そこに線路があるかぎり

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【埼玉県】冬の芸術芦ヶ久保の氷柱と 無料で遊べるちちぶキッズパーク 秩父漫遊きっぷで行く秩父の休日(2023年)

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西武線で発売されているお得なきっぷ「秩父漫遊きっぷ」が、期間限定でさらに割引になっているという広告を見かけました。割引期間は2023年3月10日まで。せっかくなので、この機会にこのきっぷを使って、行ってみたいと思っていた芦ヶ久保の氷柱を見に行こうと、2023年2月、秩父に向かいました。

秩父漫遊きっぷとは

秩父漫遊きっぷは西武鉄道が発売しているお得なきっぷの1つで、発駅から高麗までの往復と、高麗から西武秩父間が何回でも乗り降り自由な西武鉄道の乗車券と、漫遊マル得クーポンがついています。発駅は多摩川線と小竹向原駅、およびフリー区間となる高麗~西武秩父を除く西武線全駅からの設定があり、発売価格は池袋からなら大人2,230円、小児1,120円です。

池袋から西武秩父までの大人のIC普通運賃は往復で1,572円なので、普通にICカードで往復したほうが658円も安いように見えますが、その差額658円以上の価値があるのが漫遊マル得クーポンです。
漫遊マル得クーポンは、西武秩父駅にある温泉「祭の湯」の入浴やフードコート、お土産店の利用券として、あるいは秩父エリアのバスのフリーきっぷとの引き換えやレンタカーの割引券などのうち、いずれか1つとして利用することができます。例えば、祭の湯の入浴券は平日1,100円、土休日1,380円、また、フードコートの食事券やお土産店の買い物券として使う場合は950円分の金券になるので、これらを利用するならば秩父漫遊きっぷを利用したほうがお得になります。

秩父漫遊きっぷ :西武鉄道Webサイト (seiburailway.jp)

ただでさえお得なきっぷですが、2023年3月10日までの期間限定割引では「秩父市応援 秩父漫遊きっぷ」と名前を変え、内容はそのままに発売価格が大きく割り引かれ、池袋からなら大人1,590円、小児800円となっていました。これはほぼ、ただ西武秩父まで往復するだけの金額で、高麗~西武秩父の乗り放題と950円以上の金券がついてくることになり、かなりお得でした。残念ながら限定割引の期間は終わってしまいましたが、限定割引がなくても充分にお得な秩父漫遊きっぷは、秩父へのおでかけの強い味方になってくれること間違いありません。

休日朝の下り特急ちちぶは早めの指定券確保を

出かけることに決めたのは前日の夜だったので、西武線特急ちちぶ号の特急券は当日朝に購入しようとしたところ、ちょうどよい時間帯の池袋9:30発の西武秩父行きはすでに家族4人でまとまって座れる席は空いておらず、車両も別になるバラバラの席しか予約ができませんでした。次の西武秩父行きの特急は1時間後の10:30発で、この列車なら4人まとまった席を予約することができますが、ここでいまから1時間待つのも面白くありません。そこで、10:00に出発するむさし65号飯能行きに乗り、終点の飯能から普通列車に乗り継いで秩父を目指すことにしました。これならば10:30の特急よりも15分ほど早く西武秩父に着くことができます。
休日朝の下り西武秩父行き特急に乗車する場合は、席の予約は早めにしておいた方が良さそうです。

特急むさしと普通列車を乗り継いで西武秩父

池袋 10:00 ---> 飯能 10:40  特急むさし65号 

西武池袋線の特急列車は、池袋から西武秩父までを走る「ちちぶ」と、池袋から飯能までを走る「むさし」があります。飯能は西武秩父に行く途中にある駅なので、終点まで行く列車が「ちちぶ」、途中駅どまりが「むさし」ということです。列車名は違いますが、「ちちぶ」も「むさし」も、同じ「ラビュー」車両が使われています。

銀色の丸い車体と大きな窓が特徴の西武特急「ラビュー」のむさし65号が池袋で発車を待ちます。

黄色いシートと丸みを帯びた天井、大きな窓に絨毯敷きの床など、洗練されたインテリアが魅力の西武特急ラビュー。

池袋を出発すると大きく右にカーブして、JR山手線、埼京線の線路をまたぎ、西に向かいます。

練馬から石神井公園までは複々線区間東京メトロや東急の車両など、行き交う車両もバリエーション豊かです。

駅に停車する際の車内モニター。散らかった荷物をまとめて、歩いて行く人のアニメーションが表示されます。クマのぬいぐるみなんかも持っているところがかわいいですね。

小手指駅を過ぎると右手に車庫が広がります。ひと昔前までは、西武線の電車と言えば黄色い電車というイメージでしたが、この黄色い電車を他の車両に置き換える方針であることが西武鉄道から発表されているので、黄色い電車が車庫に休む光景もあと数年で見納めかもしれません。

