そこに線路があるかぎり

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【愛媛県】おだやかな瀬戸内海を車窓に見ながら素敵な朝食を 「伊予灘ものがたり 大洲編」の旅 〔松山~伊予大洲/JR予讃線〕(2021年)

列車に乗って、車窓の美しい景色を楽しみながら、おいしい食事に舌鼓を打つ。そんなグルメな観光列車が人気のようで、いまや日本各地でそれぞれの土地の特徴を生かし、趣向を凝らしたたグルメ列車が多く運転されています。中でも、愛媛県の松山から伊予大洲八幡浜の間を走る「伊予灘ものがたり」は、伊予灘と呼ばれる瀬戸内海西部の海沿いの美しい景色と、車内で提供される地元食材も使われた食事、そして乗務するアテンダントさんのおもてなしや、沿線にお住まいのみなさまの温かい歓迎が好評を博し、高い乗車率を誇っているそうです。
四国初のグルメ観光列車である伊予灘ものがたりは2021年、運転開始から7年を目前に延べ利用客数が13万人を超え、今や観光列車としての人気も不動のものとなっている中、老朽化に伴い2021年12月27日を以って現在の車両が引退、2022年春からは新たな車両に置きかわって再出発するということが発表されました。
引退まで3か月を切った初代伊予灘ものがたり車両に乗って、評判の観光列車の旅を楽しみました。

伊予灘ものがたりが走る「愛ある伊予灘線」

香川県の高松と愛媛県宇和島を結ぶ全長297.6㎞のJR予讃線は、JR四国を代表する幹線です。宇多津で岡山から来る瀬戸大橋線(正式な路線名は本四備讃線)が合流し、瀬戸内工業地域工業都市伊予三島新居浜愛媛県第2の都市今治を経由して県庁所在地松山へ、さらに愛媛県内の伊予市伊予大洲八幡浜などの町を経て終点の宇和島に至るまで、瀬戸内海に沿って走る沿線には産業や都市が多くあります。

そんな予讃線の松山の先、向井原伊予大洲の間は、山の中を走る内子経由と、海沿いを走る伊予長浜経由の2つのルートに分かれています。なぜ2つのルートが存在するかと言うと、オリジナルのルートである海沿いの路線は、伊予大洲までを直角三角形の2辺を辿るような遠回りをしているだけでなく、海と山に挟まれたところを走るので自然災害のリスクなどもあることから、1986年、もともと存在した内子(うちこ)線というローカル線を高規格な線路に改良、延伸する形で、山側の短絡ルートが完成しました。向井原伊予大洲は、海側の旧ルートで41.0㎞、山側の新ルートだと34.5㎞で、新ルートは6.5㎞も短いうえ線路が高規格でスピードが出せるので、この区間のメインのルートとなり、現在走る特急「宇和海」も、すべての列車がこの内子経由の新ルートを走っています。
いっぽう、海沿いの旧ルートは普通列車だけが細々と走るローカル線になってしまいましたが、車窓から美しい海が眺められることや、この区間にあって、海を見下ろす絶景が楽しめる下灘駅が映画や広告などの撮影地として使われ有名になったこともあって観光資源として活用しようと、2014年3月、予讃線向井原伊予大洲の海沿いの旧ルートに「愛ある伊予灘線」の愛称がつけられました。そしてその年の7月、観光列車「伊予灘ものがたり」の運転が始まります。

伊予灘ものがたりについて

伊予灘ものがたりは2014年7月26日、JR四国初の本格的な観光列車として運転を開始しました。本格的な観光列車、という言葉は、伊予灘ものがたりのウェブサイトの表現を引用させていただいたものですが、それまでもトロッコ列車アンパンマン列車、客席をより快適なものに改造した車両など、観光客向けの列車を走らせていたからでしょう。

全車グリーン車指定席の2両編成 1列車の乗客はわずか50名

伊予灘ものがたりは2両編成で、全部の座席がグリーン車指定席です。それぞれの車両の定員は25名なので、1列車に25名x2両の50名しか乗車することができません。
下り方(伊予大洲八幡浜側の車両)1号車は伊予灘のクライマックス、茜色の夕日をイメージした赤い塗装で「茜の章」、上り方(松山寄りの車両)2号車は太陽と柑橘の黄金色の輝きをイメージしたオレンジ色の塗装で「黄金の章」と名付けられています。

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もともとは国鉄時代に登場したキハ47型という一般形ディーゼルカーで、四国のローカル輸送に活躍していた車両を改装しました。下の写真の左側の車両が現在もローカル輸送に活躍しているキハ47型ですが、伊予灘ものがたりはキハ47型のオリジナルの面影を残しつつも、大きくイメージが変わっています。

