ダイヤモンドヘッドは、ホノルルの南東に位置する標高232mの山です。青い海に突き出してそびえるゴツゴツとした岩山は、ハワイを象徴する風景のひとつとして有名ですが、この山には歩いて登ることができます。どれくらいハードなのか?子連れでも登れるか?服装や靴はどうする?などなど、いろいろな疑問を実際に登って確かめてみました。
- ダイヤモンドヘッドについて
- ダイヤモンドヘッド登山について
- ワイキキからダイヤモンドヘッドへ
- ダイヤモンドヘッドに登る
- トレッキングコースへ
- ダイヤモンドヘッドの頂上から見る絶景
- 帰路はワイキキトロリー グリーンラインの片道利用で
ダイヤモンドヘッドについて
ハワイの言葉で「レアヒ」と呼ばれる
ダイアモンドヘッドは、現地の言葉では「レアヒ Le'ahi」と呼ばれます。レアヒとは、「マグロの額」と言う意味であるという話をよく聞きますが、その他にも「火の岬」の意味であるという説もあります。火の岬とは、かつて沿岸を航行するカヌーの目印となるよう山頂に灯された火からそう呼ばれるようになったとのこと。
また、英語名のダイヤモンドヘッドの名は、1700年代後半に西欧の探検家や商人たちがこの山の噴火口壁面の岩石の中に光る方解石の結晶を見つけ、ダイヤモンドであると誤認したことからついたそうです。
かつての火山の噴火口 外輪山に囲まれた中心には広大なくぼ地が
そもそもハワイは火山によって造られた島々ですが、ダイヤモンドヘッドはおよそ30万年前の噴火によって形成されました。
横から見たのではわかりませんが、ダイヤモンドヘッドはドーナツ状の外輪山と、それに囲まれた大きなくぼ地から成っており、「ダイヤモンドヘッドクレーター」とも呼ばれています。このくぼ地の広さは350エーカー(1.4平方キロ)という広さです。外輪山は南西部がいちばん高くなっており、ここが山を登るトレッキングコースの終点の展望台になっています。
近世では軍事的施設として利用
ダイヤモンドヘッドの山頂は見晴らしがよく、オアフ島の軍事防衛上の拠点として最適でした。そのため、1904年に連邦政府に買い上げられて軍用地に指定され、その後要塞として整備されました。大砲も据え付けられ有事に備えられましたが、結果として戦時中にここから砲撃されることは一度もなかったとのこと。
こんにちのダイヤモンドヘッドのトレッキングコースのほとんどは、1908年、この軍事的施設の建設のためにつくられたものだそうです。
ダイヤモンドヘッド登山について
訪問には事前に予約と料金支払いが必要
ダイヤモンドヘッドはワイキキから直線距離で3㎞ほど、車で10分程度のところにあります。気が向いたら気軽にフラッと行ける近さではありますが、ダイヤモンドヘッドに登るには事前予約が必要です。しっかりと計画をたてて訪れましょう。
予約方法と料金
事前の予約はインターネットで行います。
サイトには「ダイヤモンドヘッド ステートモニュメント Diamond Head State Monument」書かれていますが、これがいわゆるダイヤモンドヘッドのことで、州立公園になっています。
gostateparks.hawaii.gov/diamondhead
・ 予約開始は訪問希望日の30日前から。
・ 営業時間はAM6:00からPM6:00。
(入場はPM4:00まで、トレッキング開始はPM4:30まで)。
クリスマスの12月25日と元日1月1日はお休み。
料金は予約と同時にクレジットカードで支払います。
・ 入場料はUSD5.00/人(大人・子供同額。3歳以下無料)
・ 駐車場はUSD10.00/台
・ 予約手数料として、別途USD1 少々がかかります。
予約はまず、車あり(Parking and Entry)か、車なし(Entry Only)を選びます。
車ありだと予約時間は2時間の枠となり、その時刻までに退場する必要があるようです。私は車なしで予約しましたが、その場合予約時間の枠は1時間となっていました。しかし、退場時に特にチェックもなく、1時間以内に退場しなければならないということではないようです。
ダイヤモンドヘッド トレッキングコースの概要
