そこに線路があるかぎり

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【神奈川県】紅葉の林を抜けて富士山の絶景へ 矢倉岳ハイキング(2023年)

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神奈川県にある矢倉岳(やぐらだけ)は、標高870mと比較的低いですが、山頂からは迫力ある富士山を始め、相模湾や箱根の山々といった素晴らしい展望が楽しめる山です。紅葉のシーズンには、赤や黄色に彩られた雑木林の中を歩く楽しさも加わり、魅力満載のハイキングが楽しめます。2023年12月初旬、ビギナーでも登りやすく、東京からのアクセスも良好な矢倉岳に登ってみました。

矢倉岳へのアクセス

矢倉岳の登山口はいくつかありますが、登山口から山頂までの距離が短いのは箱根登山バスの矢倉沢、地蔵堂、足柄万葉公園などのバス停を利用するルートです。これらのバス停は同じ路線上にありますが、地蔵堂と足柄万葉公園の間は4、5、10、11月の土休日のみの運転なので、それ以外の日はバスは地蔵堂までしか行きません。

このバスの始発は小田急線の新松田駅。そして、途中で経由する関本というバス停は、伊豆箱根鉄道大雄山(だいゆうざん)線の大雄山駅前にあります。東京方面からのアクセスとしては新宿から小田急線で新松田へ、あるいは、東海道新幹線東海道線で小田原に出て、小田原から大雄山線大雄山へ、というルートでこのバスに乗り継ぐことができます。

バスの本数は少なく、行きの場合、2023年12月現在、土休日ダイヤでの新松田駅地蔵堂行きの発車時刻は8:10と8:45の2本だけ。これらの便は途中関本(大雄山駅)を通り、関本発は8:30と9:05。
帰りの場合、地蔵堂発のバスは新松田までは行かず関本止まりで、2023年12月現在土休日ダイヤでの午後の地蔵堂発は14:15と15:25の2本だけで、この15:25発が最終バスとなります。

矢倉沢バス停は地蔵堂バス停の2つ手前にあり、関本と矢倉沢の間は別系統の路線も通るので矢倉沢を通るバスは地蔵堂よりもやや多いですが、ハイキングに使えそうな便は朝に2本多くなるかという程度です。

このほか、JR御殿場線駿河小山駅と足柄駅から矢倉岳に至るルートもあるようですが、上記のバス利用の場合に比べ、だいぶ距離は長くなるようです。

矢倉岳へはロマンスカー

私は新宿からロマンスカーを利用することにしました。乗車するのは新宿7:20発 はこね21号。この列車は10両編成のうち、前6両が箱根湯本行きはこね21号、後ろ4両が片瀬江ノ島行きえのしま21号となっていて、途中の相模大野で切り離しをします。乗り間違えないように気をつけなければ、と思いますが、これらの列車は全席指定席なので、下車駅までの特急券を買って、指定された座席に座れば、乗り間違えることはありません。

使用される車両は30000系EXE(エクセ)。前面の愛称表示も「はこね/えのしま」となっています。

6号車と7号車の連結部分。はこね号えのしま号の境目です。

多摩川を渡り

相模川を渡り

新宿から54分、秦野でロマンスカーを降りて、急行に乗り換え。急行は向かいのホームに停まっているので、乗り換えもらくちんです。

秦野から11分で新松田に到着。

昔はロマンスカーさがみ号が新松田に停車していましたが、いまは新松田にとまるロマンスカーはありません。新松田に隣接した松田であれば、JR御殿場線直通ロマンスカーふじさん号が停車するので、時間が合えばふじさん号利用が便利です。ふじさん号は1日3往復しか運転されていませんが、朝の下りは新宿6:40発、松田7:46着という便があり、新松田駅発8:10のバスに乗るなら、この列車の利用もアリでしょう。

新松田駅から地蔵堂行きバスに乗る

新松田駅の改札口を出ると目の前にちいさな駅前広場があり、そこにバス乗り場があります。地蔵堂行きは1番のりばからの発車。
なお、駅前にはセブンイレブンがあります。

途中の関本までのバスは本数が多いですが、地蔵堂行きは朝の2本だけ。

バスがやって来ました。運行会社は箱根登山バスなので、オレンジ系のカラーリングが標準ですが、やってきたのは特別塗装なのか、深緑に塗られたバスでした。

この日は並んでいたすべての人が座れました。

新松田駅前の気になるスポット、マニラ食堂。マニラですが、和食、中華だそうです。

8:45、新松田駅を出発したバスは松田の市街を抜け、酒匂川を渡ります。左には並行する小田急線の鉄橋が見え、右には富士山がきれいに見える…はずです。この日は良く晴れていましたが、なんたることか、富士山にだけ雲がかかっていました。矢倉岳のたのしみのひとつは富士山の眺め。果たして矢倉岳から富士山が見えるか、心配になります。

