30 (最終入場は15:30)
7月、8月は 9:30~17:00 (最終入場は16:00)
休園日: 毎週水曜、12/31、1/1
(水曜が祝日の場合は営業)
こどもの国の入園料
おとな・高校生 600円
中学生・小学生 200円
幼児(3歳以上) 100円
3歳未満 無料
他に団体割引、障がい者割引、平日シルバー割引などあり。
通年使える年間パスポートはありませんが、平日だけ使えるウィークデーパスポートならあり。
支払いは現金のみ。
また、下記の施設では入園料のほかに別途料金が必要です。
プール/スケート、サイクリング・のりもの、ボート、ミニSL、園内バス、乗馬、こども動物園、野外炊事場・バーベキュー場など。
こどもの国の駐車場
正面駐車場 820台収容
8:30~17:00(7,8月は17:30)
入場は15:20まで(7,8月は15:50まで)
牧場口駐車場 700台収容
正面駐車場が満車になったとき開設。軽、普通車のみ。
駐車料金(1回)
軽、普通車 1000円
中、大型 2000円(事前予約制)
支払いは前払い、現金のみ。
営業日時・料金|こどもの国(神奈川県横浜市) (kodomonokuni.org)
こどもの国ではクレジットカード、電子マネーの利用は不可
こどもの国では入園料、駐車料金、その他アクティビティ利用料金等、ほとんどすべての支払いのおいて、クレジットカード、電子マネーは利用できません。(一部自販機等で電子マネー利用可のものはあり)
うし電車、ひつじ電車に乗ってこどもの国へ
こどもの国へのアクセスは、こどもの国線利用が便利です。こどもの国線は長津田~こどもの国 3.4㎞を結ぶ路線で、横浜高速鉄道が線路を保有し、東急が電車を運行しています。旅客案内上は東急のひとつの路線のように扱われていますが、運賃は東急とは別建てになっているため、乗換駅の長津田でいちど打ち切られて計算されます。
こどもの国線には専用の2両編成の電車が使用されていますが、このうち1編成は「うし電車」、1編成は「ひつじ電車」というラッピング電車になっています。
長津田駅のこどもの国線乗り場は改札口の外!?
長津田までは渋谷から東急田園都市線の急行で32分。東急田園都市線は東京メトロ半蔵門線、東武スカイツリーラインと直通運転しているので、大手町や錦糸町、押上や北千住などからでも1本で行くことができます。
渋谷方面から行く場合、長津田駅の階段は比較的後ろのほうにあるので、編成のまんなかより後ろよりに乗ったほうが乗り換えには便利です。
ちなみに「長津田」の読み方は「ながつた」です。つい「ながつだ」と読みたくなりますが、「た」が濁らないのが正解です。
長津田駅のホームからコンコースに上がり、案内表示に従ってこどもの国線のりばに行こうとすると、改札機があります。路線図などを見ると田園都市線もこどもの国線もおなじ東急のように思えますが、長津田での乗り換えには改札を通り、いったん長津田までの運賃を支払う形となります。
改札を出たところからは、こどもの国線乗り場に電車が停まっているのが見えます。今日は「うし電車」での運行のようです。左に見えるオレンジの電車は田園都市線の上り電車。
なお、JR横浜線からこどもの国線に乗り換える場合は、乗り換え通路を田園都市線乗り場のほうに進み、通路正面左側にある東急の改札口には入らずに、右に見える通路を進みます。くれぐれも東急の改札に入らないように気をつけてください。
階段をおりてこどもの国線乗り場へ。エレベーターもあります。
こどもの国線のりばへ降りる階段の横には、本日の運行車両の案内があります。こどもの国線専用の2両編成は3本あり、「うし電車」「ひつじ電車」「ラッピングなし」と、車両の仕様は三者三様になっています。この日のダイヤでは1本の車両だけが1日中使用されるものでした。なお、混雑期には専用の2両編成だけではなく、収容力のある他路線の車両が使われることもあります。
こどもの国線のりばには駅の外への出口もありますが、そこには改札口がありません。つまり、こどもの国線のホームへは、駅の外から自由に出入りできるつくりになっています。田園都市線から乗り換えるときに通った改札機は、乗り換えのための中間改札ではなく、駅の出口の改札だったことになります。