ダイヤモンドヘッドの山麓から山頂までのトレッキングコースの全長は片道およそ0.8マイル(1.3㎞)、高低差は560フィート(171m)。公式ガイドによると所要1時間半から2時間程度となっていますが、実際に歩いてみたところでは、大人の標準的な足で麓から山頂までの片道30-40分といったところでしょう。
コースの道は、舗装されている部分、未舗装で岩や土の部分、そして階段の部分があります。
服装と持ち物
基本的には手軽に登れるハイキングコースとはいえ、舗装されていない山道を歩く部分も多いので、サンダル等ではなく、歩きやすいスニーカーやトレッキングシューズを履くのがおすすめです。足元の乾燥した岩や土は滑りやすいところもあるので、あまり底がフラットではないもののほうが良いでしょう。
また、木々が少なく、陽射しを直接浴びるところも多いので、帽子や日焼け止めも忘れないようにしましょう。
そして、飲み水は余裕をもって持参したほうが良いです。一度登り始めてしまうと、山頂も含めて途中で飲み水を調達できるところがありません。麓で持っている水が、麓に戻ってくるまでに消費できる水ですので、すこし余裕のある量の水を持ってトレッキング開始することをお勧めします。
また、入場時に予約のQRコードを提示するため、ネットにつながる状態のスマホも必要となります。
アクセスはワイキキトロリー グリーンラインが便利
ワイキキからダイヤモンドヘッドへはバスで行くことができます。路線バス(ザ・バス)も出ているようですが、ダイヤモンドヘッド登山口から少し離れたところにバス停があり、バスを降りてから登山口まで15-20分程度歩く必要があるそうです。
一番便利なのがワイキキトロリーのグリーンライン。ダイヤモンドヘッドシャトルという名前がついているように、ダイヤモンドヘッドへのアクセスを目的としたバスで、これに乗れば登山口のすぐ前で降りることができます。
グリーンライン:ダイヤモンドヘッドシャトル - Waikiki Trolley
ただし、ワイキキトロリーはチケットの種類が「路線別1日券」か「全路線券(2日、4日、7日用がある)」しかなく、グリーンラインの利用には最低でもグリーンライン1日券USD18.00を購入する必要があります。また、グリーンラインは1時間に1本の運転で、最終便はダイヤモンドヘッド発1:57PM と早いので、注意が必要です。
ワイキキからダイヤモンドヘッドへ
Uberに乗ってみる
ダイヤモンドヘッドを訪れる日ははっきりとは決まっていなかったのですが、翌日行こうかと思い夜8時頃予約サイトを見てみると、その時点で予約できる一番早い時間帯がお昼の12時でした。できれば午前中に行きたいと思っていたのですが仕方ありません。
当たり前ですが、予約はできるだけ早めにしたほうが良いです。
午前中が空いてしまったので、少しワイキキの街を歩いてから、Uberでダイヤモンドヘッドへ行くことにしました。
ワイキキのビーチは、ハワイらしさ、リゾートらしさが満点です。
ダイヤモンドヘッドの麓の展望台
町を30分ほどぶらぶら歩き、ワイキキビーチのデューク・カハナモク像の前でUberに乗車。実はこれが初めてのUber利用でドキドキしていたのですが、ドライバーもすぐに私を見つけてくれ、問題なく乗車することができました。
ビーチ沿いの道から緑豊かな公園の横を過ぎると、道が上り勾配になってきます。道沿いの住宅の向こうにはダイヤモンドヘッドの山並みが見えます。
やがて家並みもなくなってきました。
やがて走っていた通りから右に折れると、道路沿いに見晴らしのいい展望スポットが現れました。ドライバーに、ここでちょっと停まってくれないかというと、ダイヤモンドヘッドまではここからすぐだから、ここで降りて景色を楽しんでから歩いて行けば?という有難い(?)提案が。Uberは乗車料金は決まっているので、早く降りようが当初の目的地まで行こうが、料金は変わりません。果たして、景色を見たがっている私のための好意的な提案だったのか、はたまた…というのは考えないことにし、ドライバーの提案通りここで降りることにしました。ワイキキで乗車してからわずは5分少々、料金はUSD9.98+チップ。
