江東区の亀戸と墨田区の曳舟を結ぶ東武亀戸線は、全長3.4㎞、両端の駅を除いた途中駅は3駅だけの短い路線で、電車はすべて2両編成で運転されていますが、曳舟駅構内を除いた全線が複線で、日中の列車本数も10分に1本と比較的多く運転されている便利な路線です。下町らしい町並みの中を走りますが、路線があるのはスカイツリーのお膝元、ところどころでスカイツリーの姿も見ることができます。
2024年7月、東武亀戸線の旅を楽しんでみました。
JR総武線と東武スカイツリーラインをつなぐ
東武亀戸線は、JR総武線各駅停車の亀戸駅と東武スカイツリーラインの曳舟駅を結ぶ路線です。列車はすべて亀戸駅と曳舟駅の間の線内だけの運転であり、他線への乗り入れはありませんが、かつては亀戸から国鉄の両国橋(現 両国)まで乗り入れていた時代もあったそうです。東武スカイツリーラインのターミナルは浅草で、JRから利用しようとすると東京メトロ銀座線か都営浅草線で浅草に出なければなりませんが、浅草で地下から地上3階にある東武の乗り場への乗り換えは少々面倒なもの。その点、亀戸線は亀戸、曳舟とも乗り換えは近いため、JRとスカイツリーラインをつなぐ路線として重宝します。
亀戸から東武亀戸線に乗る
亀戸線はスカイツリーラインの支線ですので、起点駅はスカイツリーラインの乗り換え駅である曳舟で、JRと接続する亀戸が終点となっていますが、今回はJRから亀戸から亀戸線に乗ってみましょう。
JR総武線各駅停車が発着するホームは築堤上にありますが、その築堤の横の地上に、東武亀戸線の亀戸駅があります。
東武亀戸駅の改札口は1か所だけ。改札口を入った通路はそのままホームにつづいており、面倒な長い階段の上り下りなどはありません。
1番線、2番線の2つの乗り場がありますが、常時使用されるのは右側の1番線ホーム。2番線は朝ラッシュ時の運転本数が多い時間帯に使われます。
右側がJR総武線の築堤です。
信号が青になり、亀戸を出発。
はじめはJR総武線に沿って進みます。亀戸を出て最初の踏切はちょうど上下線をつなぐポイントのところに設置されています。
左カーブして総武線と分かれると、ほどなくして最初の停車駅、亀戸水神に到着。亀戸からは0.7㎞の距離です。亀戸線は2両編成の列車しか走らないので、各駅のホームは2両分しかありません。
亀戸水神には、いまどき珍しい構内踏切がありました。いまこの電車が停車している曳舟方面のホームから右側にある駅舎へ行くには構内踏切を渡らなければなりません。
前方に見える踏切のうち、手前のものが亀戸水神駅の構内踏切、奥のものが駅の外の道路の踏切です。
亀戸水神を出てゆるやかな坂を登ったところで、北十軒川を渡ります。そして渡った後はゆるやかな下り坂になっています。一般的に川は低いところを流れているので、橋に向かって坂を下りるはずですが、ここでは橋に向かって上り、橋を越えると下るという、橋がサミットになった珍しい線形になっています。
2つ目の駅、東あずまに到着。亀戸水神から0.7㎞です。ここも亀戸水神と同様、曳舟方面のホームと駅舎は構内踏切で結ばれています。
住宅街の中を走って行きます。
東あずまから0.6㎞で3つ目の駅、小村井(おむらい)に到着。ここは駅舎は曳舟方面のホーム側にあり、反対のホームへは地下道でつながっていました。
小村井を出ると次は終点の曳舟です。小村井と曳舟の間は1.4㎞あり、亀戸線でいちばん長い駅間となっています。
曳舟が近づくと線路は右にカーブ。
京成押上線の下をくぐり、その向こうに見えている東武スカイツリーラインに並んで高架にあがって行きます。
複線の線路が単線になると、終点の曳舟駅が見えてきます。
曳舟は、東武スカイツリーラインと東京メトロ半蔵門線に直通する押上への路線が合流する駅。
スカイツリーライン、半蔵門線方面の2本のホームは10両編成対応ですが、亀戸線のホームだけは2両編成分しかありません。亀戸線のホームがだいぶ短く感じられます。
曳舟に到着。亀戸からの所要時間は8分です。ホームからはスカイツリーが良く見えます。とうきょうスカイツリー駅は、浅草行きに乗って曳舟の次の駅です。
亀戸行きの列車が発車するときに、ちょうど隣に浅草行きの列車が入ってきました。
亀戸行きが走り去って行きます。
東武亀戸線 沿線風景
亀戸から亀戸水神へ
東武亀戸線の亀戸駅は、駅ビルとJR総武線の築堤に囲まれたところにあります。