こどもの国線は東急とは別会計の路線で、こどもの国線内の恩田駅、こどもの国駅には改札機があり、ICカード利用の際は恩田駅、こどもの国駅で降りるときには自動的に長津田からの運賃が引かれ、乗るときには自動的に長津田までの運賃が引かれる仕組みになっています。きっぷを利用する際は乗車前にきっぷ売場できっぷを購入します。
ホームの向こうの引き込み線では、ひつじ電車が休んでいました。
やがてこどもの国から長津田止まりのうし電車がやって来ました。
電車は20分間隔の運行ですが、休日の午前中のこどもの国行きはなかなかの混雑ぶりです。うし電車だからぎゅうぎゅう…。
長津田に着いた電車がこどもの国行きとなって発車するまでの時間は短いので、電車の前で記念撮影したい場合はこどもの国に着いてからが良いでしょう。
長津田を出て大きくカーブすると、車窓には田園風景が広がります。住宅街が続く田園都市線とは変わってのどかな車窓にほのぼのしますが、車内は混雑した満員電車。
こどもの国線には途中駅がひとつだけあります。その途中駅、恩田駅の近くには東急の長津田工場があり、こどもの国線の車窓からも工場内にとまっている車両を見ることができます。先日引退した8500系の姿もありました。
長津田を出て8分ほどで終点のこどもの国に到着。
うし電車の車内は牧場風景のラッピングがされています。混雑していると乗っていてもまったくわかりませんが。。。
こどもの国駅は一番前に出口があります。下車した人たちの波が改札口に消えると、駅のホームにもおだやかなひとときが訪れます。
駅を出ると、行き止まりとなった線路の先で正面から電車を見ることができます。左側はこどもの国の駐車場。今日も混んでいます。
こどもの国駅から入園ゲートまでは徒歩3分
こどもの国駅を出ると目の前にローソンがあり、こどもの国へはその横の道路を歩いて行きます。正面には色づいた銀杏が。その脇の歩道橋を渡った向こう側がこどもの国の入り口です。
小さな川と道路を歩道橋で渡ります。
歩道橋を降りたところがこどもの国の入り口。チケット売り場は右手です。
レトロ感も感じるデザインの入園券。
ゲートを入ってすぐ右手には電車、バスの時刻表が掲示されています。スマホでなんでも調べられる時代ではありますが、こうして一覧になっていると、あ、こんな行先のバスもあるならこれで帰ろうかな、という発見ができたり、この時間帯は本数が多いからこの時間に帰ろう、といった判断もできるので、便利だと思います。
入ってすぐ楽しいこどもの国
ゲートを入ったところは正面入口広場という舗装された広場になっていますが、ここは片隅にチョーク箱が置いてあり、チョークを使って自由に落書きすることができます。いまどき町では道路に落書きなどしている子供はすっかり見なくなりましたが、ここでは子供たちが生き生きと下を向いて夢中に落書きしています。ただ、ゲートを入ってすぐに子供が足を止めて夢中になるスポットがあるので、園内になかなか足が進められないという難点も。
園内のマップ。外縁を走る黄色いラインが外周道路で、1周約4㎞だそうです。オレンジのラインが内周道路で、1周約2.4㎞。今日はこの内周道路を反時計回りに一周しながら、園内で遊んでみたいと思います。
正面入口広場に面して、さんかくぼうしという名のレストランがあります。
そのレストランの建物に付随してソフトクリーム売り場と売店が。こどもの国には牧場があり、その牧場の牛乳をつかった濃厚なソフトクリームが名物となっています。
まだ入ったばかりですが、さっそくソフトクリームを堪能することにしましょう。なお、ソフトクリームは牧場エリアの売店でも買うことができます。
正面入口広場の先の一段ひくくなったところには中央広場。
中央広場の左手を見ると、たくさんのテントがならんだ芝生エリアと、三角屋根のミニSL乗り場。ミニSLは2023年11月9日から2024年3月末までの予定で、リニューアル工事のため営業がお休みとなっています。
じてんしゃのりばのサイクル系乗り物を楽しむ