ワイキキの街から来た身としては、高台の見晴らしの良い景色が楽しく、やっぱり降りてよかったと、この時は思いました。ですが、結果としてこの方角の景色はこれからもっと見晴らしの良い場所からいくらでも楽しめたので、ダイヤモンドヘッドに登るのであれば、この展望台での時間は省略してもよかったと思います。
展望台から内陸のほうを向くと、いま通って来た道と、向こうに斜面にびっしり家が建ち並ぶ住宅街が見えました。
トンネルをくぐってダイヤモンドヘッドクレーターの中へ
展望台のすぐ先には、カハラトンネルというトンネルがあります。ダイヤモンドヘッドの登山口は外輪山に囲まれた内部のクレーターにあるので、そこへのアクセスとして利用されているトンネルです。
内部はゴツゴツしたした岩が見える素掘りのトンネルです。
トンネルの長さは160メートルほど。出口の向こうには荒々しい岩山が見えます。車で訪れてもトロリーで訪れてもこのトンネルを通ることになりますが、ここを歩いて通るのはワクワク感が大きくて楽しく、手前で車を降りてよかったなと思えました。
クレーターの中に続く道を歩きます。
トンネルから5分ほど歩くと、入場の受付がありました。徒歩で入る人は、左側の庇の下で予約のQRコードを提示し、入場します。
ダイヤモンドヘッドに登る
ビジターセンター裏でトイレと飲料水の用意を
受付から少し歩くとビジターセンターがあります。
レアヒへようこそ、の看板。
ビジターセンターの裏には休憩用の東屋とトイレ、そして飲み物の自動販売機があります。
トイレの前には給水所があり、ここで持参しているボトルに水を補充することができるようになっていました。ハワイは水道水をそのまま飲むことができます。
給水所は、自動販売機からトイレの建物を挟んだ反対側に位置しています。
まだ登り始めていませんが、給水もトイレもここがトレッキングルート上で唯一のもの。頂上に茶屋や売店があるなどということはないので、登る前にここできちんと用を済ませ、水も充分に補充しておきましょう。
山登りのトイレだけにお花摘み、というわけではありませんが、トイレ近くの木にはきれいな赤い花がついていました。
トレッキングコースへ
トイレと水の補充を済ませたら、いざトレッキングコースへ。お昼の日差しはなかなか強く、暑いです。この暑さなので、さぞかし植物も生い茂っているだろう…と思いきや、冬のような枯れ色の景色が広がっています。
彩の少ない草木と山と、鮮やかなブルーの空の対比がきれいです。
やがて道は舗装がなくなり、上り坂も急になってきました。
さきほどいたクレーターの平地がだいぶ下に見えました。どれだけ登ったかの成果を確認することができ、この先を歩くモチベーションになります。
外輪山の向こうの、斜面張りつく住宅地も見えるようになってきました。
これから歩くコースが向かいの岩肌をジグザグに続いています。
コースの谷側には柵が整備されているので、転落の心配もなく、安全に歩くことができます。
左側に小さな階段があったので登ってみました。
そこはクレーターが見える見晴らしの良い展望台で、片隅にはさび付いた巻き上げ機のようなものが。かつて頂上の要塞建設のための資材を、ロープウェイのようにここまで引き上げていたそうです。
巻き上げ所跡からはさきほど歩いて通ってきたカハラトンネルも見えました。
少し休憩したらトレッキングコースに戻り、ふたたび頂上を目指しましょう。
74段の階段を登ると、その先にトンネルがあります。
トンネルの中は狭いですが、下山してくる人とすれ違いはできるくらいの幅はあります。ただ、人が多いときに通ったところ、なんとなく息苦しさを感じたので、特に息が上がっている上りの時は、できれば人が少ないタイミングを見計らってトンネルを通るとよいでしょう。
トンネルの長さは70メートル。歩いてみると意外と長く感じます。
トンネルを出たところの正面には、左がオススメという案内看板が。トレッキングコースはここまでは1本でしたが、ここでコースは左と右の二手に分かれます。
なお、入場時にもらったパンフレットによると、上りはここで右に行くコースが案内されていて、結局どちらに行くのかは好みかと思いますが、私は右を見て迷わず左に行くことにしました。
