そこに線路があるかぎり

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マザー牧場の桃色吐息と 里山を吹き抜ける風が気持ちいい 里山トロッコ号の旅【小湊鉄道/千葉県】(2016年)

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だんだんと暑い日が増えてくるこの季節、暑さをやわらげてくれるさわやかな風を求めて、房総半島に出かけました。山の上にあり風が気持ちいいマザー牧場で午前中を過ごし、午後は2015年11月から走り始めた小湊鉄道里山ロッコ号に乗って、里山の風を浴びながらの、のんびりトロッコ列車の旅を楽しみたいと思います。動物x乗り物、子供が好きなものを組み合わせたダブルヘッダーの、休日日帰り旅行に出発です。

 山の斜面をピンク色に染める マザー牧場の桃色吐息

マザー牧場は、牛や羊などの動物たちとの触れ合いや景色のよさ、季節ごとに楽しめる花々などが楽しい、千葉県を代表する観光地のひとつです。東京湾アクアラインを経由し、渋滞がなければ都心からの所要時間は1時間少々と車でのアクセスも非常に良いので、この日も車で出かけました。
マザー牧場の入口は「まきばゲート」と「山の上ゲート」の2か所があり、駐車場もそれぞれのゲートの近くにありますが、この日は「ふれあい牧場」やお花畑に近い「まきばゲート」から入場。まず最初にお花畑に向かいます。
マザー牧場の花と言えば、春の菜の花が有名ですが、菜の花のあと、6月から9月にかけては「桃色吐息」の花が美しい風景を作り出しています。桃色吐息は、ペチュニアを品種改良したもので、南房総市出身の園芸家の方と千葉大学が共同で開発した、千葉のご当地品種の花。 ピンク色の花畑は、周囲の丘の緑や青空によく映えます。

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お花畑を散策したあとは「ふれあい牧場」で動物たちと触れ合ったり「コブタのレース」を見たりしてマザー牧場を楽しみ、牧場内のジンギスカンガーデンズでジンギスカンの昼食。おなかがふくれたらマザー牧場を後にして、小湊鉄道養老渓谷駅を目指します。

マザー牧場|花と動物たちのエンターテイメントファーム (motherfarm.co.jp)

小湊鉄道は古き良き時代の風情が残る 味わい深いローカル線

 小湊鉄道は五井から上総中野 39.1km を結ぶ非電化のローカル私鉄で、1925年(大正14年)に最初の区間が開業した、とても古い歴史を持っています。終点の上総中野で外房の大原までを結ぶ第3セクターいすみ鉄道に接続していて、小湊鉄道いすみ鉄道を乗り継げば、内房からから外房へ房総半島を横断することができますが、どちらも単線非電化のローカル線で本数も少ないので、五井と大原の間は、遠回りながらも電化されていて特急も走るJR内房線外房線を乗り継いだほうが早く行くことができます。

そんな小湊鉄道の魅力は、なんといってもレトロでのんびりとした時間の流れる、古き良き時代のローカル線の風情が残っていること。肌色とオレンジに塗り分けられたディーゼルカーや木造の駅舎など、多くの人がイメージするローカル線の雰囲気が感じられるこの鉄道は、ドラマやCMのロケなどでも数多く使われています。 
鉄道名になっている小湊とは、房総半島南部の海沿いにあり、現在は鴨川市になっている町で、もともと五井からこの小湊を結ぶ計画だったため、小湊鉄道という名がつけられました。結局線路は道半ばの上総中野までしか敷かれませんでしたが、上総中野で結ばれたいすみ鉄道は、以前は国鉄の木原線と言い、内房の木更津と外房の大原を結ぶ計画だったため木更津の「木」と大原の「原」から木原線と名付けられた路線でしたが、小湊鉄道と木原線、目指した道半ばで夢破れた鉄道同士、上総中野で手を繋ぐことになったのは面白いことです。

小湊鉄道 里山ロッコ号について

小湊鉄道里山ロッコ号は2015年11月に運転を開始したトロッコ列車で、1両のディーゼル機関車と4両の客車の5両編成で構成されています。下り方に連結されるディーゼル機関車はかつて小湊鉄道で活躍していたSLを模した形をしていて、新造車両ながらレトロな雰囲気を出しており、4両の客車は1両の長さが約9mと一般的な鉄道車両の半分ほどの長さで、両端2両が窓付きの普通車、中間2両が窓なしのトロッコ車両です。SL風機関車といい短い客車といい、遊園地の豆汽車のような、かわいらしいマスコット的な列車になっています。機関車の連結位置は常に変わらず、下り列車では先頭に、上り列車では最後尾に連結されます。上り列車では機関車が後から押す形となるので、上り方の先頭になる客車には運転席がついています。

2016年6月当時の運転区間は上総牛久~養老渓谷 18.5㎞で途中里見に停車、冬季を除く金、土、日、祝日を中心とした指定日のみの運転で、本数は平日は1日2往復、土休日は1日3往復でした。乗車するには乗車券のほか、トロッコ券500円(大人、子供同額)が必要です。

2016年6月当時の里山ロッコ号運転時刻

(平日)
1号 上総牛久 10:19 => 養老渓谷 11:20
2号 養老渓谷 11:32 => 上総牛久 12:28 
3号 上総牛久 12:48 => 養老渓谷 13:49
4号 養老渓谷 13:58 => 上総牛久 14:54

(土休日)
1号 上総牛久 8:29 => 養老渓谷 9:30
2号 養老渓谷 9:43 => 上総牛久 10:38
3号 上総牛久 11:33 => 養老渓谷 12:34
4号 養老渓谷 12:46 => 上総牛久 13:42
5号 上総牛久 14:02 => 養老渓谷 15:03
6号 養老渓谷 15:15 => 上総牛久 16:11
全列車途中 里見に停車