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海向きのカウンター席と、4人用、2人用対面シートが並ぶ車内

車内は各車両に4人用ボックス席が2組(8席)、2人用対面席が5組(10席)、海向きのカウンター席が7席、計25席の座席があります。1号車と2号車の座席配置は連結面を中心に線対称になっていて、運転席寄り海側に4人用ボックス席、ドア寄り海側に海向きカウンター席、山側に2人用対面席という配置は、どちらの車両も共通です。
茜の章はシートの緑色が濃くクッションは赤ですが、黄金の章は黄緑と黄色という組み合わせで、車内の印象もそれぞれ違います。
茜の章の連結面寄りには車椅子対応のトイレと洗面所が、黄金の章の連結面寄りにはバーカウンターがあります。

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土休日を中心に1日2往復運転

伊予灘ものがたりは、土休日を中心に1日2往復が運転されています。各列車の列車名は、通常の列車のように数字で「1号」「2号」などと言うのではなく、「XX編」という名前になっています。

伊予灘ものがたり 運転区間と運転時刻(2021年10月現在)

大洲(おおず)編: 
松山8:26 -->伊予大洲 10:27 (下灘駅で8分停車)

双海(ふたみ)編: 
伊予大洲 10:56 --> 松山 13:11 (下灘駅で10分停車)

八幡浜(やわたはま)編: 
松山 13:28 --> 伊予大洲 15:14着/15:15発 -->八幡浜 15:52 (下灘駅で6分停車)

道後(どうご)編:
八幡浜 16:05 --> 伊予大洲 16:28着/16:29発 --> 松山 18:17 (下灘駅で8分停車)

乗降ができる駅(=グリーン券が発売される区間=その駅からこの列車への乗車を始めたり、その駅で乗車を終えたりできる駅)は、松山、伊予大洲八幡浜の3駅だけですが(大洲編と双海編は八幡浜を除く)、途中、海の景色が美しいことで有名な下灘駅では6分~10分の停車時間にホームに降りて写真を撮ったり景色を眺めたりすることができます。ただ、伊予灘ものがたりに下灘から乗車して旅を始めることや、下灘で下車して旅を終えることはできません。あくまでも、松山~伊予大洲八幡浜の旅の途中で、一時的にホームに降りることができるということです。
なお、以前の案内では、各列車の下灘の他にも、双海編の伊予長浜で5分、伊予上灘で17分、八幡浜編の伊予平野で11分の停車があり、地域の方のおもてなしや写真撮影などができます、ということが書かれていましたが、現在の案内では双海編の伊予上灘で地元の方が特産品の販売を行っています、と書かれているのみで、伊予長浜伊予平野では車外に降りられるのかどうかはわかりません。松山、伊予大洲八幡浜の出発時刻、到着時刻は変わっていないので、おそらく途中駅での停車時間も変わっていないものとは思われますが。

ぜひ食べてみたい 車内の食事

伊予灘ものがたりの魅力のひとつは、車内で提供される食事です。乗車と食事はセットではないので食事なしでも乗車することはでき、食事を希望する人だけ別途食事券を購入するというシステムになっています。
4本の列車それぞれ違った内容の食事が提供されており、メニューも季節にあわせ2か月ごとに変更されるそうなので、列車を変えたり季節を変えたり、何度も乗車する楽しみがあります。

伊予灘ものがたり 乗車と食事の料金と予約方法

乗車するには普通列車グリーン券(指定席)が必要 全国のみどりの窓口で発売

伊予灘ものがたりに乗車するには、乗車券のほか、普通列車グリーン券を購入し、座席を予約する必要があります。普通列車グリーン券は全国のみどりの窓口で購入可能です。

伊予灘ものがたり 乗車料金

松山~伊予大洲(大人1人):乗車券970円+普通列車グリーン券1,000円=1,970円
松山~八幡浜(大人1人):乗車券1,300円+普通列車グリーン券1,000円=2,300円
こどもの場合は、乗車券は大人の半額になりますが、普通列車グリーン券は大人と同額です。
乗車するだけなら2,000円前後と、かなりリーズナブルに利用することができます。

なお、乗車区間を含んでいる乗車券(例:岡山~宇和島など)や、乗車区間が含まれるフリーきっぷで別途料金を払えばグリーン車が利用可能なものを持っていれば、普通列車グリーン券だけを購入すれば乗車できますし、グリーン車利用可のフリーきっぷを持っている場合は、そのフリーきっぷを提示することで別途料金不要で普通列車グリーン券の発行を受けられます(空席ある場合に限る)。

