そこに線路があるかぎり

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【トリニダード・トバゴ】 赤い鳥たちが舞う水辺の夕暮れ 野生のスカーレットアイビスやフラミンゴが見られるボートクルーズ(2018年)

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カリブ海のはずれ、南米大陸に近いところにある島国、トリニダード・トバゴ。首都ポートオブスペインからわずか10㎞ほどのところにはカロニースワンプバードサンクチュアリという鳥類保護区があり、野生のスカーレットアイビス Scarlet Ibisやフラミンゴなどの鳥が空を舞う姿を見ることができます。鮮やかな赤い体が特徴のスカーレットアイビスや優美なフラミンゴが夕暮れの空を舞う姿はとても印象深いものです。2018年12月、このバードウォッチングのボートクルーズに参加しました。 

和名はショウジョウトキ 日本の動物園ではメジャーな鳥?

スカーレットアイビスは和名をショウジョウトキと言い、トキのなかまです。生息地は南米の北部。日本には生息していないため、カロニースワンプで見たときは、珍しい鳥を見られてよかった!と喜んだのですが、帰国して横浜の野毛山動物園に行ったとき、入口を入って一番最初に展示されていたのがこのスカーレットアイビスでした。カロニースワンプでは遠目でしか見られなかったため、間近で見られて嬉しいような、でも珍しいと思っていた鳥がこんな目立つ場所に展示されていて少し残念なような、複雑な気分になったものです。しかし、その後も多摩動物公園江戸川区自然動物園などでもスカーレットアイビスが展示されているのを見て、意外と日本人にも身近な鳥であることを遅ればせながら知りました。

写真は島根県松江フォーゲルパークで撮影したもの。ここでは温室内に放し飼いにされていて、スカーレットアイビスを間近に見ることができました。

マングローブ林の中の水路を行く

スカーレットアイビスは渡り鳥で、トリニダード・トバゴでは11月~3月頃に見ることができるとのこと。ちょうどそのシーズンに渡航する機会があったので、カロニースワンプ バードサンクチュアリへ。
島の南北を結ぶ幹線高速道路から林の中に続く道に入り200~300m行くと船着き場があり、ここがスカーレットアイビスウォッチングツアーのボート乗り場でした。
受付で料金USD10 を払い、待合スペースのベンチで16時の出航を待ちます。

やがて時間が来ると、待っていたお客さんたちが順番にボートに案内されました。この日は数艘が出ているようでした。
乗客が乗り込んだボートは順次マングローブ林に続く水路に向けて出発していきます。
水路を進むと、さっそく鳥の姿が。アオサギのように見えます。

進むにつれ、マングローブの林が濃くなっていきます。

さながらディズニーランドのジャングルクルーズのようで、冒険心がくすぐられ、ワクワクするボート旅です。

ときどき水路沿いに鳥の姿があり、船頭さんはボートのスピードをゆるめたり、そっとボートを鳥に近づけたり、見えやすいように配慮してくれます。

と、林の中に赤い鳥が。スカーレットアイビスだ!と、ボートの乗客たちもざわめきますが、鳥はすぐに飛んで行ってしまいました。

広い水面の向こうに休むフラミンゴ

やがてボートはマングローブの林を抜けて広い水面に出ました。乗客一同、スカーレットアイビスが見られるのを今か今かと待ちわびていますが、あいにくどこにもスカーレットアイビスの姿はありません。船頭さんも、まだ来ていないようだね、と、広い水面にボートを走らせながらポイントらしき場所を何か所か巡ってくれますが、やはりまだどこにもいないよう。

スカーレットアイビスはいませんが、なにやら向こうに鳥の群れがいるのが見えます。

そしてこちらにはピンクの鳥が。かなり距離はありますが、あの色、あの形、フラミンゴに違いありません。野生のフラミンゴが見られるなんて、これは嬉しい!

