そこに線路があるかぎり

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子連れも安心の個室寝台 寝台特急「サンライズ出雲」の旅 【東京~出雲市】(2020年)

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 かつて日本の夜の移動を支え、大都市と地方都市を結び数多く走っていた寝台列車も1990年代ごろから相次いで廃止されてゆき、現在走る毎日運転の夜行列車はサンライズ瀬戸・出雲だけとなりました。
サンライズ瀬戸は東京~高松(香川県)、サンライズ出雲は東京~出雲市島根県)を結ぶ列車で、走行区間が重複する東京~岡山では瀬戸と出雲が連結されて1本の列車として走ります。サンライズに使用されるのは2階建て、個室寝台の設備を中心とした専用の285系という車両で、1998年に誕生しました。寝台列車といえば青い客車の「ブルートレイン」、というイメージを持つ世代にとっては、サンライズは「新しい寝台列車」という印象でしたが、気がつけばもう登場から20年以上も経っています。もうすぐ老朽化で廃止、という程の経年でもないですが、乗ろうと思っているうちに廃止が決まってしまった、という日が突然訪れるかも知れないことを覚悟しておいたほうが良いような車齢にさしかかってきているようにも思えます。

子供に寝台列車の旅を経験させたいと思い(半分は自分が乗りたいという気持ちがあり)、せっかくなので運転時間が長いサンライズ出雲に乗ってみようと、島根県への旅行の計画を立てました。

 

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個室寝台?ノビノビ座席?利用する設備を決める

サンライズに乗ろうと決めましたが、まず悩んだのがどの設備を利用するかです。
サンライズ瀬戸・出雲は各7両編成で、個室寝台の車両が6両、ノビノビ座席と呼ばれるカーペット敷きで横になれるスペースの指定席の車両が1両で構成されています(ノビノビ座席の車両にも2室だけ個室寝台もあり)。

サンライズの設備の種類と席数・部屋数

(瀬戸、出雲単独としての数。瀬戸と出雲が連結されている東京~岡山では下記の倍の数になります)

 ノビノビ座席(普通車指定席の開放型カーペット敷スペース)・・・28席

ソロ(B寝台 1人用個室)・・・20室

シングル(B寝台 1人用個室)・・・80室*

シングルツイン(B寝台 1人用個室。補助ベッド使用で2人利用も可)・・・8室*

サンライズツイン(B寝台 2人用個室)・・・4室* 

シングルデラックス(A寝台 1人用個室)・・・6室*   

*このうち、シングル20室、シングルツイン3室、サンライズツイン2室、シングルデラックス3室は喫煙可。

A寝台、B寝台というのは設備のクラスで、座席車に例えればA寝台がグリーン車、B寝台が普通車に相当します。 

子供との利用はどの設備が良い?

 今回は大人2人、未就学児2人での利用ですが、初めての寝台列車に子供がはしゃぐであろうことも考えると、オープンスペースであるノビノビ座席ではなく個室寝台を確保したいところ。寝台の利用については大人1人につき子供(小学生や未就学児)1人の添い寝が認められていて、この場合未就学児の費用はかかりません。しかしながら、未就学児だけで寝台を使用する場合は、子供運賃と子供特急料金(それぞれ大人の半額)、そして寝台料金(大人と同額)が必要になります。つまり、下記のとおりです。

<大人1人+未就学児1人での利用>

「添い寝」し、大人と未就学児 2人で1つの寝台を使用する場合: 
 ⇒ 大人1人分の運賃、特急料金、寝台料金
大人と未就学児 1人1つの寝台を使用(計2寝台を使用)する場合:
 ⇒ 大人1人分の運賃、特急料金、寝台料金 + 子供1人分の子供運賃、子供特急料金、寝台料金 (寝台料金は子供料金の設定がなく、大人も子供も同額)

 

電車に乗るときは未就学児は無料、と考えがちですが、未就学児だけで乗る場合や、未就学児が指定席や寝台を個別に利用する場合は、該当する指定席券や寝台券などと共に、乗車券や特急券も必要な点が要注意です。(乗車券、特急券、指定席券は子供料金。寝台券、グリーン券は子供料金の設定がないので、大人と同額)