2022年運転開始の伊予灘ものがたりの新車両は乗車料金が変更

現在の伊予灘ものがたり車両は2021年12月27日にラストランとなる予定で、2022年春からは新たな車両で伊予灘ものがたりの運転が始まりますが、この新車両の伊予灘ものがたりは特急列車に格上げされる予定です。このため、乗車するのには、乗車券のほかに、特急料金1200円(予定)と特急列車のグリーン料金1500円(予定)、計2700円がかかるようになります。(松山~伊予大洲八幡浜とも同料金。運賃は現在と変更ありません)。いままで運賃+1000円で乗れていたところ、運賃+2700円になるので、大きな値上げにも見えますが、サービスの質を考えるといままでが安すぎたのではないかと思います。なお、特急列車になると言っても、運転時刻は現在とほぼ変わらない予定のようです。

食事の予約は食事予約券の購入を 

乗車時に食事を楽しみたい場合は、グリーン車指定席券のほかに、食事予約券が必要です。食事予約券はJR四国の駅のみどりの窓口・ワープ支店・駅ワーププラザ、JR東日本の駅のみどりの窓口びゅうプラザJR西日本の主な駅のみどりの窓口JR九州の主な駅のみどりの窓口にて購入することができます。食事予約券の発売は、乗車の1か月前から4日前までなので、グリーン車指定券を買うときに一緒に購入してもいいですし、あとから食事予約券だけを買っても構いません。食事予約券を購入するときは当該列車のグリーン車指定券を提示する必要がありますので、グリーン車指定券と同時購入でない場合は、食事予約券購入時にグリーン車指定券を持っていくのを忘れないようにしましょう。
食事予約券は乗車4日前までならば発売箇所で無手数料でキャンセルできますが、乗車3日前以降はキャンセルできません。

伊予灘ものがたり 食事料金

各列車で提供される食事の種類と料金は下記のとおりです。2か月ごとにメニューが変わっても、食事料金は変わりません。

大洲編(松山8:26 -> 伊予大洲10:27)  : 2,600円(税込)
松山市郊外の契約農園で育てた新鮮な生野菜を使ったモーニングプレート
サポートレストラン:ヨーヨーキッチン! 

双海編(伊予大洲 10:56 -> 松山 13:11): 5,000円(税込)
特製御重で造る和洋折衷料理
サポートレストラン:レストランからり

八幡浜編(松山 13:28 -> 八幡浜 1552): 5,000円(税込)
フランス料理松花堂弁当
サポートレストラン:レストラン門田

道後編(八幡浜 16:05 -> 松山 18:17):3,100円(税込)
アフターヌーンティーセット(サンドイッチや季節のケーキ) 限定20食
サポートレストラン:プチ・パリ

食事メニューは各列車1種類 飲食物の持ち込みは原則遠慮を 

また、メニューは各列車1つだけで、子供用メニューなどもありませんが、車内のバーカウンターで、ゼリーやお団子などのお菓子、キッシュやじゃこ天などのおつまみを、予約なしで購入できるので、子供の食事を頼まなくても、お腹の足しにはできそうです。
なお、伊予灘ものがたりは、お水、お茶以外の飲食物の持ち込みはご遠慮いただいております、となっています。伊予灘ものがたりでは食事も含めた、特別な空間で旅を楽しむ列車です。せっかく乗車するのですから、ここでしか食べられない食事を楽しみましょう。(「ただし、小さなお子様でお持ち込みが必要なお客様はご相談ください」という注意書きもあるので、さすがに離乳食などは柔軟に対応いただけるのではないかと思います。ご希望される方はぜひJR四国に相談してみてください)

伊予灘ものがたりに乗る

松山 8:26 ---> 伊予大洲10:27  JR予讃線 伊予灘ものがたり 大洲編

1日に4本運転されている伊予灘ものがたりですが、朝1番の大洲編に乗車することにしました。この列車は10:27に旅が終わるので、そのあとの時間を1日観光に費やすことができ、有意義に時間を使えることが魅力です。ただ、松山発が8:26と早い時間なので、当日の飛行機の初便で松山空港に到着したのでは間に合わず、松山に泊まるか、高松を5:12に出る特急「いしづち101号」、宇和島を6:35に出る特急「宇和海4号」の停車駅のどこかに泊まるか、あるいは、北九州小倉から来る夜行フェリーで松山に来るか、と言ったアクセスでないと、乗車するのは難しいです。そんな列車なので比較的すいているかと思いましたが乗ってみればほぼ満席、この列車の人気の高さがうかがえました。

