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【山梨県】なつかしい国鉄特急色の列車で冬の富士急ハイランドへ スケートとトーマスを楽しんだ日帰り旅〔ホリデー快速富士山号/新宿~河口湖/2019年廃止〕(2018年)

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富士山麓は四季を通して人気を集める人気の観光地です。富士山や富士五湖といった自然もさることながら、絶叫マシンで知られる遊園地、富士急ハイランドもまた富士山麓の有名な観光スポットで、アトラクションだけではなく、冬季にはスケートリンクが開設され、富士山を見上げる絶景の屋外リンクでスケートが楽しめることでも知られています。
スケートをやったことがない我が子のスケートデビューには、この景色のいいリンクがいいかもしれないなと思っていたところに、新宿と富士急ハイランドを乗り換えなしで結ぶ週末の臨時列車「ホリデー快速富士山」号に使用されている国鉄時代のカラーの車両が間もなく引退するとの話を聞き、2018年2月、この列車に乗ってスケートに行くことにしました。

最後の現役国鉄特急色 豊田車両センター189系車両

国鉄時代の鉄道車両は、車種ごとに日本全国で統一された塗装のものが多く、北海道から九州までどこに行っても同じ色の車両を見かけることできましたが、国鉄末期ごろから少しずつご当地塗装の車両が目立ち始め、その流れは会社のカラーや地域性を前面に押し出して脱国鉄を目指したJR化によって加速され、いつしか国鉄時代の標準色を纏う車両はめっきり数を減らし、珍しく、そして郷愁を誘う色として、人気を博すようになりました。
朱色と肌色に塗り分けられた国鉄標準色で現役で活躍する車両は、2018年初の時点で日本全国を見まわしても東京の豊田車両センターに所属する189系という形式の6両編成1本のみとなっていました。
この当時豊田車両センターには、特急あさま号や特急あずさ号として活躍した189系特急車両の6両編成が3本所属しており、かつての特急あずさ号が採用していた水色の塗装のものが1本、水色の前のあずさ号の色である緑と赤のストライプが入った塗装のものが1本、そして国鉄特急色が1本と、3本それぞれが違った色をしていました。これら3編成は定期運用はなく、臨時列車だけでの活躍ではありましたが、土休日に新宿~河口湖で1日1往復運転される「ホリデー快速富士山」号にはこれらの3編成のいずれかが使用されていました。しかしながら、189系車両の老朽化に伴い、ホリデー快速富士山号は2018年3月を以って使用車両が変更されることになり、なつかしい国鉄時代の特急車両で旅ができるチャンスも、もう残りわずか。
ホリデー快速富士山に使用される189系は、3色の編成のうちどの色が来るかは決まっていなかったはずですが、引退が近づいたころには国鉄色の編成が充当されることが多かったようです。

なお、当時はこの豊田の189系が最後の国鉄特急色の現役車両でしたが、2022年2月、JR西日本の特急やくもに使用される国鉄特急型381系の一部に国鉄特急色を復活させることが発表されたため、現在ではこの「やくも」が最後の国鉄特急色車両になるはずです。

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ホリデー快速富士山号は現在の特急富士回遊号

富士山の北麓である河口湖には、JR中央本線の大月から富士急行線という私鉄が路線を伸ばしていますが、JRと富士急行線を直通する列車は国鉄時代から運転されており、長い歴史を誇っています。東京や新宿から河口湖を結ぶ列車は、朝夕に通勤車両による直通列車もありますが、行楽客向けの列車としては国鉄時代に急行「かわぐち」という列車があり、それが「ホリデー快速ピクニック号」、「ホリデー快速河口湖号」、「ホリデー快速富士山号」と、列車名や使用車両を変えて受け継がれてきましたが、2019年3月からは特急「富士回遊」となって毎日運転される特急列車になっています。
また、冬季には富士急ハイランドへのスケート客向けの列車として「ハイランドスケート号」が往路夜行、復路昼行で運転されていた時代もあり、この列車に乗れば朝焼けの富士山を眺めながらスケートを滑ることができました。

ホリデー快速富士山1号で河口湖へ

ホリデー快速富士山1号は、6両編成のうち指定席が1両だけあり、残りの5両が自由席でした。インバウンドの富士山人気もあり、なかなかの混雑が見込まれる列車だったので、乗車前に並んで席を確保しなくても済む指定席の設定は有難いところでした。指定席車両は行先表示が緑、自由席車両は青となっていました。
新宿発の時刻は8:14。

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新宿駅に停車する国鉄特急色189系ホリデー快速富士山1号(別日に撮影)

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新宿から大月まではJR中央本線を走り、大月からは大きくカーブを曲がって、私鉄の富士急行線に直通します。(別日に撮影)

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富士急行線に入ると、富士山が大きく見えてきます。

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その名も富士山駅スイッチバックし、進行方向が変わります。富士山駅は以前は富士吉田という駅名でした。現在も市の名前は富士吉田市で、吉田のうどんが有名な町です。