コスト負担は大きくなりますが、利用時間が長いことを考えると、多少寝台のサイズが大きいA寝台で添い寝させるか、B寝台利用ならば子供1人分の寝台を確保し、子供ひとりを添い寝としたほうがよさそうです。子供だけで1人用個室を利用させるのも不安があるので、A寝台か2人用B寝台を狙いたいところ。ですがこれらの部屋はもともと数が少ないうえ、その半分はなんと今どき喫煙室という状況で、禁煙室希望だとさらに倍率が上がってしまいます。

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週末の下り列車のチケットは特に競争率が高そう

東京行きの上り列車だと東京着は朝7:08、朝起きてすぐ列車を降りなければならないので乗車するのはできれば下り列車、それも週末の旅行に合わせた金曜か土曜の夜の東京発としたいと思います。日程はサンライズの予約が取れる日に合わせて組もうと思い、みどりの窓口に行ってその時点で発売中の週末発の列車の空席状況を聞いてみると、ほぼ満席か、空いていてもシングルが何室か、という状況でした。

出発直前(払い戻し手数料が上がる出発前日の前日、つまり出発2日前)にキャンセルが出ることも多いという話もあるので、水曜、木曜にみどりの窓口で直後の金曜、土曜発の空席を聞いてみるも、空席状況にほとんど変化はなく、残念ながら空振りに終わりました。窓口の方によれば、やはり週末の下り便は非常に人気があるそうで、ましてや私の希望する数の少ない部屋は特に予約が難しいとのこと。これは発売日に買うしかない!と、次に発売される金曜発の便の発売日に窓口に並ぶことにしました。

発売日の朝10時にみどりの窓口に並んでみたものの・・・

JRの指定席券、寝台券は、乗車の1か月前の朝10時から発売されます。朝9時30分すぎにみどりの窓口に行くと長蛇の列でしたが、並んでいるうちに10時近くになるだろう、と思いながら並んでいると、思いのほか列は進まず、事もあろうにあと少しで順番が回ってくるというところで10時を迎えてしまいました。これは大失敗です。やっと順番になり窓口で空席を見てもらいましたが、A寝台シングルデラックスは喫煙なら1室空きあり、B寝台サンライズツインもシングルツインも満室、シングルならまだ空きあり、という状況でした。発売開始から5分も経たっていないのにこの売れ行きです。喫煙のシングルデラックスには迷いましたが、個室なので自室で喫煙しなければ禁煙室と変わらないのかもしれない反面、残り香があったり、隣室のドアの開閉や空調の関係で匂いがこちらの部屋にも入ってくるかもしれず、 やはり子連れであり、車内で過ごす時間が長いことを考え、あきらめることにしました。

明日も朝から窓口に並ぶか・・・と思いながら、念のためその夜に再び窓口に寄ってみると、なんと朝は満席だったシングルツイン、しかも禁煙室に空きが!シングルもまだ何室か空きがあったので、あわせて予約をお願いし、無事にシングルツイン1室とシングル1室が確保できました。発売直後は空いていなかったのに、どういう事情で夜になったら空きが出ていたのかはわかりませんが、これでもう窓口に並ばずに済むと思うと一安心です。