曇り空の松山駅に オリジナルのミュージックホーンを鳴らしながら入線

あいにくの曇り空の松山駅。いま高架化工事が進行中で、この駅舎もあと数年で見納めです。

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伊予灘ものがたり 大洲編は、改札口を入ったところにある1番線からの発車です。8時過ぎくらいにホームに入ると、まだ列車は入線していませんでしたが、ホームの宇和島寄りにある留置線を見てみると水色の帯の近郊電車のうしろに、赤い車体が見えました。伊予灘ものがたりの車両です。

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ほどなくして伊予灘ものがたり車両は、大きなディーゼルエンジンの音を響かせて動き出しました。

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駅の外れの引き上げ線で一旦停止。横を8:10に出発したアンパンマン列車の特急宇和海5号が通過して行きます。その後ろには工事中の新しい高架が姿を見せ始めています。

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8:15頃、伊予灘ものがたりが1番線ホームに入線です。列車からは、バイオリンの曲が流れています。これは伊予灘ものがたり独自の警笛(ミュージックホーン)で、地元の作曲家の方が作られたそう。ゆったり、優雅で、どこか郷愁を感じる、とてもいい曲です。

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落ち着いた色合いの車内

列車がホームに停まるとドアの前にマットが敷かれ、乗車開始です。私たちの席は1号車「茜の章」。アテンダントさんにきっぷを見せて車内に入ると、とても落ち着いたクラシックな雰囲気の車内に、これから始まる列車の旅の期待が高まります。

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シートに置かれた袋は、なんとJAさんからのプレゼント、愛媛の久万高原のお米1合です。

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席に荷物を置いたら、出発まで10分ほどしかありませんが、ホームに出て外から列車をじっくり眺めてみることに。

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下り寄り、1号車「茜の章」。

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ラストランのヘッドマークがついています。

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上り寄り、2号車「黄金の章」。

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こちらも、ラストランのヘッドマークが。この車両は2021年12月27日に7年間の活躍にピリオドを打ち、役目を終えます。

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松山を発車 優雅な朝食のスタート

8:26、入線時と同じミュージックホーンを鳴らしながら、列車はゆっくりと走り出しました。ホームからは駅員さんたちが手を振って見送ってくださいました。
このあたりの予讃線は単線です。松山の次の市坪駅で反対列車と行き違いのために少々停車。この駅のすぐ目の前には松山中央公園内にあって、年に何度かプロ野球の試合も行われる坊っちゃんスタジアムが見えました。なかなか立派な球場です。

 

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やがて松山地区を走る予讃線車両の基地、松山運転所が見えてくると、待望の朝食が配膳されました。

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キャラメリゼのリュスティック、自家製ローストビーフのガレット、カボチャのポタージュが本日の朝食。食器は松山伝統の陶磁器、砥部焼でしょうか。

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車内にキッチンはないのでプレートに乗った料理は温かくはありませんが、スープはホカホカでした。料理はとてもおいしく、温かくない状態で食べることを計算されているようにも感じました。ただ、箸が用意されていたのですが、やはり冷めたガレットは箸では切りにくく、ナイフとフォークのほうが食べやすいのではないかと思います。
量は、見た目では少ないかなと思いましたが、食べてみると意外とボリュームがあり、おなかがいっぱいになりました。
飲み物はコーヒーがつきますが、紅茶やジュースへの変更も可能。子供の分は2人で1食を頼んだのですが、1人分の小皿や食器を用意いただけたのはもちろんのこと、1杯のジュースを2つのコップに分けてサーブ頂き、柔軟で温かいサービスがとても有難かったです。

伊予市の駅で電化区間が終わります。パンタグラフのついた電車が走れるのはこの駅まで。

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伊予市の次の駅、向井原で内子方面の線路が分かれると、伊予灘ものがたりの走る予讃線の旧ルート「愛ある伊予灘線」の線路は海に近づいていきます。

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列車は海より一段高くなったところを走り、山を抜け、古い街並みを見下ろし、一面の海が見えたあとに港町が広がり、と、変化のある海沿いの景色が楽しめます。
ときどき山側からガサガサいう音が聞こえてきます。木の枝が車両をこすっているようです。

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伊予上灘で反対列車とすれ違い。

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海を見下ろす絶景の駅 下灘

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伊予上灘の次の下灘駅では8分の停車時間がありドアが開くので、乗客はホームにおりることができます。ここでは列車と一緒に記念写真を撮るのが定番。アテンダントさんもホームに降り、カメラのシャッターを押してくださいます。
古びたホーム上屋とホーローの駅名板が歴史を感じさせる下灘駅。列車の向こうは海です。

