そこに線路があるかぎり

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【ルーマニア】眺望抜群のロープウェイに乗って行く 黒海のビーチリゾート ママイアで 塩分控えめの海水浴 (2016年)

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地図を見るといっけん湖のようにも見える黒海は塩分の濃度が薄く、表層部では通常の海の半分ほどの塩分しかないそうです。そんな黒海沿岸のビーチリゾートのひとつ、ルーマニア東部のママイアに2016年8月から9月にかけて訪れてみると、細長い砂嘴に広がるママイアの特徴的で美しい景観を、アクセスのロープウェイから俯瞰して楽しむことができる、楽しい場所でした。

塩分控えめの黒海

黒海はヨーロッパとアジアの間に広がる内海ですが、狭いボスポラス海峡を通った先のマルマラ海を経て地中海とつながっており、外海との水の行き来があります。ただ、ボスポラス海峡は最も狭い部分で幅約700mほどしかない細いものである一方、黒海にはドナウ川などの大河が流れこんでいるので、黒海の塩分濃度は外海よりも薄くなっています。黒海で特徴的なことのひとつは、水深200mほどのところを境に表層水と深層水が層をなしていることで、塩分濃度は、川からの流入水が多い表層水で1.7%、地中海から流れ込んでくるという深層水で2.2%ほどといいます。一般的な外海の塩分濃度は3.4%ほどであることを考えると、黒海の表層水は通常の海の半分程度の塩分ということになります。

ルーマニアのビーチリゾート ママイア

国土の東部が黒海に面しているルーマニアにおける最大の港湾都市、コンスタンツァの北の郊外に、ビーチリゾート、ママイアがあります。コンスタンツァ中心部からは約5㎞、タクシーでも10分程度で行くことができ、コンスタンツァ市民が気軽に訪れる憩いの場であるとともに、国内や海外からの観光客も集める一大ビーチリゾート地ともなっています。

ママイアを地図で見たときに、最も目を引く特徴的なことは、細く伸びる砂嘴に位置しているとうこと。日本で言うと、京都府天橋立を思わせる、印象的な地形です。
砂嘴で仕切られた西側はシウトギオル湖という名前の湖だそうで、こちら側も含めてビーチが多くあるのかと思いましたが、地図を見る限り、ビーチとして整備されているのは東の黒海側だけのようです。

ロープウェイでアクセスするママイア

コンスタンツァの町から散歩しながらママイアへ向かうと、ずっと市街地が続いていたかと思うと、町の景観が少し広々とした感じになり、公園や遊園地などが見えてきました。観光馬車なども現れていよいよここがママイアなのかと思うと、大きな交差点の前にロープウェイの乗り場があり、これがママイアへのアクセスとなっているのでした。

切符を買って乗り場に行くと、待っている人も少なく、ゴンドラも次々にやってくるので、ほどなくして乗ることができました。ドアが閉められ、いよいよママイアへのロープウェイの旅の始まりです。
出発すると、まずはプールの上を通過。カラフルに塗られた床とパラソルが醸すプールのワクワク感が、上空にも伝わって来ます。

ゴンドラは高度を上げ、左にシウトギオル湖、右に黒海という、ママイアらしい景観が楽しめるようになってきました。ゴンドラに沿う形で大きな道路も走っているので、このゴンドラに乗らなくてもママイアへ行くことができますが、まだゴンドラに乗ったばかりながら、この眺望を楽しんでこそのママイア、という気分になってきました。

ゴンドラはぐんぐん高度を上げていきます。横に見える10階建てくらいはあろうかというホテルの高さよりもはるかに高いところ通っていて、見晴らし抜群です。

さらには、ホテルの上を通過して行くところもありました。

高度が下がってきて、終点駅が近いことが感じさせられます。

右手にはビーチが間近に見えてきました。

乗車時間は10分ほど、終点駅はママイアの砂嘴の4分の1ほどしか進んでいないくらいのところですが、乗りごたえがあり、楽しい時間が過ごせるロープウェイの旅でした。

ビーチで黒海の塩水を味わう

ロープウェイの終点駅あたりはリゾートの雰囲気あふれる町並みが続いていました。ビーチまでもすぐです。

ビーチにはパラソルが並び、お金を払えばビーチチェアを借りられます。寝そべってのんびりするもよし、海で泳ぐもよしですが、せっかくの黒海ですので、まずは泳いでみることにしました。

