夜のドバイオールドスークを歩く【ドバイ/UAE】(2019年) 

 アラブの雰囲気が漂う賑やかな風景を期待して、ドバイオールドスークにやってきました。スークとはアラビア語で市場のこと。ここはドバイ旧市街バールドバイ地区、ドバイクリークの水辺に沿ったエリアに広がるスークで、布製品を扱う店が多いのでテキスタイルスークとも呼ばれているそうです。 

夕暮れのクリークを木造ボート「アブラ」での水上散歩を楽しみ、下船したバールドバイ船着き場の目の前にドバイオールドスークの入り口がありました。屋根のついたアーケードになっているので雨が降っても安心です。もっとも、ドバイでは雨が降るのは年に数回程度らしいので、そもそも雨の心配はほとんどないわけですが。

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路地に入ると店頭に山盛りの揚げ物を並べた店があり、めくるめくキツネ色世界の誘惑によだれをたらしそうになりますが、今夜はあとでしっかり食堂で夕食を食べたいと思っているので、ぐっとこらえて先に進みます。

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テキスタイルスークの呼び名の通り、布製品を扱う店が多いようです。店頭で呼び込みをする兄さんが歩く私の頭に突如スカーフを乗せ、「ほら、似合うぞ、買うべし!」と購入を促したり、「握手!握手!」としきりに握手を求めてきて、応じたが最後、強く握った手を引っ張り自分の店に立ち寄らせようとしたり、なかなか強引な勧誘がアラブの市場っぽい。適当にあしらえばしつこくまとわりついてくることもなかったので、これも地元の人との交流と思えば楽しいものです。f:id:nikonikotrain:20201020000926j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000935j:plain

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 スパイスを売る店もありました。ここ、ドバイオールドスークはテキスタイルスークと呼ばれ、クリークの対岸にあるデイラオールドスークがスパイススークと呼ばれているとのことですが、テキスタイルスークでもスパイスは売られていました。

それぞれ何のスパイスなのか気になるので店員さんに聞いてみたくなりますが、立ち止まって店先を眺めているだけであれこれ話しかけられて応対が面倒なのに、こちらから質問などしようものなら熱いセールストークが買うまで延々続きそうなので、さっと眺めるだけにしておきます。

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スークの路地から水辺に出るとアブラの船着き場がありました。先ほど乗ったCR1ルートのアブラではなく、CR2ルートのアブラの乗り場、ドバイオールドスーク船着き場でした。対岸からアブラに乗ってここに着くといきなりスークのど真ん中という状況、買い物客には便利なことで、観光客には楽しいことです。

西の空にはまだわずかに赤みが残っていました。

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船着き場の目の前にも雑多な店が並んでいます。アブラの乗客が沢山通るのでこのあたりは売上が良い一等地なのかも。

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 モスクの塔が見えてくるとスークはおしまいです。ドバイオールドスークはそれほど広くはなく、まっすぐ歩けば長手方向の端から端まで10分もかからないかもしれません。

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 モスクの先にはドバイで現存する一番古い建造物と言われるかつての要塞があり、博物館になっています。興味があったのですが空腹と喉の渇きのほうが勝り、外から眺めるだけとなりました。

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通りがかった食堂で夕食。たくさん歩き喉が渇いたので冷たいビールを一杯、とやりたいところですが、ドバイでは街中の食堂では酒類は飲めないので、ホテルのバーまで我慢です。

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 テキスタイルやスパイスのカラフルな眺めと行き交う人々の活気が魅力のスークは、昔から変わらぬだろう市民の営みを感じさせてくれる、魅力あふれる場所でした。

 

2019年9月 

アラブの夕暮れはアブラに乗って ドバイ旧市街 水上散歩 【ドバイ/UAE】(2019年)

ドバイの旧市街を南北に分けるドバイクリークは海からつながる細長い入り江で、古くから港町として交易を支え、ドバイの街の発展の礎となった場所です。このクリークを挟んで、海に向かって右岸のディラ地区と左岸のバールドバイ地区、ドバイの旧市街の2つの地区が向き合っています。これらの地区の行き来の需要は少なくないものと思いますが思いのほか橋は少なく、気軽な庶民の足として大活躍しているのが渡し船「アブラ」です

  ドバイに来るのは2度目ですが、前回は飛行機の乗り継ぎ時間およそ6時間を利用して、かの有名な世界一の高層ビル、ブルジュ・ハリファを足元にあるドバイモールから見上げただけなので、ゆっくり街を見るのは今回が初めてです。1週間少々の短い滞在のうちまとまって自由な時間がとれるのは金曜の夕方から土曜いっぱいだけ、この限られた時間でドバイの何を見るかが最も重要な課題となりますが、水辺の風景好きとして何をさておいても訪れてみたかったのがドバイクリークで、乗り物好きとして何としても乗ってみたかったのがアブラでした。 

ドバイメトロのアル・グバイバ駅で降りると船着き場はすぐそこです。太陽もだいぶ傾いてきたこの時間、灼熱の昼間とは違う涼やかな風が水面を渡ってきて気持ちがいいです。バールドバイ地区にあるアル・グバイバの桟橋はドバイフェリーのターミナルで、ドバイマリーナや、ドバイの隣の首長国であるシャルジャに向けてフェリーのインターシティ路線が出ています。 f:id:nikonikotrain:20201023020224j:plainフェリー乗り場から水辺に沿って続くカフェのテラス席の横の細い道を歩いていきます。カフェでは観光客(っぽい人)や地元客(っぽい人)が飲み物を飲んだり水タバコをふかしてくつろいでいます。ここで夕涼みをしながらビールでも飲んだら最高だろうな、と足を止めましたが、あいにくドバイでは街中のレストランでは酒類は提供しておらず、お酒を飲むにはホテルのバーに行かなければならないことを思い出し、再び足を進めます。