中央広場の手前を右に曲がり、内周道路を歩き始めるとすぐにトンネルが現れます。トンネル内は照明もなくまっくらですが、子供たちも暗闇や音の反響を楽しみながら歩いています。
トンネルを抜けると、左手にヘリコプター型の乗り物が見えました。
ここはじてんしゃのりばと総称される広場で、サイクリングを始め、変わり自転車の乗り物を楽しむことができます。これらは入園料とは別料金なので、のりもの券を購入する必要があります。
上空を走る黄色い軌道がペダルを漕いで進む「へリサイクル」、青い軌道がちょっとしたジェットコースターのような「ローリングサイクル」、その真ん中の広場で乗れるのが「おもしろ自転車」。
ローリングサイクルは乗るとペダルがついていますが、ペダルを漕がなくても前に進むので、実質ジェットコースターのようなもの。ただし速度はかなり遅いですし、コースも短く1分もかからず終わってしまいます。
少し先には「チャレンジサイクル」。ペダルを漕いで走らせる乗り物ですが、コース途中からは水上を進む、水陸両用車になっています。
こどもF1とバッテリーカー。
2人乗り自転車で秋の雑木林を疾走
サイクリングコースには1人乗り、2人乗りの自転車があります。せっかくなので、ふだんは乗れない2人乗り自転車に乗ってみることにしました。大人と子供で乗る際には、大人が前に乗ります。子供用のヘルメットを借りられるので、安全のために子供にはヘルメットをかぶせましょう。
サイクリングコースは1周1.6㎞。1回の乗車で走れるのは1周だけです。
雑木林の中にコースが続いています。
コースは内周道路の内側の一段高いところに続いており、園内の風景を少し高いところから眺められます。
そこそこアップダウンもあります。
のりものが見えてくるともうすぐゴール。
広々とした風景の牧場エリア
じてんしゃのりばの先にあるのが牧場エリア。園内の南東側に位置します。
放牧場の草地と白い柵が牧場ムードを盛り上げます。この時はいませんでしたが、ここに牛が放牧されていることもあります。
新しい建物を建設中でした。
斜面に続く細い坂道を上ってみます。木々の隙間から、牛舎の緑の屋根とレンガ色のサイロが見えます。
登ったところは「みはらしだい」で、「こどもゆうぼくじょう」の芝生広場を一望できました。左手の林の手間の丸く囲われた土色の場所は、以前は白いビニール張りのドームがあり、そのうえで飛んだり跳ねたりして遊ぶことができましたが、撤去されてしまったようです。
みはらしだいからの見晴らしを楽しんだら、牧場へ行ってみましょう。サイロには雪印のマークが見えます。牧場エリアはこどもの国の一部ではありますが、株式会社雪印こどもの国牧場によって運営されています。
えさやり体験や乳絞り体験もできる
牧場には牛とひつじが飼われています。
1カップ100円で餌(ペレット)が販売されていて、竹を割った専用のえさやり器を使ってえさやりをすることができます。
牛舎の中にも入ることができ、干し草を食べる牛たちの姿を見ることができます。
牛や牛乳について知ることができる展示も。
また、こどもの国牧場では乳絞り体験もすることができます。
土日祝日、11:00からと14:00からの2回開催(7,8月、12から2月は14:00の回なし)で先着順の定員制のため、早くに申し込まないとすぐいっぱいになってしまうようです。
乳搾り体験|雪印こどもの国牧場|神奈川県こどもの国園内にある牧場です。 (kodomonokuni-bokujyo.co.jp)
さらに、毎週日曜10:30からは、参加費1組700円でバターづくり教室もやっているそうです。こちらも先着順の定員制のため、早めに行くのが良いでしょう。
バター作り教室|雪印こどもの国牧場|神奈川県こどもの国園内にある牧場です。 (kodomonokuni-bokujyo.co.jp)
牧場エリアにはこどもどうぶつえんがあります。入園は別料金で、高校生以上300円、3歳から中学生200円ですが、モルモットやウサギ、ヤギとふれあうこともできるそうです。中央の三角屋根がこどもどうぶつえんの入口で、その向こうの斜面に広がっているのがこどもどうぶつえんです。