照りつける陽射しも強く、海の水もそれほど冷たくはなく、気持ちのよい海水浴タイムの始まり。

底が砂地だからか、水はクリアというわけではありませんが、汚さなどは全く感じず、心地よく泳ぐことができます。気になっていた塩分濃度を確かめようと海水を口に含んでみると、確かに普通の海水浴のように強烈な塩味を感じるわけではなく、マイルドな味わい。

時折低空飛行のセスナがやってきますが、なにやらフラッグ状のものを引いています。広告のようですが、意外と文字が小さく、意外と速く通り過ぎてしまうので、広告としての宣伝効果はいかほどのものかと…

このときは、2機が交互に行ったり来たりしているようでした。

泳いではチェアに寝そべり、また泳いでは寝そべりを繰り返していると、日も傾いてきて、風も少し涼しくなってきました。そろそろコンスタンツァに帰ることにします。

去りゆくママイアの眺望を上空から楽しむ

さて、帰りもまた、たのしいロープウェイの旅です。
出発すると、ママイアの町並みとビーチを見ながらどんどん高度を上げていきます。

前方にはコンスタンツァの市街地も見えています。

みるみる小さくなってゆくママイアの町。

夕方になり、ビーチはすでに人の姿も少なくなっていました。一瞬、並んだビーチチェアが何かの文字になっているのかとも思いましたが、特にそういうわけではないようです。

ホテル越えのゾーンに入ります。

右側に広がる湖は、おだやかな水面が広がっています。

湖の向こう側には、ビルが建ち並ぶ町並みと、なにやらタワーが見えました。

左側にはまだビーチが続いています。

振り返った景色は、地面がだいぶ遠くなってきたな、と感じさせます。

1つめのブルーのホテルを跨ぐと、次に跨ぐ黄色のホテルが見えてきます。

振り返った支柱にかかるロープが、上り勾配からほぼ水平に変わっています。このあたりで巡行高度に達し、ここからは水平飛行に。飛行ではないですが。

ホテルを飛び越えるとロープが下り勾配になり、終点に向けて高度を徐々に下げていきます。

左側には変わらずビーチが。

ホテルとロープウェイと、どちらが先にできたのかはわかりませんが、先にロープウェイができたのだとしたら、ここまで高いところを走る必要はないわけで、やはり先にホテルがあって、それを跨いでロープウェイが建設されたのだと思われます。それにしても、ホテルを避けるために横をまわる、ではなく、高さを上げてホテルを跨ぐというルート選定にしてくれたおかげで、ダイナミックで素晴らしい眺望が楽しめるロープウェイになったというわけで、設計者には感謝しかありません。

最後に眼下に広がるカラフルなプールの眺め。スライダーなども見え、楽しそうです。

プールと塗装とビーチチェアが織りなすカラフルで近代アートのような景観が、なかなか素晴らしいです。

ロープウェイ駅に続く道には食べ歩きグルメがたくさん

コンスタンツァ側のロープウェイ駅を降り、大通りを歩道橋で渡ると、その先にカジノが見え、賑わった通りが続いているのが見えます。来るときにはこの道は通らなかったので、帰りはここを歩いてみることにしました。

通りには食べ物屋さんが並び、おいしそうな匂いを漂わせています。

ローストチキンが吊るされ、その下のトレイには、チキンから滴るエキスを1滴たりとも逃すまいと、玉ねぎなどの野菜が置かれていました。この野菜だけでもかなりおいしい気がする…

海岸部なので、もちろん海産物も売っています。

こういうのをつまみながら歩くのは楽しいのですが、このときは夕食のレストランを決めていたので、食べ歩きグルメはぐっとがまんです。

眺めの良いロープウェイ、塩分控えめでマイルドな味の海水での海水浴、そしてグルメストリートと、旅の楽しさが詰まったママイアは、夏のコンスタンツァの休日の時間を豊かにしてくれる、素敵な場所でした。

 

2016年8月(一部写真は9月)