カフェの先にはUAE国旗をはためかせる木造ボートが停泊する船溜まりがあり、そこがアブラの乗り場でした。誰もが頭に描くきらびやかな高層ビルが建ち並ぶドバイのイメージとは正反対の、なんとものどかな風景です。 f:id:nikonikotrain:20201020000628j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000623j:plainアブラの語源は アラビア語の 'abara' いう、英語で'to cross' の意味の言葉だそうです。

ボートの真ん中に縁側のような一段高くなった段がしつらえられていて、乗客はここに外向きに座って乗り、その段の中心あたりにはくりぬかれた穴があって、そこに船頭さんが入って操船するというレイアウトです。運航には特に時刻表があるわけではなく、座席がある程度埋まったら出発するという仕組みのようです。桟橋の列にならび船に乗ると、そっちから詰めて座って、と船頭からインストラクションがあり、言われたとおりに奥の席に座りました。運賃は船頭さんに支払います。1回1ディルハム、およそ30円。きっぷはなく現金で1コイン渡せばそれでおしまいです。

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船が走り出すと心地よい風が頬にあたりはじめました。昼間の気温が灼熱なだけに、夕暮れの水辺の涼しい風の気持ちよさが際立ちます。岸を離れるにつれ視界が広がり見えてくる暮れ行く街並みとクリークの眺め。この時間にここに来てよかった!f:id:nikonikotrain:20201020000645j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000710j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000724j:plain水路をたくさんのボートが行き交うさまは、まるでヴェネツィアの大運河のよう。すぐそこの岸辺のアラブっぽい建物や遠くに見える近代的なビル、そして水面をちょこまか走り回るアブラ。古さと新しさが交じり合うドバイの景色が素晴らしいです。f:id:nikonikotrain:20201020000738j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000743j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000751j:plain渡し船というので目の前の岸に渡るだけかと思っていましたが、船は進路をクリークの奥へと向け、岸と平行に少し進んだ対岸の船着き場に到着しました。時間にしておよそ5分か10分ほどですが、美しい景色、頬撫でる風、木造船の風情にすっかり、充実した気持ちのよい船旅でした。到着したのはデイラ地区のデイラオールドスークという名前の船着き場。スークとは市場のこと、特にスパイスを売る店が多いことからスパイススークの呼び名もあるというデイラオールドスークは道を渡ってすぐのところのようです。f:id:nikonikotrain:20201020000803j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000807j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000812j:plainせっかく来たので、デイラオールドスークを歩いてみようと思っていたのですが、見上げた空がまた一段階美しさを増しているのを見るや、もう少し水面から夕暮れの景色を楽しみたいとの気持ちが強く芽生え、再びアブラの乗客となったのでした。f:id:nikonikotrain:20201020000821j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000825j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000830j:plainいま来た航路を引き返すだけですが、さっきよりも夜の度合いが濃くなった景色はこれまた美しく、新鮮です。f:id:nikonikotrain:20201020000835j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000840j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000844j:plain最初に出発したバールドバイの船着き場に戻ってくると、空は鮮やかなマジックアワーの輝き。船から降りて、しばし夕暮れのクリークの風景に見とれていました。f:id:nikonikotrain:20201020000849j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000859j:plainf:id:nikonikotrain:20201020000910j:plainエンジン音や舳先が波を切る音、水辺の匂い、頬で感じる風に美しい景色、五感で楽しむアブラの船旅は、古くから変わらぬドバイの様子を伝えてくれる、魅力的で楽しい乗り物でした。

 

2019年9月訪問
 
ドバイアブラ ルートNo. CR-1 Bur Dubai Abra Station - Deira Old Souq Abra Station
営業時間: 5:00am - 12:00 midnight
運賃  :  AED1 per passenger, per trip
(2019年現在)

はじめに

昔から列車に乗るのが大好きでした。

学生時代は列車に乗って日本全国を旅しました。

社会人になってからは海外に行く機会も増えました。

 

面倒くさがりな性分なのでどこかに出かけても特に記録を残しておらず、やみくもに撮った写真と雑多なパンフレット類が溜まっていくばかりでしたが、せっかくの思い出を少しは文章で残してみようかと、10年ほど前から気が向いたときにSNSや日記替わりの非公開ブログに気軽な旅日記などを書いていました。

 

旅をめぐる環境が激変した2020年。どこかに行きたい気持ちが募る中、ふと書き溜めた昔の日記を読んでみると、旅の思い出が懐かしくよみがえり、また記事の端々に覗く当時の様子が時間を経た今かえって新鮮にも感じられ、出かけられないもどかしさを感じる日々の、良い気分転換になりました。せっかくなので過去執筆した日記も交えつつ、日記にしていなかったできごとや現在の日々のことなど、ブログにして思い出を残してみようかと思いました。

 

列車に揺られて旅するのが大好きなので、ブログのタイトルは昔SNSで自己紹介に書いていたひとことにしました。とはいえ、鉄道に限らず、温泉、グルメ、街歩きやハイキングなど、近所のお出かけから海外旅行まで、お役に立つ情報というよりはちょっとした暇つぶしの材料をご提供するつもりで気楽に書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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写真: 2005年1月1日 ミラノ中央駅にて撮影