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横から見ると海のすぐ際に駅があるように見えますが、実際は線路の下に国道が走り、海はその向こうにあります。もともとは線路のすぐ下が海だったものの、海岸を埋め立て国道がつくられたため、線路と海の距離が離れてしまったとのこと。

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景色的には国道がないほうがいいですが、それでもやはり絵になる駅です。曇り空なのが残念ですが、朝のこの時間、太陽が出ているとこの角度から列車の写真を撮ると逆光になってしまうはずなので、曇りでかえってよかった、と思うしかありません。
この下灘駅はロケーションの良さから、「男はつらいよ」などの映画やドラマ、CMなどの撮影地にもなっています。

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古い駅舎も味があります。田舎の小さな駅ですが、伊予灘ものがたりの乗客、駅を見に来た観光客などでなかなかの賑わい。やはり駅が賑わっているというのは活気があっていいものです。

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発車時間が近づくとミュージックホーンが流れ、ホームにいる乗客に列車に戻るよう促します。この景色のなかで聞くミュージックホーンの音楽は、ちょっと感傷的にもなり、いいものでした。

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灘駅と次の串駅の間の砂浜を見下ろす鉄橋の上で一時停止。水が透き通ってきれいなのが良く見えます。道路がなければもっといい景色なのですが。。。

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車内を見学

食事も終わり、下灘駅での記念写真タイムも終わったので、ここで少し車内を見て回りました。装飾や小物に季節感があり、とてもよい雰囲気をつくっています。

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のれんや時計、欄間など、木のぬくもりと落ち着きを感じる、素敵なインテリア。

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額縁には車両と列車の案内が。暖簾の向こうにある洗面所の洗面鉢は砥部焼

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伊予長浜が近づくと、アテンダントさんが乗車記念プレートを持って各座席をまわり、記念写真を撮ってくださいました。プレートを持っての写真は、いい思い出になります。

海を離れ 肱川が車窓の友に

伊予長浜を出ると、いままで海沿いを走っていた線路は90度向きを変え、川沿いを進むようになります。
練習の途中で手を振ってくれる少年野球のみなさん。

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伊予長浜にある赤い橋は現存する道路開閉橋としては最古のものである長浜大橋。いまでも中央部を跳ね上げることができるそうです。

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肱川(ひじかわ)に沿って伊予大洲を目指します。

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沿線のみなさんの歓迎が本当にうれしいものです。

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気が付けば空もすっかり青空。
車内ではアテンダントさんがワゴンで車内をまわり、お土産品を販売してくれます。そして終点の伊予大洲が近づくと、乗車中にバーカウンターで購入したものが後精算になっていたものを、席に来て下さったアテンダントさんに支払います。車内販売もバーカウンターも、現金かPayPayが利用可能でした。

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伊予大洲に到着

車窓を流れる川の景色や沿線のみなさんの歓迎に見送られ、終点の伊予大洲に到着しました。最後に2号車の車内の様子を見てからホームへ。2号車はシートやクッションの色合いが1号車と違い、車内の雰囲気も異なります。今度は今日乗った車両と違う法に乗ってみようか、という気になり、リピートしても楽しめるようになっているのがこの列車のいいところ。

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伊予灘ものがたりが到着したホームから駅舎のあるホームに向かう跨線橋からは大洲城が見えます。ちょうどアンパンマン列車の特急宇和海がやってきました。

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跨線橋の階段にも、大きく伊予灘ものがたりが描かれていました。

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松山に向けて折り返す双海編をお見送り

伊予大洲に着いた伊予灘ものがたり大洲編は、29分の停車ののち、松山行きの双海編として折り返してゆきます。せっかくなので双海編を見送ってみたいと思います。

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松山発宇和島行きの下り特急宇和海9号が到着しました。この列車が宇和島に向けて出発すると、伊予灘ものがたり双海編も発車します。

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ミュージックホーンを鳴らしてゆっくりと走り出す伊予灘ものがたり。

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伊予灘ものがたり 大洲編2時間の旅は、思った以上に素晴らしいものでした。食事、おもてなし、景色、インテリア、乗車時間、乗客数、すべてが絶妙にちょうど良く、ゆったりとしながらも充実した時間を過ごすことができました。
車両もよく手入れされていてまだまだ活躍できそうに見え、あと1か月少々での引退が残念でもありますが、新しい車両でもまた、伊予灘ものがたりの素晴らしい旅を楽しんでみたいと思います。


2021年10月