関本で大雄山線からの乗り継ぎ客を乗せ、車内には立客も出るようになりました。バスの正面にはこれから登る矢倉岳がきれいに見えます。

新松田から30分ほどで矢倉沢バス停に到着。ここか、バスの終点の地蔵堂から矢倉岳に登るのが一般的です。

土休日の地蔵堂行きバスは1日5本あるように見えますが、万★マークの便は4,5,10,11月だけの運行です。

道を渡った反対方向のバスの時刻はこんな感じです。

矢倉沢バス停から矢倉岳登山スタート

バスを降り、道路を渡って登山ルートへ。

冬の朝の陽は低く、歩いている道はまだ山の陰になっていますが、これから登る山は陽の光を浴びて輝いています。

バス停から2-3分歩いたところにある矢倉沢公民館の前に公衆トイレがありました。

トイレの近くには矢倉岳の解説が書いた看板がありました。

トイレの先で小さな川を渡ります。

家の壁に大きくコースの案内が書かれていました。これは目立ちます。

最初の10分くらいは舗装された林道を歩きます。

曲がり角には、しっかり道案内がされており、わかりやすいです。

今年は熊の目撃が多いようです。油断せず、気をつけなければなりません。

南足柄市街地が良く見えます。

バス停から25分ほど歩いたところに動物除けゲートがありました。手でフック式の鍵を開けて扉を開き、中に入ったら扉をしっかり閉めて鍵を掛けます。
ここからはいよいよ未舗装の山道に入って行きます。

わずかに緑を残すイチョウの黄葉が太陽に輝いて美しいです。

針葉樹林から紅葉の雑木林へ

ゲートを入ると、針葉樹林の中を歩きます。ときどき木の間から谷あいの街並みなどが見えたりもしますが、基本的にはコース中からの展望はあまりありません。

錦秋の雑木林の中を歩く

針葉樹林の中を30分ほど歩くと樹相がかわり、広葉樹林になりました。明るさといろどりがいっきに増します。

まだ緑の葉が残っている木もあるかと思えばすっかり葉が落ちた木もありますが、紅葉としては見ごろといっていい状態でしょう。

少々針葉樹林もありますが、さきほどまでの針葉樹林とは違い、陽も入って明るいです。

少し歩くと、紅葉がひときわ鮮やかになってきました。

黄色や赤だけでなく、緑や緑から色が変わっていく途中など、さまざまな色合いの葉が織りなすモザイク模様が美しいです。この季節に登りに来てよかったと思える最高の黄葉に出会えました。

彩豊かな風景の中を落ち葉を踏みしめて歩いて行きます。

 

こんなきれいな景色の中を歩いていると、心も踊ります。来てよかった。

標高があがってきているからか、歩き進めるうちに徐々に紅葉の度合いも進んできたように思えますが、そうした変化もまた楽しいものです。

木々の間から見える町並みもだいぶ小さくなってきました。

かなり落葉がすすんだ木々が多いところでも赤く色づく木がぽつんとあって、その孤高ぶりがまた、より色を鮮やかに感じさせます。

木がアーチ状になっている下をくぐると、そこが矢倉岳の頂上でした。

富士山に箱根に相模湾 矢倉岳山頂からの絶景

登り始めてからおよそ2時間で矢倉岳の山頂に到着。向こうに見えるのは富士山。少し雲がかかってしまっていますが、いちおう見える状況でよかったです。

横長の茶色い看板は外すことができ、手に持って好きなポジションで記念写真を撮ることができます。

山頂はとても広く、ベンチやテーブルもあるので、ここで昼食タイムにします。

山頂から西を見ると、迫力の富士山が。

御殿場の町。

南には金時山や明神ヶ岳など箱根の山々。

そして西には相模湾

海に向かって続く丘陵地は曽我丘陵です。

遠くには江の島や三浦半島、その向こうにうっすら房総半島も見えます。

酒匂川の河口。河口の右が小田原です。

小田原の町。

足柄万葉公園に向かって下山

山頂の絶景の中でお昼ごはんを楽しんだら下山開始。まず富士山の方向に向かって山を下りて行きます。

見晴らしのいいポイントにベンチがありました。山頂は風をよけられないので、風が強い時などはこのあたりで休憩したほうが風が来なくてよいかもしれません。

やがて登山道は林の中に入りました。

ときどきコースの分かれ道もありますが、標識がしっかりしているのでわかりやすいです。

針葉樹林の中を歩いて行きます。

30分ほど下ると、道はふたたに登りになりました。

登り切るとまた紅葉が。

少し歩くと駿河小山方面への分岐。駿河小山には夕方の上り特急ロマンスカーふじさん号新宿行きが停車します。時間が合えばその選択肢もありですが、駿河小山まではここから5.8㎞と結構距離があります。今日は1.1㎞先の足柄峠方面を目指します。

少しひろくなったところに石碑がありました。ここが足柄万葉公園のようです。

万葉公園の中を、足柄峠を目指して歩いて行きます。公園内は紅葉がきれいでした。

箱根の山並みや相模湾が見えるポイントもありました。

木々の向こうに、さきほど登った矢倉岳も見えます。

公園内には東屋もあります。

車の走る舗装道路に出ますが、すぐ先からまた右のほうに歩道が続いています。

マムシ草。この赤と黒コントラストが醸し出す妖しさ。

足柄万葉公園のバス停がありました。最初に石碑を見たところから20分少々歩いてきましたが、足柄万葉公園は思ったよりも広い敷地のようです。公園といっても、ところどころに石碑や東屋がある、林の中の散歩コースといった風情のところです。