なお、2021年現在は運転区間が五井~養老渓谷に延び、平日は五井~養老渓谷の1往復、土休日は五井~上総牛久2往復、五井~養老渓谷1往復の計3往復の運転となったいて、途中停車駅に高滝(下り降車のみ)、月崎が追加されています。
また、トロッコ整理券も600円に改定されています。

トロッコ列車のご案内 | 小湊鐵道 房総里山トロッコ (kominato.co.jp)

里山ロッコ号に乗る

養老渓谷 15:15 ---> 上総牛久 16:11 小湊鉄道線 里山ロッコ6号

マザー牧場から房総半島の山の中を車で走ること40分少々、養老渓谷駅に到着しました。駅前の有料駐車場に車を停め、駅でトロッコ券と乗車券を購入。トロッコは基本的には予約制ですが、席に余裕があれば当日でも買うことができます。この時も予約はしていなかったので満席だったら乗車をあきらめようと思いましたが、問題なくトロッコ券を買うことができました。乗車するのは本日最後の便、養老渓谷を15:15に出発する里山ロッコ6号。マザー牧場からハシゴするにはちょうどいい時間帯の運転です。

SL型ディーゼル機関車とかわいい4両の客車

改札口を入ると、さきほど里山ロッコ5号として到着したトロッコ列車がホームに停まっています。SL型ディーゼル機関車の後ろに4両のミニサイズの客車が連なる姿は、思ったよりもかわいらしいです。客車4両のうち、オープンタイプのトロッコ車両小湊鉄道では展望車と呼ばれています)は2両だけ。今回はそのトロッコ車両の券を購入できましたが、定員制なので車両内での座席は自由席で先着順です。雨の心配もなさそうないい天気ですし、トロッコ車両の券を確保できたので一安心、といきたいところですが、トロッコ車両は1両に4人掛けボックス席が左右に5つずつ、計10ボックスがあるところ、ドアに近い左右1ボックスずつは、ドアの引き代にあたるため固定窓がついています。せっかくトロッコ車に乗っても固定窓の席では楽しさも半減、と思っていましたが、早めに改札口を入れたので、無事にオープンな席を確保することができました。

養老渓谷駅で発車を待つ里山ロッコ6号 上総牛久行。ホームは2面、線路も2本敷かれていますが、使われているのはホーム1面、線路1本だけです。使われていないホームにはアジサイが。上総牛久行はこのSL型機関車が最後尾となり、後ろからトロッコ列車を押して走ります。

 

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養老渓谷駅にある足湯の幟がたなびくホームで、里山ロッコ号が発車を待っています。左の写真が窓付きの普通車、右の写真がオープンなトロッコ車(展望車と呼ばれる)。
養老渓谷を出ると、緑の森の中を走って行きます。

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青空の下、緑の中を初夏の風を浴びて走るのはとても気持ちがいいです。

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トンネルや鉄橋もあって、風の強さや温度、列車の音の響きも変わり、楽しいです。

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飯給(いたぶ)駅前にある日本一広いトイレ

飯給(いたぶ)駅を通過すると、右側に見えてきた板塀に囲まれたスペースは、日本一広いトイレだそうです。200平米の広さの塀に囲まれた土地に、ガラス張りの個室が1つおいてあるそうですが、女性用とのことで、男性は使ってみることはできません。

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里見駅で反対列車と行き違い

里山ロッコ号の唯一の途中停車駅、里見では下り上総中野行きと行き違い。トロッコを降りてこの下り列車に乗り換えて行く乗客もいました。養老渓谷から里見までは30分弱、ちょっとしたトロッコ列車の体験乗車にはちょうどいい時間なのかもしれません。

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駅長さんに見送られ、里見駅を出発。車窓に広がる青々とした田んぼの稲が美しいです。

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陽も傾いてきて、線路際の森なども少なくなってきたこともあってか、心なしか車内の暑さも増してきたかな、と思ううちに、1両の列車が待つ、終着 上総牛久に到着。この先、五井方面に向かう人は、この1両編成の五井行きに乗り換えです。

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天井のサンルーフにはガラスが入っていますが、空が見えると解放感も高まります。

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 普通列車に乗り換えて養老渓谷に戻る

 上総牛久 16:32 ---> 養老渓谷 17:09 小湊鉄道線 普通 養老渓谷

上総牛久では20分ほど待ち、普通列車に乗って養老渓谷に戻ります。
「れっしやがきます」「きしゃにちゅうい」の表記、単線区間の通行票である「タブレット」を駅長さんから運転士さんに渡す風景など、今ではなかなか見られない、古き良き時代を感じることができるのが小湊鉄道の魅力のひとつ。

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帰りの普通列車も里見で反対列車との行き違い。上総牛久から先、終点の上総中野までは22.7㎞あり、全線39.1㎞の半分以上 の距離ですが、行き違いができるのは里見駅だけです。 古い車両に古い駅舎、昔のローカル線の風情が残る小湊鉄道。絵になります。

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去りゆく上り列車を見送り、こちらの下り列車も里見を出て、終点へ向けてラストスパート。17:09、およそ2時間ぶりに養老渓谷に戻って来ました。養老渓谷の駅もまた、レトロで味わい深く、肌色とオレンジに塗り分けられた古いディーゼルカーとよくマッチします。
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森を抜けてトンネルをくぐり、鉄橋を渡って田んぼを走る… 沿線の風景によって変わる風を感じながら、移り変わる里山の景色が楽しめる小湊鉄道里山ロッコの旅は、とても気持ちが良いものでした。東京からのアクセスも良く、日帰りで気軽に楽しめる小湊鉄道は、何度でも出かけてみたくなる、魅力的なローカル線です。


2016年6月