案内看板のオススメ「ではない」右には長い階段が続いていて、これを見るだけで昇る気が削がれました。ここの階段は99段だそうです。頭上に渡された桟木は、軍事施設時代、カモフラージュを支えるために使われていたのだとか。
トンネルを出て左に行くとすぐ展望スペースがあり、そこから振り返るとトンネルの出口と、右に曲がった階段の様子がよく見えました。
オススメではないルートに果敢に挑む人もいます。
展望スペースからは、少し戻るような形で上り階段が続いていました。なんだ、結局左に行っても階段であることは変わりはないのか、とも思いますが、長さも上りやすさも、右コースとはまったく違います。
展望スペースからの見晴らしは良く、歩き疲れた足を休めるちょっとした休憩場所に最適。
展望スペースから階段を登ると、その先はふたたび舗装された道となりました。少し進むと、右へ上る階段とまっすぐ進む道の分かれ道が。
まっすぐ進むとまた展望スペースがありますが、ここは行き止まり。景色を楽しんだら階段まで戻ります。
青空に続く階段を登れば、山頂はもうすぐです。
階段を登る途中、さきほどの行き止まりの展望台も見えました。
振り返ればクレーターの中のビジターセンターも、山の向こうの海も、きれいに見えます。
最後の上り階段を目前にして、左に分かれる道があります。
行ってみると、岩をくりぬいた避難所のようなものがありました。ここが昔、要塞として利用されていた場所のようです。岩に隠れるようにわずかに開いた切れ目から、海を監視していたのでしょう。
内部はこのようにコンクリート製の部屋になっています。さきほどトンネルを出たところで分かれたルートで右の長い階段に進むと、ここの奥に見える入口に出るそうです。
この下には4階層にもおよぶ施設があり、先ほどのまっすぐの階段の先には、その4階層を螺旋階段で上るコースが待ち受けているとのことなので、やはりさきほど左コースに行ってよかったと思いました。
ダイヤモンドヘッドの頂上から見る絶景
コースに戻り、最後の階段を登ると、いよいよダイヤモンドヘッドの頂上に到着。麓からは30分ほどでした。頂上は意外に狭く、少し高低差のある小さな展望台が3段つくられていました。左が上段、真ん中が中段、中段の向こうに下段。
頂上からは、いままで山肌に邪魔されて見えなかったワイキキ方面が一望できます。
右のほうに大きく弧を描いているのがワイキキのビーチ。手前に見える木々が多く茂るあたりには動物園があります。
ワイキキのホテル群、そしてその向こうにホノルル中心部のビル群。
すぐ下のあたりの海岸線にもビル群が見えます。
クレーターの中も良く見えます。
山の斜面に広がる住宅街。
望遠レンズで撮ってみると、ヒルトンワイキキのラグーンや、アラモアナ公園なども見えました。
意外と高いビルが多いことに驚きます。
ダニエル・K・イノウエ空港も見えました。
斜面住宅地。時間があれば、ちょっとここに立ち寄ってみたくなる、興味を引かれる場所です。
30分とはいえ、山を登って熱くなった体に吹き抜ける風が心地良く、景色の良さと相まって、長居したくなってしまう頂上です。
頂上で30分ほど景色を楽しんだら下山。30分ほどで麓まで戻って来ました。
帰路はワイキキトロリー グリーンラインの片道利用で
帰りもUberを呼ぼうかと思っていたら、トロリーの片道利用が可能との案内を見つけました。ちょうど最終便が来る少し前だったので、まよわずビジターセンター窓口でチケットを購入。1日乗り放題USD18のところ、片道1回利用でUSD12なので割高ではありますが…
左の茶色い屋根のところがバス乗り場。
バス停では頭が赤い鳥が愛嬌をふるまき、バス待ちのお客さんたちの退屈しのぎになっていました。
バスが来た、と思ったら、こればJTBの専用バス。ドライバーさんから「JTB only~」の声がかかると、バス停で待っていた人たちは誰一人乗車せず、バスは空で走り去って行きました。もったいない…
JTBバスに遅れること数分で、こんどはきちんとトロリーが来ました。
トロリーは窓なし。車内を風が吹き抜けていきます。
ダイヤモンドヘッドから25分ほどでワイキキに戻って来ました。
頂上から最高の絶景が楽しめるダイヤモンドヘッド登山は、気軽に楽しめるホノルルの魅力的なアクティビティでした。
2023年8月