バスがあるシーズンならここからバスに乗れたのですが、あいにく12月は運行がありませんので、通年バスのある地蔵堂まで歩いております。

静岡県に入りました。といっても、地図を見るとこのあたりはこの道が神奈川と静岡の県境になっていて、標識こそここにあるものの、実際は道の右側が静岡県、左側が神奈川県になっているようです。

少し行くと公衆トイレがありました。このあたりは足柄関所跡、そして足柄峠もすぐ近くのようです。あいにく地蔵堂からのバスの時間まであまり余裕がなかったので、関所跡にも峠にも寄らず、先を急ぐことにしました。

足柄道をたどり地蔵堂へ降りる

ここから歩く道は足柄道と言われる古い街道。

落ち葉に埋もれてわかりにくいですが、石畳の道が林の中に続いています。

ところどころ車道と交差したり合流したりしながら、足柄道は山を下って行きます。

車道をしばらく歩いたかと思うと、ガードレールの切れ目からまた古い足柄道が始まり、また少し行くと車道と合流し、ということを繰り返します。

やがて古道はなくなり、車道を歩くことになります。

矢倉岳がきれいに見えました。山の形と言い、植林の緑の形といい、まるでおにぎりです。

茶畑と大きなカエデが見えてきたら、地蔵堂はもうすぐ。

「金太郎の大もみじ」という木だそうです。谷あいにあるため、もう日が当たっていないのが残念ですが、それでも大変に見ごたえのある木です。

実は大モミジの少し手前に地蔵堂バス停に行く道が分岐していたのですが、すっかり大モミジに目を奪われてその分岐に気づきませんでした。大モミジを通り過ぎた先の曲がり角を右に曲がって、少し遠回りして地蔵堂バス停に到着。

地蔵堂の名の通り、お堂がありました。バスの発車時刻が迫っていたのでお堂に立ち寄ることはできず、残念。

帰りのバスは関本(大雄山駅)行きです。新松田までは行きません。

15:45、関本(大雄山駅)に到着。新松田までは関本始発のバスがあるので、乗り継ぐこともできます。

モダン湯治 おんりーゆー で温泉入浴

大雄山駅からはタクシーでモダン湯治おんりーゆーへ。大雄山駅からおよそ10分、1300円ほど。

おんりーゆーは、大雄山駅と、小田急線の開成駅への無料送迎がありますが、要予約になっています。行きは予約が間に合わなかったのでタクシーを使いましたが、施設に到着したときにフロントで帰りの送迎予約をして、帰りは小田急線の開成駅まで送っていただきました。

紅葉の中のハイキングと、山頂からの絶景、そして日帰り温泉露天風呂と、充実した休日を過ごすことができた矢倉岳。アクセスも景色も素晴らしく、また季節ごとに訪れてみたいと思わせる、素敵な山でした。

 

<ハイキング> 

スタート:矢倉沢バス停 ゴール:地蔵堂バス停 総歩行距離約8.7㎞

矢倉沢バス停 9:15 --->  矢倉岳山頂  11:20  (2時間5分)

矢倉岳山頂 12:45 ---> 足柄万葉公園バス停 14:10 (1時間25分)

足柄万葉公園バス停 14:10 --->  足柄関所跡 14:25(15分)

足柄関所跡 14:30 --->  地蔵堂バス停 15:20(50分)

計 約4時間35分 (コース上での小休憩含む。昼食の大休憩は含まず)

 

<交通機関利用> (2023年12月現在)

(往路)

新宿 7:20 ---> 秦野 8:14  小田急線 特急ロマンスカー はこね21号 箱根湯本行き 
秦野 8:18 ---> 新松田 8:29  小田急線 急行小田原行き   

新松田駅 8:45 ---> 矢倉沢 9:15 箱根登山バス 地蔵堂行き

(復路)

地蔵堂  15:25 ---> 関本 15:45  箱根登山バス 関本行き
開成 19:13 ---> 相模大野 19:57  小田急線 急行町田行き
相模大野 19:59 ---> 新宿 20:36 

(交通費)

新宿~新松田 大人IC運賃 片道796円
新宿~秦野 大人特急料金 片道750円
新松田駅~矢倉沢 大人IC運賃 片道600円

地蔵堂~関本 大人IC運賃 片道510円
開成~新宿 大人IC運賃 片道796円

計 3,452円

計 1829円(大人1人)

 

<注意>

・最新の公共交通機関の時刻、運賃は、最新の時刻表等でご確認ください。

・山歩きのルート、コースは最新の情報をもとに充分ご検討の上、各自に合ったプランを立ててください。

・山歩きをされる際には必ず充分な装備と最新の地図を持参してください。

2023年12月