ポニー乗馬でゆっくり風景を楽しむことも
ポニー乗馬もできます。秋の風景の中、ポニーに乗ってゆっくり景色を楽しむのもまた格別でしょう。
料金・スケジュール
こども乗馬(2歳~小学生) 1周400円
大人乗馬(中学生以上) 1周550円
親子乗馬(1歳から5歳の子供と75㎏以下の中学生以上) 1周800円
平日 11:00~12:00(こども乗馬は10:30~)、13:00~15:30
土日祝日 10:30~12:00、13:00~15:30
ポニー乗り場に隣接してポニー喫茶があり、そば、うどんやカレーライスなどの軽食を食べることもできます。ただし、やはり場所柄動物の匂いは少なからずするので、気になる方は気になるかもしれません。
ポニーにもえさやりができます。えさは1カップ100円で、9:30から15:00まで(早く終了することもあるそうです)
健康遊具や立体迷路型遊具
牧場エリアから内周道路をさらに進んで行きましょう。
こどもの国は、もともと戦時中に軍の施設として使われていた場所でした。こどもの国線も施設の貨物輸送のための路線として敷かれたものです。
そんな歴史もあり、こどもの国にはところどころに当時使われていたと思われる倉庫の跡があります。
すこやか広場は、最近町の公園でもよくみかける健康器具がたくさん設置されています。
すこやか広場の斜め前にはキュービックランド。立体迷路のようなこの遊具は大人がみてもおもしろそう。付き添いの大人としては、しっかり見ていないとすぐ子供を見失ってしまうリスクがあるのですが。
キュービックランドの先にはトンネルが。ここも照明なしのまっくらトンネルです。
最初のトンネルとあわせ、内周道路には2か所のトンネルがあります。
トンネルをでたところにある恐竜型遊具。
その先の休憩所は2階にあがることもできます。
さらに進むと斜面に滑り台。
ボート遊びができる池にはドラム缶橋やいかだが
滑り台のある斜面の上には池があり、ボートに乗ることができます。
傾き始めた陽ざしに、カエデの赤が輝いています。
池は、ボートが入れる部分と入れない部分に仕切られていました。ボートが来ないほうには白鳥の姿も。
ドラム缶の浮橋もあります。ゆらゆら揺れてスリルがありますが、意外と安定しているドラム缶橋。
ドラム缶橋を渡ると、いかだのりばがありました。いかだは無料で乗ることができます。係の人などはおらず、空いていれば勝手に乗るというシステム。
ローラー滑り台に迷路 バリエーション豊かな遊具
内周道路に戻って先に進むと、右にプールがあります。夏はプール、冬はスケート場になりますが、11月はどちらも営業していません。
長いローラー滑り台は2024年3月までリニューアル工事中
プールの隣には長いローラー滑り台がありますが、2023年6月から2024年3月まではリニューアル工事のため利用できません。残念。
ずいぶんと高いところから滑るローラー滑り台。工事が終わってまた遊べるようになるのが楽しみです。
迷路はハラハラドキドキ
ローラー滑り台の先には迷路が。仕切り壁は、おとなは顔が出せるほどの高さですが、こどもの視線では隣が全く見えず、ドキドキ感も段違いでしょう。付き添いの大人からも子供の姿は見えなくなるので、ちいさな子供連れの場合は大人も一緒に迷路に入ったほうが良さそうです。
迷路の隣には遊具。
柵で囲われた小さな子供向け遊具ゾーンもありました。
遊具ゾーンの先には園内周遊バス「あかポッポ号」の起終点があります。運行終了後はここに留め置かれています。
あかポッポ号の乗り場の前にはミニSLがありますが、工事のため営業休止中。
さらにその先にも充実の遊具ゾーンがあり、こどもたちで大賑わいでした。
遊びつくしてすっかり日も暮れてしまいました。寄り道しながら2.4㎞の内周道路を1周したので、気がついて見れば3㎞以上も歩いたことになり、いい運動です。
寒くなってきた季節、あたたかなライトがほっとするこどもの国駅。
帰りの電車も満員でした。
自然の風景や動物とのふれあいも楽しめるこどもの国は、家族の休日を豊かにしてくれる魅力がたくさん詰まった、素敵な施設でした。
2023年11月