サンライズ出雲に乗る 

食料の用意とシャワーカードの購入

寝台券を購入してから1か月、今か今かと待ち焦がれた乗車の日がやってきました。
サンライズ瀬戸・出雲は東京駅の9番線ホームから22:00に発車します。車内販売が無いので翌朝の朝食の調達をどうするかが課題ですが、瀬戸と出雲を切り離す岡山駅のホーム売店で駅弁が買えるようです。ただ、岡山で起きられなかったり、販売量が少なくて売り切れてしまっていたりすることもあるかもしれないので、念のため東京駅で駅弁を買っておこうかと店を覗いてみると、弁当は何種類かありましたが賞味期限が明日の未明までになっていました。冬の車内は暖房で暑いことも多いですし、ここは駅弁はあきらめ、常温保存の効くパンなどを買うことにします。ついでにビールとおつまみも仕入れます。
列車は21:35頃にホームに入線してきました。しばらくするとドアが開き車内に入れるようになりますが、まずは自分の寝台の車両ではなく11号車に乗り込みます。サンライズには瀬戸号の3号車と出雲号の10号車にB寝台、ノビノビ座席の利用客用のシャワールームがついており330円のシャワーカードを購入すれば利用できますが、枚数に限りがあり、売り切れてしまえばシャワーの利用はできません。この日は子供たちと奥さんは家でお風呂を済ませてきましたが、私は朝から出かけていて家に帰る時間はなく、なんとしてもサンライズでシャワーに入りたかったのです。シャワーカードを販売している10号車のミニロビーに近い11号車のドアから乗りこむとカード販売機の前にはすでに列ができていましたが、無事シャワーカードを購入できました。
なお、A寝台シングルデラックス利用時は別途シャワーカードを購入しなくてもA寝台専用のシャワーが利用できます。

コンパクトながら快適な個室 設計には住宅メーカーが参画

食料、シャワーカードを手にすれば、あとは寝台列車の旅を楽しむだけです。今回利用するのはB個室寝台シングルツインとシングル。シングルツインとは妙な名前ですが、1人用個室なので1人利用の料金が設定されているけど、補助ベッドの利用料を払えば2人でも使えますよ、という部屋です。下の写真でいうと、車両のドアのすぐ横の窓の部分が上下2枚の窓でシングルツイン1部屋、その向こうの上下の間隔が広がった窓の部分が窓1つでシングル1部屋になっています。シングルツインの部分は平屋建てですが、部屋の前の廊下に上に行く階段と下に行く階段があって、その先は2階建てになっていて、それぞれの階にシングルの部屋のドアがならんでいるという構造です。f:id:nikonikotrain:20201128005718j:plain

シングルツインは部屋のドアを開けるとすぐ上下2段のベッドがあり、それぞれに大きな窓があります。ドアを入ってすぐ横に棚を兼ねた階段があり上段寝台へのアクセスとなります。棚の部分にはコンセントが1口ついています。
この上下2段のベッドという部屋のつくりが、せまっこい秘密基地が大好きな子供心をくすぐり、喜んで上へ下へと遊び始めますが、走行中は揺れるので転落事故のないよう気をつけなければ。

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シングルは今回は2階部分の部屋でしたが、湾曲した大きな窓が解放感を与えてくれ、狭さを感じさせません。鏡と小さなテーブルもついています。 

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 個室内はどちらもぬくもりを感じる落ち着いた雰囲気。木の風合いのある内装素材は木粉を多く混ぜこんだM-Woodという樹脂製だそうです。サンライズの設計、製造には住宅メーカーであるミサワホームが携わっており、この個室の居住性の高さはプロの仕事の賜物かと納得しました。

ひとしきり部屋でゆっくりした後はシャワーを浴びに10号車へ。幸いなことに使用中の方も待っている方もおらず、すぐに使用することができました。脱衣場もシャワー室もなかなか広く清潔で、床がびちゃびちゃ濡れているようなこともありませんでした。シャンプーやボディソープ、ドライヤーも備え付けられていますが、タオルは自分で持参する必要があります。
シャワーカードを読み取り機に入れると、6分間のお湯利用ができます。壁には残り時間のカウントダウンの表示がついていて、お湯を出すとカウントが進み、お湯を止めるとカウントも止まります。実際に使ってみると6分はなかなか充分な時間で、シャワーを浴び終えたとき、2分ほど余っていました。
シャワー室を利用したあとは「洗浄ボタン」を押すように案内されているので押してみると、シャワー室内に強い風が吹いているのが聞こえ、脱衣場にもその風が入ってきました。なるほど、これで室内を洗浄、乾燥させ、次の利用者も快適にシャワーが利用できるようになっているというわけです。