飯能 10:43 ---> 西武秩父 11:32   普通 西武秩父行き

特急むさし号は飯能止まりのため、飯能で始発の普通列車西武秩父行きに乗り換え。飯能駅では特急は特急専用ホームに発着するので、跨線橋を渡っての乗り換えです。もともと乗り継ぎ時間が3分しかないところ、特急が少し遅れたので、大急ぎで跨線橋を渡り普通西武秩父行きに乗ると、4両編成の列車は席がほとんど埋まっていました。

飯能から先は単線になります。飯能から2つめ、高麗で反対方向の特急と行き違い。

高麗から先は山の中に入っていきます。

山間部を抜けて横瀬の駅が近づくと、左手に秩父を代表する山、武甲山が大きく見えます。

飯能から50分ほどで西武秩父に到着。特急よりも10分から20分程度時間は余計にかかりましたが、山の中を走る普通列車の旅も良いものでした。
さて、ここからは秩父鉄道に乗り換えて長瀞に行き、帰りに芦ヶ久保に寄って氷柱を見ようと思っていたのですが、なんと外は雨が降り出していました。昨日見た予報では曇りだったのですが…。どうしたものかと思案していたところ、西武秩父駅のフードコートにジェラート屋さんを発見。おいしいジェラートを食べながら少し様子を見てみることにします。購入には漫遊クーポンが使えたので、子供の漫遊きっぷのクーポン(480円分)を使い不足額のお金を払ってジェラートを購入。とてもおいしいジェラートでした。
幸い、雨は通り雨のようですぐにやみましたが、最新の予報を見ると、これからも時々は降る可能性があるようです。今日は長瀞へ行くのはあきらめて、芦ヶ久保の氷柱を見に行くことにしました。

和の雰囲気がただよう西武秩父駅から、ふたたび西武秩父線普通列車に乗車して芦ヶ久保に向かいます。西武秩父から芦ヶ久保へは普通列車で2駅、10分もかかりません。ついさっき通った場所を再び戻るので、こんなことならさっき通った時に芦ヶ久保で降りておけばよかったと思いますが、この区間は漫遊きっぷのフリー区間なので何度でも乗り降り自由ですし、ジェラートも食べられたので良しとします。

芦ヶ久保西武秩父より標高が高く、線路際には雪が残っていました。
飯能に向けて走り去る普通列車を見送り、駅を出ます。

冬の秩父の新名所 あしがくぼの氷柱

あしがくぼの氷柱について

あしがくぼの氷柱は2014年から始まった新しい秩父の冬の観光スポットです。横瀬町の兵ノ沢(ひょうのさわ)沿いの山の斜面、幅約100m、最大高さ30mにわたって散水された水が自然の寒さで凍り、幻想的な風景を作り出しているとあって、人気を呼んでいます。秩父エリアにある他の氷柱、尾ノ内(おのうち)氷柱、三十槌(みそつち)氷柱とともに「ちちぶ三大氷柱」の1つに数えられていますが、あしがくぼは3大氷柱の中で唯一の駅近物件で、西武線芦ヶ久保駅から徒歩10分ほどで訪れることができるアクセスの良さも魅力です。
水は人工的に撒いているそうですが、凍らすのは自然の冷気なので厳寒期にしか見ることができず、例年1月中旬から2月中旬頃の寒さが最も厳しい時期に開催されています。週末の夜にはライトアップも実施されます。
2023年の開催は下記のとおりでした。

<2023年 あしがくぼの氷柱>

開催期間: 2023年1月7日(土)~2月23日(木・祝)
開催時間: 日中 9:00~16:00
                      ライトアップ(金土日祝限定)
                      17:00(2月は17:45)~20:00(最終入場 19:30)
入場料 : 日中 中学生以上400円 / 小学生200円
      ライトアップ 中学生以上500円 / 小学生300円   

(チケット購入には現金のほか、SUICA/ PASMO、PayPayが利用可能でした)                  

※日中の入場は予約不要
※土日祝のライトアップは予約または整理券が必要。金曜は予約不要。
 予約は web で、整理券(数量限定)は電車利用者限定で土日祝の16:00~19:25に芦ヶ久保駅改札外にて配布。