ホームは2面ありますが、基本的には向かって左側の1番線が使用されていて、右側の2番線には朝ラッシュ時のみ電車が入ってきます。
1番線を発車した曳舟行きの電車が渡り線を渡って進行左側の線路へ。
亀戸方面の線路から2番線への渡り線は駅から少し離れたところにあります。ちょうどポイントが踏切にかかっていて、踏切の踏板には直角なレールと斜めのレールがあるので、ベビーカーなどのタイヤはとられやすいため、渡るときに注意が必要です。
築堤の上にはJR総武線の快速と各駅停車が行き交い、その上を貨物線の線路が越えて行きます。亀戸線はカーブして総武線から離れます。
総武線の列車と亀戸線の列車と、いっしょに写真が撮れないかと何本か粘ってみましたが、なかなかタイミングよく両方の列車が同時に来てはくれませんでした。
亀戸線には、復刻塗装の車両も運転されています。復刻塗装は黄色にオレンジ帯のものと、オレンジに黄色帯のものの2種類がありますが、亀戸線は大師線と車両が共通運用のため、毎日必ず復刻塗装者が走っているというわけではありません。
この日は運よく、黄色にオレンジ帯の車両が運用に入っていました。
亀戸線は踏切が多いです。少し車の交通量が多いような踏切では、柱が太い存在感のある警報器があります。
亀戸水神駅は亀戸天神の最寄り駅ではありません
亀戸水神駅は、亀戸方面ホームの曳舟寄りに駅舎があります。曳舟方面の電車に乗るには、構内踏切を渡ります。
亀戸で最も有名な観光スポットといえば亀戸天神だと思いますが、ここは亀戸水神駅。間違える人も多いと見え、ホームには注意書きが。
駅前の地図には亀戸天神の案内はありましたが、駅名となった亀戸水神の案内はありません。
せっかくなので、亀戸水神とはどんなところなのか訪ねてみましょう。駅から歩いて3分ほど、スカイツリーを背景とした街角に、亀戸水神がありました。
こじんまりとした佇まいの亀戸水神。入口脇には交番がありましたが、この建物もなかなか味があって良いです。
北十間川を渡る
亀戸水神と東あずまの間で、北十間川を渡ります。向こうにはスカイツリーが見えます。
橋は短いですが、橋の両端には踏切があったり、橋のたもとにはコンクリートブロックが設置されていたりします。このコンクリートブロックは切れ込みが入っており、おそらく洪水時に止水板を取り付けたりするためのブロックなのではないかと思います。
東あずまの踏切にはトゲトゲが
東あずま駅は、「あずま」がひらがなで表記されます。さては「あずま」は「東」と書くので、漢字で書くと東東になってしまうことを避けるために平仮名にしたのか?とも思ったのですが、どうも「あずま」は「吾妻」のようです。
東あずまの駅舎は、亀戸方面ホームの亀戸側にあります。曳舟方面ホームを利用する場合は構内踏切を渡りますが、踏切横の線路の上には何やらトゲトゲが。
これは、構内踏切と一般道の踏切がすぐ近くにあるため、改札口を通らずに線路の上を歩いて駅構内に出入りすることを防ぐためのもの。手前が一般道、奥が構内踏切です。
北十間川の橋からゆるい勾配を下って、曳舟行きの列車がやって来ました。
日中は10分おきのパターンダイヤなので、曳舟行きと亀戸行きは、だいたいこの東あずま付近ですれ違います。
小村井の大きな踏切
ビルの向こうにスカイツリーが頭をのぞかせています。間もなく小村井です。
小村井駅のすぐ亀戸寄りのところには大きな踏切があります。
小村井駅の駅舎は曳舟方面ホームの亀戸寄りにあります。亀戸方面のホームへは地下道で連絡しています。
踏切には門型の構造物に警報ランプが取り付けられています。
踏切が多い 小村井-曳舟間
小村井から曳舟は1.6㎞と、亀戸線でいちばん駅間距離が長い区間です。この区間は踏切が特に多く、また、下町らしさを感じられる風景が続いています。
太い警報器ポール、列車方向表示器の低い柱など、ちょっと特徴的な踏切もあります。
亀戸線でもっとも曳舟寄りにある踏切は、スカイツリーのある押上駅に続く道です。ここは道幅を広げる工事をしていました。
その踏切から曳舟方をみると、亀戸線が京成の線路をくぐっているところが見えます。
亀戸駅での総武線同様、ここでも亀戸線と京成線の競演を写真に撮りたいところでしたが、やはりうまくタイミングがあいませんでした。
風情ある下町の街角や、ところどころで見えるスカイツリーなど、短い路線にもかかわらず味のある風景が楽しめる東武亀戸線は、乗って楽しい、歩いて楽しい路線でした。
2024年7月