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富士山駅から富士急ハイランド駅を経て、終点河口湖駅に到着。河口湖駅の改札横には引退する189系の顔はめパネルがありました。ここに描かれているイラストの車両が、この当時の豊田車両センター189系の3色です。

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赤富士を描いたヘッドマークは、なかなか良いデザインだと思います。臨時快速列車にわざわざ専用のヘッドマークが用意されることは珍しく、「臨時」とか「快速」という文字だけを表示する列車も多かった中、専用のヘッドマークが作られたのは、臨時列車ながら運転頻度が高かったことや、歴史ある富士山麓アクセス列車で、JRとしても力を入れていたからでしょうか。

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河口湖駅に着いたホリデー快速富士山1号は、乗客を降ろすと引き込み線に引き上げ、留置線に入って夕方の上り列車まで待機します。

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富士急ハイランドでスケートとトーマスを楽しむ

河口湖駅から富士急ハイランド駅までは普通列車に乗車します。ホリデー快速富士山1号も富士急ハイランド駅に停まるのですが、せっかくなので終点の河口湖まで乗りたかったため、いったん富士急ハイランドを通り過ぎてから、再び戻ることにしました。
JRから直通してしまったため富士急線の乗車券は持っていなかったのですが、このときは河口湖駅の精算所で1日フリーきっぷを購入することができました。

河口湖から乗車した普通列車は、「トーマスランド号」が使用されていました。普通乗車券だけで乗車できる普通列車ですが、車内外にトーマスの装飾であふれています。
トーマスと言えば大井川鐵道の本物のSLのトーマスが有名ですが、富士急ハイランドにも「トーマスランド」というトーマスをテーマとしたエリアがあり、そのPRで、トーマスの装飾をされた普通列車が走っているのでした。

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運転台のすぐ後ろには、子供用の運転席(もちろんダミー)が作られていて、備え付けの帽子をかぶり、運転士さん気分になることができます。

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車内はどこを見てもトーマスが描かれていて、子供のテンションもあがります。わずか1駅で降りてしまうのがもったいないです。
なお、このトーマスランド号の車両も2019年に引退し、現在は下吉田駅の構内に保存されています。新車両が新たにトーマスランド号に仕立てられ、2代目車両として今も活躍しています。

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富士急ハイランド駅は、改札を出るとそこが富士急ハイランドの入り口です。この当時は入園料が必要だったため、ここでチケットを買って入園しましたが、現在富士急ハイランドは入園無料になっています。
入口からスケートリンクまでは少し歩きますが、いろいろなアトラクションを見ながら遊園地内を歩くもの楽しいもの。
スケートリンクに着くと、貸靴を借りていざスケート開始。富士山はあいにく雲に隠れてしまいましたが、太陽を浴びて滑るスケートは爽快です。持ち手のついた青い三角コーンの滑走補助具があり、初心者もこれにつかりながら練習することができます。
我が子もがんばって練習していましたが、やはり未就園児には難しかったようで、椅子のついたソリ型滑走具に乗りたいと言い出し、親がこれをひたすら押しながら滑ることになりました。

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それなりにスケートを楽しんだら、少し遅めの昼食を食べ、トーマスのミニ汽車に乗車。この季節の富士山麓、屋外でじっと座って乗るアトラクションは、かなり寒さを感じるものではありましたが、子供は楽しんでいました。

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ホリデー快速富士山2号で帰路につく

帰りも河口湖駅から上りのホリデー快速に乗るべく、富士急ハイランド駅から「富士山ビュー特急」に乗車。赤く塗られたこの特急車両は、かつて新宿と沼津を結んでいた小田急線~JR東海御殿場線直通特急「あさぎり」として活躍していた車両。
そして、ホリデー快速の向こうに見える細い赤いラインが入った車両は元京王線で活躍していた車両。

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6両編成と、富士急行線内では長い編成なので、最後尾の車両はホームにかからず、ドアも開いていません。車両の後ろには富士山がそびえていますが、雲に隠れて見えないのが残念。

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帰りも指定席をとりましたが、河口湖から乗車すれば自由席でもまだ空席がありました。
富士山駅横の工場では、新たに導入される車両の整備が行われているのが見えました。この車両は元JR205系ですが、帯が剥がされ、銀色一色になっている珍しい姿。

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遊び疲れてぐっすり眠っているうちに、列車は中央本線を快調に走り、終点の新宿に到着。やはり遊んだ後の直通列車は有難いものです。
ホリデー快速189系は、シートは新しいものに換装されていますが、国鉄時代の特急列車の雰囲気を残す車内。

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ホリデー快速富士山号で行った富士急ハイランドの日帰り旅行は、小さな子連れには有難い直通列車の便利さを改めて認識するとともに、ひと昔前の特急列車での旅の雰囲気、スケートに遊園地と、充実した休日を過ごすことができました。いまはもうこの車両は引退してしまいましたが、新しい車両での直通列車に乗って、また雄大な富士山を眺めながらのスケートに出かけてみたいものです。

 

2018年2月