芦ヶ久保駅から氷柱までは歩いて10分少々

芦ヶ久保駅は西武線で3番目に乗降客の少ない駅。かつては特急も停まり、観光の拠点となっていた駅ですが、いまは特急も通過してしまいます。しかしながら、冬の氷柱は観光客を多く集めているようで、氷柱開催期間は一部の特急が臨時に停車します。

駅前には道の駅があり、駐車場にはたくさんの車が停まっていました。

線路と道の駅のあいだの坂を下りて行くと、氷柱エリアの入場受付があります。ここまで駅から5分もかからない近さです。
この先が有料ゾーンになっており、ここでチケットを購入します。

有料ゾーンに入ってからも、氷柱スポットまでまだしばらく歩きます。さきほど雨が降ったので、道がすこしぬかるんでいました。道の真ん中にはロープが張られていて、右側通行で歩きます。

見上げればちょうど芦ヶ久保を発車した西武秩父行きの普通列車がトンネルの中に消えていきました。

道は少し上り坂となり、さきほど電車が入って行ったトンネルのある峰を回り込むように林の中を進んで行きます。

トンネルから出た線路が見えたあたりで道は線路の下をくぐって行きますが、この先が氷柱エリアになっています。

ちょうどやってきた特急ラビューを見送って、いざ氷柱エリアへ。

厳しい寒さが作り出す芸術 あしがくぼの氷柱

線路をくぐると、青みがかった氷が織りなす幻想的な世界が広がっていました。

氷柱は水を人工的に撒いて、厳しい自然の寒さで凍らせて作られたものです。山全体に広がっているのではなく、入口付近の沢の両岸と、奥の斜面の2か所が氷柱エリアとなっていました。

線路から見えるところには、電車の乗客に向けた案内が。

氷柱エリア内の観覧コースは一方通行で、決められた方向にしか進むことはできません。

氷柱がつくられている沢は、兵の沢(ひょうのさわ)と言うそうですが、氷の沢とも書くようです。はじめから2通りの書き方があったのか、氷柱にあやかって氷の当て字をするようになったのかはわかりません。

下り特急がやって来ました。

エリア内の観覧コースはくねくねと山肌を登って行きます。そのおかげで、さまざまな角度から氷柱を楽しむことができます。

時折やってくる列車が、風景の良いアクセントに。

エリア内最上部には平坦な広場があり、ここにトイレと、仮設の小屋がありました。小屋では甘酒か紅茶の無料サービスがあり(1人どちらか1杯)、広場には焚火が焚かれているので、ここで冷えた体を温めることができます。

斜面の氷柱を見下ろすところには、ハート形のフォトスポットも。

広場から下りの道が続いていますが、これは帰路ではなく氷柱観覧用の行き止まりの通路のよう。下り坂で、行き止まりという事は、帰りに登らなければならないということになりますが、せっかくなので行ってみます。

砂防ダムがあり、沢の水が細く流れ落ちていました。おそらくこの高低差を使ってダムから引いた水を斜面に撒いて氷柱を作っているのかと思います。

氷の厚いところでは色が青白くなっていて、とてもきれいです。

線路がみえたところでこの通路は行き止まりになっていました。わずか数十メートルほどの通路ですが、一面の氷柱を間近に楽しむことができました。

氷柱があるのはそれほど広いエリアではありませんでしたが、角度や高さを変えて氷柱のさまざまな表情が楽しめました。

レストラン列車 52席の至福 に遭遇

芦ヶ久保駅に戻ると、駅にはなにやら水色の電車が停車中です。これは西武のレストラン列車「52席の至福」です。池袋から車内で昼食を楽しみながら西武秩父まで行くこの列車は、ちょうど食事が終わった頃合いの芦ヶ久保駅で小休止するスケジュールになっているようです。

水色のボディーに、1車両ごとに違う季節がイメージされた52席の至福。いつか乗ってみたいと思います。

飯能行きの普通列車がやってきました。52席の至福は、この普通列車の車両、4000系を改造したものです。

上り普通列車の到着を待って、52席の至福西武秩父に向けて発車していきました。

52席の至福が去ってすぐにやって来た普通列車に乗って、ふたたび西武秩父に向かいます。
芦ヶ久保を出てすぐのトンネルを出ると、進行左側に先ほど楽しんだ氷柱エリアを見ることができました。