スカーレットアイビスたちのご帰宅

やがてフラミンゴが見える位置でボートが止まり、少し待つと、彼方から鮮やかな朱色の鳥の群れが飛来してきました。待ちに待った、スカーレットアイビスです。

スカーレットアイビスたちは、やがて飛行高度を下げ、岸辺に茂る木々に止まりました。この森がねぐらになっているようで、夕方、ここに次々に戻ってくるスカーレットアイビスを観察するのがこのツアーの最大の目的。
まわりの乗客たちはみんな双眼鏡や望遠レンズつきのカメラを持っていますが、私はスマホ1台という軽装です。今回は仕事の合間の休日にここにやってきているので、そもそも望遠レンズつきカメラなど日本から持ってきてはいないのですが、やはりちゃんとしたカメラが欲しくなる、魅力的な光景です。スマホの低画質の写真しかないのが惜しい…

スカーレットアイビスたちは数十羽がひとつの群れとなって飛んできては森に消え、また次の群れが飛んできては消え、と、統制のとれた班別の行動をしているかのよう。群れは右から左から、次々にやって来ます。

それにしてもこの鳥の色の鮮やかなこと!木々にとまるスカーレットアイビスは、まるで木に花が咲いたかのようです。この鳥は、幼鳥のころは灰色をしていますが、エビやカニを食べて育つうちに、エビやカニの赤い色素によって、鳥も赤くなるのだとか。そんなことがあるの!?と思ってしまいますが、そうらしいです。

飛ぶフラミンゴの優美な姿

赤い鳥に目を奪われがちですが、フラミンゴたちが休むあたりに何やら白い鳥がやってきたりと、日が傾くにつれて鳥たちの動きも活発になってきました。

と、長いこと水面で休んでいたフラミンゴたちが翼を広げ、飛び立ちました。

スカーレットアイビスよりひとまわり大きいフラミンゴの飛翔する姿は迫力があります。

長い首と足をまっすぐに伸ばし飛翔する姿は、とても優美です。

いまは閉園してしまった千葉県の行川アイランドでは、かつてフラミンゴショーが行われていて、フラミンゴが飛ぶ姿を見ることができました。ふと、小学生のときに見た、行川アイランドのフラミンゴショーのことと、連れて行ってくれた祖父母のことを思い出しました。

日が沈むにつれますます多くの鳥たちが

フラミンゴが去った後も、スカーレットアイビスたちの群れは次々と森に帰って来ます。群れと群れの間隔が少し空き、もうおしまいかな、と思うとはるかかなたからやって来る群れの姿が見え、という感じで、ご帰宅ショーが続きます。

ちょうどここは首都ポートオブスペインの空港へのアプローチルートの下にあたるので、鳥に交じってときどきこんなものも飛んできます。

次はどこからやってくるかな、と空を見回し、群れを発見しては目で追いかけ、やがて木にとまり森の中へ消えてゆく、というスカーレットアイビスの群れは同じ動きが繰り返されるだけですが、何度でも飽きることなく見てしまい、また次の群れをワクワクしながら探してしまいます。バードウォッチングが、こんなに楽しいものだったとは!

そのまま木にとまる鳥が増えれば、真っ赤な木ができあがり見ごたえがありそうなものですが、いったん木にとまった鳥は、次の群れの鳥に着地地点を譲るかのように、少しすると森の奥へと入っていってしまうので、真っ赤な木になることはありませんでした。

日が傾くにつれ、ひとつの群れを成す鳥の数が多くなってきた気がします。

ただ鳥の行方を目で追うことが、こんなに楽しいとは。

鳥たちを飽かず眺めること1時間ほど、日もだいぶ傾いてきたところで、再びマングローブの森の中の水路を通って、ボートは船着き場に戻りました。16時出航、18時10分帰着のたっぷり2時間少々のツアーでしたが、バードウォッチングの面白さを知った、とても楽しい時間を過ごすことができました。



2018年12月