岡山駅で朝食の駅弁を購入し、列車の切り離し作業を見学

シャワーから戻り、部屋の明かりを落として、過ぎ行く夜の景色をぼんやりと眺めます。これこそ寝台列車の醍醐味、と、ついついいつまでも眺めてしまいますが、東京を出て3時間少々、浜松を出たところでさすがにもう眠ることにしました。

車内放送の声で目が覚めました。滋賀県内の濃霧の影響で遅れが発生しており、岡山で接続する予定の新幹線に接続できなくなってしまうので、新幹線に乗り継ぐ人は姫路で乗り換えてください、とのこと。さて今どこにいるのだろう、と窓の外をしばらく見ていると、ちょうど大阪に着くところでした。再びウトウトしたり、夜が明けて行く窓の外の景色を眺めたりしているうちに、定刻より30分ほど遅れて岡山に到着しました。

岡山では切り離しのため瀬戸号は4分、出雲号は7分の停車時間があります。この列車は遅れているので予定よりも短い停車時間になるかもしれませんが、出雲号は瀬戸号の後ろに連結されているため瀬戸号が発車しない限りは出雲号も発車できません。瀬戸号が発車したら車内に戻ればよく、時間の余裕があるはずなので、コートを羽織ってホームに降り、ホーム売店で朝食用の駅弁を購入してから列車の切り離し作業を見学しました。

f:id:nikonikotrain:20201128233337j:plain四国へ向かうサンライズ瀬戸号を切り離し、身軽になったサンライズ出雲号。f:id:nikonikotrain:20201128005757j:plain

カーブを繰り返し中国山地を越える

岡山の次の停車駅、倉敷を出ると、列車はこれまで走っていた山陽本線を離れ、伯備線という路線に入ります。伯備線伯耆国鳥取県)と備前国岡山県)を結ぶことから名づけられた、太平洋側と日本海側を結ぶ山越えの路線です。川に沿って走る山越えの路線とあってカーブも多く、いままでとは乗り心地も走る速度も変わってきました。
列車は川に沿って右に左にカーブを繰り返して徐々に高度を上げ、峠を越えるとまた川に沿ってクネクネ曲がりながら山を下りて行きます。途中の単線区間の駅では対向列車との待ち合わせをし、小さな駅周辺の古い家並みや川の流れを眺め、のんびりとした朝の時間が過ぎて行きます。カーブを曲がる列車の先頭部が見通せるところもあり、なかなかの急カーブであることを感じさせます。

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 やがて景色が開けてくると山陰を代表する名峰、大山(だいせん)が見え、鳥取県の米子に到着、中国山地を越えて日本海側にやってきました。車庫には黄色やオレンジに塗られた国鉄時代から活躍する車両たちが止まっているのが見えます。f:id:nikonikotrain:20201128005415j:plain

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窓いっぱいに広がる宍道湖を眺め、終着の出雲市

米子を出ると終点の出雲市までは残り1時間弱、ラストスパートに入ります。島根県の県庁所在地松江を出てしばらくすると、右窓いっぱいに宍道湖の穏やかな湖面が広がりました。あいにくの曇り空なのが残念ですが、サンライズ出雲の旅のラストを飾る美しい眺めです。f:id:nikonikotrain:20201128005425j:plain

定刻よりも1時間少々遅れ、11時05分ごろ、終着の出雲市に到着。通常よりも1時間も長く寝台列車の旅を楽しめたのはラッキーなことでした。

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 東京を出発して13時間という長い時間を過ごした列車、別れが名残惜しいです。

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子供にとっても寝台列車の旅は大変思い出深いものになったようでした。寝台の種類や利用する日によっては予約が難しかったりもしますが、毎日運転されいつでも乗れる寝台列車が走っているというのはとても貴重なこと。かけがえのない旅の思い出を作ってくれるサンライズ瀬戸・出雲が少しでも長く活躍してくれることを願ってやみません。

 

2020年2月 乗車

 

サンライズ瀬戸・出雲:JRおでかけネット (jr-odekake.net)

寝台券:JR東日本 (jreast.co.jp)

 

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