武甲山を臨む西武秩父駅に到着。

ここでは残ったクーポンを使って、少し遅い昼食を楽しみました。
名物の味噌ポテトとわらじかつ丼

無料で遊べる有難い施設 ちちぶキッズパーク

昼食を食べ終わり、空模様も少し落ち着いているようなので、秩父神社や古い町並みなどがある秩父市内を観光しようかと思いましたが、ここで子供から「公園で遊びたい」とのリクエストが。どこか良いところがないかと検索してみると、よい施設がありました。ちちぶキッズパークです。
ちちぶキッズパークは子供向けの公園で、ゴム張りの大きなドームの上を跳ねて遊べるふわふわドームやボールプール、立体迷路などの遊び場があるようです。普通の公園以上の充実っぷりながら、なんと入場は無料。しかも、ふわふわドームには屋根がついており、ボールプールは屋内にあるので、もしまた雨が降ってきても大丈夫そうです。
営業時間は16時まで、あまり時間がないのでタクシーで行くことにします。西武秩父駅から10分もかからず到着し、タクシー料金は片道1,020円でした。

キッズパークの入り口。平屋の建物に見えますが、斜面に建っているので2階建てです。

ちちぶキッズパークいちばんのメイン遊具はこのふわふわドーム。屋根付きなので雨でも安心です。

ふわふわドームの他にも、体を動かして楽しめる遊具が。

最近の公園でよく見かけるカラフルな遊具や、その向こうに大きな砂場、さらに奥には茶色い砦も。

 

下が芝生なのでわざわざ橋で渡る必要がないのですが、なぜか作られている低い橋。双方の登り口には、声が反響して離れた登り口同士でも会話ができるチューブや、橋の下には小さなブランコ的なものもあります。
とはいっても、わざわざ橋を作ってまで設置すべき遊具とは思えず、変なところにお金をかけているなー、と不思議に思っていると、ふと気が付きました。ここは昔プールだったのではないかと。流れるプールの、プールに入らずに内側の島に渡れる橋と思えば、この橋のビジュアルはぴったりイメージにはまります。

メインの建物も、どこかプールっぽい雰囲気です。

建物内内には立体迷路とボールプールがありました。

キッズパークは目の前にバス停があるので、バスの時刻さえ合えば便利なのですが、西武秩父駅行きは10時代、14時代、18時代の1日3本だけ…。
幸い青空も見えるようになってきたので、帰りは西武秩父駅まで歩くことにしました。およそ30分ほどの散歩です。

秩父からの帰りはSトレインという選択肢も

時間がどれくらいになるかわからなかったので、帰りの特急の予約は発車2時間ほど前にインターネット予約をしてみたのですが、夕方の上り特急も混んでいて、4人1ボックスでは席が取れませんでした。仕方なくバラバラの席で予約をしてみたのですが、西武秩父駅の発車案内を見て、Sトレインという選択肢もあるな、と気づきました。
Sトレインは、東京メトロ副都心線東急東横線に直通する全席指定の列車です。西武秩父発元町中華街行という長い距離を走りますが、池袋、新宿三丁目、渋谷、武蔵小杉、横浜などに停車するので、広範囲からの秩父アクセスに便利な列車です。使われる車両は40000系といい、シートの向きを、前向き2人掛けのクロスシート仕様と、窓を背にして通路側を向いたロングシート仕様に切り替えることができます。Sトレインに使われるときはクロスシート仕様、特別料金不要の列車に使われるときはロングシート仕様になりますが、クロスシート仕様のときもリクライニングはせず、車内の雰囲気も通勤電車感がありますので、居住性は特急のほうが断然良いでしょう。

ただ、Sトレインは特急に比べて空いており、向かい合わせにすれば4人で1ボックスを作ることができる席が予約できました。せっかく横浜方面まで直通する便利な列車なのに空いているのはなぜかと思いますが、認知度が低いことや、池袋までの利用の場合、東京メトロ池袋駅に着くことから運賃、料金が割高になってしまうことも理由かもしれません。池袋までの利用の場合、西武のアプリで「西武秩父」から「池袋」として検索してもSトレインは出てこないため見落としがちなのかもしれませんが、池袋のひとつ前の停車駅である石神井公園までとして検索すれば出てきます。

吾野駅で下りラビューと行き違い。

石神井公園で下車。後続の準急に乗りかえて、池袋に戻りました。

あいにくの天候で急遽の予定変更はありましたが、あしがくぼの氷柱は神秘的でとても美しく、キッズパークで思う存分遊べ、子供も大満足だったようです。日帰りでも気軽に訪れることができる秩父は、魅力がたくさんある素敵な